246 朱桜散華
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子守り 日向は、メモを貼った。
2016/04/27(Wed) 00時半頃
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む。
[ 予想が違った――ようには思えない。 女の身の心配、なんてそれこそ]
似合わないよ、丁助。 おまえは私よりもっと別嬪さんを追っかける男だろう。
[ 風鈴について問われれば、 ゆる、ゆる、視線を斜め下に彷徨わせ]
この風鈴の型が丁助についていれば、 私がもしお前に殺されたときに 証拠になるんじゃないかって。 浅はかかなぁ……
[ むう。とむくれて丁助を見つめ ]
(1) 2016/04/27(Wed) 01時頃
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疑心暗鬼のこの状況で問いかけるとしたら、
丁助、お前は何故私を探し、ここに来た?
(2) 2016/04/27(Wed) 01時頃
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[ 日向は志乃に起きたことを知らない。 香月のことも知らない。木札で真偽を見せる噂も知らない。
置壱に甘えすぎた、依存しすぎたという部分は否定できず 行動に踏み切れなかったのは己の罪だ。
ただ、考えていた。ずっと考えていた。 桜の巫女は一人を依り代にすると考えるのが自然。]
(3) 2016/04/27(Wed) 01時頃
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[ 置壱にある痣は、巫女とは関係がない事を示す紋様と捉えた。 残るは辰、亀吉、丁助。
辰を疑うことは―――できない。 嫌いだから、大嫌いだから、自分なんかと仲良くせずに、 良い女を見つけて幸せになりやがれ。
被害に遭った二人もまた、其れとは思えぬ部分があり。
亀吉だけはわからなかった。 そもそも顔をあわせていなかったから、何も図れない。
幼馴染のあいつは、いつもの調子ならばそりゃあ 伐採すりゃあいいのに、と一番遠い気もするが
さぁ、その中で一番、妖しきは誰か?]
(4) 2016/04/27(Wed) 01時頃
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[―――"ヒナタ" >>4:77]
[ 呼ばれた瞬間にぞくりと寒気が走った。 ああ、こんな雨の中、男と女が向き合って 浪漫めいなこともあるまいて。
一番知っているがゆえに、 一番わからない丁助が
行動を仕掛けてくるならば確信を得られたのであろう、が**]
(6) 2016/04/27(Wed) 01時頃
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可愛いなんて今更お前に言われてもっ……
[ といつもの調子で返そうとして、 目を見張るような光景に、狼狽を隠せなかった。]
そぉか、隠れないか。
[ ならば早急に置壱達に、その事実を伝えなければ]
風鈴?これは……五年前にこの村を初めて訪れたはずの人が、土産だといってくれたものだ。その、この村の古い細工屋の刻印がある。 その理由は私も、よくわからない……。
[ 出方を見計らうように、桜の巫女の声であろうそれと、丁助の声が交互に響き、戦慄に一歩、後退ってしまっていた。**]
(8) 2016/04/27(Wed) 01時頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2016/04/27(Wed) 01時半頃
ま…待て!
待てよ!置壱!!
[呼び止めても止まらぬ置壱、廊下を走り進む先の居間に姿が消えれば、鞘を抜き捨てそのままの勢いに背後より刀を振るう。]
シュン――
[寸のとこで空を裂き切っ先の重さに耐えかね態勢を崩す、しかしすぐに突いて整えると二度、三度弾かれ4度目の打ち込みにその渾身を籠める。]
…はぁ…はぁ…邪魔する…な…
っぐぅ……
[競り合う刃をギリギリと押し進め、そのままいけるかに見えたそのときに急に胸が苦しくなり一瞬の隙をつかれて刀が上に弾けあがる。]
ああっ…
[片手でかろうじて握る刀にもう一度手を添えて跳ねる刀を抑えようとしたとき、はっきりと鮮明に映る自分の胸へと伸びていく鉈の切っ先]
[ズンっ…と重い衝撃と痛みを覚え、両手で握る刀が横に流れ落ちて膝と共に床につく。]
ば…か、な…
[目の前が白くなり、全身の力が抜け落ちて力尽きる。 意思は寸断に途切れ、桜を想う暇さえ残さず崩れ落ちた。]
━━━しばらくして━━━
[夢は半ばに途切れ、悔恨に苛まれて魂は未だ正気に戻らず
囚われ彷徨う妖かしの一部と化して桜の元に向かう。繰り返す。死の痛みが何度も魂に刻まれ、叫びながらその桜の周りを漂うだろう]
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―丘へ―
いっ。……!やめっ!!
