人狼議事


194 花籠遊里

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


【人】 墓荒らし ヘクター

[微笑みの裏から突き刺す一言につい笑ってしまった。>>3:128
微笑を花として取繕うのに、言葉は裏切り、その差異を愛でた。]

 慈善事業を気取る気は更々ねぇよ、
 お前さんが覚えがねぇなら、俺の戯言よ。
 またお綺麗に微笑んで流しゃ良い。

[ただ、手繰り寄せる指先は離さなかった。
咽返りそうな情交の中、真実を晒す金華の前。偽りだらけの花と蝶が視線を交わし、指を強く握りこんだ。]

 ―――だが、聞き流せねぇなら、もう諦めろ。
 
[色に濡れても眼差しの強さ変わらず、引いた指の節へと口付けを落とす。罅が入って、砕けた先を知らない。揺れる心が求めるを知らない。

けれども、やはり、彼の焔に似た髪色は嫌いでなかった。]

 誰に言われず、誰に愛でられず、誰の目にも留まらずとも。
 ――― 造花なんて、寂しい振りするんじゃねぇよ。丁助。

[言葉の最後、そっと彼の節に歯形を残した。*]

(0) 2014/09/21(Sun) 02時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[悲鳴が響く、心地の良い悲鳴が。>>3:129

発露を知らぬ蝶の深層を暴き、彼が抱える膿を吐き出させるよう手荒に抱いた。加減を知らぬのは彼の熱に惹かれる所為だ。己はつくづく正直に出来ている。

抱擁を強め、体温を交換し、生まれたままの彼を砕く。
強いられる事に喜びを覚えさせ、喉が嗄れるまで好きよう貪り尽くした。実に満悦なる饗宴であった。

振り乱す金の髪が視界で揺れると、糖度が喉に溜まった。男の支配欲を彼の痴態は癒してくれる。
強請られるままに与えてしまうのは、聊か興に反したが、今更身体が欲以外の言い分を聞く訳もなし。囀りに誘われたと、胸内で誰にともなく言い訳を並べたてた。

溺れてしまえば良い、沼に足を取られ、沈んでしまえば良い。
そんな夢想を抱くほど、壊れて行く蝶の美しさは筆舌し難く、どろりと溶け合い境界線を見失う。>>3:130

彼は漸く、彼自身を捕まえたように見えた。
喉を滑り落ちる甘い呼気。

もう一つ飴をやる変わりに、彼の痩躯を抱きしめた。]

(1) 2014/09/21(Sun) 02時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[結局、その夜は驕傲の限りを尽くした。

捕まえた金華の中に幾度も精を注ぎ込み、彼の腹内を重く温め。
涙も声も最後一滴まで味わい、関節を軋ませ、愉悦に浸る。
翌日は如何様な顔をして逢うかなどという無粋は考えなかった。
金華の側面暴いたとしても、彼の備える無邪気な傲慢さは変わらないだろう。
一歩自己の理解を深める背を押したに過ぎない。


けれど、人の体温はやはり、一時の充足を呼んでくれた。

一夜の戯れだと知っていても、夜は折り重なって出来ている。
子種を塗りこめるように放った果ては、深い夜に紛れて濡れた。


――――積み重なる深い夜は、*いつも己に夢を見せる。*]

(2) 2014/09/21(Sun) 02時半頃

墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 02時半頃


墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 11時頃


─中庭─

[花弁を揺らすのは冷たい風か、翅か。
蝶に向けて囁いたのは遠回しな伝え方。

異国の言葉を東洋の人間が訳したものであったが、背筋を滑るのは霧雨よりも冷たい一筋。

吐く息は空気を揺らし、濡れた睫毛は何処か動きが拙いもの。

過るのは手折られた花と翅を失った蝶。幾度となく耳にした御伽噺の結末。

それでも、重なり合った手のひらと言葉があるのならば。

そっと、──霞みのように淡く藤は笑う。]


[蝶の囁きにに応えるのはくすりと漏れる声。

ひとつ。 踵を上げた。
ふたつ。 つま先は地に濡れる。
そうしてみっつ。 「貴方」の手を強く、握り返す。]

──…。

[風が後ろ髪を撫でる。
それでも青年は、花籠を一度も振り返ることなく足を動かす。

吐く息は乱れたもの。軈ては重なり深い深い森の奥へと。

引かれるまま、つられるまま。
花弁を散らして人の子は蝋燭も月の灯りもない木の陰へと進んで行った。]


─館から森 ─

[足元から奏でられるは、朽ちて地に伏した梢や枝の音。
名を呼ばれれば、口元を緩めて寄り添うように後を着いていく。

どれほど歩いただろうか。
身に纏っていた着物は鵐に濡れ、色を変えている。
それは傍に佇む青年も同じように雨をその身に受けていた。
不安が無かった訳ではない。
ざくりと音を立てるは二つ分の足。
それでも時折手のひらを強く握りしめては見えぬ陰に怯えたように唇を噛み締めただろう。

揺れる声で彼の名を呼ぶこともあっただろう。
けれど与えられる励ましの言葉に、何とか鉢から落ちた枯れかけの花は足を動かすことが出来た。

「痛くはありません。」
「疲れていません。」
「ええ、きっと大丈夫。…きっと。」

まるで言い聞かせるように彼の紡ぐ台詞を返していく。花びらは一枚、一枚と跡を残すことなく夜露に溶ける。]


……ん。

[輪郭を辿りながら囁く歌は人の子が紡ぐもの。
聞いたことのない『花籠物語』
その先に待つものは光か闇か、それは分からなくとも。]

…幸せに、……きっと。

[酔ったように滲ませた双眸を向けては胸へとゆっくり染み込ませるよう囁く。

森の奥、小さな小さな箱庭へと訪れた二人の間に舞うのは星屑のような鱗粉。

背後から軋む木の音を聞けば、小さな小窓から姿を覗かせる月下蝶。]

──…どうして?

[“待ってて”を振り切り、小窓へと顔を覗かせれば、濡れた髪を通る指先。いつもより冷ややかな温度に瞳は曇ることを知らない。]


…でも、…もしも……

[追手でも来たのならどうするのだと。尋ねる声は震えたもの。
それでも先を思わず甘言に揺らされたのは、花ではなく人の心。]

……早く、戻って来て。
…約束、して下さい。…お願いだから。

[翅を落とした蝶であったものに強請る声は小さなもの。
それでもそっと、離れゆくその頬に触れることが出来たのならば、去り行く唇に口付けただろう。]

…月は一人でに動けませんよ。

[揶揄には、いつもの調子で捻くれた言葉を返して。
離れていく香り。貼り付けた笑みが少しずつ曇っていく。]

──…トレイル。

[やがてその姿が見えなくなるまで見送って。
迫り来る陰の気配を感じるまで、疲労を溜めた身体は夢の世界を揺蕩う*]


【人】 墓荒らし ヘクター

― ??? ―

[その日は青い空に虹が掛かっていた。

男はその架け橋を区切られた窓から見ていた。秋風は生い茂る木々を分け、空を広げて久しい。

昨夜、金華を暴き、紅華を揶揄った。
夜に舞う夜蛾の一面、朝に戻る人の一面。
どちらも己のもので、金華に告げた本質云々は単なる経験談。
ギシ、と革張りの椅子に背を任せて軋ませる。

