8 DOREI品評会
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口に出さなくていい?
違うだろう、言わないで欲しいならお願いしなきゃ。
[惚けた表情は男には見えないが
叩くタイミングは彼が陶酔しかけた瞬間を狙ったかのよう。
首を振る青年に笑いながら告げる。
嵌め込んだ玩具を動かす為のスイッチは、未だトレイの上]
じゃあ、もう足閉じていいよ。
其のまま開いてたら落としそうだしね。
今度はこっち向いて。
[召使へ手を伸ばしながら命令を下す。
振り返れば髪の長い片割れが
男へ翡翠の薄絹を渡す姿が見えるだろう]
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……だそうですが、いかがいたしましょう、お客様方。
ああ、後ほど二人とも、あちらの小部屋に来て下さいね。 ご主人様に引渡しますから。
[道化は何も手を下さぬまま、舞台袖へと去って行く。]
(200) 2010/04/11(Sun) 23時半頃
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[命令を受けた舞台の屈強な男たちが、No.4を拘束から解く。 途中、その手の拘束が緩みヘッドホンもずらされていたことは、客席に報告されることとなるが。 誰の命令かは、奴隷の知るところではない。]
(201) 2010/04/12(Mon) 00時頃
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[カルヴィナかと言う問いに頷きながら、影のように身を滑りこませる。
扇子を持つ指先が震えている事に気付き、手をのばして重ねた。
隣席の金髪の紳士との会話が聴こえる。
姉さん──と。姉弟で奴隷の競売に来ていたのかと言う驚き。否、驚く事では無いのかもしれないが。]
…、
[眉が寄る。小さく息を吐きだしながら、前を向いた。
動けば後ろの尻尾が揺れてくすぐったい。
それがまた、表情を少しだけ歪ませた。
指示どおりに男のほうを振り向けば、男の手に翡翠が渡されようとしているのが見えた。
その色に、少しだけ平静を取り戻したか]
[目の前で交わされる深い口付け。
それは美しい絵のようで。
その内で何が行われているか、此処からではわからなかった。
ただ、男の瞳からただの口付けでは無い事は悟れたような気がして。
こくりと一度喉が鳴った頃、現れた人物の気配によって漸く目を逸らす事が出来た。]
…、……
[ちら、と客席に来た人物に視線を向けたのは一度。
その後は視線を主人へ戻し、控えめに見上げる。
息はまだ少し乱れたまま、ただ無言で。]
――――…!
[その無言が崩れたのは、道化のコールが響いた時。
ばっと道化の方へまず視線は向けられて。
再度、主人へとその視線は向けられた。
ちりん、と胸元の鈴が一度啼く。
その音色は心を映したかのように、軽やかだったか。]
おっと、力抜くと落ちちゃうよ?
[振り返る青年に忠告一つ。
尻に力を入れると、中に嵌めたモノの存在を嫌でも感じずには居られないだろう]
少し待ってて。
その尻尾が出る穴あけなきゃならないから。
[そう言うと、彼の目前でトレイの上からナイフを手に取った。
翡翠のディスターシャに宛がう]
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[またも命令で、No.2のための服も運ばれてきた。 丈のせいか子供服が多いが、さてどれを選ぶのは彼女次第。]
(206) 2010/04/12(Mon) 00時頃
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『…解っている』
[中に入っている分よりも、房飾りの部分のほうが重い。
遠心力と重力もある。迂闊に、動けない]
な───
[瞳が、まあるくなる。
翡翠のそのきぬは、自国で着ていたものとは多少違えど身に馴染んだもの。
それに突き立てられようとしているナイフ。
込み上げるのは悔しさと───酷い喪失感]
──……っ
[躊躇いと、苛立ちとが入り混じった眼差しで、隣席の弟と話すグロリアを、あるいは道化に指示を出す彼女をじっと見詰めた。今はまた扇で隠されているから、金の睫毛で縁取られた灰青の瞳だけを。
言いたい言葉があるのだ。
指が絡まなければ、それを口にすることは不可能だったかもしれない。それだけ、酷く滑稽な言葉を自分が口にしようとしてる。その自覚がイアンにはある。]
…… な あ。
グ ロリア。
もし、今から奴隷を買って欲しく無い。
って、言ったらどうなる。
もう競売が済んだ以上、どうにも成らない か?
そもそも、そんな口をきける立場じゃないか──。
どうしても、女奴隷を育てなくては?
落としたら、お仕置き。
[くすっと笑みを零し、翡翠に刃が入る。
この屋敷で彼の国を思い出させるモノ。
まるい穴を開け終えると、男はぱさりと青年に放って寄越した]
はい、完成。
着てみてよ。
尻尾出無いようなら、もう少し広げてあげる。
[口元を歪ませ、蛇のような笑みを見せる。
ナイフは男の手からトレイへと戻された]
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さて、No.4の彼の分は、命令を受けていませんから。 彼用の男装ではサイズが違いますか。
ええと……。
[許可が得られたなら、青年用の衣装も何着か用意されるだろう。 未だに女装用のドレスが混入しているのは、冗談としか思えないが。]
(210) 2010/04/12(Mon) 00時半頃
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あ、はい左様でございますか。
[イヤホンから聞こえた声に、No.4にも服を与えるように、と使用人に命じた。]
(211) 2010/04/12(Mon) 00時半頃
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…、……っ
[見上げた主人の口の端が、緩やかに上がる。
それは、願いが叶ったという証。
その時はただ嬉しくて。
彼をあの場所から解放出来る事が、ただただ嬉しくて。]
―――…は、…。
[くしゃ、と顔が崩れて安堵のため息が漏れた。
それは主人に初めて見せた表情。
気の抜けたような、笑顔のような。
じわ、と涙がこみ上げてきて、それを拭う。
艶やかな黒髪が、さらさらと揺れた。]
[言われなくても、そんなこと解っている。
でも。けれどそんな事よりも]
───、ぁ
[喉が微かな音を立てる。
それは、吐息に混じって消えてしまうほど小さな音。
投げてよこされた翡翠を、受け取るというよりは、受け止める。
受け止めた指先は]
…、……っ
[震えて、歪んだ視界で見えなくなった]
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