[ 背後から髪を撫でるそれは 嘗められるかのような悪寒を感じて、駆け出す。>>9]
……っ、は
[ 丁助のその危うい雰囲気から 振り切ろうとすれども、ひたりひたりついてくる。]
(20) 2016/04/27(Wed) 22時頃
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っ――?
[ こちらに興味を失っただろうか、>>19 だがしかし、
聞こえるは人の断末魔。 流るるは紅き血の涙。]
……やめっ、て!!
もうっっ、十分なのなら!なんでおまえは!! ひとを!!そんな無造作に殺している!!
[ 泣くか喚くか分からぬ声色で、 鼻も目も額も、体液がぞわぞわこみ上げて止まらない。]
(21) 2016/04/27(Wed) 22時頃
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[ 道中、丁助が己の背を視線で嘗める間、 出来る限り、人の少ない方をと選んでおり。 切れ切れの息で、足を向けた先は 朱桜咲く丘の方向。
草履の緒が切れ崩れ落ちて尚 長介は日向を意にも介さず先に歩いて行っただろうか。*]
(22) 2016/04/27(Wed) 22時頃
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[ かちんと、頭に血が登る感覚。]
め、ざわり……?
[ 目の前の、其が、丁助であれば。 橘助乃進であれば、躊躇う必要がどこにあろう。 思い切り、拳で殴ってでも止めるのが 綾崎日向という幼馴染としての役目なのに。]
……。
[ それが出来ないのは目の前にいるのが、丁助でないからか? 或いは同様に切り捨てられるだろう、 そんな己の死が、ただ恐ろしいからか。]
(25) 2016/04/27(Wed) 23時頃
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[桜の根元にて静かに佇む]
─────…………
[ふ、と。
何かが桜へと飛来し、周囲を漂う気配がした]
……かめにぃ、
[叫ぶそれを、そ、と呼ぶように口にし見遣る]
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……おまえは、言葉が通じるのだね。
[ 答えがあったことが、少し意外でもあった。]
丁助か巫女かわからないのだけど、 聞きたいことがある。
[「このお話が終わったら、 ひとつ日向に聞いてみたいのさ」>>0:26]
……なあ。巫女は、旅人を本当に好いていたのかな?
[「巫女は旅人を好いていたと思うかい?」]
……何故、禁忌を犯したのか、 お前の口から、聞いてみたいね。
[ あの時、彼女の口から漏れた音と同時>>0:26、消えた問は こんな風であったのではないか。 聞こえた風鈴の音は何処からだっただろう*]
(26) 2016/04/27(Wed) 23時頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2016/04/27(Wed) 23時頃
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[ 桜の下、朱い花弁の中で佇む丁助は 幽玄とした美しさすら湛えていた。
そこに動揺する理由はひとつ。 桜の根元、女性の姿かたちをした、 物言わぬ存在があることだ。>>3:4
誠に血を啜るのか、桜は朱色を増しているよう。]
志乃、ちゃん……。
[ きり、と唇を噛み締める。 守れもしなかった、なんにもせずに逃げてばかりだった己を悔い、溢れる涙すらも自己満足でしかない。]
私は、この状況を作り出した全てが、許せない。 巫女の封印も、旅人も、その周辺の人間も みんなみんな最初から!!
(28) 2016/04/27(Wed) 23時半頃
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だけど、何よりもお前が――――!!! [ りん、りぃん。 激昂する己を宥めるかのように、風鈴が揺れる。 「落ち着きな」と――そう頭を叩かれたようで]
(29) 2016/04/27(Wed) 23時半頃
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[ ふ、と息を吐いて 丁助であった、其の瞳を じぃと見つめる。]
おまえは、これ以上、何を望む?
