176 【traveling〜どちらまで行かれます?】
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[楽しい歌が良いとは言ったが、セシルが歌う歌はなぜか食べ物の歌ばっかりだった。 それでもご機嫌で頭を左右に傾けて、リズムを刻み、聞き入る。]
ドロップスおいしそうですのー! 私の涙もドロップスになるなら、きっと列車内に幸せが埋め尽くされますの。 ね、ね、そのさびのメロディーこうですの?
[ドロップスの歌が気に入った様子で、ふんふんふーん♪とさびのメロディーの確認。 歌詞は覚えていなかった。楽しい時間はあっという間に過ぎる。]
アクアマリンは食べれませんのー!美味しくなかったですの!………って、聞いたんですの。
[ただでさえくいしんぼ認定なのだから、乙女の尊厳を守るために、慌てて人伝に聞いたことにしてみる。 はっきり言えば、無駄な抵抗でしかなかった。]
(125) 2014/05/23(Fri) 23時半頃
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昔、セシルさんがいたら……、私もっと楽しかったかもしれませんの。 また機会があったら、出張して下さいですの。
[一人でいた昔を思い出して、ついっと瞳を細める。もう自分は病院には戻らない。 あの頃、音楽だけが癒しだった。一日中飽きもせずに色んな曲を聴き続けた。 歌も歌えて、お話もできるなら、それはとても素敵なこと。 きっと、この列車になくてはならない存在なのだろうなとそんなことを思う。]
大丈夫ですの!私、ここでおりますの。手持ちはそう必要ないんですの。 ねずみさんが見つけられたなら、ねずみさんにお餞別にあげますの。 ねずみさんにもお会いしたかったですの。
楽しいお時間をありがとうですの。
[ぺこり頭を下げて、おいちゃんを探しに行くために車内をうろうろし始めた。*]
(127) 2014/05/23(Fri) 23時半頃
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にゃんにゃかにゃー
あーーーりーーーすーーー
ぎゅってしたい
頼みごとちゃんと覚えててくれて本当にありがとう
あーーーりーーーすーーー!
あ゛ー。
ライジ、増えないーぃ?
やへ、ライジいっぱいいてもーぅ、ライジが良いなーぃ。
[ひんやりと冷たいライジの体温が掌から伝わり、代わりにちょっと高い自分の体温はライジへと伝わっているだろう。]
やへ、ライジの手、繋げなくなるーぅ?
寂しーけどーぅ、繋げなくても、やへ、ライジ好きだよーぅ。
ずっと友だちよーぅ。
[ぎゅっぎゅと何度も手を握って、にへーと笑った。]
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[おいちゃんの声が聞こえれば、ぴょこんと耳を立てて、声を頼りにそちらに向かう。 そこがどこであったかはもはや自分には分からなかった。]
おいちゃーん、おいちゃんですの! あわわ、急がなきゃ。私、ここでおりるんですの!これ、ジャックさんからのお土産ですの。 感想送ってあげて下さいですの。
それか、今!今食べて、感想を言うんですのー!! さぁ、さぁ、一口でぺろりとじっくり味わって感想を言うですのー!
[押し売りのような勢いで、お饅頭を押し付け、今すぐ食べろ食べろと急かしてみる。 さて、食べてくれただろうか。食べてくれても、食べてくれなくても、そろそろ時間が近付いている。]
おいちゃんはまだ旅続けますの? それなら、ばいばいですの。おいちゃんとももっと遊びたかったですのー。
[おいちゃんとの別れを惜しんだ後、名残惜しそうに列車をおりる。]
(130) 2014/05/23(Fri) 23時半頃
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うん……何だか、それは、嬉しいこと、だ……
[自分がいっぱい増えても、それは兄弟のようなものに思えていたので、その中で一番をもらえるのは、嬉しい。]
そう、か……ありがとう、やへ……
[ぎゅっぎゅと握られる手の力と、伝わる温もり。
そっと、ヤヘイと視線をあわせる為に、膝をつく。]
やへ……私の、種族は……私は……
完全に大人になる時は……木に、なるんだ……
多分、その時は、近い……
[だから、動けないし、手も掴めない。
クシャミに、自分と結婚は困るだろうと言ったのも、木と結婚は相手が困るだろう、という意味だった。
「また」、会えたとしても、前のようには遊べないし、そもそも自分だとわかってもらえるかも、怪しい。
言えば相手をがっかりさせる気がして言えなかったことを、それでも、ヤヘイにだけは伝えておきたくなったのだ**]
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[少女の瞳においちゃんがお饅頭を何口で食べたかははっきりと映っていない。 ただ、一口ではないことだけは分かった。]
……随分可愛らしいお口ですの!
