198 かるらさんのうなじ争奪村
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…足は事故った後遺症。時々痛むくらい。
ついでに手も。だから楽器やめた。
でももうずっと前のことだし。
さっきの、ずっと前から?
あんな夢、見てたわけ?
……とな、り。
[友の隣には、親しい誰かが居た。
曽井の立つのは、前か、正面か。]
……いい、の?
[そんな近い場所で。
恐る恐る見上げて、肩から力を抜く。
傍にある肩に頬を寄せた。]
………そう、残念。友のクラリネットの音は、好きだったのに。
………………
[肩を強張らせる。
なんて答えれば友を傷付けないか、言葉を選ぶ間に黙りこむ。]
たまに、 ………だ、よ。
なんでそこで俺の許可がいるのさ。
音が好き、ね。残念。口説くなら楽器もってお前んとこいけばよかったのかな。
たまに?酷くなって、やっとおちついたって割には「たまに」なわけ。
お前ウソ着くの下手だろ。でもって……や、いいや。
[多分、花についても嘘をつかれているのではないだろうか。
でも、彼にとってより価値があると判断した結果なら、
嘘だと追求しても詮無いこと
元来猜疑心は強いほうだ。結構いい割合で悪い方に考えるが
大抵あたる]
どうせ忘れるんだろうし。
あぁ、手は流石に出さないから安心してればいいと思う。多分。
許可とか、そういうところ、友は煩かったじゃないか……。
[昔の話。]
……口説くつもりなんてないんだから、そんな冗談言わないの。
[何だかむかっときたので、軽口に膝を叩いたが、図星をつかれて口ごもる。]
………な、に?
忘れないから、気になるよ。
[手を出すのは誰に?
呆けて瞬き、馬鹿と漏らす。]
そうだっけ?
ん?許してくれるなら口説くよ。気が晴れるなら喜んで。
[何をいっても、きっと忘れてしまうんだろう。
なら、今だけ許せと思うのは誰に対してか]
俺が馬鹿ですか。そうですか。
今更何いってんの。知らなかったの?お前。
手ぇ出されたいなら出されたいって言えばいいのに。
[さらりと性癖のCOだがまぁいいだろう
もし玲とのことがなかったら結構普通に手を出してた自信は、ある]
……待っ
[雲行きが怪しい。
離れようとして友の肩を押した。]
おかしいでしょう、どうしてそれで僕の気が晴れるっていうの?
ば………馬鹿、だよ。大馬鹿っ
手を出してくれって言われたら、君は誰にだって……その、抱いた……り、する、 の
[想像しかけて首まで赤くなった。]
[押されればあっさり手は離す]
さぁ。どうせ忘れるやつには何言ってもしょうがないだろ。
…つーか何想像してんの、お前。何、手だして欲しい訳?
そしたら今度毎夜俺の夢でうなされる訳か。
そりゃ見ものかもな。
[ふむ。悪くないかも。と真顔で考える(振り)]
さっきから忘れる忘れるって――…
友は、忘れることにしてくれた、わけ?
[それとも、それとも。気付いてしまった、とか?]
……僕がして欲しいとか、そういうことじゃなくて、友!
[想像したことのあれそれを放り置き、友の服を掴み上げる。変なことを考え出したと焦り、ぐっと引き寄せた。]
俺?無理。
[引き寄せられて、おや、という顔をしてから
間髪おかずに]
ん。
[同じく後頭部引き寄せて薄い唇にくちづけた]
な、
[絶句。無理だって?
頭突きの目論みは果たされず、後頭部に回された腕になすすべもなく、唇が触れた。
キスを、した。]
………っ、なに
僕は ……僕は、違うでしょ? よく、見て。
違うって。何と。ニコはニコじゃん。
あー、嫌だったか。それはごめん。
[流れからいったらそういうものかと思っていた。
実は遊び人…ではないけれど、一度陸ともしていることだし]
まぁ俺は覚えてる範囲は忘れない。お前に忘れろとか言われても無理。
ていうか忘れろと言われて忘れる馬鹿っていないと思うんだよ俺の経験上。
[分かっているじゃないかと眉尻を下げる。]
………嫌、だよ。
友は――赤い花を、咲かしたんでしょう?
僕じゃない、誰かを想って。
大事な、恋 だろ?
[じわり、浮かびそうになる涙を堪えた。]
僕が、言いたいのは――…、そういうの、大事にしてって、こと、で。
……でない、と、僕が 惨めじゃ、ないか。
大事に?どうやって。赤い花渡したら、そのこと忘れるんだろ?