[ この禍々しい存在の望みとやらを、ひとつ拝聴したく。*]
(30) 2016/04/27(Wed) 23時半頃
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[いつしか桜の下には生者も集まり来る。
妖の者としての姿を隠すことも無く、桜の花びらを纏う丁助。
それに対峙するかのように在る日向。
坂からは辰次もやってきたようだ]
────………
[志乃は何も言わずその様子を見遣る。
ほんの少しだけ、悲しげに眉が寄った]
子守り 日向は、メモを貼った。
2016/04/27(Wed) 23時半頃
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禍津日? ……つまり、災厄の神……?
[ 驚いた。驚いたけれど、顔には出なかった。 ほぅ、と唇を半開きにして其を見つめ ]
災厄は、この村だけじゃあ、ないのかなぁ? もう十分、災厄が降りかかっているじゃ、ないか。
[ 辰次たちもこちらに向かうのならば 其の名は聞こえていたことだろう。]
ねぇ、神様。悪ってなんだろうね。 私たち、悪いことをしたから、災厄が降りかかるのかな。
でも、こんなのってあんまりだよ……。
[ 人が多く抱える悪を、それでも 善で覆い被せ、必死に生きている日々を、壊さないで、と**]
(37) 2016/04/28(Thu) 00時頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2016/04/28(Thu) 00時頃
オオオオ……
[周り漂う魂は朧気に思念体のように呻き声をあげて声のする方へ…]
オオオオ…イタイ…
ク ライ…
[声のするものを囲みやがて纏わりつくように体を覆い
始めると呻きが発する端的な叫びが聴こえることだろう。]
イタイ…イタイ…イタイ…イタイ…
[いたい、くらい、と亀吉であったものは言う]
……かめにぃ、もう、いたくないよ?
[そう呼びかけながら、纏わり付くものに指先を添えた]
いたくない。
[繰り返し、指の腹で彼を撫でんと手を揺らす**]
ォォォ…
[纏わりついた魂が人型となって志乃の前に現れる。]
いたい… いたいよ…志…乃…
[身体中に張り付いた桜、指が触れるとポロポロと桜は落ちて、しだいに姿もはっきりしていく。 しかし目は窪んだ穴となり瘴気を吐き出して、胸に突き刺さった鉈は深く食いこむ。悪霊の様相がそこにはあった。]
し…の…
うううう…とって…タスケ……
オォォ…
[志乃を認識し、縋るようにして足を掴む**。]
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[ 桜の木の下に立つマガツヒと、 此方三人が対峙する形になる。
辰が追いつき、鋭い色の眸を見せ>>38 そのすぐ後に訪れた置壱は、自分たちを庇う形>>42>>43、 そしてその口から――]
……置壱、……?
声が―――。
[ その背を見つめて、目を丸くする。 初めて聞いた置壱の声色は、どのような色をしていただろう。 きっとそれは、耳に心地の良いもので。]
(44) 2016/04/28(Thu) 17時頃
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そう。そうだよ……。 悪いかみさまなんて、きっと神なんかじゃない。
不幸をもたらすのなら 神を名乗る資格なんて、きっとないんだ。
[ 口だけ達者でありながら、 日向はこの場でどうすることもできないが
りん――
ここまで壊れずにいるのは奇跡的かもしれない。 懐に大事に抱えた風鈴は、微かな音を、響かせる**]
(45) 2016/04/28(Thu) 17時頃
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[人型となった纏わりつくものを指の腹で撫でてやる。
撫でる度に零れ行くのは桜の花弁。
剥がれた部分から亀吉の姿が徐々に見えてくるのだが]
──── っ!
