238 聖痕の空〜Knockin' on heaven's door〜
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――――……まだ、終わって、ねえ。
[>>359世界中を舞う、羽の中で男は呟く。]
…………なあ。もう一度だけ、その力《炎》 貸してくれねえかな。
[今のままではこの身体を、動かせる気がしない。 だから、たったひとりの黒《相棒》に向けて、望みを]
(0) よつば 2015/09/22(Tue) 00時頃
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………俺は、あいつらを、許せそうにねーから。 だから、俺なりに罰を与えてやりたいンだよ。
[裏切り者。 どんな理由があろうとも 彼らによって、男達の日常は消え去った。]
(1) よつば 2015/09/22(Tue) 00時頃
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天界の門を、封印する。
[古来より、12柱は天界の門の番人だった。 本来であれば聖痕は後世へと受け継がれ 現世まで途切れた事は、ない。]
一つでも欠ければ、あれは開かねえんだ。
[そう言って、男は自身の聖痕を掲げる。 一ノ白が守り続けてきた、青の聖痕を。]
(2) よつば 2015/09/22(Tue) 00時半頃
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―――――…… だから、頼む
[黒は拒むだろうか。 しかし白の意志は揺らがない。
覚悟なんてとうに出来ている。 >>5:269全てを捨てる覚悟など。]
(3) よつば 2015/09/22(Tue) 00時半頃
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上 等、―――――― ッ………!!!
[>>4>>5殴ってでも、と言葉の通り 男は地をならして、腕を振り上げ
黒へと最期の一撃を――――……]
(6) よつば 2015/09/22(Tue) 00時半頃
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[――――ぽすり]
[今や小宇宙さえ生み出す事の出来ない 酷く、弱った拳が、黒の身体に落ちた。]
(7) よつば 2015/09/22(Tue) 00時半頃
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[>>8白に、血色が混ざる。 >>9そこから黒の感情が、波みたいに押し寄せて 少しだけ眉を下げたけれど、それでもいつものように男は笑う。]
俺、だ、 俺にしか、出来ない役目なンだよ。
[打ち付けた拳は酷く、弱かった。 それでも、その黒から視線を逸らす事はない。
黒には現世で守るべきものがある。 だから、己にしか出来ぬのだと。]
(10) よつば 2015/09/22(Tue) 02時頃
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置いてか、ねえ よ。
[ あの時のようには ]
(11) よつば 2015/09/22(Tue) 02時頃
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いつか、還って来るって 約束する。
(12) よつば 2015/09/22(Tue) 02時頃
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[誓いは、黒と白の間に。 保証のない口約束であれど
それでも口をついて出たのは 触れた先に感じた黒が
とても、悲しい色をしていたからだ。]
(13) よつば 2015/09/22(Tue) 02時頃
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へ、へっ……
素直に、待ってるって言わねーのが ………っとに、クロちゃんらしーぜ。
[>>14白と黒に最早言葉などいらない。 それでも声を紡ぐのは、――――]
信じて、くれって ………嘘なんか付かねーよ。
[きっと“約束”の代わりなんだろう]
(16) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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――――だって俺、天使だから。
[>>15その黒の笑みは力無きものだろうと どんなマヤカシよりも、白に“力”を与えてくれた。
黒の傷を庇うように、手を伸ばした先。 >>5:169憧れ続けた炎《赤》が、其処にあった。]
(17) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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[ ゴ ォ ――――――――――……ッ ]
(18) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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[天使と炎が交われば、成る姿は
不死鳥の炎天使≪フェニクス・エンジェル≫
救世の力は、しかし、自身の傷を癒す事はなく。 代わりに世界へと、人へと齎される。
白は誇らしげに、大空を舞う。 黒へと、友へと、その存在を目に焼き付けさせるように。]
(19) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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なあ。
………やりたい放題やっといてよ。 死んだら全部終わりって、ンな事、誰が許すかってー の
[呟く言葉は、赤い魂へ。 >>5:348憎しみに満ちた目が、脳裏を過る。 不死鳥が放つ光《炎》は、天界の門の先へと干渉す]
(20) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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[ ―――――――ジュ ァ ………… ]
