204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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―翌日― [よすぎる耳がもたらす弊害は、昔より多い。 声が出なくなった分、他の音をよく拾うようになって、トレイルはその夜も夢を見ていた。 ぐるぐると回るのは、日の変わる前の出来事
――なら、いい。 ――で、よかった 雪がやんだ後の話 説得を 食べたくない
昨日実際に聞いていない音までも 頭の中にあふれている。 止めて、止めて、やめろ――――!!
叫び、跳ね起きたつもりだった。 相変わらずトレイルに声は無い]
(5) 2014/11/19(Wed) 12時頃
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[トレイルの一日は、絶望から始まる]
(7) 2014/11/19(Wed) 12時頃
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[浴室の出来事 あれは 衝動をすり替えた肉欲だったのかと 今更知った。
違った――――
無知故に遅れて気付いた情報は 酷くトレイルを傷つけた
食べられずとも、聞ける音 食べられる際には、聞けぬ音 シメオンはきっと、あの音を聞いていない 喰われた彼の様子を思い出す。
あれは、嫌だ なんて、醜い]
(8) 2014/11/19(Wed) 12時半頃
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[己の悲鳴の醜さに、 声を失ったトレイルには 耐えがたい姿
あれが食われた結果 ノックスが見せて 望んだだろう通り
トレイルの身には今 衝動の欠片も残っていない]
(9) 2014/11/19(Wed) 12時半頃
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[それに ――――僕は、
劣等感と嫌悪感、 焦燥は消え 今はただ、諦めが トレイルの心を支配している]
(10) 2014/11/19(Wed) 12時半頃
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[ため息も出ない。
トレイルは、半身起こしたまま 近くをたどる指を掴んで、導いた。 撫ぜてくれる髪でなく、頬へ。
此処にいる、と 伝えるように]
(12) 2014/11/19(Wed) 12時半頃
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[繰り返される 呪いのようだ。
ちゅ、とたてられた音を 聞きながら微笑んで 周囲を見渡し、ニコラがいないことに眉を下げる。
首を傾いで 肩口から鎖骨の傷をふさぐようにまいた生成り色に触れた。 ゆっくりと首を僅かに振る。 どれが痛みなのか、もうわからない あげていた熱は、冷めた]
(20) 2014/11/19(Wed) 13時頃
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[彼の手は触れられるままにして トレイルはビスケット色に、右の手を伸ばす 手遊びしている間、穏やかな表情で]
……
[食べ物。 流石に何か口にしないと、動けなくなる。 頷いた。 とても、従順に]
(25) 2014/11/19(Wed) 13時半頃
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[いつも通りの、黒の衣服。 全てを塗りつぶす、絶望のいろ。
大きく開いた首回り いつも下げていたチェーンは無い。 そこから覗く生成り色 ゆっくりさすりながら、ノックスに続く。 扉を閉じる音が後ろに
廊下。 久しぶりに見る姿だ。
赤黒く 汚い
ノックスの名を呼ぶニコラ ぼんやりと、彼の音の意味を考える]
(34) 2014/11/19(Wed) 14時頃
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トレイルは、ノックスを見上げ、それからニコラへ視線を移した。
2014/11/19(Wed) 14時頃
トレイルは、ニコラスとシメオンの姿が重なって見えた。無表情に彼を見つめ続ける。
2014/11/19(Wed) 14時頃
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―3F廊下― [汚れたニコラに近づけない。 トレイルは、視線を逸らされて瞳を細めた。 遠くを見つめるまなざしの先に、二人の姿。
立ち尽くしたまま 両手を胸元まで持ち上げて 箱の形を作る。 それから、卵型にまるく。
ニコラの唇から毀れる ストリンジェンドに近い 羅列
きっと、彼はノックスと同じことをした。 箱の話を、忘れた彼に 思い出させるための仕草は
見えなければ伝わらない]
(44) 2014/11/19(Wed) 14時半頃
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[トレイルは、ニコラが食べたモノを知らない。 ディーンとプリシラと、ニコラ 最後に見た居間の様子
汚い色 綺麗にしないと
ニコラから視線を外すと トレイルは 促されるまま、階下へ向かう]
(49) 2014/11/19(Wed) 15時頃
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[二階の居間へ向かっていたから ノックスとニコラの声が傍にあったから 三階の、扉を隔てた先で どれほど調子はずれの音が流れようと 幸いにもトレイルが気付く事はなかった。
ディーンを食べたのか
シノワズリがちらとニコラを映した 呆れたようにも見える顔で。 血で汚れた彼 台所、湯を沸かせる場所
ニコラは衝動の制御も出来ない大きな子供だ ノックスに学べばいい きっと、彼と同じになる。
――――疎外感。 同じ衝動を、トレイルは感じたことがない]
(53) 2014/11/19(Wed) 15時半頃
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―居間―
[たべられたい 浮かんだ言葉を、笑みで消した。 あの音は、食事の音じゃない。 これは衝動じゃない。
ソファを動かす様子を見て、首を傾ぐ。 火を起こすノックスから、告げられるまま トレイルにも出来る、湯を沸かす作業にうつる。
沸騰するのが待ちきれないから ぬるま湯を深鍋に汲んでペチカの傍へ。
昨日作ったのだろう食事を見つけたが 手はつけなかった]
(60) 2014/11/19(Wed) 16時頃
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[ノックスとニコラの傍にきて、ぺたりと座り 包帯をなぞりながら、首を傾ぐ。
なりたい? 誰かにじゃない 昔の僕になりたい。 声を 音を 取り戻したい
未だ、恋しい、感情を知らない。 執着は、見つけた気がしたけれど。
故に彼の問いかけはわけがわからない]
(62) 2014/11/19(Wed) 16時頃
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トレイルは、ニコラスが何と答えるのだろうと、ぼんやり見つめた。
2014/11/19(Wed) 16時頃
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―居間― [>>64綺麗だと繰り返すニコラの手の中を トレイルは覗き込んだ。
いびつな丸い、固まりは やがてニコラの手の中で、 透明感を失い、朽ちていくんだろう
瞳を細めて、微笑む。
汲んできた湯は真っ赤になった 彼を拭う布も。 ノックスの声>>66 そう、声は戻らない 昨日も、今日も、きっと明日も。 絶望はいつも傍にあるから
トレイルはあきらめる事が随分上手くなった。 癇癪を起す頻度も、昔よりは減った]
(70) 2014/11/19(Wed) 16時半頃
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トレイルは、ノックスがお茶を、というから、そっと腹を抑える仕草。
2014/11/19(Wed) 16時半頃
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[飛んできた毛布を受け取る事に失敗し 頭から被ったトレイルの表情は 幸いにも、ニコラには見えなかったろう。
低く震える音。 そんな声を向けられたのは随分久しぶりだ。
驚いたような悲痛に歪んだ顔は すぐに諦めを浮かべて、微笑み
ゆっくりと息を吐く。 毛布を引きずり、体に巻きなおして ペチカの火が部屋を暖めてくれるのを待った。
腹をさする。 喉も渇いた]
(74) 2014/11/19(Wed) 17時頃
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トレイルは、マグカップの中身は、まだ減らない
2014/11/19(Wed) 17時半頃
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[手の中のマグカップ 中身が揺れるのを、見て また顔を上げる。
暖かい 喉が、いたい
――好きの結晶? その、固まりが。
ディーンを、すき?