[目は窪み、窪んだ箇所から瘴気を漂わせる姿に志乃は息を呑んだ。
悲鳴が上がらなかったのは良かったのかどうか。
胸へと視線を転じれば、これが亀吉の死因なのだろう、鉈が深く突き刺さっている]
[死の記憶に苛まれているのだろうと考え、もういたくない、と声をかけていたのだが、亀吉は死して尚、痛みから解放されていないらしい。
とって、と。
たすけて、と。
足に縋り願う様子に、志乃は逃げることなく亀吉へと向き直った]
…かめにぃ、
とってあげる、から。
── 自分を、ゆるしてあげて
[魂は強い未練を残してしまうと歪められてしまうという。
志乃は思い残しはあれど、ないてくれるひと、弔ってくれる人が居たから正気を失わすに済んだ。
もし、亀吉がそのような状態であるならば救ってあげたいと。
願いながら、鉈の柄に手を伸ばした]
んっ……!
[志乃は非力だ。
けれどここは魂の世界。
想いが強ければ。
亀吉を悪霊へ貶めんとするものよりも想いの力が上回れば。
きっと抜くことが出来ると信じて柄を引く*]
|
[ 桜の根のようなものが地面を盛り上げ それが己たちに襲い来る、その直後 置壱に庇われ、きゅっと体を丸め、衝撃を和らげようと>>47]
……うん、だいじょうぶ。
[ 小さな声で告げ、私は心配しないで。と 目の前に対峙する其だけを、見据えるのだと 鼓舞するように、置壱の背を見つめた。>>49]
(55) 2016/04/28(Thu) 21時頃
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[ 仕方なし、少々この場から距離を置くよう じりじりと後ろへ歩いていく。
武術もなんの心得もない女が 戦場にいるのは、置壱や辰の足を引っ張るだけだ。
やがて時を見計らうよう、その場から駆け出す足。 マガツヒの目を盗み、その場を離れることは叶ったか。*]
(56) 2016/04/28(Thu) 21時頃
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[ 駆け出す直前、辰次の躯体から緋が散る様が見え>>58 ]
……っ!
[ それが引き金となり、はじかれるように走る。 自分は自分のすべきことを行おうと。 どんなにちっぽけであろうとも。
向かう先は神楽舞台。 しとど雨に降られ、舞台はめちゃくちゃになっているが]
(61) 2016/04/28(Thu) 21時半頃
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―神楽舞台―
……確かここで、志乃ちゃんは……
[ 神楽は鎮魂の意味を持つ。 志乃のように琴を嗜んでいたわけではないけれど、 太鼓を打ち鳴らすほどの腕力もないけれど。 風鈴を太鼓の土台に引っ掛け、 無事な楽器を見ては、方法を探り眉を寄せ。]
(62) 2016/04/28(Thu) 21時半頃
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[ 其が唱えた言葉は何だったか>>50。 呼応するよう、桜は更に舞ったようにも思う。]
あれが桜の巫女でないのなら……。 マガツヒ、災厄のものならば。
[ ひとり、鎮魂の儀を執り行うには あまりに力がたりない。
りん、りぃん―― 風鈴は何故 この嵐の中、穏やかに揺れるのか
その意味なんて、さして気にもしていなかったけれど*]
(63) 2016/04/28(Thu) 21時半頃
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―その幻が、うつつであれば―
[ むっと顔を顰めて楽器類を見つめる日向に くすりとわらう。 ]
「なぁ、日向。 その風鈴の意味をあんたは知らないんだね」
[ 日向が聲に反応し、辺りを見回せど そこになぁんの姿もない。]
「邪気除けだよ。 それがある限り、あたしゃあんたを守るって」
(70) 2016/04/28(Thu) 22時頃
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「抑、日向。 あたしがあんたのそばに在った意味を 考えたことはないのかい」
[ この娘には、なんのちからもないし 血筋でも祖先はただの傍観者に過ぎない。 ゆえ、都合が良かった。
その純潔を、奪ったのは>>2:104 まっさらな日向を依り代にするためだった。 代わりに、人間という器に収められた肉体だけは 絶たねば、ならなかったのだけれど。]
そばにあった意味を? 考えたことなんて ―――ないよ!
