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[2人の召使は彼が意識を取り戻した事に気付くと
翡翠いろの薄絹を差し出す。
彼が待ち望んでいただろうディスターシャは
しかし上に着る長い法衣のような其れ一枚だけ。
光の差し込むサンルームは温かく、仄かに香が焚かれていた。
男の姿は無い]
【人】 若者 テッド― ルーカスの客室 ― (299) 2010/04/07(Wed) 15時頃 |
…。
[重い体をどうにか起こしながらきぬをうけとる。
差し出されたのは長衣だけ。下履きも肌着もない。
それしかわざと用意しなかったのだろうことは想像にかたくない。
受け取ったそれに袖を通す。
ふと、香の匂いに気付く。仄甘い匂いだ。
暖かな光は、母国を少しだけ思い起こさせた]
【人】 若者 テッド― ルーカスの客室 ― (304) 2010/04/07(Wed) 15時半頃 |
[青年が衣服に袖を通すのを見届けると、髪の短い方の双子が立ち上がり部屋を出て行く。
大分間をおいて、二つの足音と共に戻ってきた男と召使の手には大きな皿に乗った料理があった]
ああ、やっぱり似合っているよJade
前の身分は忘れろといったけれど、
そういう衣装を着せたまま貶めるのも悪く無いと思ってね。
まぁ、お仕置きの前にご飯にしようじゃない。
もうどれくらい食べてないのかな、お腹空いただろう?
[そう言いながら絨毯の上に並んでいくのは手づかみでも食べられそうな、男にとっては異国の料理。
香辛料を効かせた肉や野菜をブドウの葉で包んだもの。
ピザに似たひき肉のパイや、ミルフィーユに似た菓子。
青年の前に胡坐をかいて座り、薄い笑みを浮かべて見せた]
[髪の短いほうが部屋を出ていく。長いほうが部屋に残る。
何をどの言葉で喋ってもいいか解らないので、幾らか気不味い。
無言の時間は、確実に重たくて、腹立たしくも見慣れた顔に少しだけほっとした]
『…相変わらず、趣味の悪いことで』
[意識が戻ってくると、言葉も視線の鋭さもだいぶ戻ってくる。
並べられた皿に、幾らか瞳を瞬かせる]
『……ギリシャ料理?』
[少なくともドルマとバクラヴァぐらいはぱっと見て理解できた。
ひき肉が乗っているものが、ムサカかどうかが自信がないくらいで。
何でこんな料理が出てくるのかが不思議で、目の前で胡坐をかく男に
ちらりと視線を向けてみる。答えは、あまり期待していないけれど]
【人】 若者 テッド― ルーカスの客室→ ― (312) 2010/04/07(Wed) 16時頃 |
【人】 若者 テッド― 廊下 →ヴェスパタインの客室 ― (316) 2010/04/07(Wed) 16時頃 |
趣味が悪い?
Jadeが着ていた服に似せて作らせたんだけどね。
[硬翠に力が戻っているのがわかる。
衣服を作らせ、料理をつくるほどの時間が経過していたのは、彼にも理解できるだろう。
恐らくあの弱い薬は殆ど抜けている。
彼の問いかけに男は頷いた]
御前と同じような白い服を着ていた商人にご馳走になった料理だよ。
つくるにあたって多少アレンジはしたけどね。
何しろ此処じゃ手に入らないスパイスもあるから。
صفيحة
……だったかな、これは。
[スフィーハという発音になった其れはひき肉のパイを指差して。男は手をつけようとしない彼に首を傾いでみせた]
食べないのかい?
【人】 若者 テッド―――…! (319) 2010/04/07(Wed) 16時頃 |
【人】 若者 テッド― ヴェスパタインの客室 ― (322) 2010/04/07(Wed) 16時半頃 |
『そうじゃない。
服に関しての文句を言っているわけじゃない』
[しようとしていることが気に入らない。ただそれだけのことだ。
自分と同じような、と言われて、ああそうか、と何となく理解した。
恐らくこれは自分達の国よりもう少し上のレシピに近いのだろう]
『…。貰う』
[空腹なのは事実だったから。
そう言えば、肉料理と気づいて一瞬指を止めかけたが、自分と同じような姿の人間が
食べていたというなら、おそらく肉の種類も大丈夫なのだろう。
どうせ父も兄姉もいないのだから種類なんて気にせず口に運ぶことにした。
自分と母は肉を選ぶ宗教ではなかったけれど、流石に宗教が違う家族が
いる時は気にして食べていたから]
【人】 若者 テッド
(324) 2010/04/07(Wed) 16時半頃 |
【人】 若者 テッド
(326) 2010/04/07(Wed) 16時半頃 |
うん?
服じゃないとするとなんだろう。
[首を傾ぎ、青年の手が料理に伸びるのを見て、頷いて見せた]
ああ、どうぞ。
なるべく忠実に再現してはみたけどね。
[肉料理に伸びた手が一瞬止まったのに気付いたが
男は小さく笑うだけ。
傍らに双子の召使を侍らせて、彼が食べる様子を
胡坐をかいて観察している。
男が料理に手を伸ばす様子は無い]
飲み物にリクエストはあるかい?
