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[あの時の友人を助ける事が出来なかった私は、きっと目の前で死んだ人の仇を討てれば、彼女の仇が討てるのだとそう思い込みたかったのだ。
だからあの道化を自分の手で殺したかった。
あの時の犯人の罪を、道化に被せたかったのだ。
結果としては、自分では殺す事は出来なかったのだけれど。
そして、子供を殺したという事実を突きつけられるのはやはり瞬間的に見境がなくなってしまうのだ。
だから憎かった、ゾーイを殺したあの黒猫が。
無謀だったのだ、自分の状態を認識していれば――
いや、それでも私は黒猫と戦う道を選んだのかもしれない。
だって最悪の選択ばかりを繰り返すのが私の人生だったのだから]
[昔、イカロスというギリシャ人は蝋で固めた鳥の羽で空を飛んだそうだ。
けれど、太陽に近づきすぎたイカロスは蝋が溶けてしまい、空から堕ちる事になった。
分を弁えない人間の最期など、そんなものだ。
だから、力の差も弁えずに黒猫と戦ってしまった私の最期もそんなものなのだ]
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![]() | 【人】 楽器職人 モニカ― 路地裏 ― (12) 2011/10/27(Thu) 22時半頃 |
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― 広場 ―
[目を覚ました頃には辺りには誰も居なかった]
あれ……。
私、どうなったんだっけ。
[黒猫はどこに行ったのだろう、そんな事を考えながら身を起こす。
今まで身体がだるかったのが嘘のように軽やかだ]
……夢……って訳じゃないわよね。
[自分の手を見る、道化と戦った時に開いた手の大穴も綺麗さっぱり無くなっていた。
変わりに、手が透けて地面まで見えた]
あ……。
[思い出す、黒猫との戦い。
最期の一撃はどこに刺さったのか全く覚えていないが、透けた掌から自分の血塗れの死体が転がっているのが見えた]
そっか、死んじゃったんだ。
[ぽつりと、感慨もなく呟く]
そっかそっか……。
あーあ、これからって所だったのに、私の人生。
[やはり、倖せにはなれないまま、終わってしまった。
本当に申し訳ないのは両親へだ]
死ぬ時にお養父さんお養母さんの事を、
真っ先に思い出してあげられない親不孝でごめんなさい。
本当の娘みたいに育ててくれたのにね。
ここまで大きく育てて貰ってから死んじゃうなんて、
本当に親不孝だな、私。
[額に手を当てて、自嘲気味に嗤う。
泣きたいのに、涙は出ない。
お化けってそんなものなのだろうか、それとも自分がそういう風に出来ているのだろうか]
今なら本当のお母さんもお父さんも許してあげられるのにな。
死んじゃったから。
生きて帰れたら許さないままだったけど。
[ふぅと小さく溜息をついて、誰に言うでもなく独りごちる]
切ない。
って言うか幽霊になったのって私だけ?
その前にあの猫と先生はどこ行っちゃったんだろう。
先生は確かに先生だったもんなあ。
[能力は今も使えるのだろうかと、掌に念を込めてみるが当然何も起こらない。
空も飛べそうにない、幽霊って以外と不便だった]
ゾーイと道化だった男には未だ気付かずに**
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![]() | 【人】 楽器職人 モニカ[枯れ木が近付いてくる。 (14) 2011/10/27(Thu) 23時頃 |
…やれやれ。さすがにこの絵は俺も退くな。しかし、どうせならもう少し綺麗に… おい、どうした?気分でも悪いのか。あんまり大声出すなよ、それとも女の子に今のを見せてやりたいか? だとしたら随分と下卑た趣味を…おい、落ちつけって。
[長身の男が目の前で食われる様に声を上げた男や周りの者に、妙に冷えた頭のまま語りかけた]
…大体さあ…人間が人間を、だって? …違うね、あんたの考えてるようなのが人間なら、俺らはここで殺し合いを始めてからこっち、そもそも人間じゃなかったと。 そういう事じゃないのか?なあ…兄さんよ。
[男はどこか、楽しそうに足を進める。
進んできた道を帰ろうとしかけた時に、広場から来る二つの影を見つける。
建物の上からその行進を見下ろして、さてあの二人は死体を見た時どう反応するか、考えてみた]
無残な有様に泣き叫ぶのでしょうか。
死体に慣れて、なんとも思わないでしょうか。
死が多くなるにつれて、悲劇ではなく事故になる!
