59 海の見える坂道2
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博徒 プリシラは、メモを貼った。
2011/08/12(Fri) 00時半頃
[なんとか遅刻は免れたものの、自分以外は全員既に作業を開始している中に顔を出すのはどうにも決まりが悪かった。それを隠すようにいつも以上に顔を上げて笑顔を浮かべて。今日は久々に、ドアベルの鳴る音が開店の合図となり、それを聞けば気持ちも上向く]
今日も暑いですね。沢山食べて体力つけてくださいね。
[なんて常連さんに声をかけて。お昼時もあっという間にすぎて世間一般ではカフェタイムになる頃にやっと休憩を取ることができた]
[休憩と言っても腹ごしらえの前に、朝テッドに聞いた好みのパンをプレゼントに作ることとする。ただのクリームパンでは面白くないし見栄えもよくないので
(なによりシンプルなクリームパンで満足のいくものを作れたことがない)アップルクリームパンにしよう。
生地を発酵させている間にアップルパイ用に常備されている林檎を煮詰めてもう一つの鍋ではクリームを作る。
林檎が少しずつ透き通っていくのを眺めながら、これを食べてくれるだろうアパートの面々を頭に思い浮かべた]
[まずは隣の部屋のパティ。
保育所で働いている彼女は、自分にはとても眩しくうつる。たまに街中で子供に声をかけられるパティを見ると…忘れられない二人を、もういないあいつとあの子が眼裏にだぶって見えて…
目の前にある鍋が揺らいだ所で、考えるのをやめた。このパンは楽しい気持ちで作るべきだ。今日はテッドの20歳の誕生日なのだから]
そういやテッドとホリー…なんかあったのか?あとノックスも…
[アパートで見たテッドとノックスはいつもと少しちがく見えた。そういえば今日は叫び声も何も聞こえなかったし、お化けは出なかったのだろうか。
今朝店にやってきたホリールードも随分顔色が悪そうに見えたし。今はちゃんと休んでいるといいが。より大きめのパンを取るくらいしかできなかったが、夏風邪は性質が悪いから気をつけて欲しいが。
この飴色に透き通った林檎で作ったクリームパンなら、皆を笑顔にできるだろうか]
[焼きあがったパンをオーブンから取り出して、甘い幸せの香りに満足気に笑った]
「お、いい出来だな?」
[なんて店主に声をかけられる。パンを見る前に顔を見ればわかるのだとか。まあ…それは否定できないが。
崩れないようにそっと箱に入れて隅に置いておいた。出来れば、これはキャサリンにもニールにも、ディーンにだって皆に美味しく食べてもらいたい。
だから、決めた]
やっぱり退去通告の手伝いなんて、出来ないってニールさんに言おう。
[数年前、家をなくしたも同然な自分に住居を与えてくれて、店主と出会うきっかけをくれたニールには、いくら感謝してもしきれないけれど]
だからって、やっぱ出来ないんだよな…
[出来れば考えを改めてもらいたい。失敗したらおそらく自分の方が追い出されることになり、ピッパにより負担を強いることにもなるだろうけれど]
始めてみなければわからない、だよな。
[昔良く言われた言葉を自らに*言い聞かせた*]
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― テッドの誕生会で ―
[誕生会、なんてものは過去にあまり経験が無くて。 皆で集まって祝うよりも、大切な人と一緒に居れれば良い、 そんな考えだったから。
…けれど、不思議と彼らとならばこういうのも悪くない。 そう思いながら、フィリップの料理をつまんでいれば 皆からプレゼントの類がテッドへ渡され始めただろうか]
…あ、アタシからもあるよ。 これ。
[どん、と置くのは先程買って来たばかりの酒瓶。 何も知らずに、にこり笑って勧めるが、まさかの度数66。 飲むか飲まないかはテッドの自由です。]
(12) 2011/08/12(Fri) 23時頃
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……は、はは…
[明らかに悪酔いしているテッドへ苦笑い。 いやこうなってしまったのは自分の所為なのだけど。 酒の選択を誤ったのか…?とぶつぶつ呟いていると >>20本人から思いっきり絡まれてしまって]
…あ、ああ。ありがとうね。 アタシももらうよ。
[と、呑んだフリをしてこっそり捨てた。 酔っ払ったテッドからは分からないだろう。]
(22) 2011/08/12(Fri) 23時半頃
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プリシラは、嫁、ねえ・・・
2011/08/12(Fri) 23時半頃
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[テッドからもらったものではない酒の入ったグラスを傾けながら フィリップの話を聞いていたけれど>>27
浮かぶのは、憂いの表情か。 その視線の先には何も映していなかった。 思い出すのは、いつもあの日の―――]
(33) 2011/08/13(Sat) 00時頃
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博徒 プリシラは、メモを貼った。
2011/08/13(Sat) 01時頃
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― 翌朝・404号室 ―
[テッドの誕生日も無事に終わった、次の日の朝。 何時になく寝起きが良かった。
既に見慣れたものになった部屋の中を歩き、 朝の空気を入れるために、窓を大きく開いた。]
…―――っはー…
[ほんのり潮の香りがする空気を吸い込んで、ゆっくり吐き出す。 いつもと何も変わらない。ただ少し、気分が良いだけの朝。
けれど、この胸にかかる霧はなんだろう。]
(104) 2011/08/13(Sat) 23時頃
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[目を閉じれば、感じるのは頬を撫ぜる緩やかな風。 聞こえてくるのは、行き交う人の声と微かな波の音。
…そして、いつでも優しい顔をした男の声。
――仕事が落ち着いたら、二人でのんびり暮らせる所へ行こう。]
…なーんて、さ。 あの人、まだ来ないのかねえ…。
[――待ち人なんて、来るはずがないのに。 ゆっくりと瞼を開けば、窓辺に肘をついて。 ぼんやり、ただ果てしなく遠い空を見つめていた。]
(105) 2011/08/13(Sat) 23時頃
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[その頬を伝う一滴の雫は、きっと、誰にも気付かれることは無い。]
(106) 2011/08/13(Sat) 23時頃
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