73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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[意識だけのはずなのに、合わせた唇から感じる熱さは、体が有るときと大差なく、むしろより強く感じて。
入り込んでくる舌に自らも絡めて、端から唾液が零れる]
んん、…ノ、ク…ス。
[首筋を舐められると肌が泡立つ。痛みに小さく悲鳴を上げた]
ずるい、俺も触りたいのに。
[金糸に口付けて抱き寄せる。耳朶に唇で触れて、小さく噛んだ。
薔薇にあてられた時とは違って、直ぐに事に及ぶよりも、彼をより感じられるように、ゆっくりと]
んっ……―――
[首筋に埋めたが故に無防備な耳朶に、歯をあてられて。
痛みを耐えるようなくぐもった声を上げ、
つぅっと銀を引きながら紅を刻んだ箇所から、
唇を離す。]
先輩、痛いよ。
[自分がしたことは棚上げにして、眉を八の字に。
指先で濡れた自分の耳朶を撫でて、甘い息を吐いた。]
痛かった、お返し。
[いたずらっ子のような笑みを見せて、見上げてきたノックスに触れるだけの口づけを]
……もっと、していいよ?
痛くても我慢するっていうか、嬉しいし。
俺ももっと、触りたいし。
[鼻の頭に触れて、にっこり笑った]
痛いのが嬉しいの?
[触れるだけの接吻けを受けた後、じっと翠を見詰める。
先輩って、Мなのかなぁ……と、心の中で思うも
伝えたら触れられた鼻を摘まれそうなので言葉にはしない。]
とりあえず、部屋に行きましょーよ。
[きっと今の姿は、誰にも見られることはないと思うのだけれど。
照れ隠しもあるのか、そう提案する。
自分の頬を掻いて、その手を差し出した。
受け入れられたなら、部屋に向かって歩きだすけれど、
その途中で、ジェフの姿を見つけることがあったなら、
縄張りを荒らされた猫のように
ふしゃーっと毛を逆立てるかもしれない*]
痛いのが嬉しい訳じゃなくて、触れられるのが嬉しいんだって。
[少しむくれて。
けれど差し出された手に頷いて右手を乗せる。
温かく感じるのは、おそらく気のせいではなくて、心の温かさだろうと思いながら**]
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― 夜空の下 鐘楼の中で>>3:138 ― [早送りで赤い果実が熟すようにカルヴィンが赤くなっていく。 肩が震えていないところから 苦しくて顔を伏せたんじゃなくて 恥ずかしさで顔を伏せていると、 耳まで赤くなる様子に思う。
一枚のブランケットを共有しているので、 膝を抱え込むのに合わせて フィリップもしゃがみこみ翠で見やる。 あれほど泣きじゃくる相手、 今、こうして真っ赤になる相手。]
………え… けど、 それだと、俺、代用品になれないよ。
[ただ、サイラスと言う見知らぬ少年の 情報を聞きながら彼からこぼれた言葉に フィリップは、困ったようにそうこぼした。 ……それは本当に困惑した声色だった。]
(196) 2011/12/28(Wed) 21時頃
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フィリップは、困惑しながらも聞こえ始めた音に、黒に包んだ手を握って息を吐く。
2011/12/28(Wed) 21時頃
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― 鐘楼 ― [真っ直ぐに刺さる視線に、耐え切れず翠をそらす。 二人の間にいる鮮やかなほうは交互に見上げて。]
……そっか、そう、だよね。 俺なんかじゃ、つとまらないよね……
[代用品として寂しくて痛い間だけ、暖かかった。>>2:54 代用品であるならば、いつか、拒否されて捨てられても それは役目が終わっただけだと、 ひどく痛まないで自分で納得できそうな気がした けれど、代用品でないならば……]
……代用品でよかった。
代用品 が よかった。
[ブランケットから出るように立ち上がる。 腕に鮮やかなほうを抱えて。聞こえる音は歓喜の歌……]
(200) 2011/12/28(Wed) 21時半頃
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[先ほど、初めて名前を呼ばれた時 何故違和感を感じたかを朧げながらフィリップは理解する。]
なんで……て、 君は、捨てる 人なんでしょ?
