231 獣ノ國 - under the ground -
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食堂近く 廊下
[廊下を歩いている。髪の毛は白衣を擦り、さらにボロボロにする。その代わり、上着は傷つかない。身長差のせいで、上着はジリヤを包むくらいに大きく。]
…イライラするぜ
[上着に包まれて感じる、この感覚は、どうにも、自分にも説明がつかなかった。いら立っている、ということにして、思考を放棄する]
(47) 2015/07/12(Sun) 18時半頃
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[ 御礼を言われ慣れてないとでもいうような 居心地の悪そうな顔をしている梟へ、 僕はけらりとひとつ笑ってみせた。
ふたつの林檎と水のボトル。>>38 ポケットに艷やかな赤い果実をねじ込んだ。
( 第二図書室に、人間が? ) 昼ならわかるがこの時間。なんだか珍しい、と思う。 明日の朝に様子を見に行ってみようかな とも。
彼女が今夜居るのは自室だと、 咀嚼する時間がもうちょっとあったなら
……いちおう、その。ね。 遠慮するのが筋ってもんなんだろうけど。]
(48) 2015/07/12(Sun) 18時半頃
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[ 彼女の黒目がぱちっとひとつ、瞬いて>>38 構わない、って声>>39が聞こえる。
おもてなし、なんて 別になんにもいらないから こくりとひとつ、頷いて そわりと焦る胸と、ほんわりとあったまる胸と 両方をもてあましながら彼女の後をついていった。
*** 僕の部屋の扉を通りすぎて、 開かれた なかを知らない部屋のとびら。 姿見があることに、僕はまたちょっとそわりとして
( おんなのこの部屋、だよね… )
適当に、と示されたベッドの脇の床に座った。]
(49) 2015/07/12(Sun) 18時半頃
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………お腹空いてる。 ありがと、入れてくれて。 ………僕はここでいい。
[ 水のボトルは脇に置いて しゃく、と赤い果実を齧る。 ベッドに座る彼女を見上げて
しゃく しゃく。 芯だけになったら兄さんにあげた。
彼女が本を読みだしたのなら、横顔を見つめるだろうし とりあえず林檎がなくなるまでは黙っていて。
羽が届くところにあったなら、ほんの微かに触れた後]
きみが飛べたら良いのに。
[ と、零した。]
(50) 2015/07/12(Sun) 18時半頃
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[誰かをもてなしたことのない私は、どうやってもてなせばいいのかよくわからない。 おもてなしはできない、と言ったけれど、それでも私がベッドに座って、お客様であるところのフィリップが床>>49というのは、もてなさないにも程がある。 お客様を床に座らせていることにか、そもそも、自分の部屋に他の誰かがいることにか、少し居心地の悪さを感じて、私は誤魔化すように本を開く。 やがて、触れる手>>50に、フィリップが食事を終えたことに気づくと、顔を上げた。 お腹は膨れたの、と尋ねようとして、それより前にフィリップが口を開く気配を感じれば、その言葉を飲み込む]
……そうね。 私も、そう思うわ。
[飛べるかもしれない。その切っ掛けになるかもしれない、私の秘密。 先ほどなにかあった? と聞かれた返事を保留にしていることを思い出す]
……なにか、あったの?
[それでも私は、まだ打ち明けるか決めかねていて。 代わりに、質問を返した]
(51) 2015/07/12(Sun) 19時頃
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マユミは、フィリップの側で林檎の芯を突く、彼の兄の方をそっと眺めた。
2015/07/12(Sun) 19時頃
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― 寸刻 ―
………どうしたの? 両親が、恋しくなった?
