17 吸血鬼の城
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[上ずる声音を聞けば、吐息に笑みが混ざる]
……ああ、ではどんなお言葉でしたら、 信じていただける?
あなたのお望みのままに、 謳って差し上げますよ、お嬢様――……
[その声は耳触りだけは、まろやかでやさしい**]
(*29) 2010/06/23(Wed) 05時頃
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[ふと、
声が増える 増えた。]
――……セシル?
(*30) 2010/06/23(Wed) 08時頃
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[声ならぬ聲が混じる。 よく知ったおと 瞼を閉じれば、其の先に 手元に置きたいと思った蒼天は色を変えて]
ふ……ふふ
[吐息の間で笑みを浮かべ、可笑しなことだと囁き零す]
(*31) 2010/06/23(Wed) 08時半頃
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私のローズ お前の望みは叶っただろう?
……セシル……目覚めたか
[愛しい そんな感情が魔物に存在するものか。 是は執着 朱に交わり染まる蒼がただ惜しいだけ 胸に渦巻く甘い痛みの説明を 誰も城主に授けてはくれぬ**]
(*32) 2010/06/23(Wed) 08時半頃
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[重なり響く己の名の音]
おはようございます、旦那様――…
嗚呼、心根のかろやかなこと、 ―――…私は、今まで何に捕らわれていたのでしょう。
[失われたのは闇にあって尚、善美に焦がれる心 枷なき薔薇は、棘を恥らうこともない]
(*33) 2010/06/23(Wed) 12時半頃
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ふふ…… つまらぬひととしての未練に囚われていたのかどうか 私はお前で無い故に、わからぬが。
良い目覚めを迎えたようだな 私の――…白い薔薇。
[蒼天は地に堕ちた。 胸を鳴らすこれは、其れを惜しいと思う何か。 けれど淫猥に囁く声音に曇りは無く 新たな眷属を歓迎している]
(*34) 2010/06/23(Wed) 12時半頃
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[響く声、
そして、フロレスクは完全に落ちたか。 と、思えど、
それをもう何かいう資格はまるでない。]
――……
[声は出さぬが気配は伝わっただろう。]
(*35) 2010/06/23(Wed) 13時頃
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はい、目覚めはとても心地よく、 感謝しております、旦那様――……、
[惜しまれたものを省みることはなく、 声はまどろむような甘えを滲ませて]
(*36) 2010/06/23(Wed) 13時頃
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[何処かで己の名を呟いたような、声に]
――ああ、そうだ。 あなたへの感謝も、まだでしたね……?
きちんとお礼に伺いますよ。
(*37) 2010/06/23(Wed) 13時頃
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[暗き空を見て、どくり、と身体がうずく。 いや、そこから落ちれば、人ならば命がない場所に
惹かれるのは、なぜか。
いや、違う、飛べるような気がした。 さきほど、飲んだ狩人の血が、 一層力を高めたのだろうか。]
(*38) 2010/06/23(Wed) 13時頃
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――……ッ
[ふと響いてくる白薔薇の声。 微かに目を見開く。]
感謝?
[テラスで結果佇みながら…白薔薇の妖艶な声に眉を顰めた。]
(*39) 2010/06/23(Wed) 13時頃
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[物言わぬ気配を感じながら 白薔薇へと微かな笑みを送る]
感謝は、私ではなく……彼等に。 望みを叶えて遣るがいい。
(*40) 2010/06/23(Wed) 13時頃
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君は、もう フロレスクを完全に捨てたのだよな。
[しかし、問うてみたくて、そう声を響かせる。 城主やローズにも聴こえるだろうが。
聖なる血族にあって、落ちた彼の真の心裡はどうなのだろうと…。]
(*41) 2010/06/23(Wed) 13時半頃
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――案じる心など、 そのようなものは欺瞞です。
[女の声に思い出したように、 答えるはただの魔性の声]
ええ、感謝しております――お嬢様。 欺瞞を捨て去り、わたしは望むままにあれるのですから。
(*42) 2010/06/23(Wed) 13時半頃
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――まだ、その名を紡ぐのですか?
[かつて抉られた心 けれどその柔い部分は失われて、ただ不機嫌そうに呟く]
[一度交わってしまった白は、 あとは容易くその色に染まるのみ]
(*43) 2010/06/23(Wed) 14時頃
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君が君であった
その名というだけだ。
[ただ、同じ名を呟いても、 もう、それで揺らぐ彼はそこにはなかった。]
(*44) 2010/06/23(Wed) 14時頃
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――…私の、望み
[兄の聲>>*32に闇に溶けた女の気配が揺らぐ。 叶ったとも叶わなかったとも言わず]
愛しいお兄様…… 私が望むのはお兄様の傍にある事だけ。
[今はそれしか望みはないのだと切なく漏らす]
(*45) 2010/06/23(Wed) 14時頃
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貴方の施したものが欺瞞だったとしても――… 私にとっては違うものだったの。
[白薔薇の聲にぽつと紡ぎ]
感謝ならばお兄様に…… 全てはお兄様の為に在るのだから……
(*46) 2010/06/23(Wed) 14時半頃
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[そして、相変わらず耳端に聞こえるのは、ローズの城主に対する愛慕だろう。
いつでも、憂いを持つ彼女を血をもらったことが、 自らには影響しているのだろうか。]
ああ
[城主の孤独、ローズの憂い 彼らは通じ合っているように見えるのに、 それでも、
なぜ、幸せにはみえない?]
