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[
ランドルフ殿下!?
此処で何をなさっているのです…
[すぐに腰を下ろしなおし、困惑した表情でその姿を見つめた]
[
話せるところからでかまわないですよ。
何分、此方も全く情報がありませんから。
―救護室―
[ゲイル
新しく貰ったビーフジャーキー啄ばんでいた鷹はまた首を傾げる。
伝書用にしては人懐こい鷹。
通信機を持てぬ『ナユタ』という主の居場所を知らせる為の鷹。
その主がゲイルと親しく話していたのを見ていた。
だから、警戒なくゲイルの腕にも止まる。
丸い目でじっと見つめていた鷹はぴぃと鳴いて、また肉を啄ばみだす。]
[
彼が玩具のような木刀を振り回す度、サイモンの青痣が増えていた事を思い出して目を細めた。]
猛将などと――お恥ずかしい。
昔の話ですよ。
それこそ、殿下がまだおしめを替えて貰っている頃の。
[言いながら、静かに二人のやりとりを見つめる。]
[背後にナユタ
…技量だけを言うならば、己とて全く覚えが無い。
普通の兵と同等か――否、前線の兵と比べれば其れに敵うかどうか。
にも関わらず、今剣を握っている自分は何故かと自問自答すれど
答えが出る筈もないし、…殿下の指名ならば断る事も出来はしまいが。
擦れるように小さく響く高い金属音。己には遠い、聞きなれない音。
其れが、幾ら本物の刃では無いと言え――やはり慣れない。
型通りに振り降ろされる銀を、上段斜めへ相構えて受け止め。そのまま横へ往なす様刃を滑らせる。
受け止めた直後伝わる鈍い衝撃に僅か痺れた走った気がして、眉を寄せた。
…久方とは言え幾らなんでも鈍り過ぎだ。内心舌打つしかない。]
……ッ、
[斬り結びから刃を抜き、その折り返しに相手の腹部へと銀を振り抜き。
息を切らす…程ではまだないが、平然とは言い難い呼吸とは対象的に
乱れぬ心拍の儘投げられる問いに、その顔を見やった。]
望むものを敢えて挙げるのならば、…己の存在証明、とでも言いましょうか。
[話せるところからでいい、というのにも、困惑を見せるしかない。話せるところ、が、ない。]
……あまり、はっきりしたことは覚えてはいないのですが。
[襲撃は、まず意識を奪うことから始められ、その後視界も声も封じられた。昏倒のショックもあり、襲撃前後の記憶は少し混同していた。]
ただ、襲われたこと、襲われるだろうと思っていたことは記憶しています。
背後から、頭を――
[記憶を辿るように、ゆっくりとそれだけ、話す。
それから先の記憶は、殆ど辿れない。]
[アークライトから向けられる視線
ヴェスパタインと相対する男は、一度翠を其方へ向けた。
名が聞こえたから其方を見たのではなく、その文脈も理解した上で。
しかし否定も、肯定も返しはしない。
――向けられる刃に、返す余裕も無いのかもしれなかったが。
尤も、余裕があった所で少なくとも否定を返しはしなかったろうが。
元より、肯定こそしていないが認めた上で拘束に応じ此処へ来ている。
責められるも覚悟の上であったし、況してや隠蔽する心算も無かった。
隠蔽したところで、これ以上偽り続けるのも――疲弊するだけだ。]
[切り結ぶ二人をどこか楽しげに見ていると、ふいに格子のかかった窓から声が聞こえた
おや、ランドルフ皇太子殿下。
貴方までこちらにいらしていたのですか?
ハミルトン師団長が見たら眉間の皺が戻らなくなりますよ。
こちらでは今、ヴェスパタイン皇太子殿下直々にシェルベリ師団長に稽古を付けていらっしゃいます。
[答える声は、拘束室にいるとは思えない程にのんびりと楽しげだ。]
話してない、んですか?
[何も知らない様子のチャールズ
ヴェスパタイン皇子
………。
アークライト師団長。
ボクは貴方の拘束に賛成しました。
でも、貴方が"敵"なのかは分かりませんでした。
だから、"次"は話そうとした。
でも遅すぎました。
[ゲイルが襲われた。
自分が拘束された。]
見舞い、などと……ありがとう、ございます。
しかし、本来ならば皇子殿下は聖殿で禊の儀式の最中、なのでは……
[差し出されたロールケーキを断ることも出来ずに、受け取る。甘いものに一瞬怯みかけたが、見目もいいこのケーキには警戒心は湧かない。何より、第一皇子自らの見舞いの品に恐怖する必要などなかろうと嫌な記憶を払った。]
響く金属音に意識は向けど、それを見るには至らない。
………誰?
