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[元々あまり太くもない首が、青魚よりも細く潰れて
太いギリアンの腕に抱えられているような姿は
見ていてなんとも、気持ちの良いものではなかった]
……………あれ
[自分を見ているのだ、と。気づくまでに随分とかかった。
階段からひとり、またひとりと死に損ないが降りてくる。
そのうちに吐かれた舌打ちが、自分に向けられたものだと
何故だかわかって、鼻を鳴らす。
たとえ笑っても、空気は震えない。
それをわかって笑うのが悔しくて、空っぽの唾を飲み込んだ]
[
ただ強くなった手の力にギブアップを訴えて、命の恩人へ恨めしげな視線を送る。
半笑いには、慌てて首を横に振って]
いや、なんかいまスゴく嫌なことを思い出しそうだったから、やめとく……。
[加えて、ヘクターの笑みが不穏極まりない。
永久に記憶の奥底へ沈めることに決めた。
うちの神様の方がスゴいだろう。スゴいだろう。敬えよ小僧]
はあい。
[
立ち上がるヘクターに、生前と死後と変わらずについていく。
なにがあったって、自分の人生唯一最大の恩人のそばから離れることなんて出来ずに。
共に向かうのは、絶望の船の中。
各々、海底の人狼へ声をかける姿を見て。
一番最後、暗い海に向かって視線をやったけども。
許すことも怒ることも出来ないから、困った顔をしてしまった]
……。
[小さく呼び掛けるように手を振ってから。
最後尾で、海賊たちの背中を追いかける]
【人】 地下鉄道 フランク[獣のいろは、白は、美しかった。 (81) 2014/12/16(Tue) 23時半頃 |
―第三甲板―
[他の連中に続いて下へと降りる。
生者達が乱戦を繰り広げる最中、適当に見物できそうな場所を陣取って。
座するホレーショー
視界には10フィートはあろうかという白い狼。
恐らくあれが道化の正体なのだろう。
各々それと相対する者達を少し遠くから観戦する。]
…酒が欲しいな。
[率直に呟いた言葉は、どこか緊張感にかけるものであった**]
― 海の上 ―
[海面スレスレで泳ぐくすんだ黄色の海月を眺めたり、
中へ潜って遊泳したり。
子供のように次々と興味を移し、色を、形を愉しんだ。
一頻り堪能した男は、
倒れるようにして四肢を大の字に広げ、海中より海面を見上げた。]
[このままどこまででも行ってしまおうか。
そうも考えたが、
――その前にやはり、見ておきたいものがあった。
見上げる先、目に映ったのはデゼスポワール号の船底。]
―第三甲板―
酒ぇ?
……あー、もう飲めねえか。飲めねえんだろうなぁ……
[クソが。と呟いた。
真っ白で巨大な狼との戦いを眺める死者は、既に傍観者。
呑気なものだった。*]
[風の無い海に銃声はよく響く。
同時に目覚めた狼の咆哮も。]
パシャ──
[水面に波紋が生まれる。
まるで何かの歩みの様に。
だが船に近付いた波紋はそれ以上拡がる事はない。
ただ船に寄り添う様に、ソレは水面に佇んで。]
【人】 地下鉄道 フランク (92) 2014/12/17(Wed) 00時頃 |
―第三甲板―
[甲板に着いたとき。
見えた光景に、ぎゃっと一声鳴いた。
双頭の獣やら半獣やら見ておいて今さら何を、とも思うが。
本能的に恐怖したのだから、仕方あるまい。
呑気に観戦し始める強者たちの一歩後ろ、陰に隠れるように座って。
少し遠くからの観戦のお供をする]
酒かあ。
[ヘクターとホレーショーの声に、ぽやりと呟く。
程度を弁えて飲むなら、悪くないかもしれないが。
いま飲めるもんなら、恐怖から逃れる以外の理由もなく浴びるように飲むだろう。
ミナカにまた叱られるだろうから、飲みたくはない。
叱ってくれるなら、の話だけども。
などと考える辺り、やはり生者よりも余裕はある。
死人の傍観者たちは、やけに達観した呑気さで戦いを見詰める]
………ォォォーッンッ
[祈る様にソレは泣いた。]
【人】 地下鉄道 フランク[サーベルに、牙を封じられた白狼。 (94) 2014/12/17(Wed) 00時頃 |
[シャルルを囲む人数が増えてくる。
彼らもやはり、今までのネイサンと、シャルルの違いを感じているのだろうかと。
会話を聞きながら解析するも、だからと特別な情が生まれることもない。]
……?
