95 File.2:Do you Love me?
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― 被験者棟管制室 ―
やあやあやあ。随分と早かったねー!
もしかして、記念すべき第一のギセイシャ?
[管制室の扉が開き、赤縁眼鏡に長い金髪を一纏めにした白衣の女研究員が、片手を上げながら現れた。]
まぁボクのクローンはボクに似て大人しめの
かぁいらしいコだったからね!
大方、殺気立った他のコにやられちゃったんでしょー。
[死因までは確認していない(通信にあっても読んでない)ので、そんな事を言いながら。]
―管制室―
[長い髪を三つあみにした地味な女研究員が、そろりと管制室の扉を開けた。
そこには、すでに詩亜の姿があった。]
あ…詩亜ちゃん…。
わたしのクローン…詩亜ちゃんのクローンと、一緒に死んだみたいだね…。
[小さい声でそう言いながら、モニターへと目を向ける]
………!?な、なんだって、志木さん!
それは……実に残念で、愉快な結果になってるね!
自分から襲撃に行くようには見えなかったんだけどなー?
[顎に手を当てて、首を傾げた。
何がクローンを駆りたてたのか。死にたくないという意思か、それとも他に要因があるのか。]
あっ、和蓮さんもおっつかれさまー!
うん、見るよ見る見る!
てゆーか、最初から見よっかな?
[ぽいっと口に一つ、葡萄味のチューインガムを放り込み。態度は不真面目だが、表情だけは真面目な研究員のそれ。]
ん?ああ!そうみたいだね!
[振り返ると、そこには牧田の姿。通信の内容は死亡確認した後は読んでいないのだが、ここに彼女がいるということは、そうなのだろうと判断する。]
まま、一緒に確認しようか!
[志木に勧められた席の隣りをさらに牧田に勧め。]
志木さん、和蓮さん、お疲れ様です。
…流さんも。
[その場に居る人間に会釈をする。流の言葉には困った様な視線を向けつつ。]
うん…。
ありがとう。
[ 詩亜の言葉に頷くと、勧められるまま隣に座った]
なんだとう。
サバゲーじゃあるまいし、生き残ることが目標じゃないからいいんだよ!
生き残ったモンに興味はあるけどさ!
[眼鏡をくいっと上げて、流れを睨んだ。]
どこ面白かった?見逃さないようにしないと。
しかし、ボクらのクローンは大人しい系だと思ったんだけどねー。
[それから、和蓮のアドバイス通り、時々早送りしながら、被験体の状況を確認していた**]
そうかな…詩亜ちゃんのクローンは、元気な子になるんじゃないかなって思ったけど…。
わたしのは、どうせさっさと死んじゃったろうな…。
[ 詩亜が早送りする画面を覗き込みながら、そこで起こった出来事に目を丸くしていた**]
―管制室―
ほむほむほむ。
まあ大体は理解できたよ!
[過去の映像…主に、見逃していた場面をチェックし終わり、現在までに追いついた女研究員は新しいガムを噛みながら呟いた。]
しかしまぁ……今回の被験体はやる気満々だねえー!
殺すこと自体にはそんなに葛藤もしていないときた!
ま、そういう風に造られたコが多いのかな!
[カメラに映し出される映像を見ながら、感想を述べて。]
グループも綺麗に別れてるんだな。
あんまり団子になると、数が少なくなって裏切りあった時が大変だ!
それがわかってんのか、2〜3人が基本だし。
全体的に冷静に動けている感じだね。
やる気になりすぎて生存者ゼロになんなきゃいいんだけどな!
しかしオスカーだっけ、このコはいいな!
戦力的にはワンダとラルフペアが一歩前へ行ってるが、
オスカーの交渉術は面白い。
首輪の爆破を逆手に取るとはねー。
[ぺしっと膝を叩く。]
でもま、ボクは組めてないコを応援しようかな!
例え一人でも頑張れー!
[ピエールやトニーを見ながら、
聞こえるわけもない応援を飛ばし。]
はてさて、どこが残るかなー?
