276 ─五月、薔薇の木の下で。
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――――― 聖書には"あい"の定義が記されている。 美しいアガペーの言葉だ。 ねたまず、謹み深く、高慢にならず、 ……けして絶える事がないと、
"賜物"だって"あい"がなきゃあ意味がないらしいぞ。
[ 手を引く彼には、唐突な言葉に聞こえただろう。 聖パウロの愛の讃歌は結婚式の常套句だ。 その間、茶は射干玉から逸れることはなく、 ――― 寧ろ鋭い光さえ覗かせて 紅く、紅く 輝る。]
(177) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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まあ、 ―――― 信じちゃいないが、
何時か、 幼い俺を抱いていた彼の司祭も、 確かに俺を"あい"していたんだろう。 …司祭が体言すべきは"エロス"でなく "アガペー"であるべきだが。
[ きっとこれだって、"もうひとり"に聞こえてしまう。 呪いの言葉に罪の懺悔を……随分と開き直って乗せて、 "穢い"と言えばこの男も、 神の定義で言えば十分に、 遠い昔に当てはまってしまっている。
薔薇に染まり行く茶は射抜く。 薔薇の真意を計り行き、]
(*58) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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――― "お前が選んだ"んだろう、 俺を。
勝手に選んで、勝手に授けたくせに、 勝手に枯れるな、 阿呆。そのくらいの責任はとれよ。
[ 首もとに花弁を残したからには、 …なんて めんどうくさいおんなのように、]
(*59) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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"一度振られたぐらいで" ……お前が自分の存在を否定するなら、 また―――― 何を信じていいんだか、わからなくなる
[ ……はじめて、"彼"の欲がわかった。 この"薔薇"の顎を引っ掴み、 "此方を向け"と無理矢理に視線を合わせ、 薄い唇を食めてしまえば、 ……
――― もうひとりに"見えている"場では 随分と薄暗く、 おもたい欲望だ。
嗚呼、でもこれは"あい"じゃあない。 明らかな"害意"が、其処には 有る。]
(*60) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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―――― ロビン。
[ ……薔薇が、何を選ぼうと 末端はただ、飢えてしまうから
下腹の熱は理性を苛みつつあったし、 押し倒さんばかりの欲求は 当然のように あったけれど 絞り出すような声で彼の名前を呼べば、 右の指先が伸び、 唇へ到達する。]
(178) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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―――― キスを、させていただいても?
[彼が、同じく彼の同級から、 同じような頼まれごとをしたことはさすがに知らないが、 ――― 許しを求めただけ、懸命な態度だ。
それだけの欲が、 茶の瞳には揺れている**]
(179) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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[ きっと今日はキス日和なんだ。 だって、 そう 月が、赦してくれる。
戸惑う言葉に、 不思議と罪悪の心はなく、 ( ――――― この体格の差に、) ( 業、 は 感じつつも、) 今日ばかりは 倫理も、 背徳心にも、目を背けて、]
(187) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ 右の指先が滑り降り、 顎に添えられ、 否定の無いその唇を、 真赤の舌が、這う。
甘い言葉ひとつもなく、柔く食み、 深く、 深く、
───── 薔薇に見せつけるような、其れ。]
(188) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ ─────── 背筋を這い上がる、甘い、甘い 快楽と、]
[ 奪われ行く 精を どこかとおくに感じながら、 ]
(*64) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ ぞわ、 と 逆立つような其れが、 "している側"だというのに、 余裕も、理性も、 音をたてて削っていく。
絵画のような美しさは、きっと 無い。 覆うようなふたりの 差と、 呼吸の間も惜しむような 其は、
片方が 獣 であると言われても、 けして否定はできないもの。]
(189) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ 結局、───理由と言われると、 ……自分が落ち着かないからだ、と、 たった其れだけの返答には成ってしまったけれど
同時、今の己は末端ではあろうから、 欲求が、薔薇の求めるものでは あったろう。
──── 兎に角、欲しい。 足りない、 と それだけ。]
(201) 2018/05/22(Tue) 17時頃
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[ 酸素の代わりに交換するのは、 きっと、 心を狂わす薔薇の香り。 欲に色づく茶は、ぼぅ と 解けた灰色を認め、]
─────……嗚呼、 くそ、
[ ため息と共に零れるのは、 倫理を飛び越え、背徳心を無視しても "信じられない"己の体への、 苛立ちのような。 制御のきかなさを吐き捨て、 それでも獣を押さえ付け、 熱に掠れた喉が問う。]
(202) 2018/05/22(Tue) 17時頃
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――― 逃げるなら、今のうちだが。
[ 誘う薔薇の木立の先、 すこぅしばかりの暗がりへ 人目なんて気にしている余裕は全く無いから、 ――― 連れ込むことも 厭わないだろう。]
(203) 2018/05/22(Tue) 17時頃
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[ 絡まる薔薇蔦は 気付かぬうちに囲い、締め上げ、 荊は甘やかに 柔肌を傷つける。 呪いを刻み、 欲を植え付け、 ――――― 深紅の世界を幻視する。
熱の浮いた息を付き、 夢うつつのちぃさな身体を 薔薇の木陰に誘いながら、]
(224) 2018/05/22(Tue) 20時半頃
