289 【ペア】風邪引いたあの子ん家に行く村
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[もたもたしていると、岩動の手で前髪を押さえられる。冷却シートを岩動に渡して、空いた手をのろのろ額まで持ち上げて、岩動にして貰ったように前髪を押さえた。 岩動の手が目の前に見えて、目を閉じて待つと、額に冷たいものがへばりついた。]
う〜〜〜。きもち〜……
(*0) 2018/11/30(Fri) 13時半頃
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[どうしてやるのがいいのだろう。 どうすれば彼は喜ぶのだろう。
自分を頼りがいのある大人だと、思ってくれるだろう。]
(*1) 2018/12/01(Sat) 06時半頃
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[涙で潤んだ目。下を向いていたせいか、頭に軽く血がのぼったかのように顔が若干赤かった。 トイレに座り込んだ体に力は入らず、へとへとだ。腹筋だかなんだかわからないところが疲れている。
手で触ってわかるほど熱があるそうだから、そちら由来の力の入らなさなのかもしれないが。
濡れた睫毛を瞬いた。顔が近い。 ひどく心配させたらしいことは、相手の顔を見れば一目瞭然というやつだった。]
(*2) 2018/12/01(Sat) 14時半頃
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[近すぎることを恥じらうように、少し目を伏せた。
臭いそうだからが6割、産まれてこのかた誰かと付き合ったこともないので、人間との接触にそもそも慣れていないからが4割という恥じらい具合だ。
腕を引っ張られて、驚いて、んく、と喉が鳴った。息をなるべくとめるのを諦めて、細く息を吐いた。 立てるかどうか返事する間もなく、腕は肩に担がれていて、腰に手を添えられる。少しそわそわした。
肩に乗った腕に力をこめるような形で、よたよたと立ち上がり、また小さく咳をした。
きっと一人でも立てたと思うけれど。多分一人でも歩けるとは思うけれど。せっかく焼いてもらった世話を無下にするのもなんだし、ついつい甘えたくなってしまう。]
(*3) 2018/12/01(Sat) 14時半頃
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[流しのフチに手をついて、カップにいれた水を口に含んで濯ぐ。 水を吐き出した。 ねばつく唾液が唇からぷらりと糸をひいている。 それを隠すように手の甲で拭って、また一口。 小さな溜息をつきながら、何度か口を濯いで、冷えた手を洗った。
口を濯ぎ終わった後も、また岩動の肩に腕を回す。 今度は遠慮が薄く、へへ、と照れ笑いのようなものを浮かべた。]
(*4) 2018/12/01(Sat) 14時半頃
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[ふわつく足取りで部屋に戻ってきて、ベッドの傍までくると、肩に回していないほうの腕をベッドについて、片膝もベッドに乗せる。
岩動の肩から腕を離し、四つん這いでベッドの上にのそっと乗って、肉の薄い尻を向けたままふり返る。]
あざしたw
[と、目を細めてお礼をいった。]
(*5) 2018/12/01(Sat) 14時半頃
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これ美少女にやったりしてもらったりするやつや…
[悲しいかな宇原にとっての頭を撫でるという行為はそういう程度のものなのだ。 親戚づきあいがないため子供と接する機会もなければ、普段摂取している動作やストーリーが描写されたものは漫画やアニメやゲーム。基本的にカワイイ女の子が出ないものに興味はない。]
……あ、動物にもするね。
[犬とか。猫とか。 そう言って、頭を撫でられながら、岩動の顔を見た。 どんなに見つめてみても、美少女ではないな……。]
(*6) 2018/12/01(Sat) 14時半頃
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[さっきから思っていたが。
何やら、よろしくない。]
(*7) 2018/12/01(Sat) 17時頃
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[何がどうよろしくないと言うと今の岩動には説明が難しいのだが。
体調不良を、弱っていることを思わせるにおいがよろしくない。 力の抜けた弱々しい体がまたよろしくない。 涙で濡れた瞳とまつげに照明が反射しているのが、息を乱して顔を紅潮させているのが、唇から唾液が糸を引いたりだとかそれを手で拭ったりだとかが、疲労と体調不良でかすれた声が、普段にない遠慮がちな甘え方なんかは、更によろしくない。
臭いものが好きだとか、そういう趣味はないはずだ。 そこではない。そこではなく。
これらの事実が、岩動が彼の領域に踏み込んでいるということを、無自覚のままに実感させる。そしてその事実に酔いしれたいような気分は少しずつ、ふつふつと大きくなっていた。]
(*8) 2018/12/01(Sat) 17時頃
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[ベッドの上で四つん這いになったまま振り向いた宇原を見て思ったことと言えば、尻が小さいとか、めちゃくちゃ見せびらかしてくるな、とかそういうこと。まあ、しっかり見ているのだけど別段、男の尻だな、と言う感じだ。しかし、形がいい。 あまりにバッチリな角度すぎたので、わざとやっているのかとすら思い始めた。]
ん。
[軽めの礼には軽く頷いた。]
(*9) 2018/12/01(Sat) 17時頃
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[「これ美少女にやったりしてもらったりするやつや…」
宇原の言葉に声を上げて笑う。]
俺は息子でも出来た気分かな。 いや、弟?