どうして。 だって、会ったばかりだ]
(83) 2014/11/19(Wed) 18時頃
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[ノックスの言葉と、ニコラの様子と トレイルは、ぼんやりと >>77ペチカの上でことことと音を立て始めた鍋を見る。
ノックスは直ぐに戻ると言ったのに。
ちらとニコラを見て、瞬いて 不思議そうな顔をして 真呼吸をしていた彼に向き合い 唇から透明な音をこぼす。
好きって、何?
ノックスの話す、箱の話と違う答えが聞けるかどうか]
(85) 2014/11/19(Wed) 18時頃
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トレイルは、ニコラスの心中知らず、問う。
2014/11/19(Wed) 18時頃
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[珍しく、ニコルのことばは音として聞き取りやすい。 相変わらず、わかりにくいけれど。
何でも出来る 無敵
それは、ノックスのようにひとときの事だろう? 今は?
そう、視線で問うて 首を傾げる。 マグカップの中で、茶がゆれる]
(89) 2014/11/19(Wed) 18時半頃
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[子供っぽい? 問いにはわからないと首を振った。 それから]
[ぽかんとした顔をしていただろう。 ごとん、と音を立てて マグカップは床に落ちた。
落とした当人より、器用に まっすぐ、その中身を零さぬまま。
誰かにとられるまえに]
(93) 2014/11/19(Wed) 19時頃
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[見透かすように貫く色は、グレー
黒でなく 白でなく
諦める、選択肢は 無かったの?
トレイルにはわからない。 絶望と諦めを繰り返してきたトレイルには 彼の言葉は 意外な]
(94) 2014/11/19(Wed) 19時頃
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[指されたマグカップを目線で追う。 手元へ戻ってきたそれを両手で受け取った トレイルは、瞬きを繰り返した。
――――どうして
透明な音は、ゆっくりと。 彼に聞こえるように、一音一音を紡ぐ。
諦めれば 楽なのに。
ことことと、ポトフの鍋が音を立て始めた。 同時に、>>87ノックスの足音]
(100) 2014/11/19(Wed) 20時頃
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―居間、ペチカ傍― [音がする。 骨の擦れる音。 トレイルの生き方を否定する音と。
>>42 なにもなかった、んだろう?
誰かに取られる前に食べる。 その時は無敵になれる。 でも、魔法はとけて 子供に戻る。
トレイルは聞いた話を頭の中でまとめて頷いた。 再び手渡されたカップの中の茶は、少し冷めかけている]
(104) 2014/11/19(Wed) 20時頃
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[すり寄るぬくもりは、ニコラのものだ]
……
[ポトフの、鍋の、ことことと鳴る 音が大きくなってきた]
……――――
[すり寄る彼の肩に頭を預けた。 誰にもあげたくない なら 食べればいいのか。
でも ごくりと喉を鳴らした]
(113) 2014/11/19(Wed) 20時半頃
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トレイルは、足音が増えて、止まった。ちらと視線が一度入口を見た。
2014/11/19(Wed) 20時半頃
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―ペチカ傍― [>>124ニコラに頭を撫でられるのが、久しぶりで 忘れられたわけではなかったのかと、瞳を細める。 満たされないのは、この先もずっと。 望みを見つけて、希望を見つけて でも 求めるものは手に入らないから 絶望して、諦めて、生きる。
その予定だ。
ノックスが>>123帰ってきて 毛布ごと二人で抱きしめられて ああ、もういいか と、息を吐いた。
ごとごとと、鍋が不穏な音に変わっている]
(129) 2014/11/19(Wed) 21時頃
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―ペチカ傍― [慌てたノックスが立ち上がる姿。 潰れた悲鳴。 滅多に聞かない音に驚いて、 両手で耳を押さえてすくみ上って
避けるのを忘れた。 熱せられた蓋が 二人の方へ転がってくる]
(134) 2014/11/19(Wed) 21時半頃
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―ペチカの傍― [気付いたのは、別の音で。 びくりとまた、身を竦めて 今度はニコラを見た]
……!
[火にかけ続けた鍋の蓋 火傷は、冷やさないと、と ラルフの問いに首を傾いでいる ニコラの手に、 随分冷えたマグカップの中身をぶちまけた]
(146) 2014/11/19(Wed) 21時半頃
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トレイルは、茶が鍋にもかかったようで、じゅっと派手な音をたてたのを聞いた。
2014/11/19(Wed) 21時半頃
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[ラルフの後からフランシス。 思わず眉を寄せる。
騒音をまき散らしにきたのか。 ノックスへ、理不尽な苛立ち。
落ち着こうと、傷口をいじる。 状況を素早く理解してくれたラルフ>>148に 頷いて]
(150) 2014/11/19(Wed) 22時頃
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[身を起こすノックスには、 トレイルの方は無事である旨を伝えるため
首を傾いで微笑む。
ああ、喉が渇いた ああ、おなかがすいた
満たされない]
(152) 2014/11/19(Wed) 22時頃
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―ペチカ傍― [フランシスの姿は直ぐに消える。 鳥の声が聞こえて、眉を顰めた。
ラルフの提案>>155 なるほど、と思いながら]
――――
[ちらりとニコラ>>156を見る。 そこまで大きな火傷ではなさそうだ。 息を吐く。 安堵と、もう一つ]
(161) 2014/11/19(Wed) 22時頃
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[すぐに、音が襲ってくる。 トレイルは毛布をかぶって蹲った。
耳が痛い。 聞きたくない。
聞きたくない、もう音なんて いらない]
(166) 2014/11/19(Wed) 22時頃
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[毛布をかぶって耳を抑えたのに 床から>>169振動が伝わる。
いい加減にしてくれ。
ぼろぼろと生理的な涙をこぼしながら 丸まった背を震わせている。
撫でる手が、なければ 恐らくプツリと理性の糸を切っていたことだろう。 煮えた鍋の中身 ふんわりと漂う香りは毛布の外]
(174) 2014/11/19(Wed) 22時半頃
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[こんな時でも腹はすくのか。 そう思ったトレイルの傍で
>>173ニコラの感想が、閉じた耳の間から くぐもって聞こえた]
(176) 2014/11/19(Wed) 22時半頃
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[笑っているのは、ノックスだ。 毛布の中から、頭を出した
ニコラをみて ノックスをみた]
(186) 2014/11/19(Wed) 22時半頃
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[少女について書かれた文章には続きがある。
禁断の赤い果実――欲望の実を食べた少女は、
街を追われることになる。
実を食べたものは皆魔物になってしまうと信じられていたからだ。
友人達にも、両親にも責め立てられ、しかし愛しい人がいる街から離れたくなかった少女は、街の中を逃げまどう。
逃げ切れなくてもいい、せめて最後に愛しい少年に会えたら
――少女の願いが通じたのか、少女の前に少年が現れた。
「僕はずっと君を見ていた」
少年は、少女にそう告げる。
少女が少年を見ていたように少年もまた、少女を見ていたのだ。
「だからせめて君が魔物になってしまう前に、
綺麗なままで終わらせてあげたいんだ」
少年は手にしていた槍で少女の腹を刺し貫く。
少女は、最後に少女に会えた喜びと、想いが通じていたことの嬉しさの中で息絶える。
それが、少女の結末。]
[少女は幸せな最期を迎えた。
――では、自分はどうなのだろう?]
