84 戀文村
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セレス、おかえり。
歌をありがとう、お陰で目覚めた。
[ヨーランダに回していた手を片方、セレストへと伸ばし
一緒に抱きかかえようと]
ふふ、それは生まれを諦めてもらうしか無いな。
大変らしいよ、真ん中や下の子は。
───。
[顔を顰めるセレストの手に、手を伸ばす。
刻まれた傷は深かろう。
魂が傷付いたのなら、忘れる事はないのかもしれない。
──だから共に、傷付く事を望む。]
おいで。
[ぬくもりを分けよう。
痛みも、恐怖も、二人ならきっと耐えられるから。]
[ダーラに支えられ、ヨーランダに甘える]
…うん、ありがとう。
私は優しいお姉さんたちのお陰で幸せだよ?
[二人の姉にぬくもりをもらいつつ、徐々に傷が癒されてゆくのを感じていた。]
[セレストに手を伸べるダーラに、目許を和らげる。
そう、ここでなら、独りで食卓を囲む朝はない。
病に喘ぐ夜もない。
皆のこころを間近に感じ、共に手を携えて、平和を祈る。]
アタシは妹たちには甘いんだよ。
[良かったねえ、なんてわしゃわしゃ撫でてから
ぎゅっと抱きしめた、少しでも受けたものが癒えるように]
さっさと、終わっちまえばいいんだ。
[クラリッサが本屋の前で。
くしゅんと可愛らしいくしゃみ。
それを見て。
灯りの灯る本屋に目がいく。
まさか自分も話題に登っていたとは。
夢にも思わず。
そこであおられている酒が。
自分に死を齎したものと同じとは。
夢にも思わず。]
……ダーラさん?
[終末を望む怨嗟の声が。
呪いのように響き渡る。
すでに彼女も自分と同じ身体を持たぬもの。
その声は肉声ではなく魂の叫びか。
彼女の望む終わりとは戦争のことか?
それとも……。]
[ヤニクの声に振り返る]
…どうしたの?ヤニクさん
[首をかしげてヤニクを見つめる。]
[ダーラがベネットのところへ持っていった酒は、
酒自体はヤニクに死をもたらしたものと同じかもしれない、
しかし、その酒に、ヤニクに死をもたらした直接の原因となる薬草が仕込まれているか否かは…分からないのである。]
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