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ぁ…
[黒い茨が絡む腕は微笑むスティーブンを擦り抜け、
初めて自分の身に起きた事を認識する。
反射的に慌てて引いて胸元で握り締める薬指にも、
贈られた指輪のかたちに黒い茨が巻きつく]
…身体が欲しければ あげる
[所有権を主張するスティーブン。
赤を流し冷えてイク自分の肉体に興味はなく、
届かぬと想いながらも承諾の言葉を囁く]
それにしても―――…
[辺りを見回せば広がる散々たる惨状。
自らも参加していたパーティーの在り様を前に、
呆れとも落胆ともつかない溜息をひとつ]
派手ね
[我が身を抱く様に薬指に茨の絡む手は、
同じく黒い茨の這う逆の肩を抱き首を傾ける]
ノーリーン?
[見知る姿を見止めるも女王と女中は重ならず、
呼ばわる声の語尾は意外そうに跳ねる。
けれど彼女も参加していたのは覚えている。
サイモンに差し出されたカクテルを受け取っていた]
…叱れば良かったのに
[誰をと添えぬ言葉の半ばは自らへ向く響き。
従兄を探す様に首を捻ると黒髪と共に茨が*背に揺れた*]
メモを貼った。
[サイモンは、食堂の片隅にいた。膝を抱えて座り込み、顔を足に埋めるように俯かせていた。死によって酩酊から覚めた彼は、ただ、怯えていた。死の記憶に、死という現実に]
……サイモン。
[その前で立ち止まり、呼びかける。サイモンは揺れる瞳を向け、ホリー、と微かな声を返した]
サイモン。死んだのね。
[それは頭の何処かでわかっていた事だった]
私も、死んだの。
だから……ずっと一緒に、いられるわ。
ローラも探して……
ずっと、ずっと一緒に、いましょう?
[サイモンの頬に手を伸ばしながら言う。サイモンはじっと視線を向けたまま、頷く事はせず、だが首を横に振る事もしなかった。伸ばされた手を掴み、目を瞑る。消極的な受容。それは単に孤独と絶望と恐怖を和らげるためだったか。あるいは、歪んだ彼女の思いに、何かしら感ずるものがあったのか。
実際がどうであれ――彼女は、幸福だった。
サイモンの左隣に同じように膝を抱えて座る。その横顔を微笑んで見つめる。死の気配が濃くなる空間。己やサイモンのようが死者が増えまいと、彼女には関係のない事*だった*]
メモを貼った。
逢えたんだ
[食堂の片隅で寄り添うホリーとサイモンを見れば、
大広間に立つまま声を掛けるともなく小さく呟く]
―――…
[独りはサミシイとスティーブンに零したサイモン。
ホリーと寄り添う従兄の前髪の奥の瞳のいろ。
刹那だけ視線を交わせば言葉もなく、
結局は声を掛けず近寄る事もしなかった]
邪魔はしないわ
[緩く首を振り害意のないのを二人に示してから、
近寄らずも並び座る二人を静かに見詰める]
…スキだらけ
[人の名前と顔を覚えるのが不得手な阿婆擦れが、
其の身を味わう事なく覚えた名前。
ホリーが女だからでも外見が少女だからでもなく、
従兄を想い恋する乙女の様だったから―――…]
其れがホリーのアイ?
[傍らで膝を抱えるサイモンも独りではなく、
ホリーだけでなく彼も僅かながら寄り添って見える。
幸せそうなホリーを前に嘲るでもなく、
ただ純粋に興味深いのか不思議そうに問いかける]
[自分達の死を認識する二人の周辺は其れでも何処か、
未だ収束せぬらしき狂乱の宴からは遠い雰囲気]
…
[従兄の手に飴色の箱から持ち出したキャンディを握らせ、
硝子片を掴みホリーの喉を裂いた自らの掌へ視線を落とす]
なにコレ
[肌に絡む傷跡に気付けば手を返し茨を辿り腕へのぼる視線。
身を捻り身体を見回せば全身に絡むらしき茨。
一糸纏わぬ白い肢体には黒い茨が巻きついていた。
混ぜあわせたからか複雑に茨の絡む手を緩く握りしめる]
死んだら終わりだと思ってたけど
終わらないんだ
[自らの死を自覚はするも意識は確かにあって、
呟く声には落胆とも辟易とも似る溜息が混じる]
ヤニクも死んじゃったのかな
[スティーブンがヤニクに何をしたのかは知らない。
ただ生前に見た光景を想えば誰に問うともなく呟く]
如何してキたんだろ
こう云うトコ 似合わない
[サイモンの悪友達とは随分と毛色が違う印象。
ヤニクの姿を探すともなく*周囲を見回した*]
メモを貼った。
[ふと、訪れたマーゴを見た。殺されたところを見たわけではなかったが、死人同士だからだろう、マーゴが死んでいるという事はすぐに知れた。マーゴに抱いていた敵意――サイモンを誘惑したと思い込んだもの――は今はほとんど覚えていなかったが]
……
[無意識下に残る余韻からか、少し表情を固くしてから]
――ええ。
[問い掛けられれば、改めて微笑を浮かべ、頷いた]
死んでも、こうして……ずっと、一緒なの。
サイモンだけが死んでいても……
……私だけが死んでいても、きっと、そうだったわ。
[応える声色は柔らかく。マーゴがサイモンに飴を握らせる様を見る。茨が巻き付いたその姿は、少々興味ありげに眺めて]
周囲の様子は、見るでもなく*見る*
生き別れても一緒なんだ…
[ホリーが垣間見たのは恐らく生前の記憶。
酩酊中の従兄を抱き寄せホリーの嫉妬心を煽った折、
従兄の手に握らせたあまいあまいキャンディ。
片方しか死なずも同じ結果に辿り着くらしき口振り。
露出度の高い服装が多かった生前より、
肢体への視線は別の意味で慣れもしているけれど]
ホリーの首は如何なってるの?