[救いは、そう簡単には訪れないらしい。
ただの肉の塊となり果てた自らの死体を見下ろして、ディーンは小さく息を吐く。
彼に食べられたことも、その所為で命が潰えたことも自分の選択の結果だ。構いはしない。しかし、何故死して尚自分がこの場にいるのかがディーンには理解できない。自分の選択の結末を見届けろ、ということなのだろうか。]
――……。
[何にせよ、自分の身体に用は無い。
これはニコラにあげたものだ。
ディーンは部屋を出て廊下に向かう。
拭かれた痕跡がありながらも、まだうっすらと血の跡が残っている階段を降りていく。足音はしない。]
|
―ペチカの傍―
[ゆっくりと毛布をかぶっていた身体を起こして トレイルは、まず>>192ニコラに頷いた。 騒音が去れば、頭痛は収まる。 キィンとなる耳の奥 まだ不快感はぬぐえていない。
>>190ノックスを見た。 微笑む様子は、日常を思い起こさせる。 ご飯を食べて、上に そうだ、雪がやむまでじっと大人しくしていれば きっと こんな騒動は終わる。
眉を寄せて、それでも口元には笑みを浮かべた。 忘れよう、諦めよう、全部元通りに
喉が渇いて じわじわと傷口が痛むけれど]
(195) 2014/11/19(Wed) 23時頃
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トレイルは、鍋の方にむけて指を刺した。
2014/11/19(Wed) 23時頃
|
[ラルフの声だ。 トレイルの眉がぴくりと反応して
瞬き、視線を投げた。 挨拶をかけた主は誰だろう トレイルの位置からはまだ、見えない。
雪のしろが、みえる]
(197) 2014/11/19(Wed) 23時頃
|
[死体の前にいる人は、藁に包まれた物をじっと見ていた。
―――食べられたのだ、とわかった。
でも、この人は誰だっけ。
悲しそうな目をした、若草色の髪をしたこの人は、誰だっけ]
………名前、なぁに
[眠るような、赤に濡れた金髪の、自分。
知っているのに、わからない。
問いかけても当然、答えは返ってこない]
|
―ペチカ傍― [火の音が聞こえる程には、周囲の騒ぎが収まっていた。 毛布はもう、いらない。 その場に置いて、立ち上がる。
雪のやりとりをしている彼等が気付いたかどうか 知らないが 少しバランスを崩したノックス>>204を見て 大丈夫かと その様子を覗き込みに向かったのだ]
(205) 2014/11/19(Wed) 23時半頃
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― 2階・居間 ―
[血の足跡が消されていても、彼の居場所はすぐに分かった。
恐らく、彼がずっと持っていると約束してくれた自分の瞳があるからだろうとディーンは推測する。
物音も無くすり抜けるように居間に入る。
ペチカの温かみは感じられない。]
――……ニコラ。
[ずっと一緒だと約束をした。
吸い寄せられるかのようにニコラの傍に立ち、柔らかな日の色の髪に唇を落とす。
そういえば、全てをあげるとも約束した。
今のこの――幽霊ともいうべき自分は、どのようにして彼にあげれば良いのだろう。]
[自分の全てを捨て、愛しい者に全てを与えたディーンには、
他に傍にいるべき相手はいない。
大切なもの――大切だったものは、昔馴染みに託してきた。
本当はあったかもしれない傍にいる資格すらも、捨ててきた。
ベネットならば彼を正しく守ってくれるだろうと信じていた。
彼の命ももう失われているのだとは、まだ、知らない。]
[置いてきたもの、ひとつ。
それが名前。
顔をあげて、振り返った。
一歩踏み出すごとに、少しずつ何かが毀れていく。
少しずつ身体が、軽くなっていく。
意識せずとも―――
意識とは、なんだろう]
なん、だっけ
[生きているうちに諦めたものから、ひとつずつ、毀れていく]
|
[底の方は、おそらく。 頷きながら、ノックスが用意する器の数をかぞえ 違和感に瞬き、受け取る前に振り返った。
視線をそらすラルフがいる。 四つ目の、違和感の、存在。
口元が歪む。 目を細め、微笑みを作った。
差し出された器へと視線を戻し、両手で受け取る。 中身をぶちまけたマグカップは、床に転がったままだ]
(209) 2014/11/19(Wed) 23時半頃
|
トレイルは、ラルフの傍まで、器を持ったままゆっくりと近づいていく。
2014/11/19(Wed) 23時半頃
|
[両手で持った器を、傍まで来たラルフの前で持ち上げてみせる。
湯気の立つ器の中身を覗き込んで、それからラルフを見て 眉を下げると、首を傾いでみせた。
トレイルの透明な声は、彼に聞こえているか。 意図が伝わるかは、わからない]
(212) 2014/11/19(Wed) 23時半頃
|
フィ、 リップ
[違う、と思った。
いや、違わない。
それは確かに彼の名前で――― でも]
[二階に続く階段を見上げた。
その途中、あのあたりで、涙を零した"記憶"があった。
もう靴音はしない。
段が軋む音もしない。
暖かさに包まれていた、昨日。
腰を下ろしていた段に手で触れて、
そしてそのまま、さらに上へ]
|
[どうして彼なんだろう。 彼も彼も どうしてどうしてどうして
思いはあれど、諦めもあって 声は二度と戻らないから、 俺に、と言われてトレイルは頷いて
彼の頭上に届くように、 器を持った両手を上げながら背伸びして]
(219) 2014/11/20(Thu) 00時頃
|
|
[湯気の出る中身を、ゆっくりと、傾けていく]
(220) 2014/11/20(Thu) 00時頃
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|
―居間― [ラルフの頭の上で、中身を全部ひっくり返して 空になった器は、そのままうずくまる彼の上に落とした。
ゆっくりしゃがんで、両手を伸ばす。 ラルフの身体を抱きしめるには、少し短い両手。 ちゃんと彼の背までまわると良いが。
微笑みを浮かべて、首を傾げて 声なき声を紡ぐけれど きっと彼には聞こえない]
(229) 2014/11/20(Thu) 00時頃
|
[ニコラが大事に抱えているもの。
それが自分の眼球だと、すぐに気付いた。
彼は言った通りに、大事にしてくれている。
いずれは腐り落ちていくけれど、せめてそれまでは、彼の手の中にあって欲しいと願うばかりだ。
居間に起こる出来事の全てを視界に収めながら、ディーンが意識するのは彼の周りのことに限られる。
ニコラの横に並ぶように立ちながら、ディーンはそっと指先で明るい金の髪に触れていた。]
…………?
