299 さよならバイバイ、じゃあ明日。
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……おや。バレてしまいましたか。
もう少しだったのですが、残念です。
[異邦人であると看破された時の狐の反応は、その程度のものだった。
それでも祝賀会が開かれると聞けば嬉しそうに目を細めて、それは楽しみですと笑った。]
とんてけとんとん、しゃんしゃん、ぴーひゃらら。
[お祭りのような祝いの音色が街に響く。
その中心にいる狐は、頭に載せられた花冠にまんざらでもない顔をして、歌い踊る住人達を眺めている。
狐の目元を彩るのは、虹色顔料を混ぜた紅。狐があちらこちらに鼻先を向けて手を振る度に、赤から緑、青、橙、そして金へと色が変わってゆく。
狐が纏うのは、おろしたての真っ白な狩衣。その下の着物は、星が夢見る夜空のように深く、青い。
その上から花やらなにやらで飾り立てられて、狐はまるでちんどん屋のようであった。]
[あちらもこちらも飲めや歌えやの騒ぎの中、一際目立つ極彩色が目に入ると、狐はぴくりと耳を立ててそちらを向いた。]
もし、そこの人。
そのテーブルの上の、そうそれ、虹色の。
これにとって持ってきてくださいまし。
ほら、餞別だと思って。
[不運にも近場にいた、乳のようにどろりとした飲料を注いで回る酪農家にそれそれと指を差し、二枚貝の入れ物を押しつけた。
金蒼角の酪農家がキラキラしくなった指に顔を顰めながらそれを持ってくると、受け取った狐は満足そうに頷いた。]
どうもお手数をおかけしまして。
わたくし、この色がとても気に入りましたので。次行くところにも持ってゆきたかったのですよ。
[そう言って二枚貝を大事そうに荷物にしまった。]
[どこからかキンキン囀る声が聞こえればそちらに目を向ける。
若草色の"美の研究家"には仏壇臭いだのインチキ祈祷師だの散々突っかかられたものだが、狐は相手をおだてたり話題を逸らしたりして、のらりくらりと躱すのが常だった。
だから今日も、扇子で口元を隠したまま、目を細めてホホホと笑うだけ。
その様子に、また彼女はぷりぷりと怒り出すのかもしれないが。]
おや。これはこれは可愛らしい。
貴方も一緒に来てくれるのですか?
ホホ、これは嬉しいこと。
[荷物の中に入り込んだ小さな毛玉に目を瞬いて、どうやらあのふわふわ毛玉のものらしいとわかると、ちょんと指の先でつつく。
荷物の中は雑多なもので溢れているので、手拭いを丸めた巣を作ってやることにした。これで道中、潰れることもないだろう。]
ああ、ソルフリッツィは今日も見回りですか。
こんな時にも……いえ、こんな時だからこそ、でしょうね。
いやはや全く、彼の真面目さには頭が下がります。
けれど、……ほら。
少しは、楽しんでいかれればよろしいのに。
[祝いの席から離れようとしては別の輪に捕まり、また離れては別のところで捕まり……を繰り返している自警団の彼を遠目に眺めて、ホホホと笑う。
その後ほどなくして、彼が雷に打たれて絶命したことを、狐が知ることはないだろうけれど。
もしも彼の死の様子を見たならば、狐はきっとよかったと言うのだろう。
彼が死を恐れていることを知っていたから。
何が起きたのか理解する暇もないまま、一瞬で絶たれたのであれば、きっとそれはよかったのだと。]
あっこら、胴上げはおやめなさい。
いやワッショイワッショイではなく、あっちょっと、うっぷ、ちょっとお待ち……ああぁ……
[それから、急に始まった胴上げに為すすべなく揺られながら、狐は走馬灯のようにこの街での日々を思い出したりなどするのであった。**]
[死後の世界、というものがあるのかどうか、ソルフリッツィにはわからない。
わからないが、ソルフリッツィが命の灯を止めた者の中には、それを信じるものもいた。
自分はどこに行くのだろうか。その前に、死したのだろうか。
何もはっきりとしない。ただ暗闇の中を、漂うような落ちるような感覚を抱いたまま、そこにいる。]
[ゆらゆら、ゆらゆら、そこにソルフリッツィの意思は介在しない。
死後の世界に行くならば、行くのだろう。
あるいは、ソルフリッツィにとって、今まで生きていた街こそが死後の世界だったのかもしれない。
では、死後の世界で死ぬと、どこに行くのだろう。
考えることすら、もう、できない**]
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