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[鬼は果て、呪縛は潰えた。
黄金の鬼に運命を歪められても、
彼らは此処まで来れたのだから。
その命尽きるときまで、彼らは彼らのまま、
歩き続けることができる筈だ。
――そう信じて、獣は小さく笑った]
[ひとりでは――
そんな声が聞こえた気がして
一度だけ、生き残った仲間達を振り返り、目を細める]
じゃあな。
……お前らは、負けんじゃねえぞ。
[獣の面に浮かぶ色は果たして*]
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【人】 営利政府 トレイル― 重ねの常磐 ― (18) 2014/02/22(Sat) 21時半頃 |
【人】 営利政府 トレイル[父を忘れ、母を忘れ、妹を忘れ、 (19) 2014/02/22(Sat) 21時半頃 |
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[――今にして思えば、
黄金の鬼に運命を歪められた子供たちの中で、
周が一番心弱かったのかも知れない。
戦い以外に生きる術を知らなかったから
その理由を失えば、容易く折れてしまうしかなかった]
[だから――誰かに必要とされたかった。
戦う理由が欲しかった。
真弓が言うように、零瑠が自分を必要としていたのなら、
甘さに付け込まれた結果、獣と成り果てたのだととしても、
――それでも良かったのだ]
[仲間達は、手の付けられない暴れ者だった自分を受け入れ
必要とさえしてくれた。
ヒーローを仰ぎ見るような憧憬の眼差し。
子分にしてくれと、慕う言葉。
寂しさを見かね、重ねられた手。
他の家族を裏切ることになっても、
自分を傍に置こうとした哀切。
欲しいものは此処にあった。
充分に与えられた。
――けれど、与えてくれた皆に、
報いることはとうとう出来なかった]
[生を擲ち死を選ぶ弱さを、疲れ果てた周は受け入れる。
昔、約束を交わした少女は、
寂しさに声を震わせていたけれど、その弱さを赦してくれた。>>*2
それに、共に在るときは常に自分の背を守り続けてくれた友が。
周が生き延びることを、誰よりも望んでくれた友が、一緒に帰ろうと導いてくれるのだから。
――きっとこれでいいのだ*]
【人】 営利政府 トレイル― 吾の安きを ― (32) 2014/02/22(Sat) 23時頃 |
【人】 営利政府 トレイル[願う。傍に在りたいと。 (33) 2014/02/22(Sat) 23時頃 |
【人】 営利政府 トレイル[広げられた安吾の腕。 (36) 2014/02/22(Sat) 23時頃 |
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[周にとって、なにが一番幸いなのか。
もしかすると、自分の与えようとしているものは間違っているかもしれない。
でも、もう、それよりも、なによりも、彼に安らぎを。
友として、彼になによりのねぎらいを。
それが、死というものであっても]
周、おでは…
絶対おまーはかえっでぐるっで信じてただ。
[周の身体が尽きれば、その魂を引き出すように手を引っ張りだして、その肩を叩き、髪をぐしゃりかき混ぜた*]
【人】 営利政府 トレイル[期待を寄せられて居たのに。 (42) 2014/02/22(Sat) 23時半頃 |
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【人】 営利政府 トレイル―菖蒲― (46) 2014/02/22(Sat) 23時半頃 |
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【人】 営利政府 トレイル ―――…菖蒲。 (49) 2014/02/23(Sun) 00時頃 |
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[今でも覚えている。
春、皆で摘んだ花のにおいと一緒に作った蓬餅の味。
夏、隙間から入ってきた虫と女の子たちの悲鳴。
秋、集めた落ち葉と焼き芋が焼けるまで待つあの期待。
冬、薄くて硬い布団の中でくっついていた互いの体温。
忘れたことは、一度もない。]
[醒めないで欲しいと思った夢。
取り戻したかった過去。
掴めなかった、未来。**]
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【人】 営利政府 トレイル[痛みも苦しみも切望も、長く共に在ったからこそ。 (66) 2014/02/23(Sun) 01時頃 |
[サミュエルが周へかける言葉を傍らで感じていた。
そのやりとりも、すべて。聞くつもりなどなくても、
その手は離れないのだから仕方ない。
だから]
……あなたはきっと、強くなれたはずなのに。
[同じ言葉は少しだけ、悲しげに。
少年たちに卑怯者だと言葉を投げつけたあの頃と、
零瑠を糾弾する言葉を投げた今と何の違いもない。
彼は自分がほしいものを持っていた。
“家族”を守る、力。それを行使する自由。
だから歯がゆく、だから悔しい。
当人にそんな様子が見えねば尚]
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[感じる意識は、
いまある命と消え行く鼓動に向けて。
明乃進とリカルダと零瑠と――絢矢。
他の皆はみな死んでしまったのだろうことを知る。
それでも、自分の願いは姉のくれた刃という形で託せた、それは成就したのだろう。
願うべく幸いはどこにあるのだろう。
鬼とならなかった家族が皆死んでしまっては、
鬼である彼らの幸いが見つからねば、
父を殺したかった意味も、失われたに等しい。
見知らぬ人の安寧など、帝都の平穏など知らない。
――本当は、傍らに感じる彼の存在だって、生きて幸せでいてほしかった]
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【人】 営利政府 トレイル―喉を通る紅の味― (76) 2014/02/23(Sun) 01時半頃 |
【人】 営利政府 トレイル[答えて欲しい唇は、もう動かない。 (79) 2014/02/23(Sun) 02時頃 |
【人】 営利政府 トレイル……うん。 (81) 2014/02/23(Sun) 02時頃 |
【人】 営利政府 トレイル[零瑠の事を、まだ『家族』だと思ってくれる彼となら。 (82) 2014/02/23(Sun) 02時半頃 |
【人】 営利政府 トレイル― 桜花 ― (83) 2014/02/23(Sun) 02時半頃 |
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