人狼議事


126 生贄と救済の果てに〜雨尽きぬ廃村・ノア〜

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[ツェツィーリヤはその名を呼ばれ、微笑む。]

 ……貴方も、此方にいらしたのですね。

[それは、感情を隠すことを止めた彼女の
 何処か寂しげな笑み。]


 ……うん。

[ツェツィーリヤは微笑んでいる。

けれど、それは自分が何度か目にしたそれとは違い、何処か寂しそうだと感じた。]

 ……。
 …ごめんな、さい。

[震える声でやっと紡いだのは、謝罪の言葉。]


[生と死の狭間を漂っていた時に聞こえていた魔物の声は、
 今もまだツェツィーリヤに聞こえている。

 それは、魔法使いの右腕が
 魔物に近いものであるからなのだろうか。
 或いは、他に理由があるのかもしれない。

 聞こえた氷蜥蜴の声に
 何処か言い訳のような響きを感じていた。]


[短い沈黙の後にイアンが紡いだ声は震えていて。]

 ……何を、
 謝るのでしょうか?

[返す言葉は、あの時と同じ言葉。]


[返される言葉は、生前の彼女が言ったのと同じものだった。]

…だって。
貴女を倒して、生贄にしようとしたでしょう。

[自分の足音を聞きつけて後を追ってきた彼女を、魂を取り込もうと狙った。

もし彼女があの時自分を追わなかったら。
ヴェスパタインの血を服に付けていた彼女に、嫌疑がかかっていたかもしれないけれど。}



 私は、魔法使いです。
 魔物を討伐することが任務です。
 その際殺されることも覚悟していました。

 対して、あの時の貴方は魔物でした。
 魔物が魔法使いを殺そうとするのは、自然でしょう。

[ツェツィーリヤは、淡々と事実を告げる。

 イアンが魔物ではないと知らなかった時。
 ツェツィーリヤ自身を魔物と思って
 攻撃しようとしていたとも思っていた。
 どちらにせよ、其れは自然な行動だったと。]


…っ…。
ヴェラさん…っ。

[宿主の異変は右手にも伝わってくる。
彼の傷ついた身体が限界に近い事は分かっていた。

ツェツィーリヤの身を生贄にした魔法がなければ、或いは自分が手を下していたかもしれないけれど。

今まさに、途切れそうになっている命を想い、顔を歪める。]


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