どこか感覚が麻痺して一つ一つの死には注意が払われない。
まさにそんな状況だ、とは言えませんが少し通じる気もしてきますね。
まだ女の霊が起き上がったことを知らず、建物の上からそうこぼす。
[口の中から銀細工が取り出されていることなど知らぬまま、
男は広場の方へ帰っていく。
無残な死体を作り上げた人間の、行方を探す様に
路地を覗きながら。]
しかしまあ… どうせ子々孫々に見取られつつなんてのは期待もしてなかったが、どうも体が軽すぎて落ち着かなくていけないや。
…見知った子の顔がこっちにない分気は楽だが、早いとこジャンナでもゲヘナでもいいから開いてくれないもんかね…なあ?前座が悪趣味なのは勘弁してやるとしてさ。
[誰にともなしに、近くの人間に聞こえる程度に呟いた]
![]() | 【人】 楽器職人 モニカ[彼の耳を確認してみれば、それらしき跡もある。 (18) 2011/10/27(Thu) 23時半頃 |
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![]() |
[ふ、と。地獄の責めのような時間の末に潰えた男の意識は、再び浮かび上がる事になった。
最初はただ、ぼんやりとして、深い海の底でたゆたっているかのように、何もわからずに。段々と、音が認識出来てきた。話し声? 笑い声? 誰かの。そして、像が認識出来てきた。三法が閉じられた空間。散る赤。不穏な臭いが認識された、ような気がした]
……
[何だろう、と思う。本当に、何だろう。何か。そうだ、俺は、エリックだ。エリック・リンディ。人間。でもって、此処は、街だ。街の――そう、普段のそれではない街で。
悪夢のような世界。悪夢のような状況。
それで、俺は。ええと。何だろう? ぼうっとしている。夢から覚めた直後みたいだ。夢。ああ。もしかしたら、本当に夢、悪夢だったのだろうか? あのお化けに満ちた世界は。
思考はふわふわと、ぐるぐると、彷徨って]
……?
[頭を撫でられる感触
手の主を確認すれば、心地よさそうに目を閉じる
そうしたのも束の間で]
……モニカさん。
[コリーンが首を斬られる様子が目に入った
何を思い出したか、自分の首をそっと撫でる]
あ……ナサニエルさん。
[ナサニエルがモニカへと近付き
彼女へとかけた言葉に、数度瞬く
どういう意味だろうか
殺すのが悪い事ではない、という事か?
――それならば、自分を殺したあの骸骨は?]
[ゆるく首を横に振る]
知り合いかは、わからないけど。
ここに来たとき。
おかし食べちゃう前に会ったことある人。
[そう、説明をした直後だろうか
何処からか聞こえてきた声
男性に見に行くか、と問われたものの
首を横に振った]
ううん、あたしはここにいる。
ナサニエルさんは行ってきていいよ。
[既に死んでしまった身だ
行動を束縛するものなどないのだから]
[それは、生者達が辿り着く前だったか。
意識と共に浮かび上がった男の姿は、実体を伴っていなかった。肉体から切り離された、亡霊。男はその事実を、すぐには認識出来ずに。視界が徐々に鮮明になっていくのを、スクリーン投影のピント合わせを眺めているかのようなつもりで見ていた。
そして、それは、見えた。
赤い海。血だまり。何だよ、と思う。やはり夢などではなかったのかと、未だ酷い現実にいるのかと、落胆した。そもそも、本気で期待をしたわけでもなかったが。
投げ出された腕。大きく口を開けた傷。また誰かが殺されたのだ。誰が殺されたのか。考えながら、注視しようとして]
…… あ、
[声が、漏れた。吐息にも似た、間が抜けたような声が。赤い海の中に倒れていたのは、無残な死体は、紛れもない己自身だった]
え……な、……んで。
何、……俺、……俺が、……?
