52 薔薇恋獄
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記憶喪失?
[一瞬他に誰かがそうであるのかと、険しい顔を見せた。
が、すぐに自分が珀へ、誰だと声をかけたせいなのだろうと思い至れば、軽く息をついて、]
馬鹿、あの位置からあの声だけで個人特定するの至難の業だぞ。
他に誰がいるのかもわかんねえわけだし。
こっから見えたもんなんて、その包帯とシャツくらいで――
[そこまで言ってから、包帯とシャツ、に違和感を感じた。]
……怪我、してんのか。
[そう窺う声音は、深い心配をにじませていただろう。]
オレです。オレ以外の何者でもないっす。
[下ろし損ねた両手を上げたまま、苦笑する哲人に、うんうん頷き。
その言い分に、そういえばそうか、と]
オレは、先輩たちと克希が居るだろうなって、分かってたから。まあ。
ともかく、おふたりが無事なの、確認できて良かったっす。
……すみません。大丈夫です?
[一息つく夕輝に眉を下げ。
ついで、ふたりから心配げに問われれば、ゆるゆると手も下がって]
んー…… せんぱいたちが居なくなってから、色々ありまして。
[ちょっと薔薇の茂みに突っ込んだもんで、と視線をふたりから落としつつ、比較的傷の無い左頬を掻き。
困ったように、苦く薄い笑いを浮かべた]
楓馬に心配そうに声を掛けた哲人の方を、自分でもまた心配の色の瞳で一瞥した。
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………みました?
[少し落ち着いてから、おそるおそる桂馬に聞いた。]
(236) 2011/05/21(Sat) 23時頃
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ドナルドは、確認するより前に眼を指差されて少し頭を抱えた。
2011/05/21(Sat) 23時頃
分かってた?
何か知ってる、のか。
[今一番知りたい情報を、珀は持っているように聞こえた。
ここがどこで、どうして誰が、ここにいるのか。]
一応まあこのとおり、無事だ。
お前も怪我、ひどいみたいだけど、無事でよかった。
そんだけ走り回れるんだから、十分だろ。
[処置はされているようだから、心配して治るものでもないし、からかうように笑って安堵を見せる。
その笑みに隠して、そっと蓮端の手を自分のほうに引き寄せるのは、小さな嫉妬。]
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………すまん。
[振り下ろされるぐー>>238は甘んじて受けた。]
(243) 2011/05/21(Sat) 23時頃
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ないです、そんな中二設定。
[どキパッと、>>240に対して言い切った。 この人もか、と少し思ったり。]
(251) 2011/05/21(Sat) 23時頃
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……信じてくれるか、わかん、 ……、……
[ぶんぶん、首を振った。
駄目だ。そうやって、逃げて、どうしようもない後悔を抱えたくせに。
ふるえる手を、ぐっと抑える。
今は痛むはずがないのに、じくじくと疼く胸元に、つよく押し当て]
信じて もらえるまで、話します。
聞いてくれますか?
[哲人を、まっすぐ見上げた。
からかうように笑ってみせてくれる先輩に、やっぱり気持ち悪いと思われてしまうかもしれないけれど、話そう。
そんな決意でいっぱいいっぱいだったから、さりげない手の仕草には気づいていないのだった]
[楓馬の眉が下がったのが見えて、不器用にだけれど、緩く笑みを返した。]
だいじょう、ぶ。
……ごめん、少しびっくりしただけ。
うん、おれも何とか無事。
[けれどその後の言葉に……色々ってどういうこと?と尋ねそうにもなったけれど、言う前に口を閉ざして。
その代わりにというべきか、哲人から問いかけは発せられた。
答えを聞こうと、楓馬の方を向こうとして……けれど哲人に手を引かれれば、ちょっと下を向いて。
少しだけ恥ずかしげな、でも満更でもなさそうな、そんな感じで頬を染めたりもした。]
……俺が聞きたいんだし、聞く、けど。
なんで信じない前提で話してんの。
[単純な疑問。
確かに幽霊だの何だの言っていた話は信じちゃいないし、興味もないが。
こうなっては何か知っている人間の話を信じるほかないだろう、と思う。]
お前の言うことだし、信じるよ。内容によるけど、基本的には。
[下を向いたまま、だったけれど。
楓馬の言葉が聞こえれば……うん、と確かに頷いた。]
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[面目ない、とばかりにしょんぼりしたが]
あ、あぁ…。
[何がなんだかわからない、が、違和感を確かに感じて。>>242、>>258]
お前も、終わったらすぐ来いよ!