[ この竹を割ったような性格が 嫌いじゃなかった。]
(71) 2016/04/28(Thu) 22時頃
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―神楽舞台―
[ 日向は立ち上がる。 りん、りぃん、と、響く風鈴は 決して侵蝕できぬ、小さな守りとなって。
唇は紡ぐ。 日向の知識にありはしない、その鎮魂の言葉を。]
――かけまくもかしこき いざなぎのおおかみ
――つくしのひむかのたちばなのをとのあわぎはらに
[ ひとは音から、不思議な力を得るという。 超常的な力を持つものに前に 抱く畏怖も、或いは憎悪も、勇気も様々を 制御することのできるようになると、そんな不可思議を 偶然性とも言うのだろう。>>3:22]
(72) 2016/04/28(Thu) 22時頃
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[ 女はひとつの「知」を日向に授けた。 とすれば、――「仁」と「勇」も マガツヒに立ち向かうものに、在るのかもしれず]
(置壱のあの痣は……簪は何故―――… 辰には、……)
――みそぎはらへたまひしときになりませる
―― はらへどのおおかみたち
[ 己にできるのは考えることと、 見守る者の依り代で、あることだ。**]
(73) 2016/04/28(Thu) 22時頃
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[ 志乃も、香月も、亀吉も この事態を捨て置くことはないだろう。
だからどこかで。視ていると、そう思う。]
(……死者の力があるのなら、 それこそ、黄泉からマガツヒを引っ張っていってほしいね。)
――もろもろのまがごと つみ けがれをあらんをば
[ マガツヒが紡ぐは、祝詞などではない。>>66 死者蘇生の言霊だと、女から教えられる。
桜の聲に抗うには小さきものでも、 ことばはとめない。]
(83) 2016/04/28(Thu) 23時頃
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……、
[ ふと、桜の方向を見る。置壱と辰とが戦っている中で。 其を止める知は、どこからいずるだろう。]
[――舞台を飛び降り、駆ける。]
[ 其の出方すら分からぬ現状、 この目で分析せずして、どうするのかと己を叱咤して*]
(84) 2016/04/28(Thu) 23時頃
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― 刹那 ―
[雨と雷鳴を背に立つ男の影は、どこか危うい。
よもや、との疑念が心の隅に泡のように浮かび上がるが、
助けを乞う声を聞けばすぐさまそれも沈むんだ。]
[そう、確か、家中に迎え招き入れたはずだ。
傍に立ち、二言三言言葉を向けもした。
だが己の問いも、返ったか分からぬ返答も、
現在は記憶の中からすっぽりと抜け落ち。
覚えているのは刃が身体に食い込む衝撃ひとつ。]
(――― … )
[致命傷であることは判り切っていた。
丁助は何か言っていたろうか、音は届けど認識には至らずに。
声ならぬ声を絞り出すが、身体は鉛のように重く。
やがて、意識も視界も漆黒に塗り潰されて]
― 狭間 ―
………
[気づけば、己の躯の傍に立っていた。
絶命の淵において靄がかっていた意識は、
現在は不思議な程澄み切っている。]
これは、死に切れていないって奴…かな。
ま、無理もねぇ。
[血の海に眉を潜め、手を伸ばしてみるが、
触れようとしたものは悉くすり抜けてしまう。]
おう、辰っつぁん。
済まないな、先にこんな風だ。
…お前さんには何から何まで、手間ー掛けさせるようで悪いな。
[辰次がやってきたのには、
届かぬと知りながら、生前と同じ声を向ける。
辰次の様子から、桜に魅入られし者の気配は受け取れぬ。
己の魂に僅かに残った感知能力も、警鐘を鳴らしてはいない。
だから恐らく、ひと一倍正義感と責任感の強い彼には
二重の意味で世話になることになろう。
事が終わった後の埋葬然り、
―――弟分のこと、然り。]
[暫しの間其処に佇んだ後で、
何が起きているのかを把握するのが先決と、
往けぬ魂魄はふらりと村を抜け、丘を目指したのだった。**]
|
[ 不意の静寂に>>88
祝詞は唇を震わせるにとどめ、 足を止め、音は消える。
続くのはマガツヒの 否。 丁助の告解だった。
あか、あかいろ、朱
あざやかな、朱。
それが、色を失うように、はらはらと舞い散り 頬を撫でた。]
(93) 2016/04/28(Thu) 23時頃
|
|
丁助……?
