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― 夜の居間 ―
[血やもろもろで汚れた服は着替えていた。
居間に入れば、ノックスと、トレイル、ニコラがいて。
ためらうように足を止める。
ソファに座っている二人を見ないようにして、炊事場へと向かおうと思えばノックス
ノックスさん……
いまは、痛み止めきいてるから……
[謝罪に、眉をさげる。
トレイルにちらりと視線を向けて、フランシスへというのにはゆるりと首を振った。
熱の発散はしたけれど、怪我による発熱はまだある。
どこかぼんやりと、危機感がないのはそのせいで]
――っ
[近づくフロスティブルーの瞳に、琥珀がゆれる。
ざわり、ざわつくものはやはり感じて、視線をそらした]
[冷たい水を受け取り。
小さな声で告げられる言葉
ノックスへと感じる衝動は、どういった気持ちからなのか、よくわからなくなっていて]
――いや、俺が、不用意に近づきすぎたせい、だと思うから……
[許せはしないけれど、声高に非難するつもりもなくて。
わずかに赤みが残る頬に触れられて、眉を寄せる。
痛みがあるから、と拒否すればなおさら、確認しないとと言われて逃げられず]
――ちょ、ノックス、さん……っ
[抱きしめられて、びくりと震えた。
触れる手に、ぞわりとうごめくものがある。
発散したばかりだというのに、ざわめくのは、血の味を覚えたからか]
……だから、こういう、のは……
[やめてほしい、と逃げようとするけれど。
まわされた腕ははなれず、背を撫でなれて吐息をこぼす]
あ……っ、――だめ……
[悪戯な手
その、白い喉に噛み付いてしまわぬよう、耐えることに神経が向かって。
彼の思惑には、気づかない*]
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【人】 御者 バーナバス―夜・3F― (4) 2014/11/21(Fri) 21時頃 |
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[
生きている誰かの幸せは、わざわざディーンが願う程では無い。
自分の唯一である彼の幸せは願うものではなく、寄り添って共に見るものだ。
だから、ディーンが幸せを願う対象は、シメオンの他にない。
それともまた、彼の道も変えようの無いものだったのだろうか。
考えたところで詮無いことだ。
記された物語は頁を巻き戻すことは出来ても、もう書きかえることは出来ない。――自分は、魔法使いでは無いのだ。]
[
名前を呼ばれる度に、むず痒い心地がしていた昔を思い出した。
いつの間にか、そばにいることが当たり前になっていた『弟』の手を離したのは他でもない、ディーン自身だ。]
――…………ありがとう、シメオン。
僕は、君が居てくれて、幸せだった。
[置き忘れていたものは後悔でも無く、謝罪でも無かった。
伝えるべき最後の言葉を置いて、ディーンはシメオンに背を向ける。このままここにいれば、また身勝手な後悔と謝罪を、彼に押し付けてしまいそうだったから。]
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【人】 御者 バーナバス[いやだ、と抗う声と、涙を湛えた眼差しを目の当たりにしても心が痛むことはない。 (20) 2014/11/21(Fri) 23時頃 |
【人】 御者 バーナバス[傭兵時代、衝動と肉欲の発散は当たり前のように連れの同族に教わった。 (25) 2014/11/21(Fri) 23時頃 |
[そうして瞬きをした次の瞬間。
ディーンの姿は、
空っぽになっていた片目にも、元と同じ藍鉄色が嵌っている。
ディーンは宝石箱の中に収まる自分の眼球を見て、ニコラの唇がディーンについて紡ぐのを聞く。
彼の唇は、果たして何度名前を呼んでくれるのだろう。
宝石箱の中にある眼球は、いつまで腐らずに形を保つことが出来るだろう。
食われて、彼と同じものになって、それでおしまいだと思っていた。しかし、まだここにひとかけら残っている。
彼の目は、それに気付かない。]
――…………ニコラ。
[はやく気付いて。はやく慰めて。はやく触れて。はやく――。
ディーンは何かを堪えるように眉を寄せ、その場にうずくまる。
胸に刺さる棘が、痛い。**]
【人】 御者 バーナバス[全く同じようにプリシラを扱うことが出来なかったのは、泣いているやせっぽっちの子どもの印象がずっと尾を引いていたからだ。 (28) 2014/11/21(Fri) 23時半頃 |
