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この。化け物め……。
[らしくない口調で、唾棄するように言い捨てて。
瞬間、はっと我に返り]
……申し訳ないッス。ちょっと頭冷やしてくる。
[震える声で、ニコラスに視線を送り。厨房を後にした]
生きてさえいれば、大人になれたのに。ほんとバカだな。
[
いつまでたっても少年としか思えない彼が低く下手人に声をかけて。
グレッグ、ぐれーっぐ。やめとけよ。
[怒りに顔を歪ませて、拳を握る彼へ困った顔で笑う。
癖のように、しゃがみこんで。
まどろんだように死ぬ自分の死骸を、間近で眺めた]
……どうせろくな死に方しないとは思ってたさ。
金のために人殺ししまくってたんだから。
[出来れば生きていたかったけども、と諦めのため息をついて。
ヴェラを見上げ、眉を歪ませて笑う]
できればもう少しましな理由で殺されたかったけど。
……そんなにうるさかった?
[振り上げられた拳
避ける素振りも、反撃の動作も、それどころか眉すら動かない。
諌めるニコラスの声
煩い、狂った笑いはそこにはない。いいことだ。]
───!
[化け物
口調どうこうより、純粋に、声の大きさに驚いたのだが。
人間から見れば、化け物であることは間違いはないのだろう。
グレッグが怒る理由も、分からなくはない。]
…………。
[声を震わせながらも拳をひいて、厨房から去ってゆくグレッグを見て、不思議そうに耳が傾く。]
[こちらを見上げてくるニコラスに気付けば、ゆっくりと視線を下げる。]
うるさかったな。
[質問には簡潔に。
寧ろ、マシな理由がどんなものなのか分からないといった風に、無表情のまま首を傾げた**]
メモを貼った。
メモを貼った。
【人】 道化師 ネイサン 私の部屋は広いと言っても、 (128) 2014/12/13(Sat) 21時頃 |
……そりゃまた。
[
はは、と短い笑いひとつ溢すと、気が抜けたように項垂れた。
理不尽だ、とか。怒りとか。
思わない感じないわけではなかったが、殺されたときの記憶もないし。
多分、こっちも彼を殺してるし。
――もう文句言っても無駄だろ]
fuckin'
[だが一言くらいは言っておこう。
クソッタレ]
― 第二甲板 ―
[厨房を出る。ほう、と息を吐いた。らしくない。本当にらしくない。
自分の拳をじっと見つめて。やめとけよ、とグレッグを制したニコラス
……死んでからまともになったって。遅いッスよ。
[昔に戻ったみたいに、年上ぶって子供扱いしちゃってさ。
もう俺は大人だよ。なんだよ。なんだよ、もう]
なんか、調子狂うなあ。
[がりがり、と頭を搔いて。
でも、昔みたいなニコの姿を見て。
ひどく安堵している自分がいた]
……生きてるときに、まともでいてくれたらさあ。
[そしたら、もっと素直に接することができたんだ。
いっぱい話したい事があったんだ。いっぱい]
……天罰かねえ。
天罰と思っとこうかな。
[呟きながら、立ち上がり。
どこへ行くというあてがあるわけではないが、グレッグも気になるし。
ヘクターの側にいれば、話せずとも。
少しはこの荒んだ心も落ち着くかもしれないと思って、厨房の中から出ることにする。
食事の用意をしないで厨房から出ることが、少々奇妙な気分で振り返る。
血塗れでまどろむ自分の死骸があった]
……向いてなかったなあ、海賊。
[ヘクターには感謝しているし、親しみも感じてなかったけども。
感想としては、そうとしか言えなくて。
ヘクターに申し訳なくなった]
メモを貼った。
メモを貼った。
―第2甲板―
マトモだったらもっと早くに死んでた。
[
自嘲気味に言う声は、生前の狂乱はないが昔のものとも違っていた]
人殺すのが怖くてさ。でも、やんなきゃ殺されるから。
酒飲んで殺して、そしたらその後には殺した罪悪感に耐えらんなくて、酒飲んで。
酒がないと幻覚見えるようになった辺りで、ちょっとしまったかなあとは思った。
[キヒ、と小さく笑ってから。
低い位置にある頭を、べふべふ撫でておいた]
お前みたいに強くなかったんだよ。ごめん。
[口角を上げた顔は、酔いどれのときと確かに同一人物だと思わせるあけすけな雰囲気があった]
[fuckin' ───クソッタレ
今まで何度となく向けられた言葉だ。
死者から言われたのは、これが初めてだが。]
?
