204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[身体の最奥 誰にも触らせていないであろう箇所 心のかわりに 獣は暴く 暴いた箇所 脈打つ臓器 鮮やかな色彩 ゆうくりと口付けて]
[獣は ただ 子供の謝罪を聞いて ゆうくりと 彼の隠されていたものを 食べ尽くしてしまう それが 誰かの手を経て 愛でられてしまう前に
仕舞い込む 生きるために抗わなかった命を 誰の後悔も届かぬところに]
(453) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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――ああ、生きてるものはダメだって、言ったのに。
[なんとなく、ノックスの口真似をしながら、骨で守られたそこを無遠慮に探る。 指先にぶちぶちとなにかが傷つく感触がする。
指を、引き抜いて]
ねえ、よくきいてね。ディーン。
(454) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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―2F居間>>446― ……――ラルフ
[個室でのことを、思い出す。 もしもの、過程。現実に近い、それ。 肝が冷えて、震える、けれど。]
……――そう、なって しまったら 止める――…… 止めるから
[膝に額をつけるラルフは、 いつか、「家族からは浮いている」と謂われていると 聞いたときの小さな子供の頃のようで。
とん、とんと。あやすように背を撫でる。 指の怪我に眼を留めた。指を噛み締めたのだろうか。――保護者の悪い癖がうつってしまったのかもしれない。]
(455) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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……君は僕の唯一だ。 僕の一番だ。
[まだ繋がった視神経にキスをして、噛みちぎった。 彼の、僕のほしい言葉を紡いだ口の中に、ころりとしたものが落ちた]
(456) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[箱の話――トレイルのきらいな、卵の話 親しいほど、気になる相手ほど、食べたいと トレイルは、思う事がなかった。 あれは、醜い衝動の塊だ。 ごくりと喉を鳴らしても ぺろりと舌で舐めてみても それは無意識
初めて自分の意思で 彼に食べられる、夢の続きを見る 最初は、アダジェット アチェレランド インカルツァンド クレッシェンドがかかるあたりで ファルセットに変わる―― 思い出すだけで、愉悦が身を包む。
もう一度 もういちど 音への逃避は、止まない]
(457) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[痛みは、苦手だった
>>435声が出なくなってすぐのころ 攫われた大人の連れ子に何度も眠りを妨げられた。 マロン色を掴み、>>437騒音を巻き散らかす子供。 憤慨して、抵抗しようとしても 食いちぎられ、内面のバランスの崩れた身体が 言うことを聞かなかった。
ニコラと、痛みは同じモノという認識が出来上がる。 グレーの瞳が真っ直ぐ見つめて 謝罪を口にして>>438、悪戯は回数を減らして それでもしばらくは、ニコラを避けていた 諦めたのは 慣れたのは いつだっただろう。
痛みは、苦手だった筈だった]
(458) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[視覚情報は シメオンの腹わたを伝える その頃には 心は次第に沈黙していく
悲鳴をあげる体力も 失った心が ころりと 転がる]
ーーーたすけて………………らるふ……
[彼の思う心を知らぬまま ぽつりと]
(*113) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[そっと額が触れる程の距離。 トレイルは、ノックスを見て
瞬き、 首を振る。
彼の言葉に、否定を。
――――もう一度あの音が手に入るなら 僕だけのものにできるなら でも、ノックスが残されてしまう。 どうしたら良いだろう]
(459) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[我慢しようとしても、身体はついていかずに ひくり、ひくりと反応を返す。 無意識の脈動、透明な渇望。 てらりと光る命の熱は、諦めることなど知らずに 生への渇望で呼吸をする]
あ ……あ、 ぁ
[息が、足りない。 足りない。
足りない、足りない、もっと欲しい。 愛して、欲しかった。それだけで
右足の傷は、愛された証。 忘れても、覚えていなくても、傷として刻まれた、証]
(460) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[ニコラの存在は、トレイルの痛み。 慣れて、諦めて、受け入れる そうすれば、悪い事ばかりではなくなった。
哀れで酔狂な大人の拾った 図体の大きな子供 トレイルが正しく躾けてやらなくては これは、余所に出せるものではないだろう 目的ができたとき 声を失っても、生きていく意味ができた。
そういう意味では、ニコラは、ノックスは トレイルの、大事なモノ 悲しませるのは、本意じゃない]