[そう問いかける今は、今だけは
まるで奴隷に対する扱いではないように見せていた]
『…もういい』
[葡萄の葉の包みを口に運ぶ。刻んだ香辛料の香りが肉や野菜に染みていて、
其れは久しぶりに食べものを胃に入れたこともあって随分上手く感じられた。
小さい包みだから、二つ三つとすぐに消えていく。
ちょっとぱりぱりとしたスフィーハも、ピスタチオの緑が鮮やかな甘いバクラヴァも、
どこか故郷を思い出させて時々指が止まったりもした]
…『薄荷茶』
[飲みものを、と聞かれたので少し考えてから素直に答えた。
酒はあまり飲まない。食事をしながら甘いものも苦手だった]
【人】 若者 テッド―――…うるせぇよ。 (331) 2010/04/07(Wed) 17時頃 |
ふぅん。
……しかし、御前がそうしているところを見ると、此処が異国のように感じるよ。
[軽く流すと、男は彼の注文に双子を振り返る。
同じタイミングで頷いた召使二人は音も無くサンルームを後にした。
時折手を止めながらも食事は進んでいく。
餌を与える飼い主はそんな彼の様子を口元に笑みを浮べて見つめていた]
味は気に入って貰えたかい
御前、餌は他に何が食べられる?
[男の言葉は暗にこれからも食事は与えられるという事を示している。
交わす会話内容をよく聞いていれば、その食事を男が作っている事が理解出来るだろう。
暫くして、薄荷のスキっとした香りの茶が運ばれてくる。
双子は一礼してサンルームを後にした]
【人】 若者 テッド[だいたい後処理なんてしたのも初めてだし、すぐに電話が鳴っていたしと頭の中でだけ言い訳をした。] (334) 2010/04/07(Wed) 17時頃 |
【人】 若者 テッド
(336) 2010/04/07(Wed) 17時半頃 |
[スフィーハの、ソースを吸っているのに少し焦げてぱりぱりとした耳が好きだ。
これはちょっと気に入ったので、少し時間をかけて食べる]
『そうさせているのは、お前だろう』
[小さな破片を口に運ぶ。
食事も、服も。こんな風にされるなんて思ってもみなかったし、
逆に、買われた身分にしては手を掛けられている気がしてそれがどうにも違和感があった]
『…悪くは、ない』
[破片や細かい屑が膝に落ちないように、軽く手を添えながら食事は進む。
何が食べられると聞かれて、幾らか間をおいて、大抵のものは、と告げるだろう。
香の中に薄荷のひんやりとした香りが混ざれば顔を上げる。
相変わらず声を発しないその二人が出ていくのを見てから、
ポットから注がれた薄荷茶の碗を傾けた]
【人】 若者 テッド
(338) 2010/04/07(Wed) 17時半頃 |
【人】 若者 テッド[女からする華の香り―――くらりとする。 (339) 2010/04/07(Wed) 17時半頃 |
ああ、そうだよ。
御前を少し着飾ってみたくなってね。
[手をかける真似事をしたのは、あの場で育てる者に会ったからかもしれない。単なる気まぐれの一つ。
どうやらピザのような料理は彼の気に入ったらしいと観察しながら男は記憶する。
食事の進め方も矢張り身分の差を見ているようでそれが男の深い部分で仄かに燻る]
そう?
美味しいならつくった甲斐があるね。
確か牛だったか豚だったかは食べられないと聞いたけど
それも大丈夫かな?
[悪くないと、碗を傾ける青年に笑い]
御前を飼うにあたっては
少しばかり時間をかけて見ることにしたんだ。
そう簡単に殺さないから、安心するといい。
[食事が終わる頃合を見計らって、低い声で未来を語る。
殺さない、とは言うが、壊さない、とは言わない]
……。
[あからさまに嫌そうな顔をしただろう。
多少立場上見目に意識を使うこともあったけれど、着飾るのは範疇外だ。
唇と指に残ったピスタチオを舌で舐めとる仕草は子供のようでもあったか]
『俺は異兄姉達とは信仰が違うから問題ない。
こちらの血も混ざっているから普通に牛も豚も食える』
[こちら、とは言ったが果たしてこの場所が欧州なのかは解らない。
甘い残り香を薄荷の香りと共に飲み込む聞こえた言葉に幾らか睨んだ。
命以外は持っていかれる可能性があると、言葉を聞いて判断したからだ]
[紅い舌が覗く仕草には、少年らしさと同時
誘う意図をも読み取る。恐らく彼は無意識だろうと思いつつ]
へえ……? 混血児ってやつかな。
兄弟多いんだね。
[彼の身分を確かに知っているわけではない。
男はそんな風に語りかける。
此方へ向いた鋭い視線には、褐色を細めて笑んだ]
――聡い子は嫌いじゃないよ。
俺の機嫌を損ねないように、気をつけるんだね。
殺さないってことは
どんなに痛くても辛くても死ねないって事だから。
【人】 若者 テッドうるせェ よ …薬じゃ――― ッッ… (343) 2010/04/07(Wed) 18時頃 |
【人】 若者 テッド な…ン だ、 ――…よ (344) 2010/04/07(Wed) 18時頃 |
【人】 若者 テッド[そして、感覚が戻れば 怒りの感情を剥き出しにぎらりと男を睨むのは束の間のこと。女が射精を導くように舌と口で奉仕を繰り返されていた刺激が一気に身を襲った。ぞくりと全身に鳥肌が走りぬけて] (345) 2010/04/07(Wed) 18時頃 |
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