得体知れぬと花街で噂の男は、夜の世界に現界する常のだらしない姿ではなく、仕立ての良い黒のスーツに身を包んでいた。
己の前には重厚な執務机が飴色の輝きを放っている。]

 ―――籠の中と、外の違い。
 花と蝶の違い、ね。

[独り言をぷかりと漏らす。
日差しの中で橙灯色の髪を揺らし、耳にノックの音が届く。
入室の許可を出せば、眼鏡を掛けた背の高い男が書類を抱えて入ってきた。]

(11) 2014/09/21(Sun) 15時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[すらすらと本日の予定を告げる音階聞き流しながら、男は足と指を組み合わせ、緩慢な瞬きで瞳を洗った。
秘書めく男は揺れぬ口調で言葉を吐き出すも、最後で言い淀むように数秒の沈黙を挟んだ。

されど、意を決したように「それから…」と、漸く口火を切った。]

 「やはり一度本国へお戻りください、」

[張り詰めた声にも男の顔は動かない。
ただ、区切られた窓の向こうに視線を伸ばしたまま。]



 「エクトゥール・エトワル・ダルジャン参事官。」



[陽下で生きる名を呼ばれ、隣国示す徽章が鈍く輝いた。*]

(12) 2014/09/21(Sun) 15時頃

墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 15時頃


【人】 墓荒らし ヘクター

― 来館遊里 ―

[その日の男は珍しい風体であった。

いつも夜更けにしか訪れぬ癖、今日は黄昏に近い宵に訪れた。
いつも横着げにシャツを引っ掛けている癖、今日は漆黒に染まるスーツを着こなす。腕に下げたロングコートは秋の深まりを示し、緩めすぎたネクタイと第三釦まで開けた喉元を除けば、常と180度は違う印象。
相変わらず派手な悪人面と耳に穿った飾りは変わらぬが、花主の揶揄を誘うには十分だったらしい。>>4>>5]

 俺の一存で刈れるほど可愛い気のある櫻じゃあるめぇ。
 それとも根こそぎ倒すかね、そいつぁ庭が寂しくならぁな。

[はは、と気のない笑い声で花主の傍を通り抜け。
程なく歩けば、己は中庭で土を弄る後頭部を見つけた。>>9
回廊の窓から覗く彼の姿は、同じ視座に合って内と外とで別たれている。>>10]

 そいつをお前さんが謳うには、10年ほど早くねぇかね。

[窓枠に五指を掛け、身を僅かに乗り出しつつ。
今宵も迫る夜と共に、彼に茶化して語りかけた。]

(13) 2014/09/21(Sun) 15時頃

[

ざくり。 ざくり。


梢の折れる音を遠くの地にて耳にしたような、気がした。]


──…ん?

[重なった睫毛が揺れたのはどれくらい時間が経過した頃か。

ちいさな小屋にて備えてあった木造の机に突っ伏していたと気付いたのは、頬にあたる木の目の冷たさから。

ちいさな布擦れと共に身動ぎすれば、身に纏っていた衣類がすっかりと乾いていたことから、随分と長い間時が経っていたことに気付いた。]

…ど、うして。

[椅子の軋む音と共に胸にかかる圧。
勢いよく立ち上がった先、言伝も忘れて扉を開ければ、雨の薫りを残しつつも薄っすらと虹のかかった東雲が朧気に浮かび上がっていた。]


……何か、何かあったんじゃ…、

[「必要なもの、集めて来るから」青年が口にした言葉を脳に反芻させながら、一歩、二歩と。木の枝を踏み、花を散らしながら森の中を歩いて。歩いて。掻き分けて。

足はいつからか泥濘も気にすることなく、勢いよく花を蹴散らしていく。
つま先は蔦が絡み合い、地へも膝を打つけれども止まることはなくまた立ち上がり、鱗粉を追うように駆けていく。

息が乱れる頃。すっかりと日の明かりがその身を照らす頃。
いつの間にかたどり着いた湖畔にて映った人影に]

……何か、何かあったんじゃ…、

[「必要なもの、集めて来るから」青年が口にした言葉を脳に反芻させながら、一歩、二歩と。木の枝を踏み、花を散らしながら森の中を歩いて。歩いて。掻き分けて。

息が乱れる頃。すっかりと日の明かりがその身を照らす頃。
いつの間にかたどり着いた湖畔にて映った人影に]

──トレイル様?

[振り返り、瞳に映ったその貌に──…]


ど、 ぅし て。

[脊髄に走る衝撃。
見開かれる瞳は限界までにその姿を映し。
やがて意識の途絶えるその時まで、焼き付けていただろう。

ゆらゆらと揺れる先。
手折られた花を摘み拾っては新たな籠へと束ねていく*]**


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


【人】 墓荒らし ヘクター

[庭に埋められたのは、花の欠片か。>>14
彼はこの廓に永い花。過ぎ去っていく蝶も、枯れていく花も飽くほど見ているだろうに、丁寧な埋葬は、彼の大切なものを埋めたように思えた。櫻の下には確かに花の亡骸が埋まっているのかもしれない。]

 そいうや、見てねぇな。
 色恋に溺れて世でも儚んだかね。

[彼の歌を思えば、口から出るのは碌でもない予想。
自然と窓枠に自重を掛けて、上体を折り曲げつつ、腕を組んだ。]

 ちと明日は朝が早ぇんだよ。
 アパルトマンも払っちまったから、屋根を借りれりゃ良い。

[上背に合わせてオーダーされた生地は上等で、彼らを買い求める貴族のそれとも、高級娼館の案内役とも違う意匠の黒衣。
二次性徴の終わりを抜け出せぬような童顔に鼻を鳴らし、既に首に下がるだけのネクタイを更に引いて寛げる。

夜に馴染んだ香でなく、今宵の男が纏うのは外の匂い。
己の言葉が示すのは昼の顔。彼の知らない世界の話。]

(19) 2014/09/21(Sun) 16時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[世間話のように繰り広げる中、不意の気配に視線を起こす。
人目が増えてくる頃合に、花を独占していれば衆目も集めよう。
だが、男が察したのは覚えのある気配。

昨夜、とろりと馴染んで溶けた、金華の気配。]

(20) 2014/09/21(Sun) 16時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 縁起悪ぃな。

[七色の光が終わる先を己は見たことがない。>>21
天の門を潜るのだと一般的には言われるが、御伽噺のような絵空事は信じていない。
ただ、甘い蜜の夢より価値ある大切なものを見つけたのだろう。と、月輝と月下蝶が脳裏にゆらりと立ち込め消えた。]

 未練がましく土いじりなんてするんじゃねぇよ。
 お前さんは何時から墓守の真似事を始めたってぇのか。

[何のために此処から抜け出したかは、考えるまでもない。
だが、目の前の彼はいつも見送る立場らしい。
中庭の繁栄も、長きに渡る彼の管理の賜物だろう。

何処にもいけない櫻樹は、ずっとこの花籠に咲く。]

(24) 2014/09/21(Sun) 17時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 ――…まぁ、粗方毟っちまったからな。
 名無しの黒子の渋顔は悪くねぇが。

