270 食人村忌譚
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めれんげ?
[ふいに江津子の口から出た、初めて聞く言葉、聞き慣れない響きに、首を傾ける]
甘くて、雲みたい…… めれんげ。めれんげー?
[その説明には興味を惹かれたし、響き自体も気に入って、娘はそれを何度か繰り返し。 ただ、話が変われば、そのまま]
(237) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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牛や雌鶏の孔に突っ込みたいほど餓えてもねぇし。
[俺にとって、女と呼べる存在も。 母と呼びたかった者ももういない。
慈しむ様に抱いたゆりでさえ。
群れを成すのに必要な胎は傷付けぬのが道理。 それに傷付いて、世話をするのは結局俺になるのだから。
薬草の無駄遣いになる事はしない*]
(*57) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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―学び舎―
……好きな教科で良いんですか?
[>>231予定が変わった。 解体方法は昨日学んだばかり。 その先を聞いておかねばと思うものの、 続いた言葉に心が揺れる]
歴史、を。 知りたいです。
[これならば、きっと 櫻子に語って聞かせる事が出来るだろう。 読み書き算術以外の教科で、しかも食肉に関する話でもない となれば、目新しいものが出てくるに違いないと顔を明るくして*]
(238) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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[出鱈目な唄の意味なんて考えても仕方ない。 女が何故お喋りが好きなのか。 その答えを求める位難しいものだろう]
……あれ。 錠?
過保護なお兄ちゃんが心配していたが 具合はどうだ?
[唄に掻き消されることなく、 車輪の回る音はしっかりと聞こえて来た>>230 どうやら行違う事なく済んでよかったと 兄の様子を揶揄いながら]
(239) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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―回想・自宅― 良いって良いって、こんな陽気だ。眠くもなるさ
[目を覚ました錠さんにそう答えつつも、時間を聞かれると空を見上げ]
そうだな。お日様があの位置だし、昼過ぎって所か 今からならゆっくり行ったって十分医者先生の所には間に合うよ
[時間を告げて、錠さんを手伝い車椅子へと移動させる]
まあ、また調子が悪くなったらいつでも来てくれ それと、伝言。改めてよろしくな
[そう言って、錠さんを送り出した*]
(240) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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そういやお前の家こっちの方角じゃないだろ?
[どうした? と聞けば、父親が亡くなってから縁遠くなった リツの話も聞けただろうか。
俺にとっては縁遠いのは健康な証拠。 喜ばしいことこの上ない*]
(241) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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おなかの、? …… ととさま? おなかの、ととさま。
[向けられた問い。先程よりも大きく首を傾け、まずは何を問われたのから、ゆっくりと考える間があって、そうぽつりと返し]
ううん。知らない。
[ふるり、首を横に振って答えた]
不安? こわい? 不安。こわい。 誰かのそば。
[それから。継がれた娘への慮りには、一つ一つ、あるいは考えるように、あるいは覚えるように、繰り返して]
(242) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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とのがた。とのがた。 ……とのがたは、さびしい? そば、いないから、さびしい?
[殿方、との一連には、一層悩むように、首を傾げ傾げしつつ。娘は江津子と共に、目的地へと辿り着いた]
(243) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2017/11/24(Fri) 23時頃
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[弟が想うのは己の事ばかり。 それは随分と甘美な言葉であった。
互いに想い合っているのならば遠慮は必要はなく。 誰にも渡さずにすむ世界がないのならば作ればよい。
そうでしょう、と興奮したかのように高くなる声に僅か圧倒された。]
あ……、ああ、
[人を美味いと思わぬという。 それが苦痛だという。 ならば、彼はずっと苦痛に塗れて生きてきたのだろうか。]
(*58) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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そうか、そうだな君の言う事は正しい。 人を喰って、その相手が転生した事を知る術はない。
[知る術があるのならば、私は愛した女を迎える事が出来るのに。 それが出来ない事を知っていて、理解しているからそれを望んだ事はなかった。]
……孕む腹がなければ増えない、が。
[真っ先に脳裏に浮かんだのは娘のゆりだった。 愛する女の腹から生まれた女は嫉妬の対象であり、親としての僅かばかりの情を攫う女。 彼女を殺すのならば、せめてこの手でなどと。]
私は錠がいればそれでいい。 だからその為に、
(*59) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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君に手を貸そう、この村を滅ぼそうという君に。
[この話を聞いた時からもう後には引けぬ。 人が減れば私は何をするのか。 私は私のしたようにしよう。 そこに弟の意思が存在しない事に気付かぬまま心を決めた*]
(*60) 2017/11/24(Fri) 23時頃
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[刃を研ぐ時は様々なことを考える。 白昼夢の如く、過去の出来事、成しえなかったこと、噂話、知らないはずの出来事、泡のように通り過ぎ、思考が無になる前に辿り着くのは 「この刃は次に誰を切るのか―――」
瞬き一つせず、ただまっすぐに陽光を跳ね返す刃の見つめる。 朽ちかけた「鬼」の文字に似つかわしい姿は、人を切るを知らぬ子供にはやはり恐れられていた]
………、と やりすぎたか
[普段使いの包丁にしては、どうにも切れすぎるほどの出来となる。試し切りは、リツのところでいいだろう。手ぬぐいを巻き付け、外側からさらに鮮やかな赤い布を巻き、届けようと作業台を土間にしまいこむ]
(244) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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[からからと進む道中、どこからか、出鱈目な歌>>#2>>#3が聞こえてきた。 愛理だろうか、変な歌だなと思いはしたが、そちらへそれ以上の意識を向けることはなく。 ミナカタの家へと、急いでいたが]
あ。
[>>239どうやら今日は、運の良い日のようだ。]
ちょうど良かったミナカタさん。 これから、薬を貰いに行こうと……
んん? 兄さんが? あぁ兄さんなら今日も学校なはずだけど、なんか言ってた?
