114 bloody's evil Kingdom
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[脚を捕まえられ、さらに不機嫌そうに眉根を寄せる。 とっさに触手を支えとしたおかげで倒れる事はなかったけれど、 イイトコロを邪魔されたのもあって、苛々が収まらない]
ふう、ふ……?
[今、この男は何と言っただろうか]
(ふうふ) (ふうふ) (夫婦と言った) (この耳が聞いた) (しっかと聞いた)
[げらげらと嗤うのをやめてざわめき出す触手たち]
あなた、マーゴの夫なんだ? でも、知ってる? あの子は私のものなんだ。 私の、私だけのマーゴ。
なのに、勝手に夫婦だなんて――……
(233) 2013/02/22(Fri) 00時頃
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許せないなぁっ!!
[女の怒気に呼応するように、 触手たちは一斉に牙をむき、眼前の男へと襲いかかった]
(234) 2013/02/22(Fri) 00時頃
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[白い脚に深々と突き刺さるサーベル。 だけど白い脚だったものはいくつもの触手へと姿を変えて。 サーベルはカランと音を響かせて床へと落ちた]
いきなり酷いな。 私が魔物じゃなかったら、大怪我しているところだよ。
[下半身をうねうねと動く触手へと変えた女は、 その肌の色を白から褐色へ変えて、 魔物としての姿を見せて嗤う]
(243) 2013/02/22(Fri) 00時頃
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[嗤う口からは犬のように尖った牙が顔をのぞかせる。 褐色に染まった肌からは幾重にも触手が生えており、 びちびち、ぎちぎちと不快な音を立てていた]
だから、その奥方って言うの止めてよ。 彼女は私のものなんだから――っ!!
[子供が癇癪を起こすように、口端から唾を飛ばして地団太を踏む。 その隙に目の前の男へと、壊れた笑みを浮かべたマーゴが手を伸ばすのを見て]
だめっ。 だめだ、だめっ。君は私の、私のものなのに――
[両腕で頭を抱えると、苦しげに苦悶の声を上げる。 寄り添う二人を見たくないと言うように]
(262) 2013/02/22(Fri) 00時半頃
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[目の前で寄り添う二人の姿に、 その胸の内を嫉妬の嵐が吹き荒れる]
彼女に誰かが触れるのは、いやだ。 触れていいのは、私だけだ。
[駄々をこねる様に髪を振り乱して叫ぶけれども、 マーゴの白い肌にユリシーズが触れるのを止める事もせずに、 肉を食む姿をただただ凝視する事しか出来ない]
(268) 2013/02/22(Fri) 01時頃
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[魔物に堕ちてまだ日の浅い身体は、 その力が定着しきっていないのだろう。
胸の内を暴れる嫉妬の炎に煽られるように、 魔力が暴走を始める。
ぼとり、ぼとり…と、身を被う触手が床に落ち、 陸に揚げられた魚のようにぴくぴくと震えては、白い砂へと姿を変える。 その宿主たる女もまた、 褐色の肌にはぴきぴきと罅が入り、そして――]
…………っ。
[声にならない悲鳴を上げた後、 ぱきんと硬質な音を一つ立てて、ガラスのように粉々に砕け散った**]
(272) 2013/02/22(Fri) 01時頃
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[砕け散る直前の事。
意識はもうすでに事切れていた。 愛していた女の最期も、彼女の夫だと名乗る男の断末魔も見ることもなく 逝った女に最後に掛けられたのは、不肖の弟子で申し訳ないといつも思っていた師からの言葉]
馬鹿弟子で……ごめんなさい。
ありがとう……。
[唇が動いたわけではなかった。
ただ、僅かに残っていた魔力の残滓が、 人としての言葉をパピヨンに届けたのかもしれない。
そうして女の身体は完全に砕けて、 星が降る様にさらさらと流れて消える。 苦悶を微笑みに変えて、さらさら…さらさら――**]
(308) 2013/02/22(Fri) 09時半頃
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