……甥? いや…犬…
[これらは普段感じている彼への印象。 でけえ小学生とか、人型の犬とか。懐き方が大味で、疑いの余地のなさがシンプルに心地よいと思えるところが共通していると思う。
すべすべと形の良い頭をなぞり、最後に指先で少し後頭部をなぞるようにして、手を離した。]
(*10) 2018/12/01(Sat) 17時頃
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[頭を撫でられながら、すこし怪訝そうな顔をする。]
息子が出来た気分とか… 突然のスタイリッシュスーサイドじゃないすか… 童貞パイセン…なんなんすか……
ンフッ…… や、くすぐったかったw
[耳近く、頭を撫でられて小さく笑いながら、むず痒さに身じろぎした。]
おれ弟属性あるしな〜…リアル弟だから…
マ…?いぬ感ある…? はあ、犬に産まれて白いワンピースの少女に飼われて 海岸線を散歩したい人生だった…
(*11) 2018/12/01(Sat) 17時半頃
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[もそもそと腹側から体温計をもった腕を入れる。 セイカちゃんTシャツがめくれ、腰骨やへそが出る。 細いお腹まわりがひんやりとするが、姿勢を直すのも面倒で、体温をはかり終えるまでは出しっぱなしで放り出しておく。]
つめてwww っっっ・・・ぶしゅっ・・・ ぶしっ
[冷たい体温計を脇に挟めて、くしゃみが出た。]
あっっっ……
[拍子に、なんか鼻の奥につまった米がとれた。 ありがとう奇跡。]
(*12) 2018/12/01(Sat) 17時半頃
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[そう、童貞なのだ。童貞であり、なおかつ童貞の先輩でもある。]
親戚の子供とかとたいしてかわんねえっつってんの。
[負け惜しみにそう言うと、ふん、と鼻を鳴らした。]
犬っぽいね〜 猫でもいいけど。豚でもハムスターでもなんでもいいんだけど。 そういうのっぽい。 白いワイシャツのおっさんならここに居るから我慢しなwww
[飼ってやっている。願望を口にする宇原に、そう言わんばかりの口ぶりで笑った。]
(*13) 2018/12/01(Sat) 18時半頃
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[童貞先輩に親戚の子供変わらないと言われても、とくに悔しくもなんともない。ガキ扱いには慣れているのだ。]
犬でも猫でも豚でもハムスターでもいいって なんでも、げほっ、いんじゃんwwwww
え〜?……スピ…… メイさん飼ってくれんすかあ?
[飼ってやっていると言わんばかりの口ぶりに、存外悪くない提案だというような声で言った。]
(*14) 2018/12/01(Sat) 18時半頃
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飼い主にならたぶん さっさと帰るとかつまらんこといわれんしぃ……
[懐いていることも、もっと構われたいことも、とくに隠す気がない。]
明日しごとでしたっけえ…? ……
[結局、帰るのだろうか? 熱っぽくてひりつく目で岩動の表情を伺った。]
(*15) 2018/12/01(Sat) 18時半頃
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[飼ってくれるんすかあ?と鼻をスピスピ鳴らしながら言う声色は弾んでいた。]
何で嬉しそうなの。
[変態か?変態だった。と自己解決しつつ怪訝な顔をしてみせるが、どうやら帰ろうとしていたのを気にしているらしい。 本当に、随分懐かれたものだなと貧弱な表情筋なりに表情を綻ばせた。傍目には僅かな変化だろうけれど。]
(*16) 2018/12/01(Sat) 19時半頃
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[なにせ固定が終わってから駆けつけてくれたのだ。既にとっぷり暮れていた。]
wwwww なんか…… さみしー気がしたからめっちゃ引き留めてるけど 迷惑だったら無視していいからね。
[と、少し弱気に泊りをよろこんだ。]
(*17) 2018/12/02(Sun) 00時頃
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[諦めきれぬ宇原は、顔をあげる。しょこらちゃんがせっかく台詞つきで三次元にきたのだ。(本当か?) それでも、これはもとは抱きまくらなのだから。元の用途っぽくつかえば美少女感を堪能できるのではないかと、そうっと腕をまわした。
しかし生まれてこのかた童貞の萌え豚であるところの宇原には、人の抱き方がわからぬ。
人間と触れ合う力加減が全く分かっていない気持ち悪いほど遠慮がちすぎる異様なソフトタッチで、そ〜っと腕を伸ばし、壊れ物に触れるように、あまりにも優しく――抱いた。
この――176センチ28歳会社員オタクが抱き枕の布をかぶったものをだ。]
(*18) 2018/12/02(Sun) 00時頃
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[抱けば抱くほど――然程柔らかくはなかった。 幻想の中の美少女の触り心地など性格に想像なんて出来ないのだが、聞けばそれは柔らかいという。だが現実は違った。(もちろん現実にはこれは男だった)
