94 眠る村
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ローズマリーは、ケヴィンの伸ばす右手を、拒もうと左の手で肌に触れるを防ぐ
2012/06/19(Tue) 20時頃
やっ…… たあああ!!
[幼馴染が背を向けた理由など分からない。
ただ嬉しくて、両肩に腕を伸ばして背中にのし掛かる。]
うん、オレ、お前がいなきゃダメだ。
[存在を確かめるように、腕の力を強くした。]
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[肩を撫でられた老人は、ケヴィンに付いて部屋に戻る勇気もなく、 と言ってその会話を聞き漏らすこともできず、ただ立ち尽くしていた。]
……ひぁぁ
[老人は小さく叫び声を上げる。]
……儂の言葉は風の前の塵に同じじゃ。
ローズよ… 儂は言うたのう。おまえのなかにおまえが居るならと…
儂は…儂はおまえになんと残酷なことを言うたんじゃ!
(60) 2012/06/19(Tue) 20時頃
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ああ。
[庇わない。押さえた喉元、握りつぶしてしまいそうだ]
お前を残して、ひとりにはさせない。
[触れる前に拒まれる手を、握り締めて。 それでも男はもう一歩、距離をつめ女の瞳を間近で見詰める]
(61) 2012/06/19(Tue) 20時頃
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…… ………じゃが、じゃがええんじゃのう? それがおまえの…「嘘」なんじゃのう?
[老人はそう呟いて歩き始める。宿の部屋に向かって。 ローズマリーの顔を見る勇気もない、 つい先刻は哀願したケヴィンを擁護することもない。老人は歩き去る。**]
(62) 2012/06/19(Tue) 20時頃
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ふふふ。 あらあら、
[女の身体では力強い男には敵うわけなく、左手は束縛される]
お爺ちゃん、なにを言ってるの? わたしは、わたしよォ。
[口許を歪ませ][ひときわ近くなった恋人の眸を見詰める]
…、なんのつもりかしらァ?
(63) 2012/06/19(Tue) 20時頃
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う、わ…ッ
[不意に伸し掛かられて膝から崩れそうになったのを堪える。
幽霊になっても重さを感じるなんて、不思議なものだ。]
フィル重いよォ…
[苦しいくらいぴったりくっついてくるフィルの腕に触れる。
フィルの方が少しだけ体格が勝るようになったのは何時からだろう。
幽霊になったらもう変わることはないのかな。]
お前がいなきゃダメだなんて。
愛の告白みたいだよねェ。
[もしくは女にフラれた男みたいだと。
ぺちりとフィルの腕を叩いた。]
――…あぁ告白といえば死ぬ前にクラリスに好きっていえてよかったねェ。
[にやにや。いつ聞いていたのやら。]
……もっと、はっきり……
乗っ取られていた、ら……
判断も、たやすい、のかしら……
[従兄弟が人狼だと見たクラリッサも、
自ら人狼だというローズマリーも。
娘の目には、違いがわからない]
[幼馴染と、その恋人のやり取りに、菫色の眸をそらす。
――その視線の先。
ぼんやり、とした青い炎から出でる娘の姿に一つ瞬き]
――クラリッサ。
[呼びかける声は、生前と代わらぬ、音]
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…、それでも ――――。
[歪む恋人の唇を見詰め、 免罪符のように紡げず噛み殺す言葉。 女の肩口へ額を落とせば、己の喉と女の手を握る手の力が抜ける]
…、…
なぜだ。
[ぽつりと、落ちる言葉]
(64) 2012/06/19(Tue) 20時半頃
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…人狼ってなァ、悪い奴で、怖い魔物で。 でも――血肉にしようと、人を喰らうんだろう。 それを…――ああ、
[自身の苛立ちの理由に気づき、息を吐いた。 ケヴィンの姿を、その輪郭がぼんやり見えて顔を向ける。 肩の小猿は怯えてぎゅうと男の耳を握っていて。]
(65) 2012/06/19(Tue) 20時半頃
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ブローリンは、ケヴィンに話の続きを促した。
2012/06/19(Tue) 20時半頃
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[肩に乗る重みも、握られた手もそのままで]
ふふふ。
[歪んだ口元は笑みを浮かべ続ける]
(66) 2012/06/19(Tue) 21時頃
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あなたが大切だからよ。 それ以外に何があるっていうのォ?