[何故これが天罰なのか、獣には理解できない。
厨房から去るというなら、話すことがないのだから、止める理由も特にない。
一瞬だけ振り向いたニコラスが、向いていなかったなと呟くのが聞こえた。]
……そういえば。
[ふとした気まぐれ。]
ヘクターは、聲が聞こえるらしい。
[何の声であるか、とか、魂がヒトかどうかまで分かるらしい、とか、そこまでは話さない。
いつもの言葉足らず。]
おまえは、あれによくまとわり付いていただろう。
[半ば独り言のように言うと、ふらりと、どこかへ姿を消した。*]
……しまったなあ、じゃないッスよ。
[ニコラスの声
どんどん変わっていくニコみて。すごく心配だった。
それで。どんどん素直に喋れなくなっていっちゃって。
[普段は頭を撫でられるのを嫌がるグレッグだったが。
ニコラスのそれは、気恥ずかしそうに受け入れた]
……俺は強くないッスよ。
[自嘲気味に呟いたあと]
ほら。強かったらこんな透き通った身体になってないし。
[誤魔化すように、きしし。と笑って。
ニコラスとこうやって喋ることができたのが、すごく嬉しい。
死んでからも、こういう時間を残してくれた神様に。
少しだけ。感謝した]
【人】 道化師 ネイサンー牢前ー (160) 2014/12/13(Sat) 22時半頃 |
― 第三甲板 ―
[兄貴の姿を追うように。ふわふわと第三甲板へ降りたグレッグが見たのは。船長室を蹴り開けるホレーショーの姿
……兄貴。いったいなにを。
[掠れた声を出す。とても。とても、嫌な予感がした。
宝、盗られて……? いま、兄貴は何と言った]
弔い合戦とか。そんなの。良いッスから。
相手はあの船長ッスよ。
[必死に。サーベルを抜き放ったホレーショーに話しかける。
兄貴を止めようと手を伸ばすが、その指は宙を切った。
やめて。まだ間に合うから。
船長に頭を下げれば間に合うから。だから]
兄貴。そんなことしたら。下手すりゃ。
[不謹慎なことを考えて、途中で口を噤んだ]
メモを貼った。
あー……。ごめん。
[
こういうとき何て言えばいいのか分からない。学も語彙もない。
逆立ちしても、陳腐な慰めとかそんなものばかり出てくるだけだから、余計なことを言うのは止めた]
強い、強い。
少なくとも、俺よりは。
[そういえばこいつ、なんで死んだんだろうと思ったが。
聞いてもなにができると言うわけでもないので、訊くのはやめた。
代わりに]
……しかし、お前背が伸びなかったなあ。
[やっぱ栄養かなあ。などと。
マイペースに首を傾いだ]
[
動く生者がいると思って、視線を向けた]
ヘクター。
[探し人は案外早く見つかり。
グレッグの頭をもう一撫でしてから、ふよりとそばによる。
生前と同じく、後をついていくことにした。
なにをする予定もないときは、よくそうしていたように]
― 回想・第二甲板
それは、間接的に。
俺がチビだって言いたいんスか……?