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――――――……… 、
[ 振り向き様に 薄い唇に指を寄せ、 しぃ、 と 悪魔の口止めを>>216 追うもの>>209に見られぬうちに、隠れ行く。 *]
(225) 2018/05/22(Tue) 20時半頃
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―――― 薔薇の木立の むこう ――――
[ 薔薇の木には一輪、 硝子のような 白とも違うばらが咲いている。 蕾は―― 今にも綻びそうな膨らみが、ひとつ、ふたつ。 ここまでの移動のあいだ、素足は薔薇の刺を掠め、 ……もしかしたら紅も一輪、開いているかもしれない。
薔薇の木の元に、腰を下ろし、]
―――― ロビン、
[ あまく、 確かめるように囁いたなら、 緩く懐を開き、 招く様。 きっとうでのなか、すっぽり収まってしまう。 ]
(226) 2018/05/22(Tue) 20時半頃
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[ ちぃさな身体が、覆い被さるような、 じゃれ合うような そんな体勢で、 背中を土で汚すのは、 こちら一人でいい筈だ。
少しの迷いに、 指先は一時の間を置いて、 ……振りきるように、彼のシャツを引いた。 引き出したシャツの裾から、 パンにしか繊細でない 無骨なだけの指先が 下腹を撫でる其れと為り、
――― 擽るように、白肌を滑る。]
(230) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[ 軈て、彼のベルトまで取り去ってしまって、 ( "下"の男はというと、そもそもベルトもしていない。 掴んだ是等にベルトが無かったのだ。他意はない。) 上から 下へ、 指先は滑り落ち、 ]
……――――― 、
[ 発音しようとした言葉は、塞き止められてしまって、 唇だけが 後を追う。]
(231) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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ケヴィンは、フェルゼに向けた秘密の印は、 しぃと 音は聞こえずとも――、
2018/05/22(Tue) 21時頃
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[ ――― きっと、 薔薇の魔法。 下肢を滑る指先が、 彼の中心に届いたなら、 緩やかに "まほう"の快楽を送る。 ]
─── 入れる方ははじめてなんだが、 ……あんまり余裕も無さそうだ ……やさしく できたら 、
(261) 2018/05/22(Tue) 23時頃
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[ 独白に似た呟きは ……意図も、せず、 いつか、"もうひとり"が同じ様に、 "此方は"はじめてだと、 吐露したように (…何処か、が 似ていて、) 其処で漸く少々の罪の意識を滲ませたが、
指先は止まることはなく、 薔薇の香りに酔ったのだと 言い訳を重ね、 ……彼の、 後孔に滑る。
下敷きの体は質量に瞑れることはなく、 欲の熱は形をもって、 存在を確かにしていた]
(262) 2018/05/22(Tue) 23時頃
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[ 遊ぶ指先が、 腕を、……本能を 擽り、 茶が、 欲を孕んで ゆら と
内側に侵入した指先は、 はじめてを割り入り、 ─── 寛げ、 拡げ、]
(280) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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[ いつかの 記憶 を なぞるよう、 ]
[ ────未だ、 呪縛は呪縛。 脳裏にある声は、"おとな"の声だ。 ……あの、"おとな"の後を追うのか、と
喉が 渇く。]
(281) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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[ 踊る指先が 一度、離れ、 掠れた声でまた、彼の名を呼び、]
──── もう一度、
[ 赦しのキスを、 と 強請る こどものような 舌ったらずの響きだ。
蕩けた瞳は熱に浮き、 ───── 薔薇の 香りが 濃く、 密事を押し隠す、 様に*]
(282) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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──── 逢瀬の 終わりに、 ───
[ 優しかったかどうか、 記憶が飛んでしまったように ……熱に浮かされたように、 理性は途中で途切れていた。
彼に、優しい指ひとつ伸ばして、 清めの手伝いが出来たら良いのに、
──── 腕を持ち上げるにも億劫なくらいには 甘美に身体が負けていた。 体力が尽きた、 というよりも、 単に、 そう とてつもなく 眠くて、]
(287) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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[ はく、 と、呼吸だけは どうやら、忘れることはないようだ。 ─── 死に行くわけではないらしい。
"捕まえて"しまった彼に、 謝意が無いわけではないが、]
────── 、
(288) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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まだ、咲けるな。
(*72) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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[ 頭上に綻ぶ蕾を見たなら、 唇は 呼気のみで言葉を紡ぐ。
ロビンのちぃさな手を、また、 おおきな手が、 大事に包む。 ─── 手が、好きだと それだけは ちゃあんと覚えているから、
純粋に、そう、 きっと 嬉しかったんだろう**]
(290) 2018/05/22(Tue) 23時半頃
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ケヴィンは、ロビンへ、言葉のかわりに ちぃさな手へ 唇を 寄せ───**
2018/05/23(Wed) 00時頃
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