骨ばった感触と、ぱつぱつに張り詰めた布。そして先程ベッドまで運んでもらった時傍らから感じた服のにおい。あとは自分のいつもの抱き枕を抱いている時に感じるにおいが、まざりあっている……ただ、若干あたたかい……。
宇原は176センチ28歳会社員オタクが抱き枕の布をかぶったものを羽根のように背後から優しく抱いていた。※1
フェザータッチ(人間の触り方がわからなすぎて遠慮している)で腕まわりや胸元をそうっと形を確かめるように撫でもした。 触れど触れど、美少女性を確かめることは叶わなかった。]
(*19) 2018/12/02(Sun) 00時頃
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[※1 背後からといったが、「ベッドの脇に腰かけている」岩動だが、「しょこらちゃんはこちらを向いている」つまり、岩動の背面にしょこらちゃんの顔がついているのである。 被る過程と都合上、こうなってしまったが、かぶりきれていない腰から下は美少女ではないので妥協している。]
(*20) 2018/12/02(Sun) 00時頃
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[抱きしめたまま、話し声をきいている。]
(*21) 2018/12/02(Sun) 00時頃
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迷惑だったらそもそも来てないからね。 さみしんなら泊まっていくからそれでいいじゃない。
[宇原の弱気は少し居心地が悪かった。気を使わせたいわけではない。迷惑そうだと思われるのが嫌で、ややぶっきらぼうに放たれた言葉の後に手をひらひらと揺らし、この話題は早々に打ち切られた。]
(*22) 2018/12/02(Sun) 00時頃
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[さて、目的も果たしたし狭いし息苦しいし、そろそろ脱ぐか、などと考えていた頃だ。
宇原がそっと、とても優しく…背後から抱きしめてきた。
28年。 岩動が女性とお近づきになれなかった時間だ。 同性の友人とは、じゃれて接触したこともあった。 だがもちろん、慣れるほどの経験はない。 それも男同士ということもあってもっと乱暴なふれあいだ。
ところが、今回はどうだ。 優しく、慈しむように。恐る恐ると抱きしめられた。
他人にこんなに優しく触れられたのは……初めてだった。]
(*23) 2018/12/02(Sun) 01時頃
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[あまりにもふわふわと、優しく触れる手付き。そして塞がれた視界… 次にどこを触れられるか予想がつかず感覚が研ぎ澄まされる… この感覚、我々は知っている。
──目隠しプレイ…!!]
ウツギくんこれ目隠しプレイみたいになってる!!
[さすがにもう、笑いを堪えられなかった。 病人を捕まえて一体何をしているんだ、と思いながらもケタケタと笑い転げた。]
(*24) 2018/12/02(Sun) 01時頃
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め、いさぁん…… く
くるしぃ……
[と押し付けられた姿勢で、布団に顔を少し埋もれさせたまま、苦しげに口を開けて、はあ、はあ、と息をした。]
(*25) 2018/12/02(Sun) 02時頃
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ねー、メイさんさー……。 ベッドで寝ない……?
(*26) 2018/12/02(Sun) 02時頃
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[布団をぶつけると、宇原が苦しげな声を上げたので咄嗟に押さえつけていた手を離した。]
うわ、ごめん。
[相手は病人なのだった。いつもの調子で接するのは荒すぎる。 もう一度布団をゆるく掛け直すと、布団の上からぽんぽんと優しく叩く。]
(*27) 2018/12/02(Sun) 03時頃
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[「ベッドで寝ない?」つまりそれは…]
えっ…と… そ………っれは…狭くない?
[なんとなくどもってしまった。
よろしくない。]
ああ〜〜〜、そうだ。 ウツギくん寝る前に布団敷いちゃうか。 起こすと悪いしね?!
[椅子から立ち上がり、布団のありそうな方へ向かう。少し挙動不審だったかもしれない。]
(*28) 2018/12/02(Sun) 03時頃
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……抱き枕よけたらそんなに……? ……
あっ、
そう、そう。そうそう。 げほ おれが布団で寝る的な……意味で。 いやまあ、めいさんが、窓側なら ここでもいいはいいんだけど……
[素っ頓狂なことを言って驚かせてしまったらしい状況と宇原本人も分かってきて、理由を説明しはじめる。]
……夜中おれ、ほら吐きに起きる可能性が…… もしかするし……?
めいさん布団だと、踏むかも…… ってだけ。
[しかし生憎と宇原の寝るベッドは欲望ベッドだ。]
(*29) 2018/12/02(Sun) 03時半頃
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