[何かの動く気配がする。
人の足音とはまた異なる――ずっと前から慣れ親しんだ気配だ。]
|
[君が これ以上 僕から奪っていこうとするのなら
これくらい、受け止めてくれるよね?]
(233) 2014/11/20(Thu) 00時頃
|
|
[抱きしめて、撫でてやる。 幼いころから、ずっとノックスがしてきたように。
この腕は、彼の腕ではない。 ラルフの目の前には、トレイル。
酷く歪んだ笑みを浮かべて 光を失った瞳を細めている]
(234) 2014/11/20(Thu) 00時頃
|
|
[服が、包帯代わりの布が、汚れてしまう。 べたついた手触り。 冷えた身体にかけた、熱は 彼にとってどれほど効果があったろう。
ノックスがまず自分の名前を呼んだことに安堵し フィリップがラルフの名を呼んだことに微笑む]
(239) 2014/11/20(Thu) 00時頃
|
[二階に着くころには、もう前をかけていった彼の名前は忘れてしまった。
もう呼ぶことはないだろうから、問題ないだろう。
大きく開いた扉。
ラルフ、という"名前"が聞こえた。
顔が浮かんで――すぐに消えた。
此処には入りたくなかったような、気がする。
俯けば、入り口入ってすぐの場所、
誰かの足にけられたのか、隅のほうに
何かの、包みが見えた]
――……シメオン?
[まさか、そんなはずはない。
思い浮かんだ名前を口にしてから、ディーンは瞼を伏せる。
しかし、他に慣れた気配だなんて思うものがあるだろうか。
自らの欲望を認めるまで――自分の「太陽」を見つけるまで、
ディーンの一番近くにいたのは、彼だ。
勘違いであって欲しい。
死して尚身勝手なことを願い、ディーンは重い溜息をついた。**]
|
[どうして、だって。 瞬きひとつ。
ちらとニコラを見た。 教えてくれて、ありがとう。 誰かに取られる前に、食べてしまいたい そんな勝手な理屈が通るなら
奪われる前に、食べてしまいたい そんな理屈も通ってしかるべき。
どく、と胸が高鳴る。 絶望を抱え日常を望んでいるのに きっと、それが叶わないと本能が知っていた。
だって、望んだものは、皆手に入らない]
(241) 2014/11/20(Thu) 00時頃
|
|
[触れ合うことで ずきずきと、痛むのは鎖骨から広がる傷 どくどくと、高鳴る鼓動は胸に
ぎゅうと抱きしめて、肩口に顔を埋める。 手が熱いのは、撒いた汁がかかった所為だ。 彼が傷を負ったらしいそこに、顔を埋めて 歯をを立てた。
美味そうな元ポトフの汁のにおいがする。 >>244肩を掴まれた。 ラルフの背に回した手に少し力を込めて、抵抗する]
(246) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
|
|
[上着をひかれた。 トレイルの背は、震えている]
(248) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
|
[知らない"名前"が聞こえて、顔をあげた。
誰、だったろうか。「友達」の頭を撫でている、人。
目が合った気がしたけれど、そんなはずはない。
そんなはずは、ない。
ゆっくりと首を振ると、その場にしゃがみこんだ。
転がっている包みに手を伸ばす。
触れ―――られなかった]
……駄目、だなぁ
[何も出来やしない。
溜息,ついてー―空気は震えなかったけれどー―そのままこの暖かいだろう場所を出ようと背を向けて、
一度、振り返った。
目は合っただろうか。
そんなはずは、ないけれど]
[上を目指す。
欠片を拾いに、新たな記憶を零しながら、上へ。
いつの間にやら靴も忘れて裸足だったけれど
床の冷たさから感じる痛みも忘れてしまった。
それでも右足は引きずって、階段を上る**]
|
[>>252突き飛ばすラルフの腕の力と >>251一度背をなぞった手が離れた先で起こす力 >>244肩を掴むノックスの力
普通の少年でないトレイルには、叶わない力の差。 引きはがされる 最後まで、彼の肩を噛む力は弱めなかった。
熱い。 汚い。
ニコラの心配する声>>250が聞こえる]
(254) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
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|
[ノックスに抱きしめられた>>257まま 汚れのついたトレイルはニコラを見ていた。
心配してくれて、ありがとう
微笑んで、真っ赤に染まった唇が形どる いつものお礼の仕方。 その笑みが、深まって ついには肩を震わせながら笑い出した。 両手で腹を押さえて 声はなく、漏れるのは空気ばかり
大音量で響いたラルフの叫びに 恍惚とした表情を向けて]
(261) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
|
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[ぺろりと、舌なめずりをしてみせた]
(263) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
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|
[血の味が口の中にある。 舌でなめて飲みこんで、喉に違和感 眉を顰めて、ニコラに手を伸ばした。
>>264大丈夫? そう心配してくれたから。 今度の笑みは、嬉しさを帯びている。
諦めと絶望と 欲しいもの、したいこと 全部叶わないならせめて――
ノックスに抱え上げられ>>268 >>270汚れたと言われた口元をまたぺろりと舐めて
トレイルは嗤う。 あれほど嫌悪していた騒音が、 こんなに高揚させてくれるなんて、知らなかった]
(274) 2014/11/20(Thu) 01時頃
|
トレイルは、ドナルドが駆け付けたころには、ノックスに抱えられて炊事場>>268だ。
2014/11/20(Thu) 01時頃
トレイルは、プリシラの髪の色はもっと鮮やかだったかなと、手についた赤をかざして思い浮かべた。
2014/11/20(Thu) 01時頃
|
―炊事場側―
[愉快だ。 困惑した音の響き、それから悲鳴 思い出すと笑みが止まらない。 丁度入れ違ったドナルドに見られたかどうかは定かでないが。
生殖器官喪失故の情緒不安定は、今に始まったことではないが、此処まで顕著に表れるのは、周囲の影響もあるかもしれない。
>>276赤くなった手はじんじんと痛むが、大した事はない。 食べそこなった食事はもう、残っていないだろう 自業自得。
何度も名を呼ぶノックスに、階下を指差した。 ここは煩いね、と >>278ついてきたニコラにぱくぱくと口を動かしてみる]
(282) 2014/11/20(Thu) 01時頃
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[外の音が聞こえにくい、貯蔵庫、温泉 冷たい方か、温かい方
事情を知らない人>>273に会う可能性 すっかり抜け落ちている]
(287) 2014/11/20(Thu) 01時半頃
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トレイルは、ニコラス>>290が声を聴いてくれた事がまた嬉しくて、階下についてもずっと微笑んでいた。
2014/11/20(Thu) 01時半頃
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―1F 藁の上― [ニコラの姿がある。手をつなぎたいなと伸ばしつつ ノックスが>>293温泉の扉に向かうのを見ていた。
