231 獣ノ國 - under the ground -
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[私の知らない、あるいは覚えていない、外の世界の夜空の話を聞いた時>>*27、私は知識を求めて本を読む時と同じくらい、もしかしたらそれ以上に、未知なるものに対して知識欲が満たされる充足感と、憧憬を覚えていたかもしれない。 伸ばされた手には、瞬き一つ分の驚きを示したけれど、フィリップの翼への憧れは知っていたから、そっと翼を広げてみせた。鳥籠で生きていくには大きすぎる私の翼を。 伸ばされるフィリップの腕の蒼碧や、真紅の爪を私は綺麗だと思うから。だからきっと、それはおあいこなのだ]
楽しみだわ。
[きっと、そんな日が来ることは、ないのだろうけれど。 それでも、そう返した私の声音には……そう、“幸せ”の色が、きっと微かに混じっている。そんなもの、私は知らないはずだったのだけれど。 私の翼は、一人で飛ぶにはきっと少し大きいから。 外の世界の夜空は、一人で飛ぶにはきっと広いのだと思うから。 飛べないフィリップの声には苦笑が混じるけれど、それを言うなら私は歌えない。だからきっと、それもおあいこなのだ。
――――……きっと。きっと。きっと。 そんな日は来ないのだろうと思う未来に、私はたくさんの「きっと」を重ねていく]
(*30) 2015/07/11(Sat) 20時頃
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[ 梟と鸚哥がそらを飛ぶ。 星の欠片の流れるそらで。
その場にいれば、僕は首を擡げて彼らを見つめるのだろう。 きらきら照らす、ひかりの舞台で、 彼らが踊るさまを見届けるのだろう。 手元に揺蕩う水中では、 鮫が呼ばれて来るのだろうか? 水に堕ちた月に肌を重ねて、深海のくろに夜空のくろが混ざり合うことも、あるのだろうか。
僕は陸続きの岩場で、 空を眺めて、そのまま夜が明けるまで。―――]
―――――。
[ はた、と僕は目を瞬かせた。 いま僕は何を考えていたのだろう? こてりと首を傾げると、やはり口元の機械がかちりと鳴った。
ぼうやりとした思考の奥。 >>*29隙間を通り抜けて届いた声は、―――「獣人」の脱走計画さえ、覗けるかもしれないもの。 ]
………。
[ 締め付けられる胸は、なんだろう? 僕はぎゅうと胸元に手を当てたまま、 引き続き耳を欹てた。 ]**
(*31) 2015/07/11(Sat) 20時頃
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[ジリヤへと投げかけられた質問>>*29に、小さく息を飲んだ。 抗い続けるジリヤですら、ここから出られるとは思っていない>>*15というのに、その質問は、まるで]
誰かと一緒なら、出ていけると、思っているの。
[私のその呟きは、質問だったのか、それともただの独り言だったのか。 私自身にも、その境界は酷く曖昧で、だから返事が来ることは、期待していない。 声の主に、漏らした寝言を聞かれてしまっていることも、知らない]
(*32) 2015/07/11(Sat) 20時半頃
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["猫"である私にも、当然獣たちの言葉は届いていた。
けれど、人間への感情も、外への思いも、何もかもの価値観が、私とは異なっている者たちに。
それらの事で、何を言う事があろうか]
(*33) 2015/07/11(Sat) 23時半頃
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