147 書架の鳥籠
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[カトリーナの声が小さくなりました。まるで明滅する星のひかり。]
!
……ごめんなさい、八つ当たりしちゃった……。
[うつむいた私の頭を撫でるように動いたひかりは
……それでも、何かに阻まれるように、ふれあうことはできませんでした。]
カトリーナさんだって、こんな姿になりたい訳じゃなかったのに……。
[そう、彼女は愛している人がいるのです。
私には知ることの出来なかった、恋愛というものを知っている人なのです。]
……ごめんなさい、カトリーナさん……。
ごめんなさい……。
[近くにいるのに触れられない]
[ふ、と揺らめくひかりは溜息のように]
やんだ、気にすんでねえ
あん人が出て行った時のおらなんかもっと酷かったでな
あのひとが、出て行ったときの……?
[彼女の言葉に、もっと聞きたいと持ってしまうのは浅ましいことでしょうか。
でも、もう私は何にも背負っていませんし、
カトリーナはいつものように、おっとりと優しいので]
……髪の毛、こう、逆立ってしまうような?
[私は自分の髪の毛を握って、上にひっぱってみました。伝わるでしょうか?]
はは、そうだべなぁ
そんな風に、見えたんかもしんね
[真似をして、サンディブロンドを持ち上げる]
……村の、
[それ程昔の出来事ではなかったのに、遠い昔の話をするように、声色は穏やか]
女の家を全部、叩いて回っただ。
あん人を好いた女が隠してるんじゃねえかと思って。
[ドアが開いたなら、勝手に上り込んで家探しした]
[全ての家を回っても、夫はいなかった]
[私はカトリーナの話に、目を丸くしました。]
私……カトリーナさんが、そんな……
とても見えなかったわ……。
[いつも、お菓子をつまんでいたから。
食べて食べて食べて。
私はどちらかというと1人になりたがりで
サロンにいた彼女とは、きちんと話せていなかったことにようやく気づきました。]
……私、きれいなんかじゃない。
だって……私は呪われているし、……誰も好きになれないから、
誰にも好いてもらえないの……。
[カトリーナさんのように、何かをおいしく食べられない私が、どうして彼女のようになれるのでしょう。]
[一途な激しさ、それを私は美しいと思いました。
だからこそ、愛は重いのでしょうか。
水の精も、彼女のように一途な思いを持ったから、重い荷物を背負うことを受け入れたのでしょう。
『魂は重い荷物』……私には、二度と背負えないもの。]
そうけ?
[執着心の強さは、体型が示していた]
[空腹な訳でもないのに、菓子を摘まむ彼女]
きれいだべ。
[ああ、レティーシャはきっと気づいていないのだ]
[自分の中にあるきもちに]
自分が醜いっちゅうのを認める強さはきれいだべ。
[彼女はゆるりとサロンを見渡す]
[ピッパがいた]
[呼んでくれたのは、届いている]
[昨晩、自分が眠った後、彼女が来てくれようとした事は、知らない]
……。
きれいなんかじゃないわ……。
[カトリーナの言葉に、私は静かに反論しました。
強く何かありません。私は逃げたのですから。
そうしてまた私は、オズワルドの後ろにそっと寄ったのです。]
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