丁助……!
[ 力に溺れた、と そう、紡ぐ彼の顔を見つめ 悲痛に眉を寄せる。]
この、ばかたれがぁ……。
[ 滲む声は、全てが終わるまで 涙の色にするわけには、いかなくて。*]
(94) 2016/04/28(Thu) 23時頃
|
ぎ……ぐがぁ……
[鉈が胸より粉のようになって外れ、徐々に薄い身体ははっきりとした形になってどさりと志乃の前に崩れ落ちる]
……し………の…?
[接した感触がしだいに暖かな慈愛のような、人の気持ちに触れだすと正気に戻って記憶を辿らす。]
…ぼく…は…
…僕はとんでもないことを…
[悔いても戻らない深い罪の意識が自分を襲う。自我が消えそうになってその場に泣き蹲った]
[鉈の柄を引き抜くと共に、それは粉のようになり掻き消えていく。
柄を握った志乃の両手には何も残らず、目の前に整然と同じ姿の亀吉が現れた]
かめにぃ…!
よかった……
[救うことが出来た、と。
志乃は安堵の表情を浮かべる。
己のしたことを理解し、泣き崩れる亀吉の傍へと寄ると、そっとその肩に右手を添えた。
落ち着かせるように緩やかに撫でてやる]
…かめにぃ、
桜、咲かせようとしたのは、どうして?
[今際の刻の記憶は薄い、けれど。
亀吉が桜を咲かせようとしていたのは薄らと聞こえていた。
志乃は自分を手に掛けたことは問わず、その原因となったことを問いかける]
|
丁助……丁助!!!
[ 覚悟なんてとっくにしていた。 でも、こんなときに限って都合のいいことを考える。
依り代となった人間は解放され 巫女だけが、還っていくだとか、そんな。
倒れ伏した彼のそばに駆け寄って、 置壱と、丁助を交互に、見て]
……そうだねえ
[ 潤む眸のまま、素直に、置壱の貌が立派であったと、 丁助の最後の問いに、頷いた。*]
(102) 2016/04/29(Fri) 00時頃
|
う…うう…
[泣き崩れた自分に差し延べられた手、志乃とはっきり認識するものの顔はあげらずにその撫でてくれる手にただただ泣くばかり。しかし理由を聞かれて記憶を辿り。
少しずつ彼女にその始まりを話していく]
声が…
血を…血が…必要だって…
美しい…女性の声が僕を誘うんだ……
父が…母が……あっ…ああ…あ…
[再び錯乱し、頭を抱えるとぶんぶんと振り乱す。]
|
なーんで、桜は咲いたんだろうなぁ。
[ 怒りはすべて、丁助の死が攫ってしまった。 悲しみはいつか、怒涛のように押し寄せるだろう。]
ほんとうは、咲きたかったのかもしれないね。
[ 花は咲くから美しい。]
……うん。
[ 咲かず桜はきっと、寂しかったのだろうね、と。>>97]
(104) 2016/04/29(Fri) 00時頃
|
|
[ はらはら、はらはらと 桜の雪は村中に降り注ぐだろう。
流れた鮮血を白く染め、 冬が来て閉ざした部屋の中で 暖め合うような光景を、想い。
いつか麗らかな春が、また 訪れることを、予兆するように**]
(105) 2016/04/29(Fri) 00時頃
|
声……女性の、声…。
[血が必要と求める声。
伝承の通りならば、それは桜、ひいては巫女の声だと言うことになろうか。
丁助は異形となっていた。
ならば亀吉は。
刀を使っていたことから人の身のままだったのだろうと推測する]
… うん … そ っか
[父も母も手にかけたと思しき言葉にしばし返答に窮した。
頭を抱え振り乱す亀吉を、尚も撫でてやり]
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