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傷が増えるのは嫌?
おんなの子みたいなこと言うじゃないか。
[首筋に埋めた爪でカリっと引っ掻いた。
紅い筋は入るが血が滲む程ではない]
お願いの仕方は教えただろう。
”首輪を下さい、ご主人様”だよ。
[片手で輪になった蛇をくるくると弄びながら瞳を細める]
メモを貼った。
『痛いのは、好きじゃない』
[あとが残ることよりも、目の前の理由という現実。
首筋に描かれる傷跡。軽く眉が寄る。
小さな溜息。
告げられる言葉に、唇を噛んだ。
嫌でも、そうするしかないと解っている。
烙印よりは、ましだ]
……『ごしゅじんさま、首輪を、ください』
[告げて、一睨みしてから、視線をそらした]
[買われる前のペットに、名前など必要ない。
区別さえつけばいい、そのためだけの短く素っ気ない呼び名。]
…っ、……あぅっ!
[膝を少しずらそうとして、ピシャリとまた音高く手のひらが鳴る。]
…食事は、乳と果実と薔薇水だけを…
メモを貼った。
大丈夫、そのうち痛みだけでイけるようになるさ。
[モノを育てるなどした事の無い男は深く考えずにそう言って
視線を逸らす仕草に溜息を一つ]
解ってないな。
[左手に黒の首輪を持ったまま、青年の頬へ向けて拳を振るう。
髪を掴んで寝台から下ろそうと力任せに引っ張った]
痛いのが嫌なら態度は考えたほうがいいよ。
いい子でいられたら仕置きなんてしなくて済むんだから
ね?
[くすくすと笑みを零しながら、青年の首に二匹の蛇を絡ませる。装着を終えると目の前にあった彼の口元へ唇を寄せた]
──馬鹿な。
身体だけでも憶えていて だなんて
どうやって、忘れると言うんだ。
こんな ふうに
おかしくなった事は 無い……。
他にあってたまるもんか。
忘れられ ない。
[イアンの両眼は涙で上手く焦点が合わなくなる。すぐ近くに有るグロリアの笑みが霞んで揺れる。
それ以上は何も出来ず。イアンは涙を流しながら、グロリアの目尻の涙を舌で掬う。]
俺が、泣いてる?
なんで── か
分からない。
あんたは、泣かないで くれよ。
嗚呼、もっと顔を見せて。
[ふるりと首を横に振った。腕を伸ばし、舌先でぬぐいきれない涙を頬の輪郭をなぞりながらぬぐう。愛してるとグロリアの口から零れた言葉に、分けも分からず胸が痛んだ。今までとは違う痛み。]
あいしてる。
[繰り返す。イアンの中でどくりと何かが蠢く。]
[狂ったように突き刺す。潤った花弁はぐちゅりと音を立て、男女の体液とともに肉が混じり合う。
凶器は絡み付くおんなの肉のうねりに捕われる。
逃れられない。嗚呼、此処から逃れなくては。否、もっと深くグロリアの奥へ。
くるっているのはイアンの方だ。何も言わないで欲しい。
キツク抱きしめて、くちびるを奪う。
揺れる白い腰に合わせ、リズムを作る。
嘘だ、声が聴きたい。グラインドを浅くして、内側のざらついた場所を探し、嬌声を求める。
汗が混じり合い、絡め直す舌もくちびるも粘膜ごと、溶けて一つになってしまいそうな錯覚に陥る。
欲しくてたまらない。もう何が欲しくてたまらないのかも分からない。愛など理解出来た事は無いのだから、これは愛ではなく欲望だと頭の片隅で誰かが囁くけれども、]
あいしてる。
あいしてるんだ。
[壊れた機械のように、繰り返し。]
[胸に顔を埋め、グロリアの両脚を背に絡めさせながら。二人の間の隙間を埋めつくさんと、強くつよく抱きしめる。爪先から突き上げるリズムは激しく。子宮を震わせ、届かないはずの場所の扉をはげしく、熱く、叩く。]
──ああ あッ、
ねえ、グロリア。
グロリア。
一緒に*。
『冗談じゃない…っ』
[そんなの何が何でもお断りだ。
かと言って、このままではそうなってしまっても仕方ないとも思う。
けれど、そんな思考を中断させたのは男の拳だった。
叩く、じゃなくて殴る。流石に今回は口の中に血の味がした。
髪を掴まれて、引きずり降ろされる]
───何、す…ッッ
[睨みあげる。
零れた言葉を、男はきっと介さないだろうけれど。
首筋に物を嵌められる拘束感。不快感。眉を寄せて。
寄せられた唇に、嫌悪の感情が瞳を強く伏せるに至らせた]
…ぅ、……うぅぅ………。
[尻たぶを容赦なく抓る指。
与えられる痛み一つ一つが、身体にも魂にも染みていくようだった。
この身の全ては、この方のモノ。
イイね、とかけられる甘い言葉は、蕩けるように心の奥をな出て行く。]
[一糸纏わぬ青年の首筋に絡まる蛇。
質感はそのものではなく冷えた鉄だけれど。
髪を掴んで引き摺り下ろした彼は自分で立てる程の体力があるかどうか。
馬乗りになった男は噛み付くような口付けを与える]
――…ぅン
言わなきゃ、わからないのか?
