17 吸血鬼の城
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あら、これだけの古城、しかも人が住む城は珍しいと思いますが?
[城主の言葉(>>1:407)に心から不思議そうな顔をした。その後の発言(>>1:408)を聞いても酷く察しの悪い愚鈍そうな素振りのままだった]
(1) 2010/06/20(Sun) 23時半頃
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けだ…もの…?
[ドナルドの息を呑む音も、ベネットの震えた声も耳には届かず。ただ何かに魅入られたように、城主の貌を、その牙を...は凝視していた]
けものの、きば けものの、きば きば きば きば
[呟き続ける。何かを繰り返すように続けるように]
(8) 2010/06/20(Sun) 23時半頃
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笑った口。 囁いた口。
[吸血鬼の城などという噂も、ベネットの姉が死んだなどという話も彼女の脳裏からはとうに吹き飛び、消し去られていた]
赤い赤い喉。 白い白い歯。
[大きな口をあけてよく笑う人だった。 楽しい事を見つけては、面白がる人だった。 何処かへ旅に出ては、その思い出を愉快げに語る人だった]
(14) 2010/06/21(Mon) 00時頃
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噛み砕かれ、 引き裂かれ、 玩具のように千切れ落ちていったもの。
その口が、
[――を切り裂き]
その口が、
[――を貪り]
その口が、
[――を食べ尽くした]
あ、ああ……
(16) 2010/06/21(Mon) 00時頃
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あの人は、私を――なかった。
[それは満月の夜の食事会の日の出来事。 誰も知らず、誰も判らず、誰も覚えてはいけない記憶]
狂っていたのに、 あんなに狂っていたのに、
[歳の離れた婚約者に夢を語っていたあの人。 人生というものを大事にしていたあの人。 誇りを持って生きていたあの人は]
私を見て―――
[戻ってしまった。 正気を取り戻して、しまった。そして今自分もまた――]
あああああああああああああああああああああああああっっ
[絶叫し、牢獄から駆け去っていった]
(21) 2010/06/21(Mon) 00時頃
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ああああああああああああああああああああああああああ
[喉が裂けんばかりの絶叫と共に、階段を上り駆けて行く]
『あの人は あの人は あの人は!』
[自分の目の前で、自分を引き千切った。 家族を喪った娘の前で、 頼るべき者を亡くしたばかりの子供の前で、 狂乱の果ての詫びの言葉と共に、 ただ一人、縋るべき者は自ら砕け散った]
(31) 2010/06/21(Mon) 00時頃
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― 自室 ―
や、だ。 やだ。やだ、やだやだやだやだ!
[子供のような駄々をこね、宛がわれてた自分の部屋へと駆け込んだ]
死なないで! 死なないで! 死なないで!
[少女は必死に死にゆく婚約者を呼ぶ。 異形の者と化した者を。 月の魔力に惹かれて狂い果てた者を。 彼女自身の家族をその牙と爪で――た者を。]
(32) 2010/06/21(Mon) 00時頃
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私は! 私は! 私は!
[時間も記憶も駆け抜けて、突然全てを失った女は叫ぶ。叫ぶことしかできないでいた]
まだ、まだ私は――
[必死になって荷物を漁る。衣服を引っ張り出しては投げ出していく]
違う、ここじゃない!
[そこで初めて、ベッドの下から油紙に包んだままの猟銃を取り出して手にすると乱暴に包装を切り裂いた]
あれは彼じゃないもん。 違う。違うもん。
[通りすがりの――が、ただ彼女と彼を襲っただけ。そんな記録と共に]
あ、あは。あはは。あは。違うもん。
[彼女の常軌と共に、何かが弾けた]
(41) 2010/06/21(Mon) 00時頃
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あははは、違うもん。 私はずっと前から、最初っから……
[突然伸びた牙。身体中から生えてきた剛毛。それはどんな怪物であっただろうか。だがそれは]
違うもん。 どこかに、きっとどこかに――
[未知の生物。謎の動物。それは旅をする婚約者の話によく出てきていた。決してそれらは怪物の類ではなかったけれど――]
いるんだ――もん。
[だから彼女は銃を取る。きっとどこかにいる筈のそれを彼女の"趣味"で撃つ為に。自分と彼を、彼女の妄想によって護る為に]
(46) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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あ、あ、ああ。
[発狂という均衡を得たことで得たものは、覚醒と共に失われる]
あ、あれ。 あれ、どうして? え?
