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― 少し前・グロリアの部屋 ―
……アンタはよく分からんのにこんな酔狂をしでかしたのか
[
嫌がらせ、と言葉が続けば]
ああ、そう
そりゃー効果覿面だよ、どーもありがとうございました
[吐き捨てて。
しかしどうも腑に落ちない。
明らかに周囲の女性たちの目は鋭くなっているし、単なる嫌がらせにしても……]
……捨て身すぎるだろ
[呟いた言葉は恐らく誰の耳にも入らなかっただろうが]
【人】 お針子 ジリヤ―グロリアの部屋― (4) 2013/12/07(Sat) 00時半頃 |
【人】 お針子 ジリヤここまで回りくどく疑えば殺してくれるかしら…って思ったけど。 (6) 2013/12/07(Sat) 00時半頃 |
― 少し先・??? ―
[ぼんやりと。
意識が覚醒する。痛覚も何もない。
此処は一体何処だろう。胡乱に視線を動かした先にあったのは、かつて自分だった物]
……ああ、死んだのか
[死後の世界など信じた事はなかったが、いざその身になってみると驚くほど腑に落ちた。
自分がどうやって死んだのか。そこにある『自分だった物』がどんな状態なのか。
思い出せず、上手く見えないのは死んだばかりで何かが安定していないのか、それとも永劫このままなのか。
既に重力の影響を受けない筈のその身体は、鉛のように重かった。
二度とこの島から逃がさない、とでも言っているように]
[先にこちらへ来ている筈の淑女の姿は、ない]
……?
[違和感を覚えて首を傾げた。
グロリアがいない事実に、ではなく、自分の精神、心の在りように]
……ああ、そうか
[抜けている。
ダンピールをダンピールたらしめる能力と、衝動が。
恐らく、それらは現世に置いてきた身体にあるのだろう。
あの衝動が、あの能力が血の中にあるのなら。
血の流れぬ身体にそれらがないのは道理だ]
……死後なんてモンがあるなら
俺は間違いなく地獄行きだと思ってたけど――
[なるほど、これは確かに――どうしようもない地獄だ**]
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【人】 お針子 ジリヤふふ、面白そうだから私は坊や側にでもついてみましょうか…。 (14) 2013/12/07(Sat) 01時頃 |
【人】 お針子 ジリヤおしりペンペンでしょうか、悪い子にはやっぱり。 (22) 2013/12/07(Sat) 01時半頃 |
【人】 お針子 ジリヤ彼がダンピールだと確信があるわけではありません。 (27) 2013/12/07(Sat) 01時半頃 |
【人】 お針子 ジリヤ人の繋がりを馬鹿にするような趣味があることは理解しますが、私は嫌いですので。 (28) 2013/12/07(Sat) 01時半頃 |
【人】 お針子 ジリヤ[胸元を押さえるように右手を持ち上げる。 (40) 2013/12/07(Sat) 02時頃 |
【人】 お針子 ジリヤ[もしそうであるなら――――――。] (42) 2013/12/07(Sat) 02時半頃 |
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─どこか─
[背中が痛む。
覚えのある背中の痛みに、男の身体の重みを受けて身じろぎ出来ない自分の身体。
記憶の中の目覚めなのか、それとも二度目の最期の感触なのか判らないまま、自分に起きた事を思い返そうと霞の様に朧で、けれどもきちんと思い出せる記憶を手繰る**]
【人】 お針子 ジリヤ[その身は灰と成り果てる。 (68) 2013/12/07(Sat) 12時頃 |
― 現在・どこか ―
…………
[周囲の彼らの言葉を聞く限り、自分が彼らに殺された事に間違いはないと思うのだが。
やはり死の間際の光景は思い出せない。
サミュエルの奇行を咎めた自分の言葉。そこで記憶が途切れている。
自分の遺体――依然よく見えないが、多分――に向かうサミュエルの呟きに
誰に理解されるとも思ってない、って言ったじゃん
それに――今の俺はもう感覚も思い出せないよ
[ダンピールを構成する要素が抜け落ちた今、その感情は恐らく彼らが感じたように不気味で業の深いものに思えた]
……?
[ふと声が聞こえた気がして、振り返った。
リビングの方向。確かに同類である彼の声だと思ったのだが、そこに彼の姿はない。
同じ方向にある彼の気配と、吸血鬼の気配。
それの一つが失せた。
それと同時に、願うような彼の声も聞こえる]
幸せ、に……?