[ 僕にとっては 特に珍しくもないふたつの単語>>*8 博識なはずの梟が 譫言のように呟いたのを聞いて 僕はまさか「知らない」なんて想像だにせず 軽率に、ことばを投げる。
そういえば僕も両親の顔は知らないな、って そばに居てくれたのは ”兄さん” で
兄さん。 にいさん。
記憶の靄はまだ晴れずに 背中だけがほうやり浮かぶ。 赤い鸚哥が 僕の傍で 『 ガア 』と啼いた。]
(*9) 2015/07/12(Sun) 19時頃
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[ 鸚鵡返しに落とされた“なまえ”>>*8の響きに、音程にふ、と意識を持ち上げる。先ほどのじわりと警戒を帯びたそれとも。平生の聡明なくうきとも、どこか異なるいろだった。
黒い瞳の奥底で、警鐘が鳴らされているとも知らず。同じ声音から溢れたそれにやはり、聞き間違いではなかった、と思いながら。 容量を超えた水があふれるよう、つづいたあらたな“なまえ”を、自らも口内で転がす。とうさま。*
だれかの名前だろうか。 もし彼女が少しでも、己の踏み込みじみた言葉を避けるようであれば。と、面体の下口を噤み。
――それでも、彼女が未だ耳に自分の声を届かせたなら。本に触れ、“おおく”をしる梟へ純粋に尋ねるように。
“ かあさま ”“ とうさま ”
と、微かに低い己の声に反芻しては、
――それは誰のこと? と、初めてしる“なまえ”に、首を傾げただろう。ここのだれかだろうか、それとも、と。レンズ越しの目を細めながら。]
(*10) 2015/07/12(Sun) 19時頃
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[フィリップの声>>*9に、はっと私は我に返る。 そう、それは、両親を意味する言葉で。それくらいは、私も知っていて。 そして、私には縁のない言葉のはずだった。 だって、私はそんな対象を知らない。そんな風に呼ぶ相手を知らない。知らない、はずだ。 “父”でも“お父さん”でも“お父様”でもなく、“とうさま” 甘えたようなその呼び方。意図せず唇から零れた言葉に頭の中は嵐のようだ]
そんなことは……ないわ。 私には、そんな人……いた記憶が、ないもの。
[そんな返事をしながら。どこかから、訴えかける声がする。本当に? 本当に? 本当に? 胸の奥がぎゅっとするような感覚に襲われながら、私は表面的には平静を装い、無邪気な質問>>*10に返事をする]
母親と、父親。両親のことよ。 私たちを、この世界に、送り出した人のことよ。
(*11) 2015/07/12(Sun) 19時頃
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………なにか、あった。
[ 赤い目元の事を聞かれているのだと思ったけれど 夜色の目をした人間との会話も 卑怯な僕の話も そのままするにはどうにも憚られて。
僕は僕の中に溜め込んでいた”もうひとつ”を絞りだす。 もしかしたら、ただの冗談かもしれない「鍵」の話。]
……ねえ、まゆみはさ 此処から出る「鍵」を持ってる獣が居るかも ……って言ったら、どうする?
[ つくりものの庭で会った”獣”のはなし。 彼の”声”も聞こえていて こちらの”声”も届いているようだったから ”声”では話せないと ずっと溜め込んでいた 話。]
(52) 2015/07/12(Sun) 19時頃
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―― 一間前 ――
[ だれ、と投げる寸刻前だっただろうか。 うたう彼の声>>*9 に“りょうしん”、と心中に落とし込みながら。綴りは知っていたかもしれなかったが、馴れない耳にきく発音に鈍く、頭を傾けた。
――だれのことをはなしているんだろう。鳥の2人がしるのだから、“ここ”のだれかだろうか。と勝手な憶測を巡らせる。
もし彼女の意識がそちらへ向くのを確認したなら、最後の問い>>*10はただ腹の奥に沈めつつ。
2羽の会話から、そのだれかをしることはできるだろうか、と。声をかけられでもしなければ、以降は黙って、ただ耳をたてていたことだろう。*]
(*12) 2015/07/12(Sun) 19時頃
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[あてもなく歩く。イカレ女医を探すわけでもなく。ブラブラと。考える時間が欲しかった。長く。長く。他人の気持ちならともかく、自分の気持ちが、わからない]
…たしか、前に使ってた部屋が… [秘密棟に行く前に使ってた部屋なら、誰もいないはずだ。…部屋移動が、なければ、だが。そこで、いろいろ考えることにして]