[生前に硝子の破片で掻き切った喉元。
謝罪をする素振りはなく、
遠目には仔細まで見えず近づかずも覗く様に首を傾ける。
像を結んでから未だ歩かぬ傷の少ない筈の足元は、
黒い茨に絡め取られ床に根を張る如くに解け曖昧に。
身を捩ると肌に這う黒い茨も蠢く]
メモを貼った。
![]() | 【人】 見習い医師 スティーブン ふ、 (20) 2010/07/13(Tue) 23時頃 |
…っ?!
[息絶え冷えていく肉体が引かれると時を同じくして、
引き摺られる様に像がぶれる。
像は僅かばかり動きスティーブンとの距離は変わらない]
…身体はあげるってば
[非難がかしく呟き距離を取ろうと身を捻るも、
足元の茨は絡みつき其の場から動けない。
眉根を寄せてスティーブンを見遣り口唇を尖らす]
アタシはもう死んだのよ
![]() | 【人】 見習い医師 スティーブン
(21) 2010/07/13(Tue) 23時頃 |
ヴェラ…?
[スティーブンが呼ばわる名が誰のものか判らず、
声を掛ける方へ顔を向けると先程まで遊んでいた犬。
瀕死にも見える姿に記憶を手繰る。
酩酊中の記憶の何処までが確かかは定かでなく、
ただ振り下ろした硝子片が肉を裂いた感触は生生しい。
確かめる様に茨の絡む手指を握っては開く]
…恋からは醒めたのかな
[結局はヴェラの想い人が誰だったのか判らない。
可哀想と評した彼を見詰めるも、
傷ついた姿への罪悪感らしきは見当たらない]
もう少しだったのに
[自らの手で殺しきれなかった事にか、
自らを殺しきらなかった事にか、
何に対する言葉なのか小さく呟く]
![]() | 【人】 風来坊 ヴェラ[部屋の中で行われる、動かなくなった人への愛撫を (22) 2010/07/14(Wed) 00時頃 |
![]() | 【人】 見習い医師 スティーブン["マーゴ"へ、にこにこと笑いかけて、 (23) 2010/07/14(Wed) 00時頃 |
『幸せそうだな』
[ヴェラの言葉に傍のスティーブンを流し見遣り、
サイモンと寄り添うホリーとも似た印象に眉を潜める]
![]() | 【人】 風来坊 ヴェラんー……………。 (24) 2010/07/14(Wed) 00時頃 |
![]() | 【人】 風来坊 ヴェラ……ちょいどいて。 (25) 2010/07/14(Wed) 00時頃 |
[眼鏡を新調すると云うスティーブン。
話題は余りにも日常的なのに、
彼の瞳は今も対象的に非日常的な世界を映す。
どんな風に写っているのか―――…]
眼鏡より病院にでも駆け込めばイイのよ
[苛立ちよりは不貞腐れた感が滲む呟き。
自分を瀕死にした筈のヴェラは、
不在者の行方に思い当たらぬ様子に溜息をひとつ。
彼自身も早く処置をした方が良さそうに見える]
![]() | 【人】 見習い医師 スティーブン[首を傾げる様子を眺めて、 (26) 2010/07/14(Wed) 00時半頃 |
『かえったよ』
[スティーブンの言葉に還った筈のサイモンを見遣る。
ホリーと身を寄せ膝を抱える従兄の、
身を縮こめる姿は生前の痩躯よりも更に小さく見える]
還れたのかな
ホリーは幸せらしいしイイか
[かつて、彼女が悪魔と呼んだ、主の従妹。
重傷を負っていた彼女は、スティーブンのプロポーズと同時に力尽きた。
そして其処に現れるのは、黒き茨の絡み付いた娘]
――叱れば、ですか。
[掛けられた言葉
ご主人様を――そのご友人たちを矯正する権限など、私にはありませんから。
それに。
[吐いた溜息は、空気を揺らす事無く消える]
本当はもう、うんざりしていたのかもしれません――
女中であり続ける、という事に。
[薬を飲んでも、その現実が変わる訳ではないと承知はしていたが。
夢を見たい、という言葉は紛れもなく本音]
[視線を巡らせれば、サイモンと隣り合って座るホリーが見えた。
傍らの主が何を思っているかは判然としないが、ホリーの表情は幸せそうで]
――良かったですね。
[死した者たちに向けるには不適切な言葉だったが。
この空間で唯一真に幸福であると見える者らを、少しだけ表情を緩め見詰めた]
![]() | 【人】 見習い医師 スティーブン アハハ。 (27) 2010/07/14(Wed) 00時半頃 |
![]() | 【人】 見習い医師 スティーブン もっと、 (28) 2010/07/14(Wed) 00時半頃 |
![]() | 【人】 風来坊 ヴェラ[テーブルの上から、マーゴに微笑みかける男に声をかける。] (29) 2010/07/14(Wed) 00時半頃 |
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