彼が抱くのは、トレイルとニコラだけでいい。 今まで通り、これからも 食事のにおいが混じった空気に鼻をすんと鳴らす
結局、あの場でラルフを食べる事は叶わなかった。 衝動が生まれたわけではなかったから 彼に立てたのは、牙ではなくただの歯 それでも今度は彼に奪われずに済んだろうか。
胸元のリングを握りしめようとした 無意識の手の動き そこにあったモノは、忘れた筈なのに。
>>295水音は、目の前の 扉の向こう]
(300) 2014/11/20(Thu) 01時半頃
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―1F 藁の上― [ニコラと二人で待つ藁の上。 笑いもようやく収まって、少しお腹が痛いと 片手でさする。
扉の開く音に顔を上げると、プリシラがいた。 居間から逃げ出したあの時以来見ていない。
彼が持つものは、まだ気付かない。 少し微笑んで、瞳を細める。 プリシラの髪は、やっぱり鮮やかな色をしていて ふと鳥のいろとどちらが――などと思考に余裕が生まれる。
ひら、と手を振ってみた。 気づいてくれなくては、逃げ出す前に差しのべた手と同じように、無駄になるけれども]
(313) 2014/11/20(Thu) 02時頃
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―1Fわらのうえ― [手を振りつかれて、ゆっくりおろす。 火傷をしたその手は、風を感じても少し痛い。 でもきっと、蓋を止めたニコラの方がもっと痛い。
二人並んで、ノックスの手当を受けた。 少し楽しい。 不謹慎。 楽しそうに笑う]
(318) 2014/11/20(Thu) 02時半頃
|
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[プリシラは、まだ何も知らないのかもしれない。 ディーンのこと シメオンのこと
転がる鍋蓋をとめたこと 醜い感情をぶちまけたこと
ふと、彼が握った形の手が気になって 包帯を巻いてもらいながら、ぱくぱくと口を開く。 視線の先を見れば、意図に気付いてもらえるかもしれないと思いながら]
(327) 2014/11/20(Thu) 03時頃
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[ノックスとニコラが話すなら トレイルは静かに微笑みながら聞くだけ。
全部――――トレイルは否定しない。 元をたどってゆけば、行きつく場所は同じだ]
(332) 2014/11/20(Thu) 03時頃
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[プリシラの掌のうえを見て、 トレイルは、瞬き首を傾いだ。
あんな色の指輪だったろうか
肩を竦めた。 知らない指輪だ、と]
(338) 2014/11/20(Thu) 03時頃
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[指輪をさして、それから 手当をした自分の手を広げて見せて
プリシラの手を、その指輪が入りそうな指を 人差し指でさした。
拾ったなら、キミのモノだろう 磨いたら 君がつけるといいよ
トレイルの音のない声は、聞こえないなら ニコラがきっと、通訳してくれると信じてる]
(339) 2014/11/20(Thu) 03時頃
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|
[そんなジェスチャーをしていると 手当を終えたノックスに後ろから襲われた。>>337 暖かいなと、身を預ける トレイルは、すなおに片膝の上に座る]
――――
[ラルフの分も用意したから? 怒っている? あれは、違う。 けれど、醜い固まりはもう投げつけて残っていない。
ゆっくりと息を吐いて、ノックスに微笑みかけた。 眉を下げて。 表情に込めた答えは、伝わるかどうか**]
(340) 2014/11/20(Thu) 03時頃
|
|
―藁の上― [>>343持ち主を探すというプリシラに 小さく息を吐いた。 見つからない。
父が息子を忘れたように ニコラがひと時、トレイルを忘れたように それはトレイルが忘れ去ったもの
忘れられた指輪がかわいそう ただの無機物に 憐みを向けるくらいなら 僕を
思うも、言葉に出来るものでなく プリシラが離れていくのを、ぼんやりと見送る]
(352) 2014/11/20(Thu) 12時頃
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―藁の上― [>>359ニコラがわらうと、トレイルは安心する。 びっくりした、と言われた時には 悪戯を成功させた子供のような顔で答えた。
着替えている分、ニコラよりも暖かい身 トレイルは、指輪の行方を思って、少し視線を落としていた。 その唇に>>361ふれる指を、手当をうけた掌で弱く握る。 離したいわけではないから、そのまま音のない声を紡いだ。
あげたのに、きっと あのままじゃ、すてられてしまうかな
折角見つけてくれたのなら、そのまま貰ってほしい。 何の役にも立たない子供が、少しでもと、起こした行動は全て報われなかった。今までも、今も。 プリシラが悪いわけではない。 声の無いトレイルが悪いのだ]
(362) 2014/11/20(Thu) 13時頃
|
|
[それから。
――――ラルフは、ずるい
ニコラの指をあてたまま、トレイルは言葉を形作る]
(363) 2014/11/20(Thu) 13時頃
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|
[僕を食べてくれるかもしれなかったフィリップを 一緒に生きるんだって、奪っていった。
子孫も残せない 衝動もわかない 存在意義の無い僕が 役に立てるかもしれなかったのに。
――あの音が聞けなくて シメオンのように無残な姿になるのは、嫌だけど]
(364) 2014/11/20(Thu) 13時半頃
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|
[いまは、 ノックスを奪おうとしてる。
君達がいてくれるから 役にたたなくても、迷惑でも 生き続けようと、諦めようと 思ったのに
また、彼がノックスの心に入り込んだ。
全部彼が持っていくんだ。 僕の欲しいものは、全部]
(365) 2014/11/20(Thu) 13時半頃
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|
[ラルフはずるい。 だから、僕の気持ちをかけてあげた。 つたえる音がないからね。 気づいてもらえたかな……?
本当は あのまま、無理矢理食いちぎって たべてしまいたかった。 奪われる前に。
そこまでを、綴り終えて 口を閉ざす。 トレイルは、すべてを諦めた顔で微笑んだ]
(366) 2014/11/20(Thu) 13時半頃
|
トレイルは、長い溜息をはいて、にこにこと笑いながら、足で藁を蹴飛ばし遊ぶ。
2014/11/20(Thu) 13時半頃
|
[背にノックスのぬくもりを感じながら ニコラへ向けた言葉 膝がくすぐったかった。 一音、一音 合っているときは頷いて、違うと書き直した。
ラルフは、悪くない 何をしたわけでもない ただ、トレイルが彼を憎いだけだ 嫉妬、羨望、かつて、自分に向けられていたものを トレイルは彼に向ける]
?
