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ヤカモトに1人が投票した。
ヘイタロウに1人が投票した。
マスタに10人が投票した。
マスタは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ルリが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、ヤカモト、フローラ、ヘイタロウ、ワット、クシャミ、ビアンカ、みょんこ、ハルミチ、エニシ、ヨーランダの10名。
昨日までスタジオからニュースを伝えていたはずの
看板アナウンサーは病欠と伝えられ、
別のアナウンサーがそこには映っていた。
それも、いつものスタジオではなく、
リモートで行われているのだろうか、
アナウンサーの自宅からの中継となっている。
ドローンで撮影されたらしい立ち並ぶビルの上空からの映像では
あちこちから火の手があがり、縫いとめる糸のように、
空へと黒い煙の筋がいくつも立ち上っていた。
(#1) 2020/10/23(Fri) 00時頃
「……この症状は、噛まれたりすることによって
感染していくものとみられており、
感染者の数は日ごとに増加の一途をたどっています。
この事態を収めるため、総理は臨時国会を収集し、
警察や自衛隊も出動するという異例の事態となっています。
繰り返しお伝えしますが、市民の皆様は戸締りをしっかりと確認し、
外出は極力控えてください。」
(#2) 2020/10/23(Fri) 00時頃
そんなニュースを最後に、日本でのテレビの報道は途絶えることとなる。
代わりに、まだ動いているSNSやインターネット上では、
真偽不明の情報や動画であふれるようになっていった。
(#3) 2020/10/23(Fri) 00時頃
メモを貼った。
【人】 地道居士 エニシ 「駅と家の間にコンビニあるだろ? (1) 2020/10/23(Fri) 00時頃 |
【人】 地道居士 エニシ[僕と兄貴は顔を見合わせて、 (2) 2020/10/23(Fri) 00時頃 |
【人】 地道居士 エニシ[まだ、世の中で何が起きているのか (3) 2020/10/23(Fri) 00時頃 |
【人】 百姓 ワット[それから、作物の集荷もしばらくはこなくて (4) 2020/10/23(Fri) 00時半頃 |
【人】 百姓 ワット[いや、パソコンから見なければいいのだ。 (5) 2020/10/23(Fri) 00時半頃 |
【人】 百姓 ワット[手の届く距離の救援だって断ったというのに、 (6) 2020/10/23(Fri) 01時頃 |
【人】 時間貯蓄銀行 ヤカモト―― とある男の非日常 ―― (7) 2020/10/23(Fri) 01時頃 |
【人】 時間貯蓄銀行 ヤカモト
(8) 2020/10/23(Fri) 01時頃 |
【人】 時間貯蓄銀行 ヤカモト
(10) 2020/10/23(Fri) 01時頃 |
【人】 時間貯蓄銀行 ヤカモト
(11) 2020/10/23(Fri) 01時頃 |
【人】 頭蓋骨と骨 ヘイタロウ
(12) 2020/10/23(Fri) 02時頃 |
【人】 頭蓋骨と骨 ヘイタロウ
(13) 2020/10/23(Fri) 02時頃 |
【人】 墓守 ヨーランダ― 秋葉原 ― (14) 2020/10/23(Fri) 05時頃 |
【人】 墓守 ヨーランダ[UDX奪還戦を主張する秋葉原関係者も居たが。 (15) 2020/10/23(Fri) 05時頃 |
― コーヒーショップ『abbiocco』 ―
[ストーブの中で、薪が爆ぜる音がする。
それに返事でもしたような呻き声が聞こえた。
床吸う耳は、硬いものを落としては引き摺る振動を拾う。
細身の男だった。ルパートより高く、シーシャより低い。
最初は、乱暴な客が来たのだと思った。
ベルを掻き消すくらい強く、ドアを開く音がしたからだ。
自身の足は、そういったものに対峙した際に弱い。
歩けない訳ではないが、逃げることに向いていないのだ。
だからどんな意見の相手
否定から入ることはない。
争うことは、不得手だ。
腕を掴まれ、パソコンを巻き込んで放り投げられた。
全身を強く打ちつけたせいか、
痛みはあるのにどこか遠く感じる。]
[――間違い、だったのだろうか。
シーシャの説得に応じて街に帰っていれば、
ルパートと共にこの地を離れていれば、
食料を分けた誰かに伴って西へ向かっていれば、
あるいは、何もかも拒んで閉じこもってしまえば、
異なる未来に出会えていたかもしれない。
しかし、たぶん無理だ。
そんな曖昧な可能性では何度同じ場面に巡り合っても、
頑固な自分はきっと同じ選択をしてしまう。
慕ってくれる彼にも、
頼りにしていた隣人にも伝えた選択を繰り返す。]
(死ぬ時は、どこまでも広がる大地のそばがいい)
[瞼の裏に、トウモロコシ畑に揺れる赤毛が見える。
その上に太陽をそのまま形にしたような笑顔を描いた。]
だ、けど 、
[ボウルの中で丹念にすり潰したような声が出た。
最初の衝撃で起きた目眩がようやく落ち着いてきた。
それが叶ったのは相手の反応が遅かったおかげだ。
揺れる視界にその姿を収めると、
左腕がだらりと下がり、右足を引き摺っていた。
肩が外れたか、足を挫いたか。
あるいは筋肉自体がやられているのかもしれない。
来店した時には特に違和感を覚えなかったから、
きっとこちらを放った時に負傷したのだろう。
あまりにも、己の身体を鑑みていない動きだ。
身体に見合わぬ強い力はそのせいだろうか。
リミッターが外れているような、
理性が跡形もなく溶けたような、そんな印象を受けた。]
わたしは……べつに 、
しにたいわけ、じゃあ 、ない。
[死ぬために、喧騒から離れた訳じゃない。
死ぬために、周囲に甘えている訳でもない。
写真を上げるのは、それが生存証明になるからだ。
相槌のような印
そんな風に写真を落とすばかりだったアカウントで、
昨日と今日多く文字を残した。
それだって、存在を確かめる作業に近いものだった。
世界中の誰かと、顔も知らない状態で言葉を交わす。
それは遠くとも近い、不思議な距離感だと思う。
これはルパートにだって打ち明けていないことだが、
要は、自ら残ることを選んでおきながら、
少しだけ心細かったのだ。]
[周囲に視線を巡らせる。
パソコンは裏返しに開き切ったまま伏せっているし、
横たわる車椅子もロックがかかり完全に沈黙している。
薪ストーブへ向かっても、それより男の手の方が速い。
胸ポケットのスマホをドアの近くへ投げてみても、
呼びかけてみても何の意味もなかった。
男はなぜか他に興味を示さず、こちらへ近づいてくる。
相対し初めて、その目が酷く濁っていることを知った。]
ッハ、 これは……こまったな。
[何もなかった。何もできなかった。
何か、残せたら良かった。
まだ正常に動く男の右腕が、
じりじりと後ろへ下がっていた自身の左腕を捉える。
――ふ、と。
シーシャが食べた、あの厚いベーコンを思い出した。]*
メモを貼った。
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