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[アヤメちゃんと話した後だったのか。それとも最中であったか。
蝶野の聖痕と呼応してか、私の執着かでイツキのまわりで起きていることがわかると気づくのはちょうどアキハくんが土御門に訪れたとき
え、…アキハくん?
なんで…貴方が
[彼も、イツキを問い詰めにきたのだろうかと不安に思えば、そうではなく、聖痕を奪いに来たと隠しもしない]
おかしいわ。だって、アキハくんは…
[人一倍、掟を守り、世界を観測する仕事に従事して毎日を過ごしていると思っていた子が。
けれど、そのせいかあまりに子供らしさの抜けてしまっていた子。
彼もまた、アヤメちゃんと同じく譲れない何かの為に門を開けようということなのか。
先代の犯した罪の意識からだったとしても。もう一人の弟のように気にしていた彼のその決意に気づくことのできなかった自分が恥ずかしい]
もう一回訂正
蝶野の遺産…ですって
そんな…恐ろしいことを…アキハくんに…あの男(ひと)は…
[私はきいていないわ。先代は…守りを忘れ、鉱石に狂い、12柱を害そうとしたとしか。
蝶野の当主を継ぐとき、先代がまだ小さい大須賀から聖蝶を使ってまだ見ぬ鉱石を作り出そうとしたと聞いた。
聖蝶カラットは、蝶野の聖痕から魔力を蜜のように奪い、そうして蝶野の秘宝ともいえる緋火色金≪ヒヒイロカネ≫のもとを生み出す。
わたしの使っていた金色の槌であるジャックもそれを素材に創った。
けれどその秘宝のもとも、すぐに集まるものではなく、毎日少しずつ糧(魔力)を吸われることでできるものだから]
[だから、もし鉱石を作り出すほどの魔力をアキハくんから取ったのなら。アキハ君は死んでいただろう。だから、それは未遂…とまで言うつもりはないが、成功には至らなかったのだろうと。
そう、蝶野は判断したと。]
[けれど、蝶野が知りえぬ二重聖痕≪デュアルスティグマ≫ならば、
傷だらけの灰天使≪キル・ミー・エンジェル≫ならば、
その虚脱に耐えられるだけの魔力を生み出せたのかもしれない。人体への影響がどれほどあったかは図り知れないが。]
―幕間―
「不服かい?鉱石のもとまで灰色なのが遺憾なのかな?」
[蝶野の少年は、聖蝶によって魔力の抜かれた大須賀には目もくれず、
大須賀の願いを知ったうえで逆撫でするようなことを愉しげに言う。]
「君たちは、灰色だから美しいのだと思うけどね」
[聖蝶からもたらされた、鉱石のもととなる鈍い光をはなつそれを大事そうにかかえる]]
「まあ、説教なんて僕らしくないね。やめやめ。
いいだろう。キミが望む意思≪イシ≫、確かに見せてもらったよ。
ふはははっ面白い。
≪起動≫とはね。ふふふ。
こども見るアニメのような陳腐さだが、純粋な願いだ。
こどもでなければ見れない夢ともいうべきかな。
素晴らしい宝石を作り上げてみせよう。約束しよう」
[昏くて寒いこの場所で。
今迄あったのは玉露さんしかおらず。
カイちゃんはどこだろう。
そして――もう1つの気配の主も、どこだろう。
分からぬまま、知らぬまま。
私は瞳を唯、閉じていたのです。
地上では結界の中で奪い合いが加速して。
裁きなのかそれとも。光が周囲を焼きます。]
[その中でも泣き続ける私は、ある意味滑稽なのでしょう。
後悔はしていなかった。ですが
今、私は悔恨か懺悔か。
大粒の涙を、零していたのです**]
[最期の記憶はとても寒かった。
だから今もとても寒い。
凍ったこの身体は動くまい、そう思っていたけど。]
は……、
[吐き出す息は白く、
無理矢理に身体を動かせば、ぱきん、と音がして指が折れて落ちた。
カ……ツァ――――――――ン
凍った指が地面を叩く音。]
[痛みなどない、感覚もない。
しかし驚きはそこあって、でも動く事もできず。
呆然としていれば、やがて。]
…夢?
[身体は凍っておらず、指もそのままだった。]
ああ、幽霊も夢を見るのか。
[死して尚、夢に縋る、なんて罪深い]
[ここがどこだか分かってはいない。
だが死と現実の狭間なんだろうと思っていた。
だからきっとここには彼女がいるはずで。]
……ふむ。
[今会うには少々気まずい。
彼女を殺したのは間違いなく己であったし。
そこは信念が故、仕方ない部分もあった。
だが続くロボット戦は。
あれは、完全に趣味だった。]
[ちなみに言っておくがロボット開発は土御門の秘匿すべき情報ではない。
あれは純粋に”斎”として研究開発していたもので、土御門は関係ない。
土御門の技術の結晶ではあったけど。
土御門が秘匿にしてまで研究していたのは生物兵器であった。
その研究の流れで斎の能力、血を扱う能力は生まれたのだ。
己の中に最近を取り込みばら撒く事。
それを目的とした実験、研究。
斎の血液は未だ無害だが、このまま研究が進めばなんらかのウィルスを注入していただろう。
ウィルスの種類によっては爆発的に火力が増す物、毒を孕む物、精神を犯すもの、様々な効果が期待できた。]
[それらの副産物である発明品もある。
三黒に渡そうと思っていた弾丸もそうだ。
ウィルスが仕込まれた弾丸。
どこでもいい、当たればウィルスが忍び込み内部から破壊する。
そんなものを渡されても三黒は困っただろうか。]
そうだ、幸々戸はどうなった。
三黒は…七緒は、どうなった。
それに、
玉露は。
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