94 眠る村
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…俺は、見間違っていない。 ハナは人間だった。 ――そして、あんたも、だ。 あんたとハナは人間でありながら俺の敵だった、 それだけだ。
[男は歩き出す老人の背にひとり言のように呟く。 その態度は頑なで、だが向けた先を見る事は無く*]
(43) 2012/06/19(Tue) 17時半頃
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ローズマリーは、ケヴィン…、と唇は恋人の名を模るだけ 声にはならない
2012/06/19(Tue) 17時半頃
えええええええっ!!
[すっとんきょうな声が出た。]
オレ、死んだ?!
嘘マジぃ……?!
ぜんっぜん思い出せねぇ……
[何となく、まだ生きている心算だっただけに、思考がついて行かない。
はああ、と項垂れて長い息をついた]
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―― 宿 ――
[老人がそう言って食堂の扉を開けば>>41 代わり映えのしない服を着替え、 綺麗に髭をそり落とした男がそこにいた]
…、…。
[男の姿は食堂の一枚隔てた壁の向こう。 力なく壁に背をもたせ、 赦さないと揺るぎなく言ったその双眸が、呆然と宙を漂う]
(44) 2012/06/19(Tue) 18時頃
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俺は死にたいなんて言ってねェさァ。 ただ、――良く分からんのさァ。
人を喰らって生きている人狼が。 全力で生きようとしないのが…さァ。
[苛立たしげに、指先をカウンターに叩いた]
(45) 2012/06/19(Tue) 18時頃
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ケヴィンは、ティモシーの姿が視界に入っても、宙を見詰めたままの視線は動かず。
2012/06/19(Tue) 18時頃
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ケヴィン… ローズはおぬしを庇っとるんじゃ…
信じとる…。 信じとった…。 信じとる…。 信じとった…。
[現れたケヴィンに老人は哀願の目を向ける。 彼もまた恋人を庇えば、どうするのか。その思いが浮かぶ度、 老人は呟きを繰り返す。]
信じとる…。
(46) 2012/06/19(Tue) 18時頃
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[席を立つ祖父を追う事も出来ないまま] [床を濡らしながら][声を震わせる]
人狼の気持ちなんてっ、 わたしに、 わかるわけ …ないじゃない。
(47) 2012/06/19(Tue) 18時頃
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[傍らにいる紅茶屋の言葉に、ゆるりと瞳を伏せる]
――マリー……
[人狼だというマリーの言葉に、
ただ、名前を呼ぶしかできない。
従兄弟も、幼馴染も、どちらも大切なのに。
その二人が遣り合っているのを見ているしかない]
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[老人の哀願にゆっくりと顔を向ける男の焦点は合わず。 繰り返される言葉を耳に、男の脳裏で はじまりの日から、今までの記憶が廻る廻る]
なにを、信じる…
なにを――
[信じている。それらは、成り代わる者だと。 ブローリンが口にした御伽噺など、知ってはいても信じない。 現実は、めでたいところで幕を閉じても続く。
信じていた。刺青を触れ合った時に感じた、恋人の残滓。 クラリッサのように彼女もまた――そう、なのだと]
(48) 2012/06/19(Tue) 18時頃
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…、ああ。分からないさ。分かるはずもない。
誰かの、本当の望みなど───…
[ゆるり。と、視線を巡らせた。
クラリッサの姿はそこにあろうか。
しにたくない───しにたいと、望み紡いだ娘]
人狼でも、「成り代わり」でも、
分かるはずは…、ない。
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[けれど、
" わたしは、わたしなのに "
――けれど、本当に、信じるならば]
――――。
[半開きの扉から、聴こえる声に見開く目>>47]
…、ローズ…
[すれ違い様、老人の肩を撫で落ちる手は力なく 二人の前に姿を現した男の顔色は蒼白に。 戦慄く唇が、恋人の名を呻いた]
おまえは――…
(49) 2012/06/19(Tue) 18時半頃
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ケヴィンは、ローズマリーに話の続きを促した。
2012/06/19(Tue) 18時半頃
もっとも仮面を被るのもまた人狼、か。
……、加護はローズマリーにも与えられているはず。
だから…、いや。
[男は首を振ると、宿の様子に目を*細めた*]
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…!