[ニコラの指が綴る。 声は、慰めを、文字は、現実を]
(380) 2014/11/20(Thu) 14時半頃
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|
[諦めて、受け入れるトレイルよりも 醜い感情を振りまいたトレイルを 好きだという。
瞬き、 それでも 嬉しくなって
ぞわっと背筋を何かがかけていった]
(381) 2014/11/20(Thu) 14時半頃
|
|
[この嬉しい気持ちのまま 食べられたら、
なんて 浮かんだ衝動は、衝動という自覚のないまま。 先刻の表情>>340でノックスには何と伝わったろう。 怒っているなんて、優しいものではないのだけどと、ちらり顧みる]
(383) 2014/11/20(Thu) 14時半頃
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[キタナイ、モノだよ ニコラ。
幼いトレイルは、自らの口から出た汚い悲鳴を 記憶の底に封じ込めてきた。 ニコラの指先が、触れるから トレイルは薄く微笑みながら、首を振る。
汚いものは、嫌いだ ズレた音、出鱈目なコード 正確で美しい音を紡いでいたいのに 昨日も今日も、その声は出ない
文字を感じながら、トレイルは透明な音を紡ぐ]
(389) 2014/11/20(Thu) 15時頃
|
|
[手伝ってくれる? 僕はとても、不器用だから
ラルフを食べたいとは思えない。 ただ、奪われる前に食べる そういう方法をニコラから学んだから。 大事なものを食べたら、後悔する ノックスが言っていた なら、大事でないものなら ――――きっと、楽しいままでいられる]
(391) 2014/11/20(Thu) 15時頃
|
|
[今度は失敗しないように
――――喰らってしまおう**]
(392) 2014/11/20(Thu) 15時頃
|
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ー藁の上ー [トレイルは、静かに座っている。 動く気配は、まだ、ない。
ノックスの声は届いていた。 知らなかった 幼いトレイルを知っていたなんて。
残酷だ 今の、うたなんて 透明な音では、ふれあってなお 聞き取りにくいもの]
(455) 2014/11/20(Thu) 21時半頃
|
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[ため息しか出ない。
ニコラの問いかけに ノックスはなんて答えるんだろう その応答次第では、
決行は今宵。
でも、今は。 トレイルは、静かに藁の上で微笑んでいる**]
(457) 2014/11/20(Thu) 21時半頃
|
― 少し前の居間でのこと ―
[名を呼んだ後、ディーンはしばらく気配のした方を見ていた。
一瞬目が合いそうになったのを逃げるように逸らして、屈みこむ背中をじっと見つめて、もう一度、彼が振り返った時は確かに、目が合った。]
――……シメオン。
[ディーンはもう一度呟く。
確かに彼はこちらを見ていた。
ニコラにさえ見えないこの姿を、確かに見ていた。
それは、彼が自分と同じ状態であるということを表している。
つまり、彼の命もまた、潰えたのだ。]
[ディーンは、ニコラの金の髪に視線を落とす。
彼の幸せを願っていた。それを一緒に探すことは出来なくとも、幸せになって欲しいと願っていた。
彼と共に旅をするきっかけになったのは、彼が右脚を食われたことだ。彼の右脚を食べたのは、ディーンのいた旅芸人の一座の一人だった。
足が上手く動かなくなった彼の面倒を、誰かが責任を持って見る必要がある。そうして白羽の矢が立ったのは、彼の遠い親戚でもあるディーンだった。
日常的に触れ合っていたほど近しいわけでもなく完全に無縁とも言えない遠い親戚という関係性は、周囲の大人たちにとっては都合の良い理由になった。
共通点といえるのは、せいぜい金の髪の色ぐらいのものだ。
しかしそれでも、シメオンと初めて会った時、ディーンは彼が自分の太陽だと思ったのだ。
彼が、我慢の上に成り立っている暗い道を照らす光だと。
しかし、ディーンの太陽は他にあった。
今ならば分かる。自分はただ、縋るものが欲しかっただけだ。
だからこそ、子供である彼を太陽だと思った。思おうとした。]
[いうなれば彼は、我儘の犠牲者だった。
最低限の接触以外を避け、まるで神聖なもののように扱って、結果的に彼に寂しさを植え付けた。
そうして最後には彼の為だと詭弁を使って彼を捨て、自分だけが楽になろうとした。
それは、許されざる罪のように、ディーンには思えた。]
…………。
[唯一、醜い自分を受け入れてくれたニコラの髪に触れる。
一房抓んで、唇を落とした。それは祈りの代わりだった。
全てをニコラに差し出した。
しかし、今残っているこの、ひとかけらは。
彼に差し出そうとも差し出せない、今の自分は。
最後の機会、なのではないか?]
ニコラ。少し、行ってくる。
……必ず、君の元に帰るから
――少しだけ……許して欲しい。
[ディーンにとっての唯一は、ニコラを置いて他には無い。
今、彼に声が届かないことは分かっている。
分かっていても、そう言い置いて居間から階下へと向かうニコラの側を一時離れて、シメオンの去った方向へ向かう。]
――……シメオン!
[そうして、一際大きな声で、名前を呼んだ。]
[階段を上る。
薄暗い扉が並ぶ廊下。
空っぽの部屋の前で立ち止まった。
扉に手をかけて――触れられはしなかったけれど――そのまま、立ち止まった。
どうしようかな、と首を傾げて、
何故此処に入ろうとしたのだっけ、とまた考えた]
………え?
["名前"が聞こえた。
よく知っているような、けれど何故だか馴染みの薄い名前。
二人旅、元々言葉少なな彼との道行きで
名を呼ばれることはそう多くはなかったから――]
[ノブを回さずにそのまま扉を押すと――"開いた"
中に入り、後ろ手に閉める。
いつかとは違い、そのまま部屋の中へ進み、寝台に腰掛けた]
なんだったかな…
[聞こえた名前。呼ばれた、名前。
覚えているのに、忘れてしまった。
――もう呼ぶ人なんて、いないと思ったのに。
覚えている想い、靄のかかる記憶。
足を組んで、右足を擦って
息を吐いても、もう白くはなかった]
[シメオンの去った階段を昇り、ディーンはそこで足を止める少年の姿を見つけた。
これまで彼の名を呼ぶのに、声を張ったことなどなかった。
その必要性がなかったからだ。
ディーンは、ふと考える。
自分が子供の頃、飲み込んだ我儘がいくつあっただろうか。
言ってはいけないと思っていた事がどれだけあっただろうか。
――それらを溜め込んだせいで、より一層苦しむことになったのではないか。]
……シメオン。
[彼が消えたドアの向こうを暫し見つめてから、ディーンはその姿を追い、部屋の中に入る。
寝台に腰掛ける姿を見てもう一度、今度はいつもの音量で名前を呼んだ。]
……それ、俺の名前?