(53) 2015/07/12(Sun) 19時頃
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明之進は、マユミの翼はあれは飛べるのだろうかとふと思った。
2015/07/12(Sun) 19時半頃
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[なにかあった、とフィリップは言う>>52。 それはそうだろう。でなければ、赤い目元になって、誰にも会いたくないなんて言うわけがないのだから。 促すように一つ頷いて、フィリップの話に耳を傾けて。 そうして語られた話に思わず息を詰めた]
……その、「鍵」というのは。 文字通りの鍵のことなのかしら。 それとも、何かの比喩なのかしら。
[フィリップの持っている情報をはかりかねて、私は用心深く発言する。 比喩的な意味でなら、私の持っている秘密も鍵といえるのかもしれない。 もしかしたら、フィリップも知っているのか。それとも、全然違う情報を持っているのか。 別に、駆け引きをするつもりなんてない。フィリップを信用していないわけではない。 ただ、下手なタイミングで下手に情報を与えては、フィリップが混乱するだけかもしれないから。 だから、私はとりあえず、聞き役に徹することにする。 これ以上、フィリップの目元が腫れるようなことが、なければいい]
(54) 2015/07/12(Sun) 19時半頃
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はい、もう大丈夫です。
[ほんの少し感じた頭の重さに気取られないようにしながら、立ち上がって]
次は、いつ来ればいいですか。 "もっと良い薬"の実験、するんですよね。
[私が先生に、協力したい、と言ったとき。先生はそう言っていた。 もっと良い薬、はきっと、もっと大きな症状が出るのだろう。もしかしたら、私という存在が無くなることもあるかもしれない。
....そうしたら、先生は悲しんでくれるだろうか。いや、きっとただこう言うだけ。 "ああ、これは強すぎるのね"
それでも、いい。その結果を踏み台にして、先生の目的が達せられるのなら]
(55) 2015/07/12(Sun) 19時半頃
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出来るだけ早くしてくださいね。 私も、早くお薬が完成して欲しいですから。
あ、出来るなら今でもいいんですよ?
[俯いて、ふふ、と笑いを零した私の姿は、先生にどう映っているのだろう。
でも、出来れば。覚えていてほしい、なあ]
(56) 2015/07/12(Sun) 19時半頃
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……何かの比喩なのか、もしれない。 ”ここから出られたらどうするの” って きみに聞いた”声”。 覚えている?
彼……チェビイ。僕は、彼に言われたんだ。 「自分から”鍵”を奪いたいか?」 「鳥籠の鍵が欲しいと思うか?」って。
…その後、はぐらかされてしまったけれど。
[ ほう、と瑠璃の目を彼女>>54の羽に落とす。 指の隙間でするすると遊ぶそれは いくら触れても飽きなくて。 まだ赤みを帯びた目尻が、ふわりと 緩んだ。
泣いていた理由を聞き直されなかった事に ちいさく 感謝しながら。]
(57) 2015/07/12(Sun) 20時頃
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元自室
[部屋にはもともと部屋に備え付けられているものしかなかった。まぁ、独房や廊下で寝るよりはマシだ。安物のベッドに座って、大きくため息をつく。]
…なんなんだよ…まったく…
[ぶかぶかの上着にくるまるようにして、考え込む。部屋の前を通り掛かれば、空室のはずの部屋から声が聞こえると、訝しまれるかもしれないが、そんなことは気にしない]
(58) 2015/07/12(Sun) 20時半頃
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[その声には確かに覚えがあった。 聞き慣れないな、と感じた声。 獣にしか聞こえない、秘密の会話を始めた声]
奪う、というのは、穏やかではないわね。
[だとすれば、そのチェビイというのは、獣の味方ではないのだろうか。獣なのに? 鍵を持っている? 獣なのに? わからない。一つだけわかったのは、おそらくフィリップもチェビイを警戒していて。 だからこのタイミングを選んだのだろう、ということ]
それで、フィリップは、どうしたいの。 「鍵」を奪いたいと、思った?