[恋人の足元が扉の隙間からちらりと見え] [伏せていた顔を上げれば揺れる碧の眸]
来ないで。 …逃げて、ケヴィン。
(50) 2012/06/19(Tue) 19時頃
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[かなわない]
[とどかない]
[なにひとつ――――――手を伸ばさなかった]
[魂を喰われ、形さえ保てずただ青い炎の欠片となって。
もはや抜け殻のような娘は現世をみない。
とざされて
とざされて
くらい仄い水底から、手を伸ばせずに沈んでゆく―――]
おば ぁ……さま、
[力を持たず、かすれた声。
喰われた命を元通りにする術など――――。]
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…いやだ。
[揺れる恋人の瞳。長い睫に濡れた跡。 男は目を逸らさず見詰めて、はっきりと口にした]
(51) 2012/06/19(Tue) 19時頃
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[―――――それは、ほんとうに気まぐれなのか。
"貸してあげるよ"
声が聞こえた。
青い炎は大きさを増す。
燃え盛る――――その中から象る手足。
燃えた時と同じように、娘の体を炎が包む。
燃えるのではなく、"つくる"ために。]
[炎が消える――――
自らが切り盛りしてきた店の床に、ぺたりと座り瞬いて]
……―――なん、で
[問いは、誰から誰へのものなのか。
今しばらくは、*彼岸の幻*]
気付いてなかったのかィ…
[自分の死を今認識した様子の幼馴染に溜息を一つ。
フィルらしいといえばそうなのだが。]
…寝てる間にやられたんだと思うよォ。
君が殺されるなんて、思わなかった。
生きて、欲しかったのにさァ…
[命を落としたことは幼馴染のせいではないけれど――
握った拳で幼馴染の胸を小突いた。]
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なん、…で
[ふるりと首を振る]
[それから][見詰めてくる瞳に視線を合わせ] [碧の眸を揺らし唇を震わせながら]
だって、わたしは …あなたを まもりたいから。
だから、 だから …嘘を、ついたのに。
(52) 2012/06/19(Tue) 19時頃
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わたしが ――― 人狼だって。
(53) 2012/06/19(Tue) 19時頃
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うん、ごめん、
[項垂れたまま。
小突かれた胸が痛い。]
ごめん、オレ――……お前を護れなかっただけじゃなくて、自分すら護れなかった。
[チラと見上げる瞳は捨て犬の風情で。
生を願ってくれた人がいるのに、こんなにあっさり死んだ自分。
本来なら合わせる顔がない。
けれど。]
……………も一つごめん。
オレ、またお前に会えてすげぇ嬉しいんだ。
絶交とか言わないでくれな…………?
[生きようと思っていた。
叶わなかった。
それは覆らない。
それならば。
――離れたくない。]
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おまえの…
[そばに、いると。開きかけた唇から漏れるのは]
――――…
[乾いた、音]
(54) 2012/06/19(Tue) 19時半頃
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[目の前が、暗くなる]
(55) 2012/06/19(Tue) 19時半頃
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まさか死んでまで追いかけてこられるとは思わなかったよォ。
[絶交なんて、出来るわけが無い。
住まう世界を隔てても忘れないで欲しいと思った。]
君は、僕が居ないとダメだからねェ。
しょうがないなァ。
[止まってた涙がまた出てきそうだったから。
自分の死にすら気付かない間抜けな幼馴染に背を向けた。]
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[歩み寄ろうとしていた足が、ぐらりとたたらを踏んだ。 息ができない。周りの声も音もやけに遠い。 鼓動だけが、鼓膜を打ち続ける。
ちりちりと黒く狭まる視界に、恋人を見詰める瞳がひどく歪む]
――――…て、やる。
[腹の底から、低く、重く]
(56) 2012/06/19(Tue) 19時半頃
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――――殺してやる。
(57) 2012/06/19(Tue) 19時半頃
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[憎しみに目を滾らせ]
…わかって いたのに
[一歩、ゆっくりと踏み出して喘ぐように呼吸をする。 潰れてしまいそうな喉を、左の手が締め付ける]
胸が――張り裂けそうだ
[また一歩踏み出し、右の手を彼女へと伸べる]
(58) 2012/06/19(Tue) 20時頃
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…庇っては、くれないのね。
[やがて、冷やかな言葉を落として] [距離を縮める恋人を見詰める碧の眸はもう、揺れない]
(59) 2012/06/19(Tue) 20時頃
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