[目を閉じた青年とは逆に、褐色は彼の肌色を映したまま。
一晩放置したことで冷えて少しかさついた唇を舐めながら、顎に手をかける。
男の舌先は歯列を割り、内に滲んだ血を味わうように咥内を侵し始めた]
[ひやりとした感触は首筋に重く。
体力なんてとっくに底をついている。
体力よりも気力のほうが大きいのかもしれないけれど]
───『何』
[自分の言葉を介した事は幾らかの驚きでもあったけれど。
唇を割って入りこんでくる柔らかいものに眉を寄せる。
温度と水分は、少年を不快にさせた]
[男は彼の言葉を理解したわけでなく
どうせ似た抗議の一つだろうと嘲笑っただけだった。
不思議と会話は通じていた様子。
眉を寄せた青年を思う様味わうと、男は漸く彼を解放した。
ぺろりと自らの唇を見せ付けるようにして舐める]
口の中が切れてるね。
他に傷つけたところは何処だったかな。
[押し倒したまま、男の指が冷たい青年の身体を弄っていく。
背に回した手が鞭の痕をなぞり、そのまま双丘へと下りていった。
抱き寄せるような形での検分は、シャツ越しに男の体温を青年に伝える事になる]
メモを貼った。
[蛇。口の中で好き勝手動くそれに、そんなものを思い出す。
自分の首に絡められた鉄の枷もそんな形だった]
…っ、『やめ』
[背中をなぞる指は、傷を思い出させる。
ちり、とまだはっきり走る痛みに眉が寄った。
振れている部分は酷く温かいけれど、
かと言ってその指が降りていく場所だけは見過ごせない]
ッ…『触る、な…!』
[上がる声は、小さい]
[男の平熱はその爬虫類のように低かったが
地下に放置された彼に比べれば温かいものだろう]
嫌だとやめては何度言ってもいいよ。
止めないけど。
[小さな抗議に、耳元で哂う。
男の指はそのまま尻肉をかきわけて窄まりをつつくと]
此処は、どうかな。
切れてるようなら薬を持ってくるけど。
[円を描くようにしてくるりとなぞった。
秘穴へ人差し指を押し込む動作は弾力を楽しむようなもの
本気で奥へ挿れる気は無いが]
[きり、と小さく音を立てたのは歯のかみ合わせ。
悔しさがそんな音を作り出す。
耳元で聞こえてくる笑い声が癇に障った]
…ッ、『わから、な…』
[指先のつついてくる感触に微かに身震いする。
指が少し潜れば、手が微かに拳を握る。
表情は、少し歪んだか]
あれ……
[探る指に震えた様子を感じ、
男は視線を流して表情を盗み見る。
拳を握った手が視界に映り、一度その指を青年の口元へ運んだ]
舐めて。
ちゃんと中まで確かめてみた方が良さそうだね。
いや、それとも
若しかして御前、昨日から排泄してないのかい?
[性的なものでなく、検分といった風合いで
歪んだ表情の原因を問う]
メモを貼った。
[イアンの欲望は、切実な願いは、グロリアに肯定される。
最も激しい波が背骨を突き抜ける瞬間、視界が弾け──せつなの二人だけの世界が、白の闇で満たされた。
グロリアの裡のかたちを永遠の記憶に留めようとするかのように、最後に腰を動かす。
放出に脈動するペニスは嗚咽のように余韻に震える。
抱きしめた腕がそっと緩むのは、凶器のようだったそれが徐々に硬度を失い、呼吸がおだやかになる頃。ぬぷりと快楽の余韻を残しながらひきぬかれるそれは、酷く無防備だった。
零れ続けたグロリアの涙、濡れた睫毛に見蕩れながら。空いた手でそっと乱れた金の髪を撫でる。]
──…、グロリア。
[今、この場で殺されても構わない。
その想いが純粋であるのは、どれ程の間だろう。
やがて身なりを整えて、ドレスを纏い、貌をつくり、イアンを置いて部屋を出て行くグロリア。枷や鎖こそないものの、彼女の付き人達は女主人の命令を守るべく、イアンに衣服を与えようとしない。]
あんたは、まだ新しい奴隷を?