[己の悪行三昧は口にせずとも、想像付く範疇。
昨夜も蝶を一頭、花を一輪、地下の深みに引きずり込んでいる。
己の顎鬚をざらりとなぞってから、閃いたように口を開いた。

夜色の双眸に、悪趣味なる笑気の顔を映して。>>22]

 金を落とさねぇ蝶に貸す枕はねぇってんなら、
 櫻の小枝でもへし折って枕元に挿しておくさ。

[やはり今日も、夜蛾は性質が悪い。]

(25) 2014/09/21(Sun) 17時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[ガサと揺れた茂みに音なく笑い、彼の影も手招こうか。>>23
ついでに、腰は無事かい。と揶揄を飛ばし、嗄れた喉から搾り出される声を清澄するよう、耳を傾けた。**]

(26) 2014/09/21(Sun) 17時頃

墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 17時頃


墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 20時頃


【人】 墓荒らし ヘクター

[昼の世界に馴染み、彼を暴いた指先で日常を送る。
黙っていれば、軽薄な悪人面も多少緩和されるが、昨夜を知る身には難しいだろうか。しかし、男は常と変わらず指先を閃かせ、ニコラスを迎えた。>>23]

 花に貢物とはお前さんも隅に置けねぇな。
 
[へぇ、と呼気を漏らして彼の目的を知れば、数泊の間を空け視線を流し>>27]

(37) 2014/09/21(Sun) 20時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[そうして、櫻より後半濁された言葉は、蝶たる己は知らぬ世界。
或いは途切れさせた彼にも、知らぬ先か。

花を植えて、朽ちた葉を払い、残った種で次の四季を越える。
輪廻を手繰る彼は、この庭園を作り上げたのだろう。
まるで大樹が木陰を作り、花々を慰めるように。
―――――或いは、弔うように。>>28]

 なら、いつも墓守代わりか。
 景気の悪りぃ話だな。

[片手で己の短い髪を掻いて、僅かに顎を引く。
彼の口ほどの物を言う眼差しを頬に感じると、軽い瞬きを挟み。沈黙を一拍。>>29]

(39) 2014/09/21(Sun) 20時半頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[何事か口を開こうとした矢先、櫻が揺れるのは金華に誘われ。>>30
失墜した言葉は口腔の内に仕舞いこみ、察した花の聡さに弁明せず無言の肯定として肩を竦めて見せた。]

 俺はともあれ、座敷代を払って、
 態々、茶飲みに来るというのも、酔狂なことよな。

[夜の茶会が、無聊の慰めとして成り立つ事は知っていたが、花と蝶の立場弁える身には縁遠い話。されど、水が此方に向けられれば、また指先で蟀谷辺りを引っ掻いた。>>31>>33]

 幼子で在るまいし、いらねぇよ。
 茶なら一杯貰おうかね。毒入りでねぇなら。

[気の良い蝶の傍ら、夜蛾は平時と違わず櫻花に揶揄を降らせた。]

(40) 2014/09/21(Sun) 21時頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 ―――…だらしねぇ顔をしやがんなよ。
 誑かされているようだぜ。

[悪い夜蛾は彼の善意を打って算え、皮肉な笑みを乗せる。>>43
甘味は櫻樹が重ねる小さなしあわせの素の一つ。
それを与えるニコラスは良き蝶だろう。

ふむ、と吐息を一つ漏らすと、続いた言葉には首肯を浅く。>>44]

 お前さんとはこの先、そんな巡り合せもあろうかね。
 ―――…最後の晩餐には程遠いが……、

[そんな夜も悪くない、と、珍しく殊勝な心地で、相席を申し出ようとしたその時。差し挟まれる声が己の思考を止めた。]

(48) 2014/09/21(Sun) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 ――――…、

[不意に飛び出た彼の告げる架空の毒害計画。>>45
企てる花は毒を持ち得ぬ種だが、男は重い半分ほど降ろし。

口から出てこなかった言葉と、彼の告げなかった言葉が水面下でぶつかった気がした。]

 ……いや、やはり止めておこうや。
 何処に隠し持っているか知れねぇ。

[興が削げたとばかりに、片腕に下げたコートを揺らめかせ、中庭を覗いていた窓辺より別離。嬉々として仲睦まじい彼ら二人を残し、夜蛾の鱗粉撒き散らしつつ。

ただ、スーツに包まれた片腕を持ち上げれば、櫻子へと「枕を借りるぜ。」と端的な言葉を届けた。
謎かけめいたその言葉を彼が理解するのは、花主に召喚される時か。



今宵、夜蛾に櫻梢が買われたと、伝わるその時か。**]

(49) 2014/09/21(Sun) 22時頃

墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

2014/09/21(Sun) 22時頃



[森の奥の奥の小屋には、小さな月が、堕ちている。

なんて、まるで御伽噺の様な――終わりで、始まりを。]




 ――…亀吉。

[嘗て、ある城に仕えて居た頃に。その主に授かった小屋。
その風貌はまるでヘンゼルとグレーテル、かの魔女の住む家だと嗤う者も居るだろうか。
されとて親も、形見も、何も無い自分には初めての贈り物。初めての自分のもの。家に自分のものを揃えて置きたいと思うのは――そう、ごく自然の事だと。
頬に当たる温風が首筋さえ撫で、森の奥へと流れて行く様を横目に、彼の不安を剥がれぬ濡れ紙のように脳裏に張り付けながら、ただただ先を想い踊る胸を抑え。

その兄妹の御伽噺のように、道標のパン屑は無い。
野薔薇に抱かれる塔へ向う王子の為に、誘ってくれるものさえ無い。
そう、この秘密基地を知るのは夜に微睡む月と、森の影。
――そう、泡沫の様に切ない幸せを望む二人と …影、のみ。


  宵闇は、館のみに留まらず。]


― 現在 ―

 …ん、……あ。

[ぱちり。自分で閉じた覚えの無い目蓋を押し上げる。
見えたものは仄暗い世界。感じたものは冷たい床。

――嗚呼、籠から出たものは、所詮夢だったのか。

そんな絶望に似た情を胸に燻らせながらも身体を起こそうとした時に、一閑後頭部に響いた痛み。まるで夢では無いと示してくれたそれは、ハッピーエンドでさえ無いと暗に指し示しては嗤ったように思えた。

今一度床に突っ伏したならば、冷たい感覚にもちいさく呻きでも上げただろうか。]

 …どこだ、ここ。

[確か、確かと思い巡らす。
かの淡藤が――否、好い人が、腹を空かせているだろうと街へ出たその先で。
好い人の為に、先ずは休める物を集めようとしたその矢先に。
立ち憚る影はまるで走馬燈。数人の影は自分を包み、軈てはその影を、…手元の狂気を振り翳し――記憶はそこで闇に呑まれて消えている。]


  …帰らなきゃ。

[ただ自分を突き動かすのはその衝動。彼の不安気な眼差しが胸を射抜いては、焦燥感がせり上がり。

そう、帰らなくては。自分達の家へ。
これから綴る、物語の行き先へ。
――そうでなければ、月が、泣いてしまうから。

然し重さを伝える四肢は、妙な金属音と共に。ぐるりと暗がりを見渡し見えたのは、自分と同じ様な人と。
……この町に在ると言う、小さな娼館の名前、だろうか。]