[その方向には二人分の気配しかない。
そもそも、この島にいる面子はあの二人を除いて全て此処に揃っている。
ならば、彼が幸せを祈った先にいるのは。
――驚いた。
其処に至るまでにどんな道があったのか知らないが、彼は殺される側の為に殺していたのか。
ただ自分の為に灰の山を作り上げたフィリップとは異なる価値観。
同種の生き物であっても、個体ごとに考え方は異なる。
そんな当たり前の事を、フィリップは死んでしまってから知ったのだ]
[羨ましかった。
彼に――というか、誰かに幸福を祈られながら死んだマドカが。
自分がこんな結末を辿ったのはどう考えても自業自得だと、痛いほど理解していても。
続くサイラスの言葉には、届く筈もない返答を]
……ほんとにね
アンタともっと話しておけば良かったよ
誰が殺してたっていいさ、サイラスさんが生きていくのには関係のない事だよ
……俺もよく覚えてないし
[今更会話を重ねたところで何の意味もないのだが。
他にする事もないし、一人遊びを続ける事に――
したのだが、続く言葉はあまりに衝撃的で。
孤独の色と安堵に混じった『お前』は、自分を指す言葉なのかと狼狽えた。
他の思い出深き存在の事かもしれないが、聞き返そうにも声が届かない]
……そりゃ、俺たちが行き着く先は同じだろうけどさ
アンタはまだこっち、来なくていいよ
この身体動きにくくてしょうがねェや
[人の身であったなら、まだ涙も零せただろうに]
メモを貼った。
[死んだ場所に、自分の魂はあった。
ならばあの世話焼きの、少女のような女性が目覚めるならあちらか。
重い足を動かす。言葉を交わせる存在に会いたかった**]
[押し倒されるのは正直嫌いだ。
いくらか年月が過ぎたというのに、自分が人としての生を終えたこと、人としての理性を喪ったこと、そうして吸血鬼として二度目の生を受けたこと。
微睡みのままに止まった呼吸を戻し、そうして霞む視界で見えた顔見知りの青年を思い出す。
辺りは自分のものと、自分が刺殺した者の血の匂いにまみれ、そうして馬鹿な男達の脳髄を軽くイカレさせたシンナーの匂いが充満していた。
そんな目覚めを思い出させる]
[まどか、まどか……っ
痛みの伴う微睡みと、強く身体を押さえつけられる痛み。背中が痛むのは山小屋の床に押し倒されただけではなく、そこに人としての生を負えさせた致命傷を負ったから。
獣欲のままに呼ばれる名前は、なんとおぞましかった事だろう。
それでも、霞む視界の中。
自分の名前を呼ぶ幼馴染みの青年に両腕を伸ばし、その首に絡めた。
私は知らず笑っていた。シンナーと周囲に転がる死体と、そうして殺した女に縋る頭のイカレた男は殺した筈の女の腕が伸びている事に気づかずに。
そうして覆いかぶさる男の首筋を、吸血鬼としての生を受けた衝動のままに、かぶりついた。
それが、吸血鬼としての目覚め]
─灰になるまで─
[一瞬何が起きたか理解出来ずに、背中に感じた床の感触に私はあの忌まわしき目覚めの時を思い出した。
けれども今自分の身体を押し倒しているのは、グロリアの邸に行く船で出会った青年
吸血鬼だと思い、もしかしたら自分を脅かす存在かもしれない、そんな相手。
サイラスは何て言っていただろう、どうしてこんな事になっているのだろうと、呆然と見上げながら記憶を整理する]
[サイラスは少し疲れたと言う
何の為に、か。……それこそ、何の為の質問か判らないよ。
[若い頃の話だ。
人の道を外れた事に私は絶望した。
人であった最期の時には、自分の身を守る為とはいえ親にも弟にも顔向け出来ない事をしている。
無意識のままの吸血行為によって、更にもう一人殺した。
そんな目覚めに絶望しながら、それでも私には未練があった。
家族に、そうして普通に能天気に笑う少女の頃に。
それすらも、この吸血鬼という新たな生は邪魔をして。
珍しく膝の上で甘える弟の首筋に、牙を突き立てたい衝動が湧いたその時、私は改めて己が呪われた身体を持って息を吹き返してしまった事を自覚した]
[家族を捨てなければならない、日常を捨てなければならない。
私はもうとっくに人でなくなったけど、人であった頃の私は間違いなく、家族もその日常も愛していた。
生まれたての激しい衝動を、人であった名残の理性で駆逐して。
そうして家を出る私に手を差し伸べてくれたのが、通学途中の古本屋で働いていた異国の青年だった。
私の生の年数からしたら付き合いは短いけれども、確かに『連れ』と呼ぶべき存在だった人。
風の強い日、ダンピールの呪詛を受けたその身体の名残は、指先に掠める事すら出来なかった。
だからこそ、この身体に残る存在した証を、首筋の咬み痕を大事にしていたかった。
もう私には、それしか残されていなかったから]
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