[ミナカタと兄、そして源蔵が、道中で何を話していたかなどは知らないから。 何だろうと、きょとりと。]
(245) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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―― 少し前 / 志乃が去ったあと ――
その日が来たら、ね。
[>>235友人が子を産む姿を想像して、口元が緩んだ。 次代に血を繋いでゆくことは、喜ばしいことだ。 それが大切な友人なら猶更だ。 家族を亡くした分、彼女が新しい家族に恵まれればいい。 本気で、そう思った]
……志乃。 また、来るって。言ってくれた。
[小さく微笑む。 その去り際の言葉が、嬉しくて、嬉しくて。 心が、晴れやかになったような気がした*]
(246) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2017/11/24(Fri) 23時半頃
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― 神社 ―
ゆりさま! おはよう! あっ、シノ! おはよう!
[神社に辿り着く、と、ゆりの姿を見つけるなり元気良く腕を上げて挨拶し――もう一人の姿、シノにも同じように挨拶を向けた。すれ違いに去る姿、手を振り続けて見送り]
うん。 猫さん、きれいきれい、だね。
[江津子の申し出には、手の内の猫を明け渡して]
(247) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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いやそろそろ薬が心許なくなってきたんでね。 切らさないうちに、もらっとこうと思って。 それと時間あるようなら、治療もお願いしたいんだけど。
[>>241これから向かうところだったと伝え]
それから、リツから伝言を預かってるんだ。 「医者先生、ご無沙汰してます」だそうだよ。 僕と違って、彼はあんまりミナカタさんの世話になることはないからねぇ。
そうそう、車椅子をみてもらったんだよ、リツに。 この間までひどく動きが悪かったんだけど、おかげでずいぶん軽くなったよ。
[そしてちょっと嬉しげに、車輪を撫でた。]
(248) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2017/11/24(Fri) 23時半頃
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ごはん、作る、おてつだい?
する! おてつだい、私、する!
[ゆりの提案を聞くと、手を上げてぴょんぴょんと小さく二度、その場で跳ねた。 江津子と語る様子には、その顔を、じっと黙って見つめていた、けれど。手を引かれれば、たったとついていっただろう]
(249) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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歴史ですか、よいでしょう。 詳しい歴史は残念ながら残された文献も少なく教える事は適いませんが。 口伝から読み取れるものもありますから。
[村に伝わる言い伝えを中心に授業は進む。 その話の大半は歴史というよりは御伽噺の類だった。]
これらの話を統括すると神話の時代まで遡ります。 進君は古事記はご存知でしょうか?