 …――ちょっと、……笑えねえよ。

[身を売られたか、売られる道中か。真相は定かでは無いけれど。
翅を未だ持つ蝶を閉じ込めるような鉄籠は、蝶の胴を押し当てても揺らぐ事は無く。

幼い記憶の奥底で、じんわり思い出すは近辺に住む悪趣味な金持ちのこと。
嗚呼、これじゃあ物語は綴れないと。震える唇は彼の名前を紡ぐ。]


メモを貼った。


ー寂寥の日ー

……また新しい方がいらっしゃいましたか。

[娼館の裏口停まる荷馬車一台
売られた人、これから売られる人を集められた鳥籠がそこに鎮座する。定期的に新しい花を卸しに来る商人が、また新たに連れてきたらしい

此処にある花、どれを買うかは分からねど娼の主が検分を始める。自分は丁度手が空いていたので主の証文等々の荷物持ちとしてその場へと立っていた

主がその荷馬車の主であろう人と交渉しているその中で、目を引いたのは茶の髪をした少しばかり身なりのいい商品
その頃はまだぼろぼろの爪ではなかったろう。それで己が額に掛かる前髪払い]

――……?

[と、彼が呟いた名に、聞き覚えがあった気がした]

亀吉君を、君はご存知なのですか?

[もしかしたら、聞き間違いだったかもしれないがそう尋ねてみた]


メモを貼った。


メモを貼った。


─?─

[ピクリと睫毛が震える時、漏らした声は掠れていた。]


[突如暗くなった視界の中。ぼんやりと覚えているのは勝手気儘に揺れる身体。

鼻を掠める人の気配を意識の外で微かに感じながら、鉛のように重さを持った体躯が、硬い膝元に沿うように寝そべっていることに気付いたのは、耳朶から顎をなぞる肥えた指先が幾度か往復してからのこと。]

──…っ!

[息を飲む音。強張る肩。
反射的に顔を背ければ止まる指の動き。代わりに響いたのはガシャン、という金属の音。

不快な旋律に顔を顰めれば図ったようなタイミングで掴まれる頤。
視線の先、映るはいつかのあの男

水面にて映った影とゆっくりと重なっていく]


「迎えに行くと言ったじゃないか」

[囁く男の声は猫を撫でるような甘いもの。背筋に冷たい一筋を垂らしながら青年は瞳を見開かせたまま、男の指先に捕まり]

…ぃ、やだ……ッ!

[寄せられる顔。逸らしたのは一瞬。
歪む口元は青年のものではなく、男のもの。

叩きつけられたのは臥榻の上。
何処か埃臭い布は所々黄ばんでおり、記憶のものに比べて随分と薄汚れたものとなっていた。

それは花籠での暮らしが恵まれていた故か、この金持ちの生計が何年か前此処で閉じ込められていた時より傾いてしまった故かは知らぬところ。

どちらにせよ、記憶の片隅で比較してしまうこと。出来てしまうことに眉をキツく寄せては押し倒されるまま銀糸を散らす。

口籠る青年を満足げに見下ろす黒い影。]


「また伸びたのか」

[喜色を含んだ男の声が、結えられた髪を梳いていく。
不興を買って花籠へ連れて来られた時とは異なる愛玩するような手付きで。

ぞわりと悪寒めいた感触が身体を蝕む。背けることを許さないとばかりに寝台に張り付けられた鎖の先端。

男の脂切った指が、つま先がそっと、そっと髪紐へと向かい、暴かれていく。

白に揺れる銀色。満足そうに見下ろす男の口元は弧を描く。

乱された花頭に過るは射干玉の香り。何処からか射し込む光は陽か灯かは分からない。

けれど広間にて寄せられた櫻の花弁が散らしたそこを、散らされてしまう指先を、心底恨めしそうな顔をして歪ませただろう。]


[途端、男は笑み失せたつまらなさそうな顔で寝台に張り付けた青年に視線を向ける。
けれど青年の首元に残る所有の印を見やれば下卑た笑みへと代わり]

「…ああ、『花』だったのか」

[揶揄るような声が小さな小部屋にて響き渡る。
蟻走感を覚える青年より先に不躾な指の腹が首筋から首元へと辿り、花籠を抜け出す際に緩んだ衿元を寛げようと踊り出し]

「ほら啼いてくれよ 亀吉──…」

[全身を覆う陰がそっと、覆いかぶさった*]


[そして再び意識が浮上する頃には男の姿は見えず。
代わりに吐き出された欲がてらてらと腹を汚し、はっきりと男の痕を残していた。備え付けられた簡易な小窓に這いつくばるようにして近寄ろうとして、金属音が厭な音を立てる。]

「外の世界を好いてただろ?」

[行為の最中、揶揄るように並べられた言葉。
愛のない所有欲のためだけに身体を揺らされながらも、その台詞だけは拾っていた。

主人曰く──…

好きな分だけ見ればいい。
小窓からはお前の好きな街が見られる、と。

その度に首元から奏でられるは捉える為の楔。
犬や猫を飼うのと同じ、首輪。
喉仏を圧迫する枷を楽しそうに時折引いては嘔吐かせられた。

男が満足したのはどれくらい経ったのかは手放した意識の後が知ること。静まり返った部屋は殺風景で寝台以外は何の変哲もない場所。

自身の首元を覆う革以外は。]


[窓から射し込む光に近寄ろうとしたのは、首輪が不快な音を立てる前。
男の口とは裏腹に、ギリギリ小窓に届かないくらいの距離で留められた鎖。

乾いた舌の音が部屋に響くが気にしない。
咎める人は今いない。

だからこそ、喉仏を締め付ける首輪の圧が加わろうとも、身を乗り出し小窓の下を覗き込もうとして──視界に掠めたそれは──…?]

……ト、…ィ…

[囁く声は掠れて *響く前に落ちた*]


メモを貼った。


― 人売りの馬車 ―

[皮肉な物だと、一人自嘲した。
籠から逃げ出した蝶は形を変えて花籠へ、戻る事になるだなんて。

目前で繰り広げられるは花の売り買い。人による人の欲の為の、花の売買。ひとつひとつ乱雑に摘み上げられる花達は、それまた乱雑に分別されては要らぬ根を、足を伐採される。――契約書と言う名の鋏に依って。

自分まではまだ数も在るだろうか。
恨めし気に役人を見ることはあるけれど、売られる花には一瞥もくれず。共に咲くことになるだろう花のことなど、知りたくも無いと顔を背けては茎となる前の手足に力を入れ

――そうしている内に聞こえて来た声には、思わず大きく顔を上げた。]



 …キミこそ…、…亀吉を知ってるのかい。

[その姿は花売りには到底見えず。ただ傲慢な売り人買い人の側に立つ彼はまるで「花」。まさかと睫毛を震わせるけれども、返答を貰わずには声も出ず。
ただその代わりに、否元から懇願する気は有ったのだろうが――急いだように言葉を紡いだそれは此処から出る術を尋ねるもの。

「ねえ、ちょっと、ここから出してくれない」

なんて、冗談めかし、苦笑混じりに籠を押す。
まるで少しだけで良いからと、無垢な子供が境界線を知らずに大人に疑問を掛けるように。

…そんな事をすれば、子供で無い自分は、地位の持つ立場でない限り。此処の役人が余程の「甘人」でない限り。彼の身に降り掛かるモノが視えているはずなのに。]



