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― 被験者棟管制室 ―
[コツコツと高いヒールを鳴らし現れるは妙齢の女。
揺れる白衣の内には黒の一つボタンのスーツと短めのタイトスカート。
すらりとした足はクローンとさして変わらぬが
白のインナーから覗く胸元はクローンよりも豊かな弧を描く]
お疲れさまです。
入室許可が下りたンですけどー…
私のクローンの死因って、何だったンですかぁ?
[ふっくらと柔らかそうなくちびるに指先を宛がい
甘く艶めく声で中に居る同僚へと尋ねた**]
メモを貼った。
千奈ちゃん、ありがとぉ。
[和蓮から説明があれば礼を言った後、ほぅと感嘆の吐息漏らし]
私のクローンが自殺、ね。
服毒なんて意外な結末。
[軽く肩竦めるは自らのクローンの行動への呆れ。落胆。
示された閲覧用PCの傍らへ行き画面を見詰める]
一緒に死にたいくらいにピエールに惚れてしまった、とか ?
レティーシャを道連れにしないあたりは、らしい、けれどぉ。
[クローンの行動に納得がいかないようで
歌田にひらと手を振り笑み向けた後は食い入るように記録をさらう]
[前屈みの姿勢で早送りの映像を
じ、と見詰める涅色は研究者の顔をしている。
考え事をする時の癖なのか、指先で下唇を撫でながら
時折、訝しげに柳眉を寄せて、それに見入る]
―――…ふぅん。
[見終われば身体を起こし腕組みをした。
胸の谷間が強調される形となるが当人にその意識なく]
ピエールと心中したかったわけでもないみたいね。
モリスからの攻撃でかなりのダメージを受けていたから
余命を悟りチームに尽くした、って感じかしらぁ。
チームに、というより、
オスカーに、かもしれないけどぉ。
私のクローンが誰かに尽くす、なんて――…
[くすくすと笑う音はアイリスと似ているが
婀娜な響きが滲むあたりで印象は重ならない]
もう少し賢く動くかと思ってたのにぃ
期待はずれ、ね。
[ライブ映像に切り替える。
自分とそっくりな姿の死体を見るのは奇妙な心地だった。
悔いのなさそうな死顔。
組んだ片腕ほどき細い顎先の裏に親指の腹を宛がう]
何を思ってたのかしら。
[わからない、と言う風にさらと呟いて
二チームの攻防へと注意を移ろわせる]
オスカーのダメージが増えてる。
――…満身創痍、ね。
[悩ましげな吐息を漏らし、女はかるく肩を竦めた]
[ダメージを受けないフィリップをじーっと見据え]
――…運がいいのかしらぁ。
それともぉ、
身体能力が他のクローンより優れている、とかぁ?
[揶揄る響きは甘くも意地悪な響き]
メモを貼った。
メモを貼った。
[古株である志木に声掛けられれば身体ごと其方を向き
ぺこりと頭を下げるは敬意を払ってのこと]
志木さぁん。
何日ぶりですっけ、ご無沙汰してます。
あ、この前の約束、覚えてますぅ?
若い頃の写真、見せてくれるって言ったのに
私、まだ、志木さんから見せて貰ってませんよぉ?
[拗ねたような口振りはやはり甘い]
ですよね、私も予想外でした。
誰かに一矢報いる為の手段だったならぁ
なんとなーく理解できるンですけど。
― Side:OFFICE FLOOR ―
[10の席が島を作るフロア。
そのフロアにて、その一つの島を見渡せる位置に独立して席があり。
そこに座る鉄面皮の男が一人]
……。
[仕事の最中である。メールが一通届き、少しだけ手を止めて。動かした]
=============
To: 志木
From: 米斗
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Title: Re:管制室入構許可
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Subject:
お疲れ様です。米斗です。
筌瀬の自殺ですか。
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[メールのあて先と内容から推測した内容を送信して、仕事を続けようとするそぶりを見せつつ――]
……。
[首を左右に曲げた後、煙草とライターを持って、喫煙室に向かった**]
メモを貼った。
お疲れさまです。
この実験が終わったらゆっくり休めるといいンですけどぉ。
あんまり無理しちゃダメですよ、志木さん。
[詰めっぱなしだという志木を労い案じる言葉]
えー、今も素敵ですけど
若い頃も素敵だったって所内でも噂ですよぉ。
ふふ、見せて貰えるの楽しみにしてますね。
[写真については嬉しそうに笑み浮かべる。
面白い育ち方と言われれば頷きを返し]
環境や経験が違えば性格も違ってくるンですね。
自分とそっくりなのに行動も考え方も違うみたいで
見ていると、何だか変な感じです。
[志木が米斗の名を紡げば
少しばかり気まずそうな表情。
自分のクローンが彼とそのクローンに迷惑を掛けた。
理解するが故に悩ましい吐息が漏れる]
米斗くん、何か言ってましたぁ?