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【人】 御者 バーナバス[指を絡ませて、口づけを深くする。 (32) 2014/11/21(Fri) 23時半頃 |
【人】 御者 バーナバス[とろりと指の間を糸引くように零れた体液とともに、男は自身の昂ぶりとプリシラのそれを手で包み込む。 (48) 2014/11/22(Sat) 00時半頃 |
【人】 御者 バーナバス[肌に歯を滑らせて、プリシラへも促すように男の指や肩を噛ませる。 (51) 2014/11/22(Sat) 01時頃 |
【人】 御者 バーナバス[その瞬間だけ一際大きく背を揺らし。 (54) 2014/11/22(Sat) 01時頃 |
【人】 御者 バーナバス[口直し、と階下から失敬した酒瓶を傾けながらプリシラの頭を撫でる。 (60) 2014/11/22(Sat) 01時頃 |
【人】 御者 バーナバス[一度熱を吐き出せば妙に頭が冷えるのは性としてどうしようもなく。 (62) 2014/11/22(Sat) 01時頃 |
【人】 御者 バーナバス 人としても狼だとしても。お前のことは大事にしときたいんだよ。 (63) 2014/11/22(Sat) 01時頃 |
うん
……うん
[幸せだった、そう言って貰えるだけで
嬉しくて、涙が毀れそうで――それでも笑った。
笑って、見送って
彼が消える前に、天井を仰ぎ、そのまま後ろに倒れた]
[ベッドは柔らかく弾んだ。
目を閉じて、それでも足りなくて手の甲で瞼を覆う]
……ふ、ぇ
[呻きに似た啜り泣きが、命の気配がない部屋に響いた。
流れる水が耳に入って気持ち悪いし、
頭の奥の方が熱くて、重くて
止めたいのに、五月蝿いと思うのに]
な、んだよ ……もう
[あれだけ落としてきた記憶が、
涙が流れるのと同時に帰ってくる。
傷からの発熱で、旅に出てすぐ熱を出したこと。
触れないように髪を撫でてくれた手を振り払ってしまったこと。
何もすることがなくて、文字も読めなくて
仕方なく、宿の女将から繕い方を習ったこと。
春に、なったら―――]
[いつしか啜り泣きは止み、少しずつ、息を整えていく。
濡れた瞳はぼんやりと天井を見上げ、閉じた窓に向けられた。
―――春は、遠い。
暖かい日差しが、もう浴びることの出来ない太陽が
どうしようもなく、恋しかった**]
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― に至る前―
――っぁ、……く、う……
[ノックス
与えられた口付けに翻弄されて、気づいたときにはノックスに咥えられていた。
やんわりとした刺激に身を震わせて、喘ぎを押し殺す。
色素の薄い髪が、低い位置にある。
そこから聞こえる、濡れた音に、ぞくりと、震えが走る]
……は、……ん、ノックスさ、ん……
[ふる、と頭を振る。
強い刺激に足が震えて崩れ落ちそうになり。
けれど、支える手が、足に触れて。
誰も触ったことのない箇所を解されて、期待と不安に怯え]
あっ……ん、ん……っ
[もうすぐ、というところで離されて、物欲しげな色が無意識に浮かぶ。
濡れた音に煽られながら、ほかの事は考えられず。
ソファから見えていることすら、意識できなかった]
ノックスさ……あっ……
[快楽に流されている。
衝動を感じた気持ちがなんだったのか、いまだ理解していないけれど。
いうなれば、淡い初恋のような、ものだった。
囁く声音ににじむ熱に、ぞくり、と背筋を震わせ]
ん……ぅん……
[答える前に、重なる口付けに眩暈がする。
求められることにくらくらと、思考回路がまともに働かず]
――――っ!!!
[初めて受け入れる、男の熱い塊に、声にならない悲鳴があがる。
痛みに逃れようとして、両の手
中をえぐられ、快楽と苦痛にあえぐ]
……ふ、あ……っぁ、…
[瞳を閉じて、与えられるものに翻弄されていた。
喉に触れる、硬い歯の感触に、期待と不安を感じて。
途切れた動き、囁かれる声。
ゆるり、とろけた琥珀が、薄青を捉えて]
は、ぁ……ん、
ノックス、さ、……んっ
ああっ、……ノックスさん……
[問われるまま、熱を与える人の名を繰り返す]
[口元に寄せられる耳朶。
とろけた瞳でみたそれが、とても美味しそうに見えてかじりつく。
快楽にとろけた思考では、それが成す意味を考えもせずに、
やわらかい肉と、血の味に、恍惚とした表情が浮かんだ]
ひ――っ! ああっ
[いつか想像したように、血に染まった彼の姿を見て、口元が笑む。
けれど、体勢を変えられた刺激に、また翻弄されて。
ノックスにされるがまま、深く与えられる熱と快楽にあえぎ]
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