[ただ脳裏に浮かぶ朧月は今や好い人。
其れがどうにも泣いているような気がして、かの瞳が魅せたいつの日かの寂寥が余計に気持ちを焦らせる。余裕を見せたつもりの言葉はただ早歩きしているようにも思た。

然しそれでも、気のせいかもしれないけれども。
星に宿されたとんでもない出来事が、堕ちた月へと降り掛かる様な胸騒ぎがした。]

 …――俺、急いで帰らなきゃならな、…いんだけど…さ。

[ 一刹那。
気持ちを誤魔化し弛めた頬を引き締め、神妙に言の葉を紡ごうとしたその視界の隅にて。遠い遠い道の果て。大きな屋敷に造られた窓辺

そこに彼が、居た気を持ったならば。
…今や花に成り掛けた蝶の顔は強張り、ただその紺瑠璃を酷く揺らし咽は水に飢える。]


…ええ。昔の知り合いです。
[絞り出す声はどこかよそよそしい
出して、という言葉にゆらりと瞳を揺らめかせ。暫し考えた後]

……今は無理です。でも、脱走する手引きなら。
今はこの廓の主に買われて下さい。
水揚げまでには時間があるでしょうし、それまでに機を伺えば今ここで逃げ出すよりは逃げ伸びる事の出来る可能性は高い。

主に口を聞いてこの花を買ってと甘言することはできます。
……どうなさいますか?

[急いで帰らなければ、と言ったその亀吉の知り合いの顔が強張るのを見れば、声をひそめて尋ねた]


メモを貼った。


メモを貼った。


[こてりと。緩にちいさく余所余所しい返答へ首を傾げた。
男はただ前籠で花や蝶が行方不明になっているとは梅雨知らず、無知故に訝しむ視線さえ投げながら――そうして来たる返事にはこくりと浮かんだ疑問を腹に降ろしては「何かが在った気がした」窓辺から視線を外す。]

 ―――み、…水揚げ、

[ぱちり、ぱちりと瞼は瞬いた。
廓に通って居た自分が知らぬわけではない其れ。以前酒場にて小耳に挟んだことによれば其のような花を買った人さえ。]

 ……それ、一歩間違えば俺…ヤバいでしょ。

[伏せ掛ける瞳は凄みさえ垣間見え。自分が自分の気に入らない輩に抱かれること、そしてその姿なんて考えたくも無いと、首を振り髪を揺らし。ひとつ、瞬き。

首筋に掛かる髪先に擽ったさを覚え、その首元へと手を置いたのならば。軈ては吐息を空に混ぜ、彼の提案にこくりと首を縦に振った。]

 ……裏切らないでよ。

[そんな言葉を手土産に。]


……そうですね。間違えば貴方は汚されますでしょう。
でもそれは私が身体を張って止めましょう。
亀吉君の知り合いなら、此処へ繋がれているのは本意ではないのでしょうし。
この薄汚れた身で誰かを助ける事ができるなら、その方がいい。

[亀吉の名を切なげに呟いていた彼、もしかしたら淡藤と良い仲なのかもしれない
ならばそれを助けるもまたいいかと笑み零し]

裏切ったならこの首へし折っても構いません。
助けますよ――空にかかる月に誓って。

[逡巡の後この提案を受け入れた彼に微笑みかければ、主へと声をかけに馬車を後にしたろう]


[視界の隅に捉えた二つの影
遠目からと、一瞬の出来事にそれが誰であるかなどは分からない。

だからこそ青年が望むのはただ一つ]

(……どうか、知り合いでありませんように)

[首元を繋ぐ鎖に視線を落としながら、唇を噛み締める。
舌に広がる鉄錆。少し乾いた唇を湿らせては、張り付いた喉を潤す。]

(…お腹、空いた)

[呑気なあまりにも悠長な生理現象。自身に呆れつつも、下げた顎を上げ睫毛を上向かせた先は扉の向こう]


……俺は『花』じゃない。『人』だ。

[いつか、彼は告げていた。
物語を紡ぐのは人であると。

花籠を壊すことは出来ない。
花は翅を望んではいけない。

(それは花に与えられた運命であるけれど)

小鉢にて尾びれを揺らした梅の花。
小さな水面の下でしか咲けぬ命。

箱庭にて根を下ろす花々達の香りは未だ忘れることはない。]

(…でも、俺にはあの手がある。
月の下で、引いてくれたあの人の手の感触を俺は…覚えてる)

[月が綺麗だと謂って『外』へと導いてくれた手。
青年の脳裏に浮かぶは霧雨の中でもはっきりと歪んだ脣。がなり立てる金属音は騒々しく空気を軋ませる。]


──…ッ、こんな、モン…っ

[爪が革に食い込み、厭な音の後鋭い痛みが走る。
青年は眉間の皺を刻みつつも、やめる気配も見せず続けること少し。

閉ざされていた扉が開かれた]


[“煩い”その理由一つに見張りだろうか。屈強な男が現れては此方を見下ろす。青年はたじろぐことなく睨み返せば男の舌打ちが小部屋を揺らす。

それでも怯むことなく視線を投げつければ、やがて歪められた男の脣は弧を描き、下卑た笑みを浮かべて]

「嗚呼、紫とは大違いだ」

[と、比較するような言葉を投げつける。]

…紫?

[青年が不思議そうに鸚鵡の如く問いかければ、男は瞳に愉悦を滲ませ言葉を転がす。]


[そしてその“紫の人”が此処にいる男娼の一人であること。
艶やかな黒髪の持ち主であること。
そして、訪れた日にちを耳にして、瞳を強張らせただろう。]

………嘘、だろう。

[“藤之助さん?”問う声は儚く響く。

(あるはずがない。そんなこと。けどあの花見習いが嘘を吐いたのか?本当に?)

憔悴はまともな思考を、判断を鈍らせる。

狼狽しきっていた青年は気付かなかった。厭らしい貌をした男が一歩、二歩と距離を縮めていることに。
顎を掴まれてしまうまで。]


【人】 墓荒らし ヘクター

[早々に談笑を切り上げてしまうと、
男はその足で、迷わず花主の下へ向かった。
中庭に残した二人を振り返ることもなく、秋風渡る回廊を闊歩。

冷たい夜気は、人肌を求めさせるには良い塩梅。
されど、余り誰かを抱く気に慣れなかったのは、
外装で花籠に訪れてしまった為か。
謎掛け言葉を櫻子に飛ばしたものの、
買うてやろうか、やろまいか。と、茶化して、
別の花を選んだ事など幾らもある。

揶揄の対象にはなるが、同衾の対象にはならない。
まるで花としての彼を評価しないとでも言いたげな態度は、
廓を寄る辺とする彼を深く苛んだだろう。

男が花籠に訪れ、数ヶ月。
ずっと櫻の咲き方を、言葉で態度で、否定し続けてきた。]

(82) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[されど、今宵、花主に申し付けたのは一輪ではなく梢であった。
切花でなく花籠に深く根を下ろし、毎年同じ場所で咲く櫻。

