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[浄められた鏡の前。
座して名を唱える。
神の名は、日向]
え…、っ!
[輝きを受けるはずの水盤と鏡の中、靄がとぐろを巻く。]
[己の力、全て。
弾き返され、そのまま意識は遠のいた。
後に残ったは、水晶の欠片。]
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[自らが砕け散る音を、どこか遠く聞いた。]
(ああ、せっかく浄めたのに…)
[彼の人の水が染み渡った五体。消えさせ、人界に落ちるには忍びなく。残った神力で水晶へと変えた。]
(どうか、新たな清めの道具として使ってください。)
[白兎に託したそれは、かの水神へと届いたろうか。
ただの人間になった身には、すでに分からぬことだけれど。
ゆっくりと目を閉じる。]
―未明―
…ふーん。
[水鏡に浮かべられた札の力が身体を包む。
徐々に奪われて行く神力。
創造神は薄く笑う。]
ウチが祟り神だと?
[あるいは力が力なだけに恐れられたか。]
―――――まぁ、いいわ。
正直、あの地には飽き飽きしてたのよね。
[行くなという風に腕に巻きつく羽根蛇を撫でれば。]
そういえば、甚のとこに預けてる子が居たわね。
[消えゆく神力の最後をその羽根蛇に送る。]
心配するなって、
君はもう、ウチが居なくても大丈夫、
君は君の意思で、信じた通りに動けと。
どこにいてもウチは、その君の心を君の姿を見ているから、と伝えて。
信じている――――と。
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―回想:丘・朧と―
―――…そうかもね?
[人になりたいのか、と問う朧に薄く、笑う。
本心とも冗談とも取れるような、読めない音は丘を流れる緩やかな風に溶けゆき。
続く、己が下に仕える伝達神を信じると言うのには。]
ありがとう…、朧。
[一瞬だけふわりと笑んで。
直ぐに元の無表情、とんっと身軽に幹から降りる。]
もし…、もしウチが堕ちることになったら…
あいつのこと、頼む…
[朧の傍ら、同じように大樹に凭れ。
そんなことを口にした。]
…笑うな。
[羽根蛇の名に軽く噴出する様にはふいっと余所見をしつつ。
ゆっくりゆっくり、水神が考えながら紡ぐ、その内容に耳を傾けた。]
…うん。
[信じて貰えるか解らないが、自身は祟られていないと思うという朧に小さく頷けば。]
…あ、言っとくけど、ウチは弟子だからって甚を憑かれていないって言ってる訳じゃあないからね。
仮にあの子が憑かれていたら、こんな札遣わなくても、師匠として責任持って下界に堕とすってこと。
ウチにはその力があるし。
本当に信じるってことはそういうことでしょう。
現実から目を逸らすことじゃない。
[それだけは付け足して説明して、再び話を聞く。]
水が濁りを―――…
[手を握る様を横目に。
寂しそうな声が響く。]
詠神の術に影響…
[朧の言葉をひとつひとつ、確認するように繰り返す。
水を渡した相手は勿論、察していた。]
た、しか、前のときもそんなことがあったような…
[月神の占を妨害する、別種の力の存在。
考えるように手を口に充てる。]
そうね、朧が、他ならぬ君が、水に異変を感じているのなら。
その感覚は信じるべきだと思うわ。
少し、様子を見てはどうかしら。
朧が大丈夫だと、心から思えるもの以外は渡すべきじゃない、きっと。
あー、でも、その水が無ければ詠術に支障が出るとかだと…
[うーん。と唸って。
後の判断は任せると言われれば。]
ん、わかった。
[軽い感じで頷く。
そして、変な話をと笑んで、丘を下りるその後ろ姿に。]
君が君であるのなら、ウチは信じられる。
だから君も、君であることを忘れさえしなければいい。
朧が朧である限り、水のこともきっと―――
[大丈夫だと、そう、はっきり伝えただろう。]**
―下界に堕ちる少し前―
?
[高天原から消える己の身体を感じる中。
何故か見えた祭壇の様子。
注連縄に。]
…何、あの子。
罪悪感、でもあったのかしら。
[置いたであろう浄神の姿を思い浮かべ、ぽそりと呟いた。
その存在からして、己を祟り神だとした者のひとりが置壱だと証明しており、本当にそう思っているのなら、このようなことをする必要はなく。
矛盾した行動に小さく溜息を吐く。]
つきあってられないわ。
[そう呆れつつも、いつも己に対してひねくれた言動を取っていた置壱の、彼なりの気持ちに自然と笑みが浮かぶのだった。]**
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【人】 懐刀 朧―朧の屋敷― (100) 2013/08/14(Wed) 17時半頃 |
【人】 懐刀 朧この火の気配は、ウトか。 (101) 2013/08/14(Wed) 17時半頃 |
【人】 懐刀 朧―明の屋敷― (102) 2013/08/14(Wed) 17時半頃 |
【人】 懐刀 朧
(103) 2013/08/14(Wed) 17時半頃 |
【人】 懐刀 朧[やがて呼吸を整えると、微かに眉を顰め] (104) 2013/08/14(Wed) 17時半頃 |
【人】 懐刀 朧しかし、明は俺にこれを残してくれた。 (106) 2013/08/14(Wed) 17時半頃 |
【人】 懐刀 朧[酒宴の前、さりげなく自らの能力を伏せた明を思い出す。 (118) 2013/08/14(Wed) 19時頃 |
【人】 懐刀 朧[さて屋敷を去ろうとした刹那、 (119) 2013/08/14(Wed) 19時頃 |
【人】 懐刀 朧琴、か。 (121) 2013/08/14(Wed) 19時頃 |
【人】 懐刀 朧[隣を歩くウトの表情を見ると、何やら考え込んでいるようだ] (130) 2013/08/14(Wed) 19時半頃 |
【人】 懐刀 朧[道中、ウトの話に相槌を打ちながら] (164) 2013/08/14(Wed) 21時半頃 |
【人】 懐刀 朧[琴の用意を整える志乃を見て、納得したように] (168) 2013/08/14(Wed) 21時半頃 |
【人】 懐刀 朧[どこか慈しむ様に琴の音色を聴いていた。 (185) 2013/08/14(Wed) 22時半頃 |
―???―
(―――だれか、泣いている?)
[唄うようなその音を
分からぬままに、
ゆらり、意識は闇を揺蕩う。]
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[
『とくり、』
音がどんどん遠ざかり、
単調に、刻まれる、別の音。
『とくり、』
『とくり、』 ]
[ぼやける視界に、最初は自分が目を開いたことさえ分からなかった。]
『とくり』
[絶え間なく響いていた音が、自分の心臓の音だと。気づいたのはしばらく経ってから。]
【人】 懐刀 朧……? ウト、どうした。 (192) 2013/08/14(Wed) 22時半頃 |
【人】 懐刀 朧……その前に、 (193) 2013/08/14(Wed) 22時半頃 |
【人】 懐刀 朧
(201) 2013/08/14(Wed) 23時頃 |
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