って、って、ってぇえええ! 感想それだけですの?ほら、もっと色々あるんですの! 使われている素材についてとか、うわぁああん、もう時間ないですのーー!
おいちゃんがちまちまちょぼちょぼ食べてたってジャックさんには言うんですのー!
[普通の感想に、少女の方が脱力してしまう。しかしこれ以上感想を求める時間は無い。]
礼には及びませんの!またおいちゃんにもお手紙書きますの。 バイバイですのー。
[手をぶんぶんと振って、おいちゃんと別れて、列車をおりる。]
(137) 2014/05/24(Sat) 00時頃
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[列車をおりて、外から列車を見つめる。思い出すのはこの旅のこと。 最初に求めたのは握手。今まで、誰も握り返してはくれなかった。でも、車掌さんは握り返してくれた。それだけでこの列車に乗ってよかったと心底思った。
人の気を惹きたくて引っ張っる服の裾。忙しいからと振り払われるばかり。でも、サミュエルは振り払うことは無かった。それだけで心が満たされた。 自分を見て欲しくてジェスチャーでの自己アピール。誰も見てはくれなかった。でも、ジャックは見てくれて、話しかけてくれた。それだけで幸せだった。
病院にいた時には想像もつかない経験もできた。 色鮮やかな鳥。言葉を交わすことはできなかったけれども、その姿を目にすることができた。今でも瞳を閉じれば、瞼の裏にはっきりと浮かぶ。 ライジのおかげで空を飛ぶことができた。空を飛ぶなんて、長いこと生きたとしてもそう経験できるものではない。瞳が見えて良かったと強く実感した。 誰かと共に楽しむなんて今までしたことがなかった。でも、ヤヘと一緒に空を飛ぶことができて、楽しさは誰かと一緒だと2倍、3倍になるのだと知った。]
(139) 2014/05/24(Sat) 00時頃
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[今まで、抱きしめてくれる人なんてどこにもいなかった。でも、クリスマスは優しく抱きしめてくれた。その温もりにずっと包まれていたいと思った。 泣いても喚いても、誰も足を止めてくれなかった。でも、黍は話しかけてくれた。優しく励ましてくれたことで、どれほど力づけられただろう。 強請ったところで誰も楽しい話などしてくれなかった。笑ってもくれなかった。でも、じぇーむすは楽しい話をしてくれて、不器用ながらも笑ってくれた。
猫さんともお話できた。時間があれば、目がはっきり見えていれば、その耳を引っ張ってみたかった。その語尾を真似てみたかった。 おいちゃんにジャックからのお土産を渡すことができた。誰かと誰かの橋渡しになれるなんて、思いもしなかった。自分の価値が少しあがった気がした。 セシルからは楽しいお歌を教えてもらった。昔と今は違う。でも、今も昔も変わらず好きな歌。大好きな歌。これから目が見えなくなっても、大丈夫。歌が聞こえるなら、自分は頑張れる。
写真を撮ってくれた淑女。お手本にしたいと思った。その所作を真似すれば、自分も素敵なレディーになれるのかもしれない。でももうその所作を見ることは叶わない。]
(140) 2014/05/24(Sat) 00時頃
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幸せですの。幸せでしたの。とっても幸せでしたの。
[ぽつり呟いた言葉。こんなに幸せで良いのだろうかといつも思っていた。これは夢なんじゃないかっていつも思っていた。 でも、触れた感触、耳に聞こえる声が、瞳に映る表情が、夢ではないと思わせてくれた。]
ずっと、ずぅーーーっと、列車に乗ってたかったんですの。 色んなもの、見たかったんですの。
[叶わないと知っていても、それだけを願っていた。寂しくても、悲しくても、一緒に自分もおりたいと思っても、それでもおりられなかった。 だって、まだ見えるから。まだ、見ていたかったから。これが最後だと分かっていたから。 だから、どんなに親しい人がおりようとも、おりようとだけは思わなかった。]
私の旅はこれで終わりですの。 またね!とは言えないんですの。ばいばいですの。ばいばいだから……だからね。
[列車をおりて、しょんぼりと耳をうな垂れる。ぽつり最後に呟いた言葉は誰の耳にも届かなかった。**]
(143) 2014/05/24(Sat) 00時頃
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