彼の苦労など知らず、彼のしあわせなど知らず。
ただ、巡りあわせを引き寄せる。

それは蝶の遊泳でなく、それは夜蛾の誘引でなく、人の業。
覚めない夢でも、一時の幻でもなく、確かなる現実であった。]

 ……へぇ、とうとう枝切りねぇ。
 まぁ、聞けば永く居たものじゃねぇか。
 

(84) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 もうちと稼げる気もするが、お前さんの商いは
 肝心なところで法を抜けやがるからな。
 今後とも精進潔斎してくれっと在り難てぇ。

 ―――…此処は仕事で来るところじゃねぇよ。

[花主と馴染み然として交わす言葉は、
肝心な言葉を避けて深入りせず、小さく笑んで金子を放る。
選別代わりと少し多めに包んだが、オマケとばかりに
櫻には未だ告げていないとを教えてくれた。>>67>>68

男は指先に落とした視線はそのままに、
ふぅん。と気のない相槌で取り繕った。*]

(85) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

― 最後の地下牢 ―

[連日連夜の遊戯も今日でお終い。

コートを皺にならぬよう、安楽椅子の背に下げ、
ネクタイは捨てなかったが、背広の釦を全て外してしまった。
着慣れない訳でも、格式ばった装いを厭っているわけでもない。ただ、この花籠と乖離するようで、居心地が悪かった。]

 ―――……、……遅せぇな。
 これで、香でも焚いて居たと言えりゃ立派なもんだが。

 ま、駄々でも捏ねていような。

[どっかりと牀榻に腰を落ち着け、背筋を伸ばす。

最中に、想像に易い押し問答を口にしてみるも、
茶々を入れに赴く事も、面倒くさいと寝てしまうことも、
煩わしいと余所の花に浮つく事もなかった。>>70>>71]

(86) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[彼が来ないというなら、それはそれでも構わなかった。
だが、思考に反し、必ず来るだろうと予想を立てていた。

彼にとって此処は花籠、己は蝶。
そして何より、彼は花。

必ず、訪れるだろうと踏んでいた。
あの寒々しいほど白い衣を身に着けて。]

(87) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

[そして、彼は己の予想通り、花として牢へと降り立った。
黒衣を纏う男は、膝に前腕を乗せて、足の合間で指を組む。
ふらりふらりと舞い遊ぶ蝶でなく、悪辣な夜蛾でなく。

人として、得体の知れぬ男が、彼を待っていた。>>72]

 ―――…年がら年中咲いている櫻が、青天の霹靂語るなよ。
 
[口を開いて最初に飛ばすのは、相変わらずの減らず口。
彼が己に抱く苦手意識は、こうして直ぐに
真実をはぐらかしてしまう所にあるのかもしれない。

お前さんの慰めなど要らない。

―――と、突っぱねる強さがいつも言葉の裏に隠れていた。]

(89) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 言っただろうや、今宵は屋根を借りにきたと。
 そうも不満げな顔をするんじゃねぇよ。

[安宿なら花街以前に幾らもあって、彼を買うだけの金があれば、
コンシェルジュ付きのホテルとて宿泊できる。
しかし、そんな事実を世間知らずの彼は知らぬだろう。

この廓が櫻にとっては全てなのだ。]

 ……それとも―――、

[ひょいと、持ち上げた瞳が彼の夜色の瞳を覗きこむ。

明けない夜など無いと知っている。
けれど、彼の瞳は永劫続く常夜に似ていた。
明けない夜はないけれど、咲かぬ花はあるとでも言うように。]

(90) 2014/09/22(Mon) 22時頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 俺に抱かれたかいね、櫻子よ。


[せせら笑う悪辣な顔。
ひらりと櫻の香を掻き混ぜる右手。

歪んだ唇から吐き出す言葉は、また、彼を傷つける。*]

(91) 2014/09/22(Mon) 22時頃

墓荒らし ヘクターは、メモを貼った。

2014/09/22(Mon) 22時頃



[何故そんなにも尽くしてくれるのかと、疑問は心中を渦巻くけれど。
その後の月言葉が鼓膜を叩けば、「キミは、」と。]

 もしかして、キミは。

[行方知れぬ花のことは、知らないけれど。確か櫻が数本の花を教えてくれたと、和やかな宵闇を脳裏に。

軈てその後のの姿も彼の主人の元へと消えたならば、少しして鉄籠から出されることもあっただろうか――]

 ………鶴、と。

[そんな呼名を宙に吐き、ひとつ。ふたつ。歩を進める。
――その呼び名は、亀と名につく彼と対局したような――それでいて、お揃いの物ではあったけれど。]



[足の裏は鉄籠の硬いものから地面の柔らかな其処へと。
ゆうるりと音も立てずに、まるで影のように静かに。逆を言うならばお淑やかに。…そんなことが似合う人柄でもないけれど、せめてもの少しの間、その主への本心を隠すかの様に。

鶴と、名を紡いだ声は果たして誰かに、隣に咲く花に聞こえただろうか。

紺瑠璃の裏には夢を隠し、その夢さえ隠すように瞳を伏せる。]

…連れて行くなら、早くしてくれるかい。

[――但し素直な口先が、主の逆鱗に触れたのならば。
添う花の前で頬を叩かれでも、しただろうか。]


―霧雨の朝から数日―

[内臓がジクジク痛む。寝転がった石の床の冷たさが頬に刺さった。

此処は花籠から遠く離れた下賤な檻。花とも呼べない奇異な姿形をした者達を客が買う処。
そして店を構える前の男が奉公し、逃げ出した処。
店が見つかってから連れ戻されるまでは早かった。店の女は見逃されたものの、当の男は折檻、折檻、折檻。]

…………飽きた、って…

[自分が何かを主張したところで、此処では何も変わらない。

ゴロンと寝返りを打つ。後ろ手に回された腕に課せられた手錠が金属音を鳴らした。
さて今日の仕事はといえば「店の前に手錠で繋がれる係」これは店の趣向を伝える為。
「花が吸う煙草の火を背中で消す係」花に、自分よりも下の人間がいると思わせる為。
外から、扉の鍵が開く音。始業の時間だ。]


[排水溝が臭う店頭で、椅子に腰掛けながら空を見上げた。まだ、月は出ていない。
思い出すのは連れ戻される前の夜。無理やり言わせた言葉。]

馬鹿か。

[空に唾でも吐きかけるように自嘲した。背中の熱さと風の冷たさを感じながら、眠るように瞼を伏せる。*]


メモを貼った。


[問われた言葉には視線だけ呉れ、口元に人差し指を当て、踵を返したろう]

…鶴、ですか。良い名ですね。

[新しくついた花見習い。揶揄の様な口先、主の前でしたなら平手が飛んできただろうか
少しばかり怒る主に責任持って育てろと言われれば頷いて]

私は紫。宜しくお願いしますね。

[そう言って鶴に微笑みかければ、水揚げの日を聞いて脳裏で計算。そして耳元で]

……1か月。その間に亀吉の居所を探します。
くれぐれも、君は怪しい動きをしない様に。
私は処罰されてもいいですが、君には待っている人がいるのでしょう?

