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―― 風 ――
ああ、どこにいるのかしら。
ずっと探しているのに。
私の可愛い可愛い櫻子――……
[風が村に吹きすさびます。
そこに混じるのは子を探す母の声。
慈悲深き女の声**]
メモを貼った。
【人】 FSM団 ミナカタ ー 薬師の弟子の話 − (111) 2017/11/30(Thu) 21時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ[誰に?と重ねても、木漏れ陽の様な微笑を (113) 2017/11/30(Thu) 21時頃 |
― ―
『……次の者、前へ』
――――――――はい
『お主の名は、テ…………
??テレジア?? 加藤 江津子だと?』
――――――――はい
『……内議に入る故、沙汰があるまで、
いったん、ちょっと戻っておれ』
――――――――――――えっ
― ―
―夜/豚小屋―
[気がつくと この場所に立ちすくみ、
豚に貪られる自分の亡骸を見つめていた
荒い鼻息と咀嚼音に埋もれながら、
抜け殻となった自分の体が、家畜に押される度に、
ゆさり、ゆさりと小さく揺れている]
……運命の時が、訪れたのですね
[自分が死んでいることは理解できた
ミナカタに殺されたことも、覚えていた
その後、一瞬、妙な光景に触れたような気もするけれど、
それはきっと、ただの幻覚だったのだろう
自分は死んで、異なるものとして今ここに――――]
容さん ご無事でしょうか
[今すぐ、任に戻り探さなければと思った
ゆりにも、命の失敗を告げるとともに、
ミナカタという脅威がいることを報告しなければならない
若いリツは、今、どうしていることだろう
血気盛んな彼
彼に身にも危険が及ぶのかもしれない
ですが、きっともう、何もできないんですよね
[貪られていく肉体が、それを証明している
きっともう、何かを伝えることも、
誰かと触れ合うことも、できないのだろう、と]
ごゆっくり、お召し上がりください
[豚たちにそう告げて、小屋の隅に座り込む
これが敬意>>*15だとは思わなかったが、
今さらじたばたと足掻いたところで、
何かが変わるとも、思えない
ただ、これから先を生きる者たちに、祈りを捧げる]
みなさん、どうかご無事で
[体から離れることも、不思議とできず
だから、せめてこの言葉と共に両手を組み、
1人、長い、長い夜を過ごしたのだった*]
メモを貼った。
―翌朝/豚小屋―
[朝日が差し込み、辺りが明るくなってから、
どれほど経った頃だろう
昨夜からまだなお続く豚の貪食っぷりに、
さすがに恐怖すらを感じはじめてきた頃、
人の気配を感じ、すくりと立ち上がった]
おはようございます 進さん
どうなんでしょうか……
私も、まだその段階まで行っていないようなので……
[返ってくる……というよりも、
一方的に告げられたような言葉に、苦笑する]
いえ、お応えはしているんですが、
届いてはいないようなんです
[言葉は失った様子だったけれど、
話す内容から、彼が常ならぬ存在なのだろう、
ということは感じ取れた
昨夜、容はミナカタの方へ向かおうとしたとは思えない
もしかしたら、下手人として儀式の対象となったのは、
彼だったのかもしれない]
進さん 御髪(おぐし)が少し、乱れておりますよ
昨夜、寝方が悪かった
[そう告げてみたけれど、結局応えは返ってこなくて、
自分を運ぶために人を呼びに行く後姿
苦笑のままで、見送ったのだった*]
―翌朝/集会所への道中―
丞さん、お手数かけます
せめて、食べられる部分だけでも召し上がって、
精をつけてくださいね
リツさんも、昨夜は危なくなかったですか
ご無事で安心しました ありがとうございます
[丞
集会所へと向かう自分を、とぼとぼと追いかける
リツについては、自宅に帰っていたこと
やや、見当はずれな言葉をかけてしまっていたかもしれない
歩き、進んでいく最中、
ふと、自分を追いかける視線に気がついた]
……こういうことだったんですね
[視線の主は、道端にお座りしていた猫
あの時、ちょっとした交流
おかしいとは思っていたんです
たまぁに、宙を見ていたり
何もないのに、ぼんやり視線を巡らしていたり
[小さく手を振って微笑むと、
猫が立ち上がり、追いかけてくるのが見えた]
追ってこられても、なにもございませんよ
今日は、卵もありません
体だって、ないんですから
[ごきげんよう、と一礼をすれば、
そのまま前を向いて、先行く躯をおいかけた*]
―集会所/2つの遺体―
ゆり様…………
[この場に行き着けば、全てを知ることができただろう
ゆりが志乃に殺害されたこと
弔いも困難な毒を服まれたこと]
残念でなりません
巫女様として、立ち続ける覚悟をお持ちでしたのに
[昨日、初めて垣間みることができた姿を思い出す
人を超越した神の代行者としてではなくて、
1人の女として立ち向かっていた姿
これで、彼女から受けた命の内容
知る2人が死した今、誰も知ることはないだろう
その裏側に合った気持ち
死者が、死者にというのもおかしなものだけれど、
せめて、黙祷を捧げようとした時――――]
[容のいるあたり
つぶりかけた目を一度見開き、
再び、ゆっくりと細めていく
目には映らない
届くこともない
ただ、そこで起きた光
今度こそゆっくりと、瞑目したのだった*]
【人】 FSM団 ミナカタ 源蔵……お前。 (169) 2017/12/01(Fri) 00時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ[1人になっても火の前から離れずに (180) 2017/12/01(Fri) 00時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ そう言えば江津子さんの小指ありますか? (183) 2017/12/01(Fri) 00時半頃 |
―丞の傍で―
[丞の手により、第八車で豚が運ばれてくる
肉切り包丁が振るわれて、自分の体も、豚の体も、
薄く切られて焼かれていく
その様子を見つめながら、少しくすぐったそうに呟いた]
生きている頃は、おいしそうとか言われるのは、
とても、嫌だったんです
私は、食べ物じゃないんだから、と
死んでもいないのに、なんで食べる想定をしてくるのか、と
[炊かれた米と、もう誰にものかも分からない、
葉野菜に乗った焼けた肉の香りを鼻で味わう]
ですが、不思議ですね
いざこうしてなってみると、私を食べた豚さんには、
負けたくないなと思ってしまいます
[丞が肉を口に含む、今口にしたのはどちらだろうか]
私と豚さんと、どちらが美味しいですか
[返ってくるのは簡素な言葉
そうですか と微笑みを送る
『料理にかける時間も気持ちも、作る方の命の一部』
かつて容に向けた言葉
ありがとうございました*
[丞の傍らで、語り掛けていた後で、
ミナカタが姿を現した
……小指、ですか?
[自身を殺した男
分からないことをずっと話しかけながら、首を絞め続けた男
あの苦しみは、忘れていない
きっとこの先も、忘れない]
――――どうぞ
[けれど、それがなんだと言うのだ
かつて言われていた部位
丞がその場所を示すなら
異論がなければ、いいですよ
輪廻の流れに とらわれて
運命(さだめ)の時を迎えたんですから* *
リツに、はい、いいですよ
【人】 FSM団 ミナカタ 痛……。 (204) 2017/12/01(Fri) 01時頃 |
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