232 【突発明後日ゆる村】503-HELLO PEOPLE!
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――旧い神話と明後日の隙間に横たわる昔話――
[仰げばそこに、一片の隙も無い炭鉱石めいた僕の空。 まだ父さんがいた頃には点々在った星虫も、 僕が孤独に十五歳の誕生日を迎える今夜までに ひとつ残らず死んでしまった。
空から雨垂れが滴り、上に向けた僕の頬を濡らした。 粘り気のある雨は、懐かしく甘い香りをたてながら 僕の頬を優しく撫でていく。 旧い神話を憶えている遺跡に敷かれた鉄線の内側では 孤独を慰めてくれる、こうした優しい雨にしばしば会える。
雨垂れに打たれて。 あ、あ、あ、あ、あ、喉を震わせた。 あ、あ、あ、あ、歌った。 あ、あ、あ、笑った。 あ、あ、泣いた。
あ、]
(28) onecat69 2015/07/21(Tue) 21時半頃
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[深い夜ばかりが滾々と続く毎日だった。
母さんのひときわ薄い背中に生えた 苔であるとかキャベツカビであるとか、 父さんが苛立ったときの臭いのひどさであるとか、 そういったものをひとつずつ思い出しては泣いていた。
三度なにかを食べるうちの一度はワシネズミに負けた。 ワシネズミにとっては僕が食べるものだった。]
あ、あ、あ、あ う、う、う、う、 あ、あ、あ、
[痛いな、どこかへ行けよ、次は食ってやる。 そう言うとワシネズミはギャオンと鳴いて消える。
深い夜ばかりが滾々と続く毎日だった。]
(29) onecat69 2015/07/21(Tue) 21時半頃
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[ある夜、空が揺れた。地面も揺れた。僕も揺れた。 他にもありとあらゆるものが揺れただろう。
そして、空が割れた。 そこから神様がおりてきた。 神様の後ろから降り注ぐ優しくない雨に打たれると 今まで知らなかった痛みが前進や目を焼く。]
『jghjaeejpjkpkokp@kj@phjaweo@j:,lm◯nema jjga※nknÅ080632qojjy4q;,;:kpki4aghw@ik ††††† †††』
[神様は意味のわからない声をかけながら、 溶けかけて転がる僕を夜で包んで、掬い上げた。
次に、目を開けたとき、僕は神様と同じ形に成っていた。*]
(30) onecat69 2015/07/21(Tue) 21時半頃
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――病葉――
[あらゆる汚染物質に浸された星。 栄えていた頃に作られた堅牢な地下空間に逃げ込み それでも子をなし、なりふり構わず生きた生き物。 そして彼らによって成されて“しまった”生き物。 それが僕たち。それが僕たち。 あの日、地下から掬い上げられた子供たち。]
…………雨漏りだ。また雨漏りだ。
[土の下では育まれなかった四肢に肉がついた。 皮膚の表面も乾き、少しずつだが毛も生え揃う。]
……雨漏りだ。
[光を取り込める眼球も再形成された。 しかし病葉はまだ光を知らない。光の概念を知らない。 頭の中ではまだシトシト雨が降っている。 夜の黒の隙間から滴る、甘い腐臭を放つ雨垂れが。**]
(31) onecat69 2015/07/21(Tue) 21時半頃
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――今日――
[あの日は過去になった。記憶は思い出になった。
土の下から掬い上げられた病葉が どういった道を経て『宇宙船』に迷い込んだのかは また機会があれば語ることにしよう。
今は、ようやく知った光を抱きしめている。 今は、ようやく知った光を抱きしめるように 背を丸めて自らのからだを抱きしめている。
はりのある手のひらの皮膚が ひとの髪の賑やかな手触りが憶えている。 ほかにもたくさんのことを憶えている。
憶えたまま眠ると、きっと幸せな夜を過ごせる。 スヤ、スヤ、今は眠ろう。今は。**]
(37) onecat69 2015/07/22(Wed) 01時頃
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――明後日――
[いつの日から数えての明後日なのかはわからない。 ただ、その日は来る。
健全な光に触れているうちに右頭の皮膚が繋がった。 雨音はついぞ遠ざかることはなかったが 様々な音で満ち満ちた船は雨音より賑やかだった。
映画は、第七部まで撮った。 何度目の第七部なのかは数えないことにする。 とにかく第七部の主人公はモナリザの手だった。 アシモフのしっぽの先がヒーローだった。]
(38) onecat69 2015/07/22(Wed) 21時頃
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[いつの日から数えての明後日なのかはわからない。 ただ、その日は来た。
僕は『宇宙船』を降りた。 しずかにひっそりと『宇宙船』を降りて ここで知った喜ばしいあらゆることを思い出した。 少しも泣かなかった。少しも悲しくはなかった。
手にした傘をくるりと回す。
そして、 穴のあいた傘をさして 光の中を、泳いでゆく。 どこまでもどこまでも、泳いでゆく。**]
(39) onecat69 2015/07/22(Wed) 21時頃
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