[ピンク色のファンシーなシャーペンでメモを書きながら、
残酷なゲームを楽しむ観客はのんびりしていた。*]
―施設内―
…? ここは…。
[目を開くと、白い世界が広がっている。周囲を見回すと、遠くにモナリザの姿が見えた]
わたしは、死んだはずでは…
[両手を見ると、うっすらと透けていて向こう側がぼんやりと見えた。]
…幽霊、というやつか。
[以前読んだ本に、そんな話があった気がする。
死んだ人間の魂が肉体を離れ、世界を見通すことが出来るという御伽噺。
まさか本当にそんなことがあるとは思っていなかった。
手を伸ばし、まじまじと眺めていると、その先に、モリスの姿が見えた]
モリス。
[小走りに近づいてみる。足音も床を歩く感触も無いことも、気にならなかった。
自分の身体を抱えた彼が、脇を通り過ぎる。その後ろをついてゆく。]
―リンダの部屋―
[字分の身体が、ベッドに横たえられるのを見守る。ベッドの上の自分からはいまだに赤い血が流れ、自分は今ここにいるはずなのに、もう一人自分がいるように見えて奇妙に思えた。
モリスが頬を撫でるのを見れば、何故か恥ずかしくなって]
モリス。きみの手が、汚れる。
[慌ててそう言うが、声は届くはずも無く。
モリスが自身の怪我を確かめている姿には、眉根を寄せた]
……傷だらけじゃないか。
[しゃがみこみ、手首の痣に触れようとするが、彼の身体をすり抜けてしまう]
そうか。幽霊とは、そういうものなんだな…。
[何故だかとても寂しい気持ちになった]
……きみの、したいようにすればいい。
きみには…死んでほしくないな…。
何のために、生きてるのか…きみ自身の答えを見つけて欲しいって思うよ。
[ 呟きに、そう答える。
最期に聞いた彼の言葉を思い返しながら
そうして、気を失った彼の横に座っていた。**]
―リンダの部屋―
[オスカーが部屋に入り込み、やがて入り口に幾人かの姿が見えれば、立ち上がり眉根を寄せる。]
……。
卑怯だ。
[オスカーが武器であろう棒を持っていることからも、モリスに敵意を持っていることは明確で。
じっと彼女らを睨みすえるがモリスの言葉には目を丸くして]
…迷惑?
わたしは、もう死んでるのに。
[死人の自分に気を使う彼に、唇を噛む]
[そして去り際にモリスが振り返れば、何故だか目が合った気がした]
――モリス…!
[死んでいるはずなのに、胸が締め付けられるように痛み、手で胸元を握り締め、
部屋を飛び出した]
―管制室―
ははっ。まーいいじゃないか、犠牲は付きもんだよ!
最初の犠牲がなければ始まらない!
[軽い調子で言ってのける言葉には、
半分負け惜しみも含まれている。]
えっ、この中で?
結構みんなギラギラしてんのに??
えーやだー、誰に似たんだろ、コワ〜イ。
[一番殺る気満々だったと聞けば、先の掌をひっくり返して、自分とは似てない主張をしたのだった*]
―管制室―
ラーメン食べてもいいけど、くれぐれも
スープはこぼさないでよっ。画面に夢中になって。
[一応釘を刺しておく。
電気機器はデリケートなのだ。
被験者たちよりも大事にされているのではないだろうか。]
弱いから群れて強くなる、生き物の基本だね。
草食獣とかそんなんでしょ。
[動物を例えに持ってくる辺り、クローンの考えと少し似ていた。クローンが元に似た、といった方が正しいか。]
―モリスの部屋―
っ、…!
[部屋に入ると、もう戦いが始まっていた。
多人数と戦う彼は圧倒的に不利で――]
モリス!!
[彼の身体に傷が刻まれ、やがてアイリスの鋏が脇腹を貫き、ラルフのメスが彼の首先を切りつけるのを見れば声を上げた]
[駆け寄り、モリスの顔を覗き込む]
何…?
モリス、なにが言いたい?
モリス…
[彼の唇が何かを呟くが、それは分からない。
やがてモリスが苦しげな表情を浮かべたまま、その身体の痙攣がとまれば]
――……、
きみに…死んで、欲しくないと言ったばかりなのに。
……。
[彼の傍に膝を付き、その指先に掌を重ねた**]
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