(*47) 2010/06/23(Wed) 14時半頃
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――……感謝……。
[ローズが感謝を兄にという。 そう、さきほど、セシルが呟いたその言葉。 それが、理解できない。]
[ああ、それとも、彼らは、望んでそうなったというのか。 それほどに、人間であったころが…。 なれば、
自分がこの中で異質なのは認めざるえない のか。]
(*48) 2010/06/23(Wed) 14時半頃
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そうか? ……ならば傍へ来るが良い、私のローズ
[切なげなローズマリーの聲 ひとで有った時の迷いを捨てた白薔薇の聲 未だひととしてのこころ捨てきれぬ風の、薬師の聲 城主は増えた囁きに耳を傾けながら、淡い溜息を洩らす。
何でも持っていると、あの子供は言ったけれど 満たされても満たされても 必ず其の後に訪れる深い虚無感 ヘクターは最期感じ取ってしまったのかもしれない 闇よりも深い絶望の味]
何時でも――…私はお前を案じているのだから。
[言葉は簡単に口にする事が出来る。 案じるという行為を真に理解出来ずとも**]
(*49) 2010/06/23(Wed) 14時半頃
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――…お兄様。
[今すぐにでも向かいたい衝動に駆られながら 女は甘く切なく名を紡いだ。 兄の傍にある気配を影が伝える。 女は何もかも心得た風に]
お客様との戯れを中座させるような無粋…… 私には出来ません。 愛しいお兄様…… 如何かお愉しみになって……
[案じるという兄の言葉を素直に受け取る。 たとえ、真に理解されずとも 時折掛けられるその聲が女には嬉しかった]
(*50) 2010/06/23(Wed) 16時頃
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ふふ……お前の心遣いがこそばゆい。
[薄く笑みを浮かべ、聲を返す。 ローズマリーに呼ばれる度、胸に広がる薄い膜 不快ではない其れは何と名のついたものか]
嗚呼 そういえば……私には愉しまねばならぬ義務があったか。 宴の捧げものはどうしている?
あれも、私への捧げものと言うわけではあるまい。 寂しければ其れと戯れていても構わぬぞ。
[ふと思い出した葬列の娘の顔。 けれどあれには毒が混じっている。 純血たる己は恐れるに足らぬものではあるが]
(*51) 2010/06/23(Wed) 17時半頃
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私のローズならば恐らく問題有るまい。
……サイラスは、白薔薇は、どうなのだろうな あれの血を飲み干す事は 出来るだろうか。
[愚かな人間が作り出した哀れな娘。 ひとの毒が効くとすれば、未だなりきれぬ眷属か。 思考は聲となり零れ落ちる*]
(*52) 2010/06/23(Wed) 17時半頃
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[城主の声が聞こえる。
毒華も、城主やローズには効かぬだろうと。]
(*53) 2010/06/23(Wed) 19時頃
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[毒は、城主には、おそらく効かない。 なれば、もし、その身を捧げたとしても、
彼女の人生には何の意味も残らなくなる。
それは、させたくなかった。]
(*54) 2010/06/23(Wed) 20時半頃
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葬列の乙女が来ても、
食らわないでくれませんか。
[そして、そう城主に願いの言葉をかけてみる。 無駄なことだとはわかっていても…。]
(*55) 2010/06/23(Wed) 20時半頃
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[城主の囁きが女の耳朶に心地よく響く。 薬屋が愛慕と感じた其れさえ女自身は気づけずにいた。 指摘する者さえ居なかったのだから其れを意識する事もないまま]
――…哀しい事を仰らないで。 愉しまねばならぬ“義務”ではなく お兄様には愉しむ“権利”があるのでしょう?
捧げもの………? 嗚呼、そういえばそのような娘もいましたね……
[あまり興味がなかったのかそう呟き]
お兄様が問題無いと仰るならそうなのでしょう。 だって、誰よりも私の事を知っているのはお兄様だもの。
(*56) 2010/06/23(Wed) 20時半頃
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[婚礼衣装のようなヴェールを被り、最上階へ向かう 葬送の娘の様子には、気付いている。 彼女が最上階へたどり着いたとしても 其処には影が立ちふさがるのみ。
城主は其処に居ないのだから]
(*57) 2010/06/23(Wed) 20時半頃
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[血を与えし眷族の願いが聞こえた]
――…欲しいの? それとも、あの娘を憐れんでいるの?
[それだけを問うて。 女は兄の意向に従うのみ――]
(*58) 2010/06/23(Wed) 20時半頃
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