(67) 2012/06/19(Tue) 21時頃
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てッ
[皮膚を弾く音が響く。
渋々離れた。]
……んな軽いモンと一緒にすんなよ。
[鼻を鳴らす。
恋や愛などの括りに入れられるような――そんな簡単な想いじゃないから。]
[真顔で告げた後、シメオンのニヤニヤ笑いにぶつかる。]
……お前、アレ、見てたのか……。
[今更ながら恥ずかしい。
あの時はとにかく、彼女へ向かう気持ちが否定的なものだけだという誤解を解きたかった。
淡い暖かな気持ちをくれた彼女を救いたくて。
――結果的に告白の形になって、「ごめんね」が返って来た訳だ。]
クラリスは……クラリスに、戻れたかな……。
[彼女が少し向こうにいる気配に、鈍いフィリップはまるで気づかない。
ただ、彼女の救済を心から願った。]
……………………………………………って、
[クラリスを思い出して、自動的に思い出す。
ひどい心残りを。]
……告れたんはいいけど、両想いもキスも経験しねぇまま死んだんだなオレ……。
[がくり。]
[名を呼ばれた―――その声は。
最後にみたのは、赤い海の、中。]
…………、 ラディ ス ラヴァ、さん。
[――じくり。
死して尚、痛む記憶と、心に。]
あの―…、わたし、
わたし、
[言葉がもつれてうまく出ない――
なにを言えばいいのか、まとまらずに。]
ごめ、なさ――……
[音にした、謝罪――]
[死が訪れたときの記憶はない。
それは、きっととても幸福なことなのだと。
クラリッサの様子を見て、思う]
――いいの。
貴女のせいじゃ、ないもの……
[ゆるり、とクラリッサの傍らにしゃがみこむ]
私が、こうなったのは、人狼のせい。
貴女が、ここにいるのも、人狼のせい。
ね、おなじ、でしょう。
[首をかしげて、小さく笑む。
ここにいるのは、昔から知っている彼女で。
――成り代わっていた人狼ではない、と思ったから]
|
[恋人の肩に額を乗せたまま男はしばらく押し黙る。 脳裏を巡るうそとほんとうの狭間で、 きつく眉間に寄せた皺は布越し女にも伝わるか。
無理やり吐き出す吐息が熱い。 弛緩した男の手指はそれでも女の手から離れずに]
……、それで、これから、どうする?
[そっと指を絡め、男は顔を上げる]
(68) 2012/06/19(Tue) 21時頃
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[服に皺が寄る感覚を肩が感じる] [手を離さないまま指を絡み返して]
[左手を引けば恋人の手は胸元の刺青に軽く触れる]
…、殺してくれるんでしょぉ?
[ふふふ、と笑みを浮かべながらするりと右手を彼の背に回す]
[ばちりと、火花が爆ぜるような感覚が一瞬走る]
"…、え"
[はたはたと碧の眸を瞬かせながら、ゆっくり恋人へ視線を向ける]
(69) 2012/06/19(Tue) 21時半頃
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[真顔でそんなこと言われると逆に恥ずかしいと思いつつ。]
クラリスは…魂を喰われてるって話だからねェ。
どうなってるのか僕には見ることは出来なかったけど。
運が良ければ残滓くらいは残ってる……かなァ。
[気休めにしかならない返事だなと思いつつ。
他にもこうやって彷徨う人の魂が居るだろうから
あるいは、クラリスも居るかもしれない。]
だからキスは僕がしてあげようかっていったのにさァ。
[にやにや。]
まぁ、ほら、時間は無限大にあるし……
こっちの世界にも可愛い子、居るんじゃないのォ?