[と、出て行く背に声をかけたが、聞こえただろうか?]
(264) 2011/05/21(Sat) 23時半頃
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……ありがとう、ございます。
[信じない前提で。
ずきりと、その言葉が胸に刺さった。
なにも。誰も。
ちゃんと、信じていなかったのかもしれない。
だから、……。
信じると言ってくれた哲人に、ちょっとだけ困ったように、へらっと笑ってから。
傍らの、同じく頷いてくれた夕輝を見。
ひとつ、息を吸うと。
話を、始めた]
薔薇恋獄の話、覚えてますか。
[バスの中で、克希の叔父がしてくれた話。
覚えていなければ改めて話すけれど、夕輝からフォローがあったかもしれない]
あれは、ほんとうで。
あの別荘には、日向(ひなた)っていう女の子の、幽霊が居ました。
……日向は、『ひなた』と『ひゅうが』っていう、別れた存在でもあって。
や、同じなんですけどね。
それでその、ひゅうがの方が、怪談の、恋人を行方不明にしちゃう、方 なんです。
ひゅうがは、恋を失ったひとを、恋獄に閉じ込めたい。
ひなたは、オレたちを、それから助けようとしてくれてて。
[此処がどこかは分からないけれど、ヒナタが逃がしてくれた場所であるのは間違いないと思う、と推測を述べる。
それから、ヒナタがヒュウガを抑えるのにも、限界がありそうだということ。
たどたどしい説明が終われば、窺うように。ふたりを見上げた。
己が真相の半分しか聞いていないのは知らないから、それが知っていることの全てだった]
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…いや。
[ふる、と一度首を左右に振りながら眼帯を付け直す。 そして、暫く考えたあと]
………すいません、俺、百瀬を追います。
[と、センパイに謝り、廊下へと百瀬を追っただろう。]
(272) 2011/05/21(Sat) 23時半頃
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ドナルドは、プリシラ…百瀬の姿を見つけられただろうか?
2011/05/21(Sat) 23時半頃
ん。
[ありがとう、と笑う珀。その笑みは、明るくはないようだったけれど、それでも笑みだった。]
……正直、ぜんぜん。
[バスは一番後ろ、端の席。運転席からは無論声は届いているけれども、聞き流そうと思えば流せる距離があって。
恋獄の話は興味を惹かれる話でもなかったから、半分寝ていた。
内容を問えば、珀か蓮端からフォローされるか。
けれど、珀の話は、少しでもしっかりと理解しようと、真摯に目線を向ける。]
幽霊、ねえ。見えんのか。
あそこに、事実、いるっての。
[別れた存在、でも同じ。そこには理解が及びきらなくて、珀の話を何度か止めながら、質問を挟んだ。]
恋人を行方不明にしようとしている幽霊、と、助けようとしている幽霊、が。
同じ存在?
で、あっちが恋獄で、今ここにいる俺たちは、そこから助けられた?
どうして助けられる?
いやそもそも、どうしてはじめに別れた、か。
[何度か挟んだ質問に返る答えは、どうだったか。
頷き、理解、いくつかを交えながら、珀の話を噛み砕いて。
そして、限界がありそうだ、と聞けば、表情を険しくした。]
――助けられない可能性が、ある?
そうび、れんごく。 ……うん、覚えてる。
跡取り息子と平凡な娘の、身分違いの恋物語。
娘がいなくなった後、その男と一家がみんな死んじゃった、って話。
[その名前を聞いて、顔を上げて。
ちら、と哲人の様子を伺いながら、その話について簡潔に触れた。
それから、楓馬が話す女の子の幽霊の話。
哲人が疑問を呈すのが聞こえれば、今は自分から質問を投げることはない。
ただ、ふたりを交互に眺めていた。]
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