[ぴくぴくと眉を動かしながら、ニコラスを見上げて。
あ、なんか見下ろされてるって状況がムカつく。
文句の一つも言ってやろうとするが。
再びふわりと頭を撫でられると
……じゃあね、ニコ。
[へにゃりとした表情で、ヘクターについていくニコラスを見送った。自分も兄貴を追わねば、と*]
― 現在・牢前 ―
……あ。ああ。
[始まったホレーショーと船長の決闘を。
ただグレッグは手をこまねいて見守っていた。
船長の素早い剣戟を
自分はもう死んでいるというのに、恐怖でガチガチと歯が鳴った]
やめて。兄貴。お願いッスから。
[かつて、ころせばいい
絶望の化生のような船長にも、怖さよりも優しさを感じたグレッグが。
生まれて初めて――身を貫くような恐怖を覚えた]
メモを貼った。
―副船長室―
[グロテスク、が。武器の手入れをする光景への感想だった。
この程度じゃない所業を、酔った自分がしていたことなど知らずに。
ベッドに寝そべり、ヘクターの動きをぼんやり眺める。
仕事の合間によくそうしていたから、習慣のように今日も。
生きてたころは、ぎゃあぎゃあと騒いで怒られてた気もするが。
今日は酒が入ってないから、静かなもので]
……あ。
俺の部屋の酒、持ってっていいですよ。
[などと考えてたら、溜め込んだ安酒の存在を思い出した。
聞こえるなどと思ってないから、独り言で言っておく。
死んだ味方の部屋から持ち出した酒も、襲った船から持ち出した酒も。
調理場から盗み出した酒も、街中で宝と交換した酒も。
もう飲めやしない。
鎖から解放された気分だ]
─ 甲板・船首楼 ─
[ふらふらと漂うように、足は、甲板へ向いていた。
月が出るには、まだ少し早そうだが、空は少しずつ黄昏色に変わりつつあったろうか。
誰も居ないことを確かめて、船首楼へと向かう。
いたところで、どうせこちらの姿は見えないのだが。]
[覗き込んだ黒い海には、殆どと言っていいほど波がない。
そういえば、昨日からずっと風も吹いていない。
今頃になって、この船が、ずっと止まったままになっていることに気が付いた。
……止まっているからどうするということは、多分生前だとしても、何もないのだけれど。]
……兄貴っ!
[悲鳴のような声を上げて、ホレーショーに駆け寄る。
船長の一閃
こっ、これ以上。やめろォ!
[グレッグは思わず、激昂して。
ホレーショーを庇うように、両手を広げて船長の前に立ち塞がる。
その身体を、するりと船長はすりぬけて]
……あ。
[床に転がったホレーショーは、容赦なく踏みつけにされた
[やや時を置けば、漸く、東の空に月が顔を見せはじめた。
───ああ、今夜も、朱い。
思い出すのは、己の力を知った、あの日のこと。
物心ついた頃には、もう親はいなかった。
とはいっても、人ではなく、獣として。
路地で残飯を漁ったり小動物を食らったりな、どこにでもいる野良犬。
ただその野良は犬ではなく、狼だった。
もっといえば、ヒトオオカミだった。
いつの頃か、ヒトの姿をとれることに気が付けば、路地に干されている服を盗り、周りの人間がするように、着てみたりした。
ただ、まだその頃は、自身の幼い爪が、簡単に人間を引き裂けるほどの力を持つことなど知らなかった。
そして、人間の血が、肉が、残飯や小動物よりずっと美味だということも。
───あの日、路地で襲われるまでは。>>*15
そして、返り討ちとした男達の血肉を齧るまでは。*]
……っ。
[息を飲んで、グレッグは決闘の行く末を見守る。
なにもできない自分の存在が。ひどく忌々しい*]
[生粋の獣は、ずっと、闇の中に生きてきた。
はじめの頃は、人間に見つかり、危うく殺されかけたりもした。
しかしやがて、音なく獲物を狩る術を覚えた。
そして年齢が13を数える頃、路地で、狩ろうとした男に逆に捕まった。
殺されるのかと思ったが、逆に、暗殺の仕事を持ちかけられた。
寝床、食事、身柄の保証。
怪訝に思いながらも頷き、その男のもとに1年ほど身を置いた。
今思えば、あの男もまた人狼だったのだろう。
自分と同じ、生来のものか、後天的なものかは知らないが。
───いつの頃からだろう。
裏社会で『闇猫ヴェラ』などと呼ばれるようになったのは。]
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