[それが実のあることかどうかは別だけれど。]
運が良ければ、か……。
人狼に乗っ取られた時点で最大級に運悪ぃんだし、その分回ってりゃいいな……。
ああ、或いは、すぐに生まれ変わって幸せになってくれれば、それが一番かな。
[フ、と表情が緩んだ所でまた揶揄う声。
むぅ、と尖らせた唇のまま強引に再びシメオンを引き寄せた。]
|
…、
[触れる胸元の温かさはなにひとつ変わらず。 背に回される手に、もし、"そう"なら。
聴こえてくるであろう。 聞かされるであろう、恋人の声に眉を顰め――]
――――。
[触れた先から微かに聞こえた"声" 戸惑うような女の瞳を、じっと見詰め返す]
(70) 2012/06/19(Tue) 21時半頃
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[同じだ、という――彼女の声は、優しい。
同じだ、と――。]
……、 そう、人狼の、せい。
[でも、被害者と想うことはできない。
加害者にはなりたくなかったけれど――…うまく表せず。]
しったとき、
しにたくないって――――、想った。
[人狼と知ったとき、死を選べるほどの勇気はなく。]
意志があろうとなかろうと、死ねなかったけど――
私、皆のために、死ねなかった……
かぷ。
[いつかの仕返しに整った顔立ちの中心を噛む。
利子とばかりに離れ際に小鼻をぺろりと舐めた。]
先手必勝!
[ししし、と笑う。]
この世界で可愛い子探すよりさっさと生まれ変わってお前を嫁にするよ。それで全部解決な気ぃする。
……誰だって、死にたくなんて、ないもの……
[成り代わった後、どこまでがクラリッサで、
どこまでが人狼かなんて、わからない。
ただ、彼女のそういった意識があったのだとは、理解して。
それでも尚]
――人狼は、居なくなって欲しいけれど。
クラリッサに死んで欲しいなんて思わないわ。
ほかに、退治する術があれば、よかったのにね……
[死ねなかった、と呟く彼女の頭を、
軽く撫でようと手を伸ばした]
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!
[自分がやられるとは思ってもおらず。
うっかり目を閉じた矢先の不意打ちに鼻の頭を抑えた。]
フィルゥ…っ!!
っていうか何で僕が嫁なのさァ。
君が嫁じゃないのォ?
[僕こんな不甲斐ない旦那嫌だよと、鼻を摩る。]
――…、生まれ変わり、かァ。
[したくないような、気もした。]
|
[恋人にだけしか聞こえない距離で]
"お願いよ"
[何も言わないでね] [碧の眸がそう伝えれば]
[約束よ、と背伸びをして唇を寄せる]
(71) 2012/06/19(Tue) 22時頃
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[唇を離せば、唇を強く引いてから][ゆっくりと開く]
"キミがボクを庇ってくれないから" "ボクの完璧だった演技が台無しじゃないかァ"
[くるりと顔だけブローリンへと向ければ]
"さっきの質問に答えてあげる" "キミはねェ、いい声で嘆き、苦しむから殺さなかったンだ"
"覚えてるかい?" "ヨーラを、ラディを、シメオンをキミが見つけた時"
"ボクはいつも キミの傍で、キミを見ていたんだよ"
(72) 2012/06/19(Tue) 22時頃
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ローズマリーは、ケヴィンの背に回す手を離さないよう必死に服を掴みながら言い続ける
2012/06/19(Tue) 22時頃
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"それに、クラリスが最期にキミと一緒に死を望んだ"
"ふふふ、だからその願いを叶えてあげなかったんだよ"
"お前は、生き続けながら、苦み続ければいい"
(73) 2012/06/19(Tue) 22時頃
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ブローリンは、ローズマリーの顔の方へ自身の顔を向けたまま、じっと動かず。
2012/06/19(Tue) 22時頃
|
"ふふふふふ"
"かわいそうなお爺ちゃんね"
"たいせつな孫たちを目の前で あなたは殺すのよォ"
(74) 2012/06/19(Tue) 22時頃
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