[
そも何故に理を説く必要があるのか。
そんな見当違いな事を考えた矢先───
──────!!!
[獣の毛が、ぞわりと大きく逆立った。
己の知る畏れとは違う。
肌触りの悪い、不快な恐怖。]
― 第三甲板 ―
[ニコの隣
ホレーショーと副船長の並んだ背を後ろから見ていると。
なんだか兄弟みたいだな、と。
やっぱり副船長は兄貴の兄貴なんだろう。
生者たちの戦いを見つめる傍観者は、そんな緊張感の欠片もない事を考えていて]
……ニコ。酒はだめッス。
[隣の昔馴染みのつぶやきには、ぴしゃりとそう言い放つ。
もう飲めないのは分かっていたが。
あんなニコラスを、もうグレッグは見たくはなくって。
後は黙って。戦いの行方を見守っていた*]
ヴヴ……ル……!
[牙を剥き、低く唸る。
”おまえは誰だ!”と訴えるように。
最早これは、己の知る、絶望の象徴ではない。
まったく異質な、見知らぬ恐怖。]
【人】 地下鉄道 フランク[銃撃の反動で、腕が跳ねる。 (104) 2014/12/17(Wed) 00時半頃 |
― 第三甲板、階段上方から見下ろして ―
[この船は随分と軽くなったと思ったが、
こうして見下ろすと、死者も留まっていたらしい。
自分もそうか、と存在の希薄な手のひらを見下ろす。
船長――だったもの。
綺麗な、真白い狼。
最期を齎すのは、やはり彼ではなかった。
彼に最期を齎すのは――?]
……知ってる。
[
少し首を竦めて、口ごもりながら答える。
そもそももう飲めないから、彼にまた狂乱を見せることもなかろう。
おまけに、と。透ける手を眺めて、ふい、と視線を床に一瞬向けて。
顔を上げた]
――ああ。
[嘆く声は、ジェレミーに今日は誰が死んだと言われた時に口にした。
『ああ、あいつはいいやつだったな』
『寂しくなるなあ』
その音と、同じだった。
血が舞って
床を、壁を、染める]
─── 。
[何かが跳ねる音がして。
波紋が広がった波間はそれきり、静かになった**]
[ついてきたニコラス
目の前の光景に悲鳴をあげつつ酒にという単語に反応したニコラスに、お前はやめとけと言いたかったが、先にグレッグが制したので突っ込まなかった。
ちらりと二人の方を見て、また白狼の方に視線を戻す。
先客のヴェラ
銃弾が飛び交い、剣の音が、咆哮が鳴り響いて―――。
どこか暢気に会話しながら眺めていたはずが、
いつしか食い入るようにして目の前の戦闘を見つめていた。]
[やがて、血をまき散らして満身創痍になった白狼が
ギリアンの方に歩み寄り、互いに抱擁する。
―――嗚呼、きっともうすぐ終わりなのだろう。
薄々そんな風に悟りながら、只無言でじっと腕を組んで。
血で紅く染まる白狼と、慈しむような動きで牙を立てられるギリアンを見つめていた。**]
[これは呪いだ。
死を終わりだと、救いだと思う者があるならば、
それらにとって、正しく呪いだ。
眼前の光景から目を逸らすように首を振る。
疲れた、と呟くが、身体はどうにも軽い。当たり前だった]
………あーあ
[溜息残して、そのまま階段を上ることとする。
もし、新しい風が吹くならば――
いつもの場所で、船首でそれを感じよう。
呪われた死者にも、それくらい許されたっていいだろう]
【人】 地下鉄道 フランク[視界の隅で、にゃあと、猫が鳴いた。 (119) 2014/12/17(Wed) 01時半頃 |
[ヴェラーヴァルが唸り声を上げている
興味をなくし。
ふとギリアンの腕
【人】 地下鉄道 フランク (121) 2014/12/17(Wed) 01時半頃 |
[やがて、白狼が斃れ、白い体毛を紅く染めながら、”仔”と呼んだ存在を胸に抱く。
その生命の灯火が弱まるにつれ、張り詰めていた獣の神経も落ち着きを取り戻す。
────畏れが、消えてゆくのをただ見つめる。]
【人】 地下鉄道 フランク (122) 2014/12/17(Wed) 01時半頃 |
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