[今は捉えてくる手が、 いつかフィリップを突き飛ばし、 たとえば鐘楼の階段を転げ落ちてしまうような。 そんなことを想像して恐れながらも 拒絶を否と言う風のカルヴィン、 その手を払いのけることもできず捕まる。]
[けれど、怖い……伸ばされた腕も誠実さも、優しさも 真っ直ぐフィリップ自身に伸ばされれば いつかそれが翻ることが脆弱な心には無性に怖く。]
[歩み寄ることも、逃げ出すこともできず硬直し立ち尽くす。 棘が刺さった手を黒が覆っていて その分は逃げ出さずにすんだ]
(207) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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[捨てる、よ。と言う言葉が、 今、捨てられたようで怖い。
握られる手、手袋越しに暖かさが伝わる。 手を振り払えば、 すぐに消えてしまいそうな強さになっていく。]
主を信じぬは見捨てられる……? けど……信じ方なんて、知らない。 わからない、怖いっ……怖い……よ
[今にも消えそうな暖かさが本当に消える予兆に感じて 下から立ち上るバラの匂いも今は怖い。 一晩、今までだけで何度も緩んだ涙腺は 締りが悪くなたのか、また緩んで]
(216) 2011/12/28(Wed) 22時半頃
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捨てるの…が………怖い……?
[自分の怖さが何か? 問われて思案する前に、 次いだ言葉、歪む視界のまま瞬く] [捨てられる怖さだけ思っていた。 捨てる側の怖さを考えたことは一度もなかった。 捨てるほうは、好き勝手に 捨てるだけだと思っていた。]
[そんなに痛くない。その言葉に 口を閉ざすカルヴィンから逃げたい気持ちが募る。 ただ、先ほどの疑問が頭に残って ぎゅと、鮮やかなほうを抱きしめながら耐える。]
………俺が、君を…………?
[捨てられたら、捨てればいい、とは 雪がやんだ直後ぐらいに言われていた。 ただ、捨てる前から、選択肢が自分にある、ことは考えなかった。]
(223) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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捕まえても、いいの……?逃げたい時に。 ……カルヴィンが、いやになっても……?
[おず、とおそる、おそる口にする。 涙声でところどころ詰まりながら。 握られた手がブランケットの端をそっとつかむ]
(224) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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[頷く姿をブランケットの端、掴みながらじっと見る。 捨てる、追い出す。渡された選択肢は 次いだ言葉に結ばれて。
それまで、掴まれていてあった、暖かさが離れた。 だから、宣言と一緒覗き込まれて。 なれない、自分で選択し、行うことを考えた。]
……………あったかい……
[ブランケットの端を掴んでいた手を おずと、カルヴィンの背に回して引き寄せる。 離れていて冷えた分、取り戻すように抱きしめ小さく呟いた。 ブランケットに包まれた肩口に、水滴を吸わせながら。]
(235) 2011/12/28(Wed) 23時半頃
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[鮮やかなほうが、挟まれて、もぞもぞと肩によじ登る。
それ以外に、背側、上着が引かれる感触に気づく。 鮮やかなほうを抱きしめていた手もカルヴィンに回して そっと、自分より下の位置にある頭を抱いた。]
…………ううん……
[かすかに聞こえた言葉に、 肩口に顔を埋めたまま緩く振る。 カルヴィンの内心を知るすべなく ただ、妄執に染まっていない新たな選択を提示してくれた 暖かさをフィリップは抱きしめた。
鐘楼の下、一騒ぎあったことも気づかないまま。 しばらく抱きしめた後、くしゃみひとつこぼした]
(247) 2011/12/29(Thu) 00時頃
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ん………
[どれ位外にいただろうか? けれど夜が明けぬのだから そうでもないのだろうか? カルヴィンの言葉に、 カルヴィンを抱きしめていはいても まだ温度が足りずフィリップはこくりと頷く]
……シャワー浴びたい。
[さっきっシャワーを浴びてから何度泣いたことか。 いい加減顔の一つも洗いたく思い。 抱きしめていた腕を緩ませればまた寒くて 鮮やかを乗せていないほうの手でカルヴィンの手を握る。 少しはあったかいだろうか?と]
(262) 2011/12/29(Thu) 00時半頃
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[寮内のように見えるが少し違う気もする廊下を歩く。
二人で歩いている姿を見て、野良猫が毛を逆立てても軽いため息をついてみせるだけ。
これからは、私にじゃれついてくることも減るのではないだろうか。そう願っているよ。]
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