[入ってきた彼の姿は、確かな存在に見えるのに
明らかに話しかけてくるその様子は生者のものではない。
わからないのに、胸が痛んだ。
思わず、顔が歪み、涙が出そうになって俯くほどの、痛み。
わからないのに、覚えてないのに
感情だけ残るなんて、そんなの理不尽だ]
何か、用?
[これで、違うと
それは君の名前じゃないと言われたら。
想像したら少し笑えた。
彼も誰かに食べられたのかな――
顔をあげ、真っ黒に見える瞳を見つめながら、思いを巡らす]
|
[上手く笑えない 微笑んで、ゆっくり息を吐いて。
ラルフに向けていた感情ほどでは無い けれど トレイルは、保護者から視線をそらしてニコラの様子を見る。
ニコラがいる ノックスは、遠い。 ニコラの視線は、トレイルじゃない。 ノックスの視線は、二人に向けて。
ーートレイルの声は今日も出ない。 きっと、明日も**]
(518) 2014/11/20(Thu) 23時半頃
|
…………ああ。
[問われた内容を把握する為の間が空いた。
どうやら彼は自分の名前を覚えていないらしい、と理解して、ディーンは僅かに目を伏せ、彼の問いを肯定する。
それから、彼の前に歩み寄って見上げる顔をま近くに見下ろす位置に立つ。]
君は、シメオンという名前で……
僕の、たった一人の 家族、だった。
[言い慣れない言葉に、眉を寄せる。]
家族に会うのに……理由は、いらない。
[どんな物語でも、芝居でもそうだ。
現実がそうであるかどうかは定かではないが――そうであって欲しいと、思う。]
………家族
[声にしてみても実感がわかない。
またひとつ、"記憶"が消えた気がしたけれど
忘れたものがなんなのかなんて、わかるはずもない。
すぐ近くにある瞳を見上げて、
その表情が――読めなくて。
手を伸ばしてみた。
理由はない。
だって、理由なんていらないんでしょう?]
[家族といっても、所詮は他人だ。
ならば他人でも家族になれる。
そう、思っていたこともあった。
思い出して、なくしたもの。
もうきっと、彼の表情は読み取れない]
名前
[いらない、もの]
名前、なんていうの
[それでも呼ぶのは、好きだった]
[手が伸びてくる。
これまで、彼に手を貸す以外――つまり、自分の手以外を彼に触らせたことはない。
反射的に逃げそうになって踏みとどまった。
触れられることを厭う理由は、もう無いのだ。
シメオンの指先は頬に触れた。
体温は感じない。
ディーンの眉間に寄った皺が、僅かに緩む。]
……ディーン・クロフォード、だ。
君の名前は、シメオン・クロフォード。
僕の、弟だ。
[姓なんて必要がないと思っていた。
しかしそれは、家族であるということを示す為の記号だ。]
[頬に届いた指がびく、と震える。
そこでようやく、触れられるとは思っていなかったことに気づく。
少し前、痛みに冷たくなっていた胸の中がふわりと温まって
そのまま頬を引っ張ろうとしてみる。
ちょっとした悪戯心、避けられるだろうと、やはり思いながら]
ディーン
……ディーン、 おにい、ちゃん?
[幼い呼び方。
どっちがおにいちゃんなの――幼い声が過って、消えた]
[まさか、引っ張られるとは予想もしていなかった。
しかし我儘の一つも言わなかったシメオンのことを思えば――そんな彼に甘えていたことを思えば、頬の肉が多少伸びるぐらいは仕方が無い。
それに何より、シメオンの手を引き剥がすことは出来ない。]
……呼び捨てで、いい。
[おにいちゃん、はむず痒い。
照れも何もかもをいつも通りの気難しい表情の奥に隠して、ディーンは必要最低限だけを告げる。
シメオンの記憶に欠落があるらしいこと、それ以外は何ら変わらないように思える時間。
――しかし、旅はもう終わった。
いつまでも続く時間は無く、ディーンには帰るべき場所が出来た。]
シメオン……僕たちは旅をしていた。
でも、それももう、終わった。
……僕は、君を裏切った。
でも、君のことは今でも、大事だと思っている。
――幸せであって欲しいと、願っている。
[果たして、今の彼にこの言葉は届くだろうか。
ディーンには分からない。
しかし、告げるべきことであると思ったのだ。
名前を呼ばれた。
ディーンは静かに背後を振り返り、口元にささやかな笑みを浮かべる。
再びシメオンに向き合った時、ディーンの片目が失せ、ぽっかりと穴が空いていた。]
[たとえもう一度、山小屋での数日間をやり直すことになったとしても、同じ道を選ぶだろう。
ディーンが選ぶのは、連れ添った弟を守って共にいる道では無く、ずっと待ち続けた太陽に身を捧げる道だ。
ディーンの片目は、ここにはない。
いや、片目だけではなく、命も、心も、全部。
残るひとかけらは、残滓だ。
――死に至る間際に一瞬だけ見た、眩しい日の光の名残。]
…………シメオン。
君は僕の、大事な弟だった。
[全ては過去形になる。
ディーンからシメオンに手を伸ばすことは、できない。**]
[掴んだ頬を、笑みの形になるように引っ張って
その似合わなさに声をあげて笑った]
ディーン か
うん、呼び捨てじゃなきゃ変だね
[手を離し、膝の上に戻すと落ちつかない様子で握ったり開いたり。そうしながら続く言葉を、聞いていた]
変なの
[彼の言葉は、悲しいくらい、おかしかった。
死んだ者に、先はない。
少しずつ毀れていく欠片は過去のもので
毀すものすらなくなったら、いつか消えるのだ]
……変なの、そんなの
生きている人に、願ってあげて
[叶いやしない、とは。言わないでおいた。
口にするのは、やはり少し、悲しかったから]
[振り返った彼の顔には、暗い空洞があって
それはきっと、最初からあったもの。
遺してきたことを、少しだけ忘れていたのだろうと
自分に照らし合わせてそう、考えた]
家族、って言葉憧れてたけどさ
[それは、無条件に愛される証だと
そう、夢見ていたから]
いいんだ、そんなの
そんなのもう ……忘れてしまって、いいんだよ
[そうして、笑う。
笑い方を、まだ覚えていて良かった。
早く、この"悲しい"も忘れてしまえたらいいのに]
ありがとう、 ……ディーン
[それでも、呼んでいるうちは忘れない。
忘れないように、もう一度呼んだ。
名前だけ覚えていて、
そして早く――消えてしまおう**]
トレイルは、ニコラスが閉じた宝石箱を指差した。
2014/11/21(Fri) 01時頃
|
[ラルフを、殺してしまおう ニコラと一緒に>>398
そう決意していたのは、少しまえ。
今は 気付いてしまった。 問いかけの>>409答え>>460 大好きな二人 今は
変わらないものなんて、あるんだろうか。 >>438何時もの戯れをニコラと共にぼんやり感じつつ 彼は二人に衝動を懐かないのだなと思い違う。
>>457ため息しかでなかった]