[翼をフィリップに触れられるのは、嫌いではなかった。蒼碧と真紅を見つめながら、戯れにぱたりと翼を動かした]
(59) 2015/07/12(Sun) 20時半頃
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あら。クラリッサはせっかちさんね。
[柔らかい微笑を浮かべて、クラリッサの頭を撫でた。 そうよね。早くしてほしいわよね。 早くこの子は“ヒト”になりたいんだ。そうに決まっている。 だって、兄さんもそう言っていたもの]
でも、出来れば次のお薬は――― [無理をするように立ち上がったクラリッサの姿を、 冷静なアマルテアは見逃さない]
その副作用が抜けきってから、ね。
[幼子に言い聞かせるように、優しい声で言葉を紡ぐ。 前の薬の副作用が抜けきってからではないと、 正確なデータが得られないだろうから]
(60) 2015/07/12(Sun) 20時半頃
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本当に。クラリッサは、強い子だわ。
[お薬を怖がる子も、中にはいるから。そう付け足して]
ヒトになったら、自由が待っているわ。 外の世界に出られるの。 これ以上に、素晴らしいことはないわ。
[それはクラリッサに言っているのだろうか。 彼女の中に兄の姿を見ているのだろうか。 あの時。バケモノとして生きるくらいなら、死んだ方がマシって。 確かにそう言ったわよね。兄さん**]
(61) 2015/07/12(Sun) 20時半頃
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――――ッ……
[ こほり 。
僕の口から、見えない気泡が溢れた気がした。
―――出せるなら。 出して良いなら。 僕は、
でも。だってきっと、ダメなんだ。 背いたことをしたら、僕はきっと
―――振り返った途端に、首を切られてしまうから。 ]
(62) 2015/07/12(Sun) 20時半頃
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……モスキート。
[ 僕は彼の名前を呼んだ。まるでごめんねと意味を含めたような、ものだった。
彼の夢。 微睡みの奥、かなたの夢。 大海原に、身を浮かばせて。 真直ぐに体躯をしならせる彼を見られたなら ――― ぶつん、 僕の記憶の映像が途切れた。
僅か僕の瞳の奥、深い、まるで年月を経て錆びたような色に――赤みが一貫差したとも知らずに。
手袋の着られる前、触れたら傷付く肌のそこには、視線を落とすだけに留める。 だって彼に触れたら、また彼が興奮する紅が落ちてしまうかも、しれないから。 僕は管理人なんだ。管理人でなければならないんだ。 鶴が滑って、僕も滑った。 後ろの正面、 ―――みてはいけない。
……されどはたして、>>24彼の言葉は冗談だったのだろうか。 僕の心が軋む。 知っているよ。冗談じゃない。 彼の声は、本心だ。切望だ 。 作られたプールではもう、満足できない。きっと、きっとそうなんだ。……少なくとも僕は、そう思う。 ]
(63) 2015/07/12(Sun) 20時半頃
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そと。 ……いきたいよ
[ 蚊の無くような声だった。 それでいて、蛙の潰されたように無様な音だった。 潰れた声が、彼に届いたかは知らない。
うみ。 ではない、みずうみ。 僕の居た、―――ふるさと。 でも、うみに近い森だった。 鬱蒼とした緑を抜けると、浜辺に出る。 うみがめがたまごを産んでいる。 うみねこが空を泳いでいる。
そんな世界はある日―――弾けて消えた。 ]*
『 ぼくも、” ” 』
[ 言葉は機械を空の筒として通った。 しゅこ、と空気の洩れ掠れた音が溶ける 。 ]
(64) 2015/07/12(Sun) 20時半頃
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[ プール → ]
[ 霧がかかって、朦朧とした思考は>>25彼の声で晴れた。 僕から離れながらくつわをはめ直す彼に、また近付くほどバカではない。僕はぼうやり先の名残が残ったまま彼の仕草を見つめた。 こん、と叩かれた吸収口。俄かに軽い音に、替え時だろうかと思いつつ。 ]
うん、君と。でも僕と居ると、…あんまり、ほら。 視線もあるから。ダメなら平気だよ。
[ 濁した言葉の奥、浮かぶのは僕自身の「立場」。 管理人の上の上、あくまでも施設を統率する側なのだ。本当だって、ここに居てはいけない。 すぐに戻らなきゃ、ならない。――けれど、 ]
僕らはきっと、「 さみしい 」んだね。…モスキート。
[ ―――まぼろしを求めて飢えた渇きが、孤独が。 僕らを長い間、襲っている。
僕はそっと彼に手を差し出した。 誰かを傷付けないように、手袋の嵌められた手を求めて、そっと伸ばした。直された足先の横に僕のそれを並べて、 着替えることも出来たら、過程を通りつつ。