(461) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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一緒にいる、が…万が一のためだ。
[顔を摺り寄せたプリシラを>>450安心させるように言い聞かせる。
戒めと同じく、血の気配に溺れた同族の恐ろしさは語り継がれている。
大丈夫だと思っていた矢先に強張る表情のプリシラと、箍の外れた狼二匹を見つけた衝撃は、いまだ醒めきってはいない。]
言ったろ?お前さんくらいは俺が守るって。
[一緒にいる。 守る。 そのためならば、血に酔った同族を手にかけることも厭わない。]
(462) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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― 二階/居間 ―
……だめ、だよ。 そうなったら、フランシスは、近寄っちゃ、だめだ。
俺、フランシスは、食べたくない、よ……
[ふる、と首を振る。 背に触れる手>>455が、まるで旅を始めた子供のころに戻ったようで。 落ち着くけれど。
落ち着かないものが、ある]
……っ
[ふ、と聞こえたものに、視線を上げた]
(463) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[食べられたい、なんて思ったことはなかったけれど 「愛されたい」と、何が違うのだろう。
ごめんなさい、と声は出ない。 食べられても――真意はどうあれ、愛されても――それでも 心が乾く。 足りないと、足りないと、嘆く。
眠りに落ちるまで、途切れるまで、 記憶の中でずっと一人 孤独なままだったのだ**]
(464) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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―― 二階と一階繋ぐ階段 ――
[トン、ともう一段下りたところで 逃れようとしたはずの血のにおいを感じる。 すん、と鼻を鳴らしたのは無意識。 遅れて理性が働く。 触れてはならぬもの、と。]
――…っ。
[ぐ、と喉が苦い音を漏らした。]
(465) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[守る――何から。 自分以外の獣から。
だって、―――]
(466) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[助けを求められて、はっと顔をあげる。
伝わる、はらわたの、その感覚。 自らの血の匂いが、腹を割いたものであるかのような錯覚
くらり、めまいがする]
……うん……
――――いま、いくよ……
[いったところで助けになるかわからない、けれど。 それでも――]
(*114) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2014/11/19(Wed) 01時半頃
ドナルドは、ベネットとラルフの顔を思い浮かべて気をしずめようとして。
2014/11/19(Wed) 01時半頃
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……っぐ、ぁ、あ、ああぁぁ ……っ!!
[>>451ニコラの指が、誰も触れたことの無い奥深くに触れる。 喉の奥から押さえきれない歓喜の声を上げながら、ディーンはニコラの肩を掴んだ。 痕の残りそうなほど強く強く縋って、熱さに喘ぎながらも>>454彼の声に耳をそばだてて。
>>456片方しかない目では、彼が何に触れたのかが分からない。 熱さの所為で、触れられたのが何処かも分からない。 しかし、ニコラの声だけは聞き逃さない。 よくきいて、と彼が言ったから。]
(467) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[自分以外の誰かの牙が、この子に突き立てられるなど、
許せるはずもない。]
(468) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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ニ、コラ……君が、僕 の唯一…… 僕を 助け、てくれる……僕の、 太陽
ぼくの かみ、さま
[乱れる呼吸に、声を出すことすらままならない。 痛みに身体がびくびくと跳ね、その度に腹からも眼窩からも赤い蜜が溢れて落ちていく。
言葉を遺すことの残酷さも知らず、ディーンは必死に声を上げた。もらった幸福を少しでも返す為に。
残る一つの目が、涙で滲みぼやける視界に、ニコラを映す。 先の欠けた指が震えながら、ニコラの下唇をなぞる。 ディーンの口角は幸せそうに、笑う形に持ち上がったまま。]
もっと、 僕 を
[食べて欲しい。甘やかして欲しい。憐れんで欲しい。 ――愛して欲しい。]
(469) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[鮮やかで歪んでいる欲望を、衝動と共に奥へ奥へと押しやる。
眼底が疼く。あの男とは違うのだ。 じっと瞳を見詰め。 その奥の、意志の光を捉えようとして。]
……そう、か。良かった。
よか、 た。
[首を振ったトレイルに頬を寄せる。 彼の望む音が、あるとは知らず。
願いを 知らず。]
(470) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[身体は跳ねるのに 悲鳴一つあげない いい子 獣は知っている いい子には ご褒美が必要だと か細い声が聞こえると 喰らう臓物から 頭を上げ ついばむように 血濡れた唇かを重ねた 口の端し 泡とともに零れた シメオンのそれを舐めとり 声なき謝罪も舐めとり 獣は微笑む]
