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メモを貼った。
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……ありが、と、…っ
[ あのときとは違うけれど。橙の花ではないけれど。
口に運べばまた、ぽろぽろと涙は溢れ。
いつからこんなに泣き虫になったのだろう。
いつからこんなに悲観的に
なってしまったのだろう。 ]
[ 席を外すマユミ
思い出したように膝の携帯を見れば、
" 不在着信81件 "
この同窓会が終わったら、きちんと終わらせよう。
溢れる涙を手の甲で何度も、何度も拭っては、
そう、決意した。 ]
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― 居酒屋 ―
[ゆっくり、目を開ける。
夢をみていた。懐かしい夢に、ふ、と笑みが零れた。
あの日、桃の味のジュースを飲んだ……心算だったが味が予想していたものと違った。
あれが、初めてのアルコールだった気がする。
ルーカス
それが酔いだとは知らなかった為、余計に。
ふわふわと笑うルーカスの頭を撫でてやった。
卒業したら、もうこうして撫でることもない。
後日、貰った写真は今でも大事にしている。
今回の飲み会の話を聞いて、久し振りに見た。
懐かしくなって。会いたくなって。
まだこの感情を持っていると改めて知った。**]
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【人】 鳥使い フィリップ― シーシャと ― (30) 2014/03/09(Sun) 12時半頃 |
【人】 鳥使い フィリップ[それからしばらくして、へたりこむエルゴットの姿が目に入る。 (32) 2014/03/09(Sun) 12時半頃 |
【人】 鳥使い フィリップ……あった。 (34) 2014/03/09(Sun) 12時半頃 |
【人】 鳥使い フィリップ――ジリヤ…… (36) 2014/03/09(Sun) 12時半頃 |
【人】 鳥使い フィリップ[きっとこれは、曖昧でやさしい関係を続けたいと思っていた自分を糾弾する言葉。 (37) 2014/03/09(Sun) 12時半頃 |
【人】 鳥使い フィリップ― 追いコン会場 ― (38) 2014/03/09(Sun) 12時半頃 |
[伏せていた顔を上げ、周りを見て目を細める。
夢をみていたからか、あの頃と同じように姿を探して。
いないことに首を傾げたが頭を振った。
いつからか、気にするようになっていた。
きっかけは覚えていない。覚えていないくらいの他愛のないことだったのだろうが。
切り揃えられた黒い髪。
夢ではあの場にはいなかった彼女へ、話しかけもした。
そうとは知らずとも、酒の勢いだったのだが。]
[退寮前、中庭の花壇が咲いたら見て欲しいと、直接言えれば良かったかもしれないが、結局伝えないままだった。
伝える心算もなかった言葉。
後悔ではない。
懐かしいと思える思い出だ。]
[店員を呼び、人数分の烏龍茶を注文する。
一緒にお絞りの新しいものもお願いした。]
……鍋、懐かしいな。
[あの時の鍋と同じ、昆布とキムチの鍋。
先に起きていたマドカへと、どんどんよそってやる。]
〆は雑炊にしてもらおうな。
[目印のようだったちょんまげは、今はもうなくて。
改めて見れば、皆多少なりとも化粧をしている。
あの日、談話室で化粧をされていたジリヤも、今は当たり前のようにしているのだろう。
大人になったのだ。皆、同じように。]
[あのピンクベージュの封筒をキャサリンに返そうとして、結局そのまま貰ってしまったこと。
中身が種だとしれば、進学先で暮らし始めたアパートで育てていた。
夢をみて思い出したこと。
あの瑠璃色の封筒に入っていた手紙。
あれには、何が書かれていたのだったか。
貰ったことも、誰からなのかも覚えているなのに。
忘れるはずもないのに。
内容だけは曖昧なのは、夢の影響なのだろうか。**]
―居酒屋―
[目を開いて頭を上げる…。]
やっぱり夢か、随分懐かしい夢だったな。
[あの頃に戻れるなら、きっと今の自分を伝えるだろう。
もっとよく考えろと、適当な大学で芝居を続ける。
最後は売れない劇団で芝居を続けて、観客の一人のヤジに切れて…。
『大きな声はもうだせないでしょうね。』
喧嘩の果てに辿り着いたのは、軽度の発声障害。
通常の会話は出来るけれど必要以上に大きな声は出ない。]
懐かし過ぎて泣けてきそうだ…。
[情けなく笑いながらグツグツ煮える鍋を見つめる。]
[結局残ったのは女々しいと思って先には進めなかった人より得意なメイク技術だけ。
その道に進んでいればと後悔は後を絶たない。
きっと今からでも間に合うのかもしれないけれど…その勇気も度胸もなくしてしまった。
怖いんだ…また何かトラウマを抱えてしまうのではないかと…。**]
[ 終わりは始まりを呼ぶわけで。
―――なら、私にとっての始まりって?