太古の昔、神々の物語です。
[神話について、そしてこの村で祀られている神についてを語る。 それらに交えて語られるのは食人について。 食人について語る時は僅かばかり不自然に淡々としていた*]
(250) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2017/11/24(Fri) 23時半頃
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[最初の頃は受け取られなかった箱>>228は、 この頃は小さな手にすんなりと渡るようになったと思う。
食べたい、と、望んでくれた相手に 喜んでもらえるのが、私の幸せであり、 目の前の小さな男も、勿論、そのうちの一人だった。
その礼に、と、いつぞや>>233に借りた資料は、 夜な夜な行燈の下で読んではいるけれど、 日中の作業で疲れた身は、すぐ睡眠を求めてしまう。 元々、本などを読むのも不得手なのだ。
神社の方向に視線を遣る。短い沈黙の後、 返された問いに私は眉を下げて笑った。]
(251) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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……敵わないなぁ。
[彼にも、誰にも、 あの夜の事を、態々話してなどいない。 けれど、行かない、でなく“行けない”と、 そう問うてくる男は、一体どこまで察しているのだろう。]
あそこは、巫女様の場所だもん。 私みたいなのは、おいそれと行っちゃいけないよ。
[しきたりと血のつながり。どちらが上に在るか。 頭を過るのは母の冷たい眼差しだ。 答えなんて分かりきっている。 自嘲気味に言葉を吐く。笑う。涙など出ない。]
(252) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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……ごめんね、暗くなっちゃって。
[は、と息をひとつ吐けば、もう普段通りだ。 片手の風呂敷包みを持ち直して、さて、と気を取り直す。]
引き留めちゃった。そろそろ行くね。 この間の書き起こし、今度返しに行くから。
[じゃあね、と手を振って、再び私は駆け出した。
因みに、件の書き起こしを借りてから 軽く季節が一回りはしているかもしれないけれど、 それはまた別の話。*]
(253) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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―社から離れるまで―
[櫻子との道中は賑やか>>236>>237で、江津子の頬を緩ませる 種の知れない、お腹の子>>242 首を振り、江津子の言葉を飲み込めなさげ>>243に共にゆく彼女は、 幸せなのだろうかと、ふと思う
……考えるなんて、おこがましい 子の幸せすら他者にゆだねた己には、 考える資格すらない気もする
神社を離れる志乃>>235に、すれ違いに頭を下げて、 巫女へと馳走の施しを請うた>>192 暫時、神社も困窮しているのだろうか>>223と、不安を抱くも 一緒に作るというのなら、それも杞憂なのだろう 卵を差し出し、慈悲を辞して――――>>193]
(254) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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はい、村のものたちみな、笑顔を頂戴しております
[恐れ多くて、目を伏せているから、 江津子はゆりの変化>>224>>225>>226を感じてはいなかったかもしれない]
櫻子さん、ゆり様のお手伝い、頑張ってくださいね
[櫻子から猫を受け取る>>247と、 飛び跳ね去り行く姿>>249を、見送ったのだった*]
(255) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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[最初にミナカタを訪れた時、 錠の脚はまだそれほど悪いように思えなかった。
先代の後ろで錠とその兄を交互に見やり、 錠を心配そうに見ている石動がいつもの石動には 見えなかったと、今にして思い返す。
脚は治るのかどうか、先代はどちらの可能性も 口にせずただ薬を調合し続ける背に。 何となく悟るものはあったけれど]
(256) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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薬だろ? 心配性の兄君にさっき出会って頼まれたんだ。
村を巡る予定だったから、行違ったら 尻叩かれそうだから慌てて戻ってきた。
[きょとんとする姿に、怖い怖いと笑いながら。 訪れるつもりだった旨も、知っていると種明かし]
(257) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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俺もそろそろ診て薬の量を変えなきゃなと 思ってたんだから丁度良い。
[どれ、と車椅子を押すために背の方へ回れば なるほど、リツの手入れがされた車輪はよく回りそうだ>>248]
医者先生って、そんな大層なもんじゃねえけど。 確かにリツは元気の塊だ。
それに仕事もこの車椅子を見れば安心だ。
流行り病も諦めそうな頑丈さだから。 俺の出番がないのは村にとっても良いことだ。
[直接会う事は無いが、関わる人から 彼がどんなに村の助けになっているか知っている。 縁がない癖に、まるで成長したのは 俺のお陰と言わんばかりに少し得意げに]
(258) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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道すがら最近の気になる所を聞かせてもらおうか。
[錠が拒まなければ、そのままよく回る車椅子を押しながら 出て来た自宅へと戻ろうか*]
(259) 2017/11/24(Fri) 23時半頃
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―― 神社 / 台所 ――
[とんとんとん。規則的な包丁の音。 骨から削ぎ落すのは、人間の太腿の肉]
これは明之進くんの足よ。 櫻子、よく一緒に遊んでいたでしょう。 塩漬けにして取っておいたの。
若くして亡くなったのは気の毒だけれど 櫻子に食べられるのは幸せ者ねえ。 良かったわねえ。
[削ぎ落した肉を、櫻子に差し出して]
(260) 2017/11/25(Sat) 00時頃
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櫻子、肉を小さく手で割いてくれるかしら。 茹でてホウレン草と和えましょう。
[包丁を櫻子に持たせるのは危ないだろう。 それに、肉を削ぎ落すのは重労働だ]
明之進くんがとても悲しむから 食べ残しは駄目だからね。
[幼子に諭すように、櫻子にそう伝えるだろう]
(261) 2017/11/25(Sat) 00時頃
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[やがて、卓袱台には知己の肉を使った料理が並ぶ。 櫻子に食べるのならば、彼の肉が良いと思った。 貯蔵してある肉の中から、 わざわざ明之進を選んだのだ]
櫻子が孕んだのと 明之進くんが亡くなったのは 同じ時期だったわね。
その胎の子、 生まれ変わりだったら素敵ね。
[いただきます、と手を合わせた*]
(262) 2017/11/25(Sat) 00時頃
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