[忠告した後そう尋ね]


メモを貼った。


メモを貼った。



[主の姿に少しだけ肩の荷を下ろしたのは寸分。読めぬ宵闇よりかは大分マシだと呆れさえ滲ませた笑みを浮かべ、――そうして告げられた期間には、即座に笑みは凍ってしまった。]

 …一ヶ月?…長すぎる。

 ここから先を行った森の中、そこに月が落ちてる筈だ。
 …きっと。

[震える声は何の為か。悪寒は胸を過っては背筋を這い、ただ悪戯に気持ちを焦らすのみ。

「…だから、そこを始めに探して」
続けた聲は低く地面を這いずり回る。
脳裏にちらついた月光の名残は消ゆることを知らず、「万一其処に居なければ」、と、…薄汚れた金持ちの存在を、静かに紡ぐ。]

 ―…怪しい動きなんて、するもんか。

[月さえ。そう。彼さえ無事ならば、例えこの身が永久に地下の宵闇へ沈むこととなろうとも。
然しそうでないなら別だと――唇は歪に形を変えては、続いた質問にはただただ秘密と顔を背け]



 …紫。キミが月と何の縁があるかは知らないけど。
 信用は、する。今だけは。

 でも俺は、キミが罰されることになろうとも、その身を救うことはしないかもしれないよ。

[後に続けた言の葉は、冷酷とさえ譬喩されるかもしれない。
余裕があれば、もしかしたら、若しかすると、援護に回った飾り言葉さえ、自信を無くしては地面へと落ちて逝く。

ただ、キミに何かあることで、淡藤の頭が垂れてしまうのなら。

その時はその時だと、温情は腹に沈めた。]

――だから、だけど。…共に月を、探して欲しい。


【人】 墓荒らし ヘクター

 それも今宵で最後よ。
 ―――…俺は外に、もっと遠くに帰らにゃならん。

[駄々の余韻を残す彼へ、事も無げに明日からの不在を伝えた。
また一人の男が彼の傍を通り過ぎて、花籠に櫻を残す。>>103

降り積もる櫻の花弁は柔らかで、花籠の底を隠す。
誰かの為に咲き、誰かの手で散らされ、誰のものにもならず。

堪えるような顔を双眸に映して、細い吐息を唇より漏らした。]

 酷い酷いと口ほどに物言う癖に、ちっとも泣かねぇな。
 本当に一滴たりとも―――…、
 

(109) 2014/09/23(Tue) 01時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 お前さん、櫻の為に泣いてやらねぇな。
 
[寂しいとき、苦しいとき、哀しいとき、辛いとき。
自らの為に流す一滴を彼は知らない。>>105
憂いのない生など、どれ程美しく咲く花にもありはしない。

では、彼が流さなかった涙は何処へ行ったのか。
櫻の下に埋まっているのは死体じゃない、
きっと彼が沢山捨てたものが海を作って沈んでいる。]

(110) 2014/09/23(Tue) 01時頃

【人】 墓荒らし ヘクター

 庭に咲いた櫻の香りが欲しいわけじゃねぇ。
 お前さんの慰めが欲しいわけじゃねぇ。

[きっぱりと彼の問いに一声を返す。
誘ったくせに、寸でのところで心を突き放し。>>108

代わりに持ち上げた腕は、彼の腕を引いた。
五指で余る細い手首は長年を掛けて作られてきた花の造形。
引力は彼の痩躯を支配し、傾斜させる腕力が強く。]

 ―――…眼くらい閉じろよ、色気のねぇ。

[囁く声は少し冷たく、触れた唇は少し熱い。
人には注文つける癖、己は瞼を下ろさなかった。

花としてでなく、蝶としてでなく。
櫻を愛でる心地でなく、蜜に誘われる欲でなく。


ただ、そっと櫻より生まれた子の唇を吸った。*]

(113) 2014/09/23(Tue) 01時半頃

わかりました、森ですね。
では最初にそちらに足をのばしましょう。

[震える声を聞けば心得たと頷いて
万一言ない場合はという場合のことも静かに聞く]

金持ち……ああ、あの方か。
心当たりはあります。淡藤に執着している主のことでしょう。
先にそちらを探した方がいいかもしれませんね。情報感謝します。

[秘密と顔をそむける様子には苦笑一つ
今だけは信用するという言葉に何処か疲れた笑み浮かべ]

……ええ、今だけでいい、信用さえしてくれるなら。

別に救わずとも構いません。しいて言えば私は羨ましいのかもしれない。
私は、願えなかったから。
大切なものなどもう、なにもないのです。

[飾り言葉にも首を振り、必要ないと切り捨てた]


だから私を使い捨てなさい。
亀吉君が君の月なら、それを共に探しましょう。
僕とてあの人の幸せ願っているのですから。

[そう、鶴に告げれば踵を返して
空には朧月がかかっていたろうか]



[その疲れた表情に、何処か遠い昔のデジャヴュを感じたのは――疲れているのかもしれない。なんて]

 …探したりは、しないの。……大切なもの。

[羨ましいと、正直に伝えられる欲にはただ移った困惑を示し。
願えなかったと言を紡ぐその怖色は、どんな色に染まって居たのか皆目付けることさえせずに。ただ、はきりと言うならば。その色は「後悔」のようにも思えた。]

 ( なら、もうそれ以上は )

[「キミが苦しむようなことは、しない方がイイんじゃないのかな。」

慈悲とも、御節介とも、余計な言葉添えとも取れる其れは、彼の横を通り過ぎる際にちいさくこすりを上げては目前の花へと。
草臥れた花はまるで生気さえも無く、…次に摘ままれたのならば、直ぐに折れてしまいそうだとさえ、不謹慎な感想を持った。]

 …キミ、ここから離れた方が、いいよ。

[そうしてその背を、そっと前へと押し出しては、欲の渦巻く娼館へと足を踏み入れた。*]





――その入口に、宵闇は亡かった。

かの花籠より随分質素に感じられる扉を潜り、踵を鳴らす。まるで隅々へ響いた踵音は娼館に吸い込まれては、廊下の奥の奥、遠い暗闇へと消え融けて行く。

背後を振り返っても、道標は無い。
前道も茨に呑まれてしまった。

真の信を置けるものは夜に咲く花、夜空の月。ただ変わらぬ光を、…慈悲を。情を。変わらずに躯へ与えてくれるただ一人の「  」。

《パンは鳥に食べられてしまった。》
《進む道は、茨道。》

いつの間にか、夜のろうそくは燃え尽きてしまった。うれしげにはしゃぐ朝の光が、もやに烟る山の頂で爪先立ちしている。


《行って生きのびるか、とどまって死ぬか》

籠の中から翅を空に、天に伸ばした時から、進む道は前にしか無く。

「だから、この先を」

――歩めばキミを 見付けられるだろうか。
月を森に隠した筈が、今度は自分が迷子になってしまったと、口端は震えながらに弧を描く。

そうして、その先。視えぬその先を見る為に。紫の言葉さえにも意にも介さず――否。少しばかり、同情したのかもしれない。草臥れた花に。色褪せた紫に。
だから、だからこそ。
走ったその先、開けた場所に月が大きく咲くまでの道程を、只管に。