「 知りたいこと、何でもいいんだよ。」 ……僕はやっぱり、中途半端な亀だなあ。 ]**
(65) 2015/07/12(Sun) 20時半頃
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………「鍵」を奪いたい、と………
[ 繰り返した言葉がすぼまる。 ……そと、は。 そとは、怖い。 また物のように扱われて、大切な人と引き離されて ヒトに捕らわれる日々。
けれど。 手の中で遊ぶ羽>>59が 夜空にひろがるさまは とてもとても、見たいんだ。]
……僕、 は…………
[ ベッドのわきに肩を預けて、床から梟の目を見上げる。 吸い込まれるように 赤い飾りのついた手を伸ばして 近くて遠い 白い頬は ]
(66) 2015/07/12(Sun) 21時頃
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………この、翼のため ……なら。
[ ”きみのためなら” と言えるほど 僕は大人ではなかったし 目を腫らして言うせりふじゃあないよね、と苦笑する。
翼のない僕が抱えるこの気持ちも 憧憬ばかりで かたちがよく見えなかった。
彼女と飛ぶ空に憧れが無いと言ったら嘘になる。 此処の鍵が開いていたのなら外へ行くだろう。 ”奪ってまで” 外へ行きたいという理由は 「僕自身」には そこまでなくて
この翼を夜空に。 その想いでだったら、出来そうな気がした。]
(67) 2015/07/12(Sun) 21時頃
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ごめんなさい。 ちょっと席を外すわね。
[クラリッサなら大丈夫だろう、と思った。 アマルテアはクラリッサを、“信用”している。 普段は“彼ら”が医療室いるときに、 貴重な研究結果を放置することに抵抗を覚えるのだが。 すっかり警戒が緩んでいた]
……また、いらっしゃい。
[そう言って、微笑んで。 医療室を後にするだろうか]
(68) 2015/07/12(Sun) 21時頃
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―→ 第三棟 監視室 ―
……やっぱり、ジリヤは戻ってないわね。
[監視カメラに映る各々の部屋の映像を見て。 アマルテアは大きくため息を吐いた。 秘密棟の映像を見るに、そこにジリヤの姿はない]
ヴェスパタインは。まったく、もう。 まあ、そんな気がしていたけれど。
[元は聖職者だったというあの同僚が、 無理強いをするような男ではないのは知っている。 さて、気になっていたことは確認できたし。 戻ろうか、と席を立ったところで]
ん。
[第二図書室の映像に目が留まった]
(69) 2015/07/12(Sun) 21時頃
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……なにやってるの、ノアは。
[イライラした様子で本とペンを薙ぎ倒す彼の姿>>44。 いつもへらりとした印象のある彼らしくもないと思った。 そして何より]
真面目に仕事しなさいよ。
[なんて本音が漏れるだろうか。 ふと、昨日彼が漏らした“ここにいる理由”が頭を掠めて]
人それぞれ。事情はあるんでしょう、けどね。
[こんな異常なところにいる者は、 きっと誰もがそれぞれ事情を抱えていて。 何かに当たりたいこともあるのだろう、と**]
(70) 2015/07/12(Sun) 21時頃
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もしも、本当に、フィリップが外の世界に行きたいのなら。 私は、その役に立つ秘密を、持っているのかもしれないわ。 チェビイの言う「鍵」と関係があるのかは、わからないけれど。
[私にはない色を持つ腕を、手を、眺めながら、私は静かに告げる。 こちらを見上げる>>66フィリップの目を、見つめ返した。 ああ、彼は、目の色もとても綺麗。 そして、フィリップの下した結論>>67に、瞬きをすることはない。もしかしたら、少し瞳が揺れてしまったかもしれないけれど]
私だけ、外に行っても。 一緒に、飛べないわ。
[ゆっくりと、噛み締めるように、私は言う]
私も、外の世界に、行ってみたいわ。 夜の空を、飛んでみたい。 ……でも、もしも失敗したら。 処分、されてしまうかもしれない。
(71) 2015/07/12(Sun) 21時頃
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[私のその予想は、決して悲観的過ぎるものではないだろう。私たちは、管理されている。尊厳ある人として、扱われているとは思っていない]
……私、は。
[息を吸って、吐いて。 私は、ジリヤほど自分の命に無頓着ではなくて。 けれど、それでも。 そのことを考えた時に、真っ先に浮かんだことは]
(72) 2015/07/12(Sun) 21時頃
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