(573) 2014/11/21(Fri) 01時半頃
|
|
[ニコラの宝石箱。 指さして、開けてみてとねだる。
箱には触れない。 アレの中身は、ただのくすんでいびつな玉だ]
(575) 2014/11/21(Fri) 01時半頃
|
|
[ニコラの>>486ひそひそ話。 トレイルは、着替えを手伝わず、ただし見守りながら 大人たちから漏れ聞こえる囁き音を全て拾いあつめていった。 ただ、上手く言葉として認識できない。 故に問いかけには首を振るしか出来なかった。
よすぎる聴力の弊害 音をかき集める際に、どうしても他と混じる。 おまけに、小屋に来てから増えた音にならない音まで拾って。 毛布で芋虫になった程度では防げない。 一日聞かされ続けた音は、夢の中で言葉にかわり 延々とトレイルを苦しめている]
(578) 2014/11/21(Fri) 01時半頃
|
|
[上手く笑えない>>518。 昔の記憶は断片的にしか残っておらず 気付けばニコラの悪戯は減っていたし ノックスの過保護は度を越えていた。
酸味の強いオレンジの味を思い出す。 一番、昔の記憶だ。
ノックス、ニコラ >>552名を覚えて、透明な声で呼びかければ 三度に一度くらいは、聞こえるようになった。
あの時から トレイルの中で大事なものは、彼らだった。 たとえ疑似家族だったとしても。 でも]
(579) 2014/11/21(Fri) 01時半頃
|
|
[食べたいか、と問われれば応えはNOだ。 食べたいわけじゃない。 食べられたい。 残されたいわけじゃない。 消えてしまいたい。
>>569差しのべられた手に顔を上げた。 ニコラの宝石箱は、気になりつつ 頷いて、聞こえた音を並べ直しながら ゆっくりと立ち上がった]
(581) 2014/11/21(Fri) 01時半頃
|
トレイルは、ノックスに包帯代わりの布をあてて貰った手を差し出す。
2014/11/21(Fri) 01時半頃
|
[掴まれてもいたくないのは、 ノックスがトレイルたちを想っているからだろう。
早く大人に―――― ニコラへ向けた音。 少し瞳を伏せる。
そんな日は永遠に来ない。 あの時から、欠陥品になった、トレイルには]
(589) 2014/11/21(Fri) 02時頃
|
|
[トレイルだけに聞こえた最後の言葉>>590 ゆっくり目を開けて、歪んだ笑みを浮かべる。
衝動を抑えられる、大人でも 食べたいと思うなら
――――ノックス
トレイルの唇が、彼に向けて音を紡ぐ]
(593) 2014/11/21(Fri) 02時頃
|
|
[瞳を細めて、尋ねる。 この声が、もし音を為していたら きっと外の雪よりももっと、冷たい。
僕らを食べたいと思う? ――――細工師の彼は? ラルフは?
ノックスの首輪は、外せるだろうか。 ニコラは、ラルフを食べるのを、手伝ってくれる。 では、彼の首輪がもし外れたら
喰われた跡 ニコラの宝石箱の中には、ただの肉片]
(597) 2014/11/21(Fri) 02時半頃
|
|
[ほんとうは、誰かに食べられたい 音が欲しい 幾多のステージで歌い終わった時の 皆が自分だけに向ける音
きっと、今まで惹かれた音は皆それに似ていた。 幾度も名を呼び単調なリズムの同音を吐いた彼の声も トレイルだけに向けられていたと思ったからこそ 欲したもの
ただ、あんな醜い塊になるのは、嫌だ いまはまだ、美意識が邪魔をする]
(601) 2014/11/21(Fri) 02時半頃
|
|
[食べられず、生きるなら トレイルには、二人が必要で
誰かに取られる前に 食べてしまったらどうだろうと ノックスに対して考えてみても
そのあとを思うとそれも、出来ず。 行き着く先は、衝動よりもたちが悪い
邪魔者の排除、だ]
(602) 2014/11/21(Fri) 02時半頃
|
|
[いちばん。 何度聞いたか、忘れてしまった。
ニコラと二人でひとつの扱いが長くて 一番、と言われてもピンとこない]
(604) 2014/11/21(Fri) 03時頃
|
|
[食べるなら、醜いたまごは残さないで 綺麗に食べて欲しいなと思いつつ。 階段を目の前にして、つと服の裾を引く。 望みを音なく囁いた。 ニコラにも、きっと見える。
気持ちが、あるなら 僕のかわりに ラルフを、食べて。
ニコラも手伝ってくれる。 きっと、ノックスは大人だから 彼だって何故か懐いていたし 抵抗はし難い筈だから
食べてしまえば、いなくなる。 そうすれば、取られない]
(608) 2014/11/21(Fri) 03時頃
|
|
[トレイルは気付かずに、階段の先を指差す。 食事をして 静かになったら、
そうしたら]
(616) 2014/11/21(Fri) 03時半頃
|
トレイルは、ノックスの問いかけに、瞳を細めて頷いた。昏い悦びを帯びた微笑みを浮かべて。
2014/11/21(Fri) 03時半頃
|
[食べられたい。 自分だけに向けられる音を浴びながら。 でも、醜い姿は晒したくない。 あんな汚いモノになるくらいなら 食べられなくても構わない。 望み、絶望する繰り返しの日々だとしても 二人がいればまだ、生きていられる。
トレイルには 本当の意味での衝動はまだ 訪れていないのかもしれなかった。
ノックスが、ニコラが ラルフを食べたとしても、そこには意味を感じない。 その先に待つのが、三人での平穏な日常であるなら]
(620) 2014/11/21(Fri) 03時半頃
|
|
[親しくなったから、欲しくて食べるのでなく 親しいものの願いを叶えるために食べるのなら
僅かに混じった情など 些末な事]
(621) 2014/11/21(Fri) 03時半頃
|
|
[一段、上って 振り返って ノックスの笑みに、瞬きを二度。
これは可愛いのか。 怒らないのか。
相変わらず、哀れで酔狂なこの大事な家族は 二人を甘やかす事に関して際限がない]
(624) 2014/11/21(Fri) 04時頃
|
|
[行こう、ノックス、ニコラ
トレイルは、まるでピクニックにでも誘うように わくわくした様子で誘う。 >>627同じ仕草を、二人へと返して。
望みは 叶わない 希望は 絶望に
繰り返してきたトレイルにとって 初めての成就となったなら――――**]
(628) 2014/11/21(Fri) 04時半頃
|
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3
4
5
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
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