[シメオンの身体から 暖かさが消えるまで 獣はゆっくりと ゆっくりと臓物を食んで
噛み応えのある胃袋も 濃厚な肝臓も ぷちぷち小気味よくちぎれる腸も 食べられるだけ 食べて
ゆうくり おやすみなさい 良い夢を せめて 眠りの中では 望む夢が見られますようにーーーー 彼が 夢の中で 愛されますように]
(471) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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―2F 居間―
…… そんな…… ――、……おれは、これでも、大人だよ きっと、なんとか、止めてみせる、から
[謂いながら、明確な方策があるわけではない。 力があるわけでも、なくて。他の大人に助けを求めては、――ラルフが殺されてしまうかもしれない。ドナルドも、逃がさなければ、と思うのだが]
……、ラル フ。――……
[フランシスは困ったように眉を下げる。 自分を食べれば、ラルフは後悔し、きっと、嘆くだろう――自惚れでは、ないと思いたい。そんな思いはさせたくないのに。どうすればいいのか。]
……何、……どうした、んだ?
(472) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[親が子供に贈る 眠りの口づけを 冷たくなったシメオンに落とした
残されたのは 腹の中身が食い破られた遺体 他人が愛した証には一切手を触れず 空っぽの身体から 獣は上体を起こす]
(473) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[何かが歪んだままの思いは牙の疼きとともに肥大して、形づくられていく。]
他の奴に、――特に仔狼の方には気を抜くな。 本能を制御できない獣は、厄介だ。
[言い聞かせて、頷くさまを見るのは。 見えない歯形を残すのにも似ている。 動き一つで己の物だと主張して、他者へ踏み込むな、と縄張りを示す。]
(474) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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止められない、とおもう…… だから、近寄っちゃ、だめ、なんだ……
[止められなかった彼を思い。 ホレーショーは、もうフィリップの傍についただろうか。 不安に琥珀が揺らめく。 座り込んでいたけれど、気になって仕方なくて]
俺、……ちょっと、……
[怪我してるのに、うろつくのはきっとフランシスは許してくれないけれど。 それを気にする余裕もなく立ち上がり]
ごめん、ちょっと、いってくる……
[居間を出て、階下へと向かおうとした**]
(475) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[下についたときにはきっとすべてが終わった後。
ただ、血に染まったフィリップを見て、呼びかける]
フィリップ――
[助けは、間に合わなかっただろうか**]
(*115) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[結局 誰も来なかった シメオンを食べる間 誰も]
ーーーーーーーー…………っ
[声を押し殺すように 心が泣いた]
(*116) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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これは。 綺麗だから、取っておくの。
――これからも、ずぅっと。
[口の中から球を指で取り出す。 濡れたそれは、やっぱり綺麗な色で。 手の中のそれに口付けて、微笑む。 その唇を、ディーンの欠けた指がなぞった。
向けられる言葉が、くすぐったい。
ああ、なんて素晴らしい日だろうか。 なんて素晴らしい日だろうか。
まだなにも知らないおかげで、僕はただそう思う]
(476) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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掃除夫 ラルフは、メモを貼った。
2014/11/19(Wed) 01時半頃
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ディーン。ねえ。ディーン。 忘れないでね。僕が。
[彼の空白を、灰色の言葉で埋めていきながら。 腹に口付けて、中身を暴く営みを再開する]
僕だけが、ディーンを――
[助けてあげられる。 味方でいてあげられる。
愛して、あげられる。]
(477) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[言ってやらない。言ってやらない。 本当のことなんて、けして言ってやらない。
『ねえ、シメオンはきっと君が必要だよ』 『戻ってあげて』
やっと、やっと、自分だけを見てくれるものを 逃がしてなんか、やらない。
ああ、彼の臓物は、きっと砂糖菓子で出来ている**]
(478) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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