[何処からか聞こえてくる声
方向感覚が狂っているのでどちらから聞こえるのかも分からないが、聞き覚えがある気がすると、緩く首を傾ける。]
ランドルフ殿下がそこに?
……お二人とも、聖殿に居る筈だったのでは。
二人して抜け出したんですか。
[チャールズ
さっぱり理解できないという顔をする。]
【人】 墓荒らし へクター[まずはイアンの部屋へと向かうが途中でラミケシュとテオドールを見る] (141) 2011/03/29(Tue) 01時半頃 |
[ランドルフの存在に驚くゲイルとヨーランダを見て、密かに頷く。やはり皆そういう反応をするだろう、と。ヨーランダに対して問い掛けたい気持ちは山々だったが、ひとまず彼女の説明を聞く事にした]
……?
[隣室からの金属音には、男も鉄格子の方を見やって。ランドルフの声に返される言葉を聞けば、その声と内容に]
アークライト師団長。……お元気そうで何よりです。
それに、エンライ師団長も。
ヴェスパタイン殿下が其方に来ていらっしゃるのですね。
[はっきりと届くように言ってから]
……お二人とも。
[二人して、というエンライに続けるように呟いた]
[
此処は第7師団の管理区域。皇子に何かあったらただでは済まない。
ちょっとディーンの気持ちがわかるようになったので、今度からは大人しく言うことを聞こうと思った]
見舞いなど…
禊ぎはどうなさったのです。
[しかし、本来は真面目な人柄だと聞き及んでいる。
恐らくこの事態を知ってのことなのだろう。思うところも多いだろうが、それを見せない様子に息をつく]
………大らかなお方だ。
程程でお戻り下さいね。
お怪我をされては私の命でも足りません。
[それだけ言って、気にしないことにした。
[意外そうなナユタの声
浮かぶのは不快の意では無く、居心地の悪そうな、そんな色。
――伏せようとした、心算では、無い。…のだが。
チャールズが、個室にいるのを知って以降
そこに踏み入れる事は、流石に躊躇われた。
個室にいる所を邪魔するには気が引けた、というのも確かにあるが。
…何せ、己は平然と彼の拘束に乗じていたぐらいだ。
幾ら彼が穏やかな気質と言え、敢えて言いに行く程の勇気も、正直無かった。]
――…、
[窓より向こうから聞こえた声
其れに返事をする余裕は、流石に無い。
チャールズの言葉
救護室には、金属のぶつかる音が届くことで肯定にもなるだろうと。
…師団長が、皇子に稽古をつけられるというのも
聊か、おかしい気がするが 現状を見ても、否定余地が全くない。]
[
そうですか…
外は。
どうなっているのでしょうね。
[救護室の方には能力制御装置は稼働していない。
ヨーランダの千里眼なら何か見えるかもしれなかったが、まだ 本調子ではない彼女にそれを頼むことはしなかった。]
[
……もしかして、昨日からおられるのか…
[思わずもう一度眉間を押さえてしまった]
ああ、すいません。
こちらに来てから個室に篭もりっぱなしでしたので。
後ほど伺うことにしましょう。
[
確かに、遅かったかもしれません。
だから貴方はここにいるのでしょう。
戦場では一瞬の判断が命取りになる場合もありますが…生きている限り機会はあるものですから。
更に"次"に生かす事ができれば、いいんじゃないでしょうか。
【人】 墓荒らし へクター― テラス前 ― (153) 2011/03/29(Tue) 01時半頃 |
[相対するヴェスパタイン皇子が、チャールズの言葉に笑む其れを翠の端に捉えた。
外野との会話が交わせる余裕がそも実力の差をありありと物語っている。
溜息の一つも吐きたいが、此方は其れをする余裕すらない。
がき、と難なく受け止められる刃から伝わる衝撃。
勿論それが皇子に届くとは欠片として思いはしないが、其れなりに勢いを乗せて繰り出した一閃。
其れを力任せに跳ね上げられれば、此方の体勢は呆気なく崩れた。
雪崩れるように数歩、後ろへと下がった足は間合いを取るようにしながらも