嗚呼、女の子を買いたいのだっけ。
それとも、別の男奴隷を …
[イアンの濃茶色の髪から滴るのは、グロリアと同じボディーソープの香り。水を纏いながら、恋人同士のようだった時間過ぎ去っている。
イアンは、タオルだけを巻いた姿で、後ろから彼女に追い縋ろうと。]
女には、何を望んで?
…ッ
[嫌だ、と首を横に振る。
握った拳はほどけない。
ぎゅう、と、頑ななまでに。
問いかけの言葉。
排泄と聞いて、幾らか迷ってから顔を上げず小さく頷いたか。
昨日はそのまま眠ってしまって、目が覚めたら朝だった。
もう、それ以上聞かれたくないと赤くなった耳が告げる]
メモを貼った。
やれやれ。
[頷いた青年を見遣り、肩を竦めた]
粗相をしたらお仕置きされるとでも思ったのかな。
此処で見ててあげてもいいんだけど……
[ちらと見下ろした彼は耳まで赤い。
男は冷たい青年の身体をひょいと抱きかかえた]
後片付け面倒だし、止めとくよ。
[荷物を背負うようにして地下室を出る。
私室から続きになっているユニットバスへ放り込むと、男は笑顔で振り返った]
先ずは身支度整えて出ておいで。
昨日の服が乾いてるから、持って来させるよ。
[彼が首輪を素直につけたぶん、幾らか態度は柔らかい。
用件だけ告げて私室へ戻り、召使に用件を伝えた**]
メモを貼った。
メモを貼った。
『ちが…っ』
[首を横に振る。そんなところにまで頭が回るはずがない。
顔も上げたくない。そんな状況だったのに]
!
[抱えあげられて軽く戸惑った。
何でこんな状況になったのか。解らない。
そのまま放り込まれたのはユニットバス。
狭いとかそんな文句は言わないが、妙に機嫌がいいのが胡散臭い。
それでも体が洗えたり色々済ませられるのは助かる。
ぼんやりと、ここの石鹸も蜂蜜のあの石鹸だったらいいのにと思いながら
さっさと余計な事を言われないうちに、体の外も中も綺麗にすることにした*]
メモを貼った。
[グロリアの形の良い口唇から零れた言葉に、ちいさく驚いた。]
… あり が とう?
[ぎこちない反復。それは奴隷に向ける様な種類の言葉とは思えず。グロリアと言う女性がわからなくなる瞬間でもあり、あやうさのようなものを感じてしまう。
内腿からイアンが放ったばかりのものを滴らせ、シャワー室へと向かって行くグロリアの後ろ姿にたまらず、イアンは彼女を追い掛けたかった。けれども、目の前で曇るガラス。まるでグロリアの姿が霧の中に掻き消えたような感覚。戸惑いが行動を鈍らせる。
イアンは、戻って来る冷たい現実に、暫くの間ただ寝台の上でうずくまっていた。オークションの場に行ったとして、自分はどうするのか。他の奴隷達はどうなっているのか。]
良家の娘 グロリアの言葉の続きを待つ──。
[目の前のグロリアの貌は寝台の中とは違っていた。
最初にイアンが追い掛けた扇子の向こう側にあったそれに近いもの。]
………っ、
[言葉を失う。
小さく首を振り、作られた貌の化粧を崩さないために、髪に触れた指にだけくちづけた。腰に絡める手はやわく、恋人にするようにぎこちなくそっと触れるだけ。それ以上、追い縋る事は出来ず、イアンは薄暗い部屋の扉の内側に留まる事になる。
カルヴィナの名。あの少年のような矜持の高い少女を買う。イアンが後にしてきた舞台を思えば、今、酷い目に遭っているかもしれない。もう1人の少女も。否、それよりも──]
父親が、した?
良家の娘 グロリアの歪な有りようを肯定するように、頷くことしか出来ない。
良家の娘 グロリアを、そして閉ざされる扉の向こう側をただ見詰め**。
メモを貼った。
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