気づいている、本当は。でも、気付かないフリ。
隣で眠る幼馴染を、瑠璃の瞳を細めてみつめ、
着ていたチャコールグレーのカーディガンを
彼の背中へふわり、とかけて。
次々と起きる仲間たち
涙残る瞳のまま「 おはよ 」と微笑んだだろう。 ]
[微笑むジリヤ
当たり前だったこんな挨拶も、卒業して以来することもなかった。
しなくなったことが、当たり前になってそれが寂しいことだなんて思うこともなかった。]
お前も夢、みてたのか?
俺もみた。
……卒業してから卒寮するまでの頃の夢だった。
[ジェレミー
彼も昔の夢をみていたようだ。
もしかして、同じ夢だったのかもしれない。
そう思って問う。]
[既にお冷とお絞りが用意されている
暖かい飲み物の方が良かったかと思いながらも、あれば飲むだろう。
大量に来てしまったお絞りは、隅に積んで置いた。]
……泣きたいなら泣けば良い。
誰も笑わんさ。
[あれから10年経って、泣きたい時に泣けない大人になった。
弱音を吐きたくても吐けない。
支えてくれる
だったら、今なら泣いても良いのではないだろうか。
弱音を吐いても良いのではないだろうか。
少なくとも、此処にいる者たちは笑うことはないはずだ。
鍋を見つめているジェレミーの皿へ肉を入れた。]
[夢と現実を彷徨っていた所為か。
まだ寝ているエルゴットがどこか泣いているように思え、ぽんぽんと頭を撫でた。
きっと夢をみている彼女は、気付かないだろう。
ただ。
三年間あの寮で家族のように過ごした同級生として、頭を撫でるくらいは許してくれると思ったのだ。**]
[次々と、目を覚ます。御伽噺の魔法が解けるように。
あの日々は、魔法だったのだろうか。全員が同じように見た、幸せな魔法。
違う。
あれは、過去だけど、確かな現実。
大切なことから目をそらしてばかりだった、ふわふわとした日々。]
[くすり。笑って。
目を覚ましたばかりのジェレミーに近づく。
彼の皿に肉を入れた彼
ジェレミー。メイクの続き、してよ。
[そう言って目を伏せる。彼はしてくれただろうか。]
私ね。なれなかった。プリマ。
嘘のメイクだけじゃ、もう駄目みたい。
[居酒屋に来る前、一室に残してきた男を思い出す。
彼ももうとっくに気づいていて。もう自分たちはとうに駄目だったのだろう。]
ねえ、今からでも綺麗になれるかしら…?
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【人】 鳥使い フィリップそれでも、もし自分を不必要な存在と感じるのなら、 (49) 2014/03/09(Sun) 20時半頃 |
―― → 個室 ――
……へくし!
ああ、外はまだ寒いですね。
[個室に戻る前に、くしゃみをまた一つ。
何気ない顔をして部屋の中へ戻れば、隅に積まれたおしぼり
……あ!
ジェレミー先輩もゴロウ先輩も。
おはようございます。
[キャサリンとジリヤに続いて目覚めていた二人へ、向けるのは常の笑み。
けれどゴロウへ向けたそれは、少しばかり下に向いた。
眼鏡があることを確かめるように。]
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