あくまで切先は相手へと向けられたまま。士官学校で身に付けた模範的なそれとは、直ぐに知れるだろうが。]
――如何しましょうね、余りに難しいので。
“サイラス”が、軍属(シェルベリ)の家に忠実な嫡子である ならば、
“俺”は其れから外れようと、 幾らか考えていたのは、事実ですが。
[あくまでそれが理由の一部だと、そう裏に含める言葉は
欠乏する酸素を摂取する為に、言葉は細かく千切れていく。
…本気など出されたら、1分も経たぬ内にこの斬り結びも終わるだろう。]
……皇子殿下。
[椅子に乗り隣室を覗くその姿に、頭痛を覚えつつ。
外はどうなっているのか、とガーランド師団長が言えば、彼女の気遣いの真逆、求められたのだろうと視界を開いた。
会議室あたりから人の気配を探し、先に辿り着いたは第二師団の側。疑い続けていたグレイシア師団長の姿を見れば、目を伏せる。]
――第二師団館付近に、三名。
ハミルトン、グレイシア、マイコフ師団長、ですね。
バーナー師団長。
体の調子はどうですか?
そちらには、メル……――。
[聞こえてきたズリエルの声
………。
申し訳ありません、殿下。
ボ…私は、力を暴走させ、帝国に対し害を与えてしまいました。
後でどのようにでも処分を。
[鉄格子越しの第一皇子に、表情変えぬまま淡々と自分の失態を告げる。]
[注目が鉄格子の向こうへと向くと、再びアンジェラを眺めた。
アンジェラはズリエルを見てなつこく首を傾げただろうか]
動物は、人の本質が分かるというが本当みたいだな。
[そんな様子に、軽く目を伏せ笑みを浮かべる。]
さて、まあ貴方の主とは大分派手に意見の相違をみている訳なんだけどね。
どうしたものかね。
[鷹に言っても仕方ないことを真顔で問いかけて見た。]
ご存知なかったんですか?
私ももう爺と言っても差し支えない歳なんですよ。
[
バーナー師団長もそちらに?
[格子の向こうから、ズリエルの声
個室に入ってしまうと外の騒ぎが聞こえにくい。襲撃が起こったこと、隣が救護室であること、ゲイルやヨーランダもそこにいること等々の説明を受けると僅かに眉を寄せ]
バーナー師団長はともかく、女性を襲撃するとは騎士道精神に反しますねえ。
[冗談とも本気ともつかない口調で呟いた。]
[鉄格子越しに聞こえる声
其方へ視線を向ける事は無い。
ツッコミどころが聊か違います、皇子。
この場合、「狭さ」が問題なのではないと思います皇子。
…とは残念ながら言えない。
つーか喋っていられない。]
[
私が拘束されたのが意外、ですか?
かつての猛将は健在で、実は大戦の再来を願っているのかもしれませんよ。
[とぼけた口調で返した。]
【人】 墓荒らし へクター…耳を? (162) 2011/03/29(Tue) 02時頃 |
すいません。
私、こう見えてもフェミニストなもので。
ガーランド師団長、ハッセ師団長もごきげんよう。
傷の具合は如何ですか。
[
……ええ。
目を覚ました少し後に、初めてお会いして……
[ゲイルにはこっそりと声を潜めて肯定し]
私は大丈夫です。
メル……ああ。
ガーランド師団長なら、此方にいますよ。
[エンライの問いに返答し、付け足して]
そうですね。
私に限って、一番負傷もないようで……
[半ば冗談のようなチャールズの言葉には、ごく真面目な声色と表情とで返した。再び矛盾を意識させられつつ。ヨーランダが能力を使う様に気が付けば、其方に視線を向けただろう]
[軽く肩を叩かれる。
ワットやイワノフにそうされたのと同じ暖かさを感じるが―――。]
生きていれば次が、ですか…――。
段々、わからなくなりました。生き方が。
ボクは自分が"兵器"だと思った。
でも、皆違うという。
きっと、違うんでしょうけど。
ボクはまだ止められない。
[頭の横、不安定に浮遊する制御装置に触れる。]
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