…大事にしようがないじゃないか。
一応、そういうのと引き換えてるわけなんで。
あんまり簡単に忘れろと言われると俺が困る。
[言っていて、馬鹿だなぁ。自分。と思う。
今と昔は違うのに]
お前、赤い花渡したって、嘘だろ?
忘れてほしい忘れてほしいって、
そりゃお前が多分、俺のこと忘れるからだ。
[半分カマかけだがさて?]
違うか?
[シャツを掴んだままの、手の甲を唇に当てる。]
………ばか。
僕がされたがってるから、キス――してやる、とか、そういうの、要らない……から。
したいって、思った時に、するもの、でしょう?
[あれ、そう思ってくれたのかな?と、言ってから考えてしまう]
蕾を貰った時のように、取っておくことは出来る。
待って、待って、また咲く日を待つことは――出来るよ。
それは、大事にするって、ことと同じになるって、思うんだ。
[困らせている。そのことに、困惑する。]
友が忘れないのは、事実と――悔恨なら、そんな重荷は忘れて欲しいって。ただ、そう思っただけ、で。
………っ、どうして、ばれ
[た、の。開いた唇は震える。忘れるから、と。嘘だと。]
そうだね、普通はしたいと思った時にする。
初恋相手に一度くらい、思い出もらったってことにして。
もうしない。
また咲く日がくるとか思ってもさ、
実はもう大分忘れてはいるんだよ、ね。
[する、と手を離して苦笑した。
頭の中にもやがかかり始めている。
あの赤い花に重なる影がうろ覚えになりつつあって。
もし、本当に綺麗さっぱり赤い花の記憶を忘れたのなら、
今ここできっと彼に手をだしていたのだろうけど
嘘を白状した様子にはしたり顔]
嘘つき。
初恋…は、
[その子に? それとも…]
………また、いつか。
本当に来るかどうか、分からない不安は 大きいよ。
当然だと、思う。
[唇を結んで、唸る。]
………これは、理由があって……
[むむむ。前にされたように、その頬をつねってやろうか。
服から手を離すと――…]
わっ! え、カミちゃ……
そっか。じゃ、無駄だったか。残念。
理由あるならまぁそれで。聞かないよ。
[赤い花。とても大事だった、赤い花。
影は薄れてきても、気持ちはまだ残ってる。
流石に胸が痛んだ。
猫の鳴き声が聞こえれば、赤い毛玉をみやって]
おや。ここで会うのは初めてかな?
お前色んなとこにはいってたみたいだな?えぇ?
……僕には、何も残らない、から、だよ。
なんで、聞かないのさ。
見破った、のに。
[項垂れそうになる頭を持ち上げる。
カミちゃんと友の間で、一触即発の事態は避けようと。]
ぇ、預り……もの?
[掌に小さな袋が乗る。
差出人の名前は意外で、どうしてと思うばかり。]
電池……マンガン……
[ぽかんとしてしまった。なんかペソで支払いとか、
妙にビジネスライクというか]
あー、そんじゃ俺は失礼するよ。
と、その前に、ニコ。本、返す。ここで返していいんだろう?
…俺的にはひっじょーに不本意だけどな。
そう……。
じゃあ、1人でみる、よ。
………えと、充電式電池の方が経済的、かも知れないよ。
[電池の話に返す言葉は短い。]
そっか。あの子の願い、叶うと……いいね。
[首を振った。違う場所で見るから自分が移動すると告げて立ち上がった。]
………友。
あの日のことを忘れるのが無理、ならさ。
いいよ。 ………忘れない、で。
そうして、今日の事を忘れてしまった僕に、本を――返してよ。
僕を、………
[―――助けて。
唇だけが動き、声にならなかった。]
そして、いつか――…… 忘れて。
[本のことも、僕のことも。
唇に指先触れ。
あんな風にされるキスは初めてだったと、手扇で隠した。]
[ニコの言葉を何も言わずに聞き。
また何も言わずに額にキスして、
そのまま肩をすくめて笑う」
お前の住所だけでも教えとけな。
……行ってらっしゃい。
[カミちゃんが去った後、改めて思うのだ。
SF(少し不思議)な鬼灯だったのに。
妙にリアルで残念だった、と。]
え、……友。
不意にされたら、困る……だろ。
[前髪ごと額を押さえた。
教えるのは職場近くの住所。実家から、離れたとこ。
番地までは言わず。]
あとは、探してよ。友が。
[歩き難いなら別に、と、見上げて。]
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