嘘、だろ。……
[極まる混乱に、頭を押さえる。己が死んでいるという事実を、すぐには了承出来なかった。なんで。俺は。死んだ? そんな。俺が。よろめくように一歩下がる。足音は、響かずに]
……――っ、
[目を見開く。唐突に、頭の中を映像が駆け巡っていった。そうだ、己は、死んだ。殺された。喰い殺された。お化けに、あの骸骨に。死に行くまでに浮かべた思考が、溢れるように思い出された。生じた感情も、共に。苦痛までもが蘇ったように感じられた]
……っひ…… っあ、……
あ……ああ、あぁぁ……!!!
[男は、叫んだ。無数の感情の奔流のままに。生者には聞こえない声で、叫んだ。そしてそのまま、走り出した。己の死体を越えて、脇目も振らずに。場にいた他の亡霊達が視界をちらついても、其方に注意を向ける事はなく、ただ、逃げるように]
[とんたん、ワルツのステップはもう足音を鳴らすことはない。
屋根の上での体重移動だって、決してなにものも軋ませないだろう。]
今なら高綱だって、スティルトだって、一輪車だって――
簡単に乗れるんだろう。
そしたら
[広場で別れてきたゾーイを思い出す]
ちゃんと、笑わせられたのかな。
[一瞬でも浮かべさせてしまった、嘘の笑みを思い出して。
けれどすぐに目を細めて首を振った。]
あの吸血鬼にも、言われたな。
誰の心も、打つことはない、だっけか。
その通りだと思うよ。
[口元を歪めた表情はどこか皮肉気。]
俺よか道化が残った方が、良かったんじゃないかな。
まだ笑わせられた可能性があったのに。
[今しがた去ってきた方から、叫び声
ただ肩越しに振り向いて、視線を向けただけ。
再び足を踏み出して人影を探すようふらりふらりと歩く]
メモを貼った。
[もう1人いた男性とともに何処かへと向かうのを見て
付いて行きたいと思ったけれど、
どうしても足が動かなかった]
[彼女が離れた頃
コリーンの遺体から半透明の女性が現れる]
っ、コリーン、さん……
[彼女の姿を認めてから
その場でどれだけ呆然としていたのだろうか
一歩、一歩、彼女へと近付く
足音がしないのは、今更だ]
コリーン、さん。
[此方に気付く気配のない女性へ一言だけ]
ごめんなさい……
コリーンに、何度も「ごめんなさい」と呟いた**
![]() | 【人】 楽器職人 モニカ― 広場 ― (26) 2011/10/28(Fri) 01時頃 |
![]() | 【人】 楽器職人 モニカ[また、誰かが死んだ。 (27) 2011/10/28(Fri) 01時頃 |
―裏通り:屋根の上から―
[見つけた時には、ちょうど打ち砕かれた人形
どこか硬質で透明感のある音が響いていた。
遠く、建物の上から見下ろす。
これを見る理由なんて、別にないのかもしれない。
ただ最初から人間に見えていた彼はどうなるのか、どうするのか。
行く先が気になって見ている。]
ラ・マヌカン嬢、ロキエ嬢が死んでしまった?
ぼろぼろの人形に見えていたけど――人間の時はそうでもなかったんだな。
[どこか感心したように呟く]
![]() | 【人】 楽器職人 モニカ[背後で枯れ木のざわめきが聞こえる。 (38) 2011/10/28(Fri) 02時頃 |
[血の跡をこぼしながら去る男
死体を撫でる男
そして2人組
今生きてるのはこれだけのよう]
随分と少ない数になった、な。
あの男を、殺すことを目標にしてるのか。
[公園の方へ進んだ、怪我を追ってる男。その背中を思い出す。
少し眉を寄せた。
幽霊が起き上がるならその様子を見てから、公園へと向かうだろう]
![]() | 【人】 楽器職人 モニカ― 公園 ― (39) 2011/10/28(Fri) 02時頃 |
![]() | 【人】 楽器職人 モニカ[木の傍へと移動していく枯れ木。 (43) 2011/10/28(Fri) 02時半頃 |
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