(21) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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[>>0:120門に近付きすぎた天使は地に堕とされる。
男の聖痕が、その身体と共に燃え尽きていく。 聖痕をなくした一ノ白―――アンジェ=ロイスは 12柱の歴史から抹消され、永久にその名は闇へ葬られるだろう。
だが、それでいい。]
(22) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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………精々、天界の門が開かない世界で ヒトらしく、迷って、悩んで、生きてくれよ。
[それが、男の与える罰。 そして犠牲となった人々の救済。
そうして失った筈の魂達は、元の身体へ戻ってゆく。 否、身体などなくてもさしたる問題はない。
何故ならば――――――]
(23) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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[これは、奇跡だからだ。]
(24) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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[寂しくない訳はない。 全てを捨てる事が、怖くない訳はない。
けれどそれが、天使《白》として生まれた男の使命なのだから。]
―――――――…… 嗚呼 きれー、だな
[焼かれ、その身が消滅しながら堕ちる最中。 男はその空に、皆の色を―――――]
(25) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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[聖痕の空を、見た気がした**]
(26) よつば 2015/09/22(Tue) 04時頃
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― どこか ―
[ふつり、と何かが切れる音。 実際に音はなく、男の中で感じたものだったかも知れない。
>>42長く白の中に感じてきた黒との隔たり。 そして現世との別れを、確かに“聞いた”]
…………終わった、ンだな。
[静かに、呟く。 どんな顔をしていたのかは男自身も分からない。 役目を終えて清々しい顔をしていたようにも思うし 何もかもが失われた悲しみを抱いていたような気もする。]
(64) よつば 2015/09/23(Wed) 21時頃
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―――――ン なっ……!?
[>>@2突然、現れた混沌色の魂。 その奥が伺えないような、不思議な色だ。]
……は、はあ? こんな所にも、クレープが売ってンのか。
[>>@3甘いものは、嫌いではない。 随分と何も食べていなかったような気がしたから その白と黒のクレープを口に運ぶ事に、躊躇いはなかった。]
(65) よつば 2015/09/23(Wed) 21時頃
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『 て、 いで……!』
(66) よつば 2015/09/23(Wed) 21時頃
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――――…… 今、何か、聞こえたか?
[>>31聞こえる筈のなかった声。 >>32聖女の持った聖痕が天に還され それは、光の道となって男の前に姿を現した。]
サンキュ! これ、あと二つ貰っていい?
……何か呼ばれてるみてーだし、俺、行くぜ。
[遠慮なく、何処かの“大人”に代金を任せて 男は二つ程クレープを受け取ると、光の道へ駆けて行く。]
(67) よつば 2015/09/23(Wed) 21時頃
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[ ――――――――― …… ]
(68) よつば 2015/09/23(Wed) 21時頃
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う、おぁッ ああああああ―――――!!!
[――――べしゃり]
[弾けた光が収まった先 天から降り注いだ魂は堕ち、地上へと。 みっともなく、草木が生い茂る何処かの庭へと落ちたらしい。]
ッ ……レオ、お前
[いつの間にか、白鴉が男の頭の上に舞い降り ふんぞり返っているのに少し笑みもこぼれるが]
(69) よつば 2015/09/23(Wed) 21時頃
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……あれ、飛べねー、………
[違和感に気付くのは直ぐ。 身体は以前より重く、男の身体を浮かせてくれない。
あれ程昂ぶった翼も、今や背にはなく 汚れた白を身に纏った男が其処にいるだけだ。]
(70) よつば 2015/09/23(Wed) 21時頃
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そっか。
………全部、無くなったのか。
[男が今、此処に居るのは 気まぐれな幸運と、天への貢ぎもののお陰だろう。 しかし、男は自身の全てを捨てるという覚悟の上で 救済と罰を、この世界にもたらしたのだ。
だから天は、“天使”として生きてきた男から その象徴である空を飛ぶ権利と、翼を奪った。]
(71) よつば 2015/09/23(Wed) 21時頃
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― 堕ちた先で ―
[さて、天界と現世の時差はどれ程か。
聖女の祈りがあってから直ぐの事かも知れないし 数日、或いは数年が経過しているかも知れない。
落ちた場所は、幸々戸家の庭だったらしい。 彼の家の者達にはきっと、よく思われてはいないだろうが 理岐君は居ますか、と男は思い切って聞いてみた。
―――暫く帰っていない。
返ってきたのはこんな言葉だった。 男はそこで、漸く思い出した。]
(72) よつば 2015/09/23(Wed) 21時半頃
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