「……待ってて。」

      ―― 走る。




衝突に衝動に呻く花々。
耳に入る怒声。
背後を追う葦音。
耳を劈く激しい音は銃口でも鳴らしているのだろうか。

それでも耳に蓋を、意識に板を立て。視界を過った月明りだけを頼りに、格好悪い程我武者羅に足を動かすのは本能か、はたまた理性か。

「   こ…ッの…!!」

――まるで禁断の果実を齧り逃げる罪人だと、人は背を指差しせせら嗤うだろうか。

石畳を駆け下りては、人混みを掻き分け。紛れ込む宵闇の影には冷汗さえ混じえながら。息が浅くなっていることなどは当に知らず、洒落た地面を蹴り立て独り、奔る。
濡れた衣服が気持ち悪いと、そんな冗談さえ捨て置いて。



――まるで見た目に魅せられ本質を知らずに恋をした白雪の王子だと、人は嗤うだろうか。

かの月の下、隠れる銀月に手を差し伸べた夜はまだ浅く。
その夜綴った愛情は、そう、自分の欲を満たす為のものだったと――言い切れはしないけれど。
震える彼を、憂を滲ませる彼を前に抱いた感情は「罪悪感」。
それが何処から来たものなのか、心中を探り当て見付けたのは「恋心」。
愛しい者を虐げ泣かした青年の、可愛く無い一つの情。

芽生えた胸花はただ擽ったく。到底慣れるものでは無いと知りながら。
それでも月を追ってしまう自分は、牀榻な莫迦だと、彼は微笑うだろうか…あの日のように。


[『探したりはしないのか』
そう問う声は胸を抉る
きっとその大切なものは、花籠の中で大輪の花を咲かせているだろう
きょうも あすも あさっても
だからこそもう、手に届かぬのだと諦めたのだ
儚く笑んで瞳閉じれば郷愁を振り払う

続く言葉は慈悲か節介かは知らねど、その若者の心根が美しいことを示唆していた
だからこそ助けたいとも思う
もう藤には戻れぬ、汚れた紫なればこそ

後悔は一度で十分だから]

――私には。もう帰る所もないのに?

[もうなにもない。たいせつなものも。
唯そう呟けば背を押し出す手を受け、真っ直ぐ歩んでいく

淡藤が強欲なる主の手に囚われたという知らせを彼の元へ運んできたのは。十日たった頃だった*]


─?─

[どれくらいの時が経っただろう。
此処へ連れられてからの時間経過はあまり覚えていない。

“紫”と呼ばれた男娼と会う機会はその後あったか、無かったか。
あったのならば、“何故こんなところに”と言葉を零しただろう。

鎖に繋がれて何度も脱走を試みようとした。その度全て失敗に終わり、身体に刻まれるは複数の刻印。

“立場を弁えろ”
“主は誰だ”
耳元で呪詛のように呟かれた言葉。

その度に心が軋み、身体が切り裂かれそうになれど、首を垂れることはせず唯々睨み付けていただろう。]


……藤之助さん。

[沈む空に向かって名を紡ぐは藤の人。
彼の宵闇を裂くような琴の旋律はもう奏でることは出来ない。]

(…せめて、せめて同じ場所にいられたのなら)

[朧月と違い、彼と特別親しい訳でもあるまい。

枯れぬ桜の梢と違い包み込むような暖かさも愛らしさもあるまい。

彼岸花を思わせる灼熱の桔梗のようにうまく仮面をかぶることもできまい。]

(…それでも、)

[手のひらを握り締め、俯く夜は長い。爪はすっかり伸び整えられた髪はかつての潤いもなく、ただ伸ばされたままの散切り頭。

落ちるため息は、深く─…]


……どれだけ罪を洗い流せば、空は許してくれるのでしょうか。

[薄暗い室内を眺める瞳は、ボンヤリと昏く。]

……高望み、だったのでしょうか。

[『花』が、『人』になど。
ぽつりと落ちる呟きは、唯々静まり返った屋根裏部屋を揺らしていく。]

…『花』はいつも…美しくなければ、いけなくて。

[顎を引いた先に映るは、薄汚れた手]

…『花』は蝶を選んでは、なりません。
…『花』は翅がほしいと願ってはなりません。

[指先が揺れて視界はボンヤリと浮かぶ月のように曖昧なもの]



礼儀のノックは必要無し。

舞い散る鮮血は稀に見ゆる紅の螢。

月に集る薄汚れた小虫は見た目に違わぬ音を立て床に崩れる。

そうして擦れる鎖は月を空へ戻す為の重い釣り糸。

――「嗚呼、やっぱりここに居たんだ」と。
     月人は路を辿り、光に揺蕩えば安堵を込めてはにかむ。

幼少の頃から毒を食した蝶が毒を持つ翅を伸ばす様に、また「青年」も毒を散らしては紅月に唄い。

ただ一つ、その鎖を断ち切ったのならば。
軈ては「彼」へと手を差し伸べて、人は唄う。


何方かを好いても
何方かを嫌っても

けっして、ならぬ

特別など……、

──あっては、ならぬのです。


[「しあわせですか」
いつかの問いが、櫻の香りがふわりと漂うような錯覚。
腕を掻き抱くようにして、自身を包み込み、青年は─]


――そしていつかの日――
["花が逃げたぞ"
そんな言葉がささやかれるのを聞けば

手引きした男はそっと笑んだ]








「…綺麗な綺麗なお月様。俺と一緒に、永久に逃避行をしてくれませんか。」


――なんて。**



“True love never grows old”

(真実の愛は朽ちることはない)


[はにかみ、深く刻まれた笑みの痕にそっと雫を垂らして]

しあわせです。

[そっと祝詞を口遊んで、視線を向けた扉の先から零れたのは─]


【人】 墓荒らし ヘクター

[約束など花籠では、一時の夜より脆いもの。
また来るよと告げて、彼の前から姿を消した蝶はどれ程いたか。
少しお暇を頂きますと去った花は何処で枯れてしまったのか。

彼はそんな多くのものを中庭に埋め、
墓標の代わりに花を育て、慈雨の代わりに涙を捧げた。
彼の苦労も悲しみも、全く以って想像の外。]

 ―――…お前さんが花でなくなったなら。
 遠く、遠くへ、来な。

 物知らずには丁度いい道中よ。

[重ね合わせた唇から注ぐ声は静かで、喉に流し込んでいく。
引き寄せた彼の手に握らせたのは、輝く徽章。

隣国示すエンブレム、遠いシンボル。
裏に刻まれた己の本当の名前。]

(118) 2014/09/23(Tue) 02時頃

【人】 墓荒らし ヘクター


 ――…花でなくなったら、

[その時は。と飲み込んだ言葉。
続きは啄ばむ口付けに紛れさせ、夜に溶かした。

彼が自分の為に泣けるようになったのなら。
寂しい事を寂しいと、哀しい事を哀しいと。
死体を埋葬するように、中庭に蹲ることがなくなるのなら。*]

(119) 2014/09/23(Tue) 02時頃

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


トップページに戻る


← ↓ ■ □

フィルタ

注目:ヘクター 解除する

生存者
(5人 60促)

ヘクター
54回 注目

種別

通常
内緒
仲間
死者
舞台
背景

一括

全示
全断
反転

ツール

クリップボード

ピックアップ

>>【】
(0.117 CPUs)
SWBBS V2.00 Beta 8 あず/asbntby
あっぱれ、うっかりアイコン by 小由流
人狼議事キャラセット by りりんら
管理 sol・laななころび