[あれだけ手に馴染んでいた銃身が、命乞いをする御者の脳天を撃ち抜いた引き金が、何度も何度も繰り返してきていた装填が、まるで別人に戻った如く上手くいかない]
あれ。あれ、あれ?
[獣が逃げてしまう。それは無論、先ほどの吸血鬼を名乗る城主でもなく永遠に失われた獣人と化した婚約者でもない]
どうして? どうしてよっ! 逃げちゃう! 逃げちゃう!
[苛立たしげに、震える手を叱咤する。その無様な姿は酷く滑稽で、そして彼女自身が何より望んでいた、真なる発狂への発芽でもあった]
(54) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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はぅっ!
[乾いた音。 ロクに準備も整わぬまま発射された弾丸は、壁の何処かへ固い音を立てて当たるのみ。 その様子は彼女の背に、その部屋に潜む影達によって伝えられているとも知らず判らず、 手元から跳ねた銃身は硬い床に落ち、弾かれた彼女自身は引っくり返る]
(61) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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良家の娘 グロリアは、自分でも訳がわからぬまま「うわぁぁぁ」静かに泣き出した。**
2010/06/21(Mon) 00時半頃
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不痴不聾不做家翁。
[...はもし扉の向こうから誰かに声をかけられれば、東洋のそんな諺を口にして、泣きながら鍵をかけたまま部屋に*引き篭もった*]
(71) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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― グロリア客室 ―
'Tis the last rose of Summer, Left blooming alone;♪
[嵐のような一夜が過ぎた――但し、彼女の中でだけ]
All her lovely companions Are faded and gone;
[黒い何かが現れて、乱暴な手つきと言葉(>>81)を投げかけていったようだったが、良く覚えていない。唾棄されることには慣れている]
(273) 2010/06/21(Mon) 21時半頃
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No flower of her kindred, No rosebud is nigh,
[今はただ、ベッドの上に座りながら静かな声で歌を歌っていた]
To reflect back her blushes, Or give sigh for sigh…
[膝の間に抱えられた猟銃を抱きながら、静かに季節外れの歌を歌う。目尻と頬には涙の跡があり、彼女の脳裏にはそんな跡は残されていない]
(274) 2010/06/21(Mon) 21時半頃
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カリッ
[歌の終わりは、爪を噛む音。感じるのは扉の向こうからの人の気配(>>148)。城に棲まう闇など一切気付かず、目にも入らず。なのにも関わらず人間だけは、その意思だけは明確に嗅ぎ取っていた]
いるのね、其処に。
[呟き。今自分がどうしてここにいるのかすら覚えていない。何一つ、判っていない]
(275) 2010/06/21(Mon) 21時半頃
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莫迦みたい。 私はとっくに―――
[伝わるのは鉄の臭い。手袋ごしにひんやりと冷え切った銃身だけが彼女を形作る]
『生きてなど、いないのだ』
[乱雑に広げられた衣服と鞄を漁り、銃弾を拾い上げる。一つは装填し、一つは口に咥えて噛み切った]
(276) 2010/06/21(Mon) 21時半頃
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くす、くすすすす。 あはははははははははははははははははは。
[哄笑。宴という単語が脳裏に浮かんだ。時間の磨耗。発言者は誰であったか。赤い血。長く伸びた牙。点滅する記憶。途切れ途切れになる意思。思考。目的。判断。能力。時代。思い出。出会い。別れ。話。時。遺志、遺志、遺志――捏造された遺志]
うふふふふふふふふ。
[硝煙の臭いを芳しく香水のように浴び、淑女は一人*笑い続けていた*]
(279) 2010/06/21(Mon) 21時半頃
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良家の娘 グロリアは、花売り メアリーの一族には関心を持たないままだった。
2010/06/21(Mon) 21時半頃
良家の娘 グロリアは、薬屋 サイラスと共に入った合わせ鏡の部屋の事を脈絡無くフト思い出す。
2010/06/21(Mon) 21時半頃
良家の娘 グロリアは、長老の孫 マーゴの父親の評判の悪さなどを街で聞いていた気がした。
2010/06/21(Mon) 21時半頃
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So soon may I follow,
[...は静かに、歌い続ける]
(352) 2010/06/21(Mon) 23時頃
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