早めに謝っておいた方がいいかしら。
[最後は小さく独り言ちるように紡がれて
つ、と扉の方を見遣り思案。
彼が今どこにいるかは知れないから
探しにいく、という行動にまでは至らない]
それなら、少し安心しました。
志木さんに何かあったら大変ですもん。
[大丈夫と志木が言えば笑みを返し
首傾げる様にはくすくすと楽しげな音]
がっかりなんてぇ、しませんよぉ。
大人しい子、ですかぁ。データを見る限り、そのようですね。
運動には余り興味なく、隣人と接する事を重視……
知識欲はあったようですけど、内向的な子のようで……
[似た面もあるが違う面も多く其れが気になる。
面白いことと笑う志木にふ、と目を細め同意の言葉]
――…この違いは興味深いです。
そぉ、ですかぁ。
[特に何も、と志木から聞けば
はたりと瞬きして、またくちびるを撫でる]
――…ええ。
近いうち会えればいいンですけど。
[ワーカーホリックである米斗を思い
僅か悩ましげに柳眉を寄せた]
[和蓮の声に涅色が其方に向けられる]
如何するのかしら、ねぇ。
次に誰が脱落するのか、も、
興味深いですよ、ね。
[モニタに映る対象をチラと見遣り
くす、と小さく微かな笑みを漏らした]
どんな結末を向かえるンでしょうね。
――結果が楽しみです。
[プロジェクトの結果までは予測できず
志木にならうように画面に視線を向けた]
素敵な志木さんと二人っきりで
緊張していたのかも知れませんよぉ。
[自己主張の少ない理由をそんな風に言って笑う]
私も、環境と経験次第では
あのクローンのような性格になっていたかもしれないと思うと
何だか複雑な気分になります、ね。
抱えている案件があるなら
会いに行くのは控えた方がいいかもしれませんね。
忙しい時にお邪魔して邪険にされたらぁ
私、暫く、立ち直れないかもしれません。
[志木の忠告に心のうちで同意しながらも
しなを作り悩ましげな吐息を零してみせた]
― Side:OFFICE FLOOR ―
[喫煙室から戻ると、メールが戻ってきていた。返事を打つ
=============
To: 志木
From: 米斗
--------------------------
Title: Re:Re:Re:管制室入構許可
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Subject:
お疲れ様です。米斗です。
この組合わせだとそれ以外が考えられなかったもので。
回答ありがとうございます。
=============
― Side:OFFICE FLOOR ―
…予想通りか。やれやれ。
あのお嬢さんはクローンでも私に迷惑をかけるらしいな。
[そのまま流れでいくつかメールを返したり送信したり。
どこかに電話をかけたり――忙しそうであった**]
この記録――…
分析するのも楽しみです。
[記録をデータとして処理し分析する。
成果という志木にこくりと頷く仕草はクローンと似る]
ふふ、素敵な異性が傍に居れば
緊張するものですから、ね。
[徹底した制限はデータとしてしか知らず
志木の言葉にゆるく頷き、微か安堵の色を見せた]
[上役からの覚え目出度い鉄面皮、米斗・Pierre・理人。
一目置いている相手であるが
当の本人は彼に迷惑を掛けたという意識はなかった。
なればこそ、先のような台詞が出てくるわけであるが]
邪険に、されなければ、良いンですけど。
――…ん、そう、ですね。
米斗くんは心を読ませて呉れないので
すこぉし、難しいです。
[どう思うか。
志木に分からぬなら女にも分からずとも当然か。
零された彼の笑みに、困ったような表情を浮かべる]
このデータが次への糧となるなら――…
分析も苦ではありません。
[何か思う志木にゆると目を細め
甘さを残しながらも落ち着いた声を紡ぐ]
おじいちゃんだなんて、そんな。
志木さんはまだまだ現役なんですから。
[流す空気を感じ、軽く言葉添えるのみに留める]
[志木のフォローに目を瞠り
それから、仄かな笑みを刷く]
それなら、良いンですけど。
[嫌われているのではという懸念を抱きながら
其れは口にせず、顔にも出さずに再びモニタへと目を向けた]
決着が、つきそう、かしら。
[痙攣するオスカーの肢体が見える。
感情らしきものは表に出さぬまま涅色が其れを見詰めた]
メモを貼った。
[流の呟き
流くん、如何かしたのぉ?
[尋ねを向けて流へと歩み寄る。
手元の飲み物を認めれば、ゆるく弧を描く涅色]
おいしそうね。
一口、ちょうだい ?
[ねだる声はカフェオレ同様甘かった]
[誉が姿を現し手を上げる
頭を下げた拍子に長い涅色の髪が胸元へと流れた]
誉さんもお疲れさまです。
お疲れさまはクローンの方ですねぇ。
[くすくすと笑み声を漏らす]
―廊下:自販機横―
[飲み物を買いに出る前、
入り口付近ですれ違った筌瀬に手を振った後。
自販機の横で、アップルティーのペットボトルに口をつけている歌田の姿があった。]
ふぁーあ。
[誰もいないと思って、大口で欠伸を一つ。]
[オスカーの眸
何か思うように一度目を伏せてから淡い笑みを湛えた。
その一瞬、婀娜な色は薄れる]
――…オスカーとパティ、のようですねぇ。
[ぽつ、と結果を呟いてくちびるの弧を指先でなぞりゆく]
あとはまあ、3VS3で、強い方の勝ち、ってとこかなー。
[あれから先は、死に物狂いで戦うチーム戦、
という所だろうか。きっちりチームが分かれての殺し合い。
それは、小さな戦争のようなものに思える。]
結局は、弱肉強食だろうねえ。
あら、そんな事を思ってたのね。
なえたならぁ、くすぐってみようかしらぁ。
[流に悪戯な双眸を向け軽口を紡いだ]
――…ほんとぉに冗談?
そう、ねぇ。盛り上がりに欠ける、かぁ。
裏切りで言うならぁ、アイリスは隣人を裏切ってるからぁ。
[あまり気にした風でもなく、ゆるゆる言葉紡ぎ
差し出されたカフェオレを受け取り、一口含む。
こく、と嚥下すれば零れるは笑み]
相変わらず甘党なのねぇ。
ふふ、ご馳走さま。
[紅の跡を指の腹で拭い取り、
流の右手へとカフェオレを差し出す]
[ならば、結末を見るのは最後の4人、
あるいは3人になってからでもいいか、と考える。]
雑用してから戻ろっと。
[冷えたアップルティーを煽りながら、自身の研究室へと向かった*]
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