人狼議事


234 麻雀邪気村-3rd season-

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[力尽きた中放たれた一打は、冥王の手の内に吸い込まれた――]


[生命反応《バイタル》は下がり、身体をゆさぶられてもまともな反応を示す事は出来ず。
 成すがままに抱きかかえられ。
 違和感に気付かれた頃か、あるいはその少し前か。
 うっすらと瞳と唇を開き]

 ――……おとうさま?

[幻覚を見ているのか、幼子のように呟き。
 再び意識はブラックアウトしてゆく。
 救護室で手当てをされ、目を覚ますのはもう少し先の話だろう**]


メモを貼った。


[生と死のハザマ、シルク……いや、オーレリアなる少女は在りし日の幻を見ていた。

 幼かったあの日、父は自分の目の前でマ王の凶牌に倒れた。
 やがて母方の祖父の家に引き取られる事となり、変貌した生活や多数の習い事に忙殺されて、歩くより先に打っていた麻雀の事すらもいつしか遠い過去となり、日々は流れていった。
 しかし、しばらく前に偶然テレビで冥王戦を見た時、強い衝撃を受けた。
 自分は決して、麻雀を忘れては居なかった――]


[裏闘牌場《アンダーグラウンド》に足を踏み入れるまでに、そう時間はかからなかった。
 姿を変え、名前を変え、それなのに何故だろう。
 ”生きている”という実感が深く胸の内から溢れ出て来たのだ。
 これが自分にとっての天命なのである――と]


[その時と似た感覚が、緋龍《ドラゴン》の死を予感した時にも広がった。
 彼を助ける事。
 そして、悲しい連鎖を止める事。
 それこそが麻雀を再び始めた理由。
 それこそが雀使として覚醒した理由なのだと]


[急速に己の身体から、魂から、力が抜けていくのを感じる。
 役目を果たしたせいだろうか。
 雀使としての力は少女から光の粒となり、まるで満天の星々のように天へと昇ってゆく。
 もう先ほどまでのような打ち筋は――奇跡《ミラクル》を起こすような事は出来なくなるのだろう。
 しかし、未練など欠片たりとも存在しなかった。

 何故ならそう。
 雀使の力は――羽の形となりて、真龍の帝王《ドラゴレット・カイザー》の元へと舞い降りているのだから]


[意識を失ってる間も、力の残滓が共鳴《リンク》を起こし、卓上《ヴァルハラ》の様子を、そして雀士《ジャンキー》の様子を教えてくれた。
 緋龍《ドラゴン》が復活した事。
 女帝《エカチェリーナ》の美技。
 勇者《オスカー》の愚直なまでの覇道。
 そして、倒れてしまった所を抱き抱えられた自分の姿すらも――]


 ……ん?

[抱き抱えられた?
 と、言うことは……]


 っきゃあああああ!! 何するんですのーーー!!

[救護室のベッドの上、己の叫び声で目を覚ます姿がそこにあった。
 起き上がった瞬間、体に繋がれたチューブに引っ張られてしまって身動きがとれず四苦八苦して]

 ……あ、あれ?
 こ、ここはどこですの?

 ――はっ!
 勝負《デュエル》、勝負《デュエル》はどうなってますの!?

[救護班の医師たちが慌てる中、焦りながら尋ね。
 モニターの存在を教えられてそちらへ視線を向け、息を呑んだ]


メモを貼った。


[モニターの向こう側では自分が居なくなった後もなお、更なる死闘が繰り広げられていた。
 その熱気は離れた場所に居てすらも痛いほどに伝わってくる]

 こんな時に、寝てることしか出来ないだなんて……!

[悔しさと不甲斐無さで強く歯噛みする。
 医師団からは絶対安静を繰り返し諭され、また、自身も立ち上がろうとするだけで強いめまいを覚えた]


[流れてくる音楽、そして――]

 きゃあ!?

[扉を開かれ、思わず叫び声が出てしまい。
 同時に、ゴフゴフと咳き込んで]

 さ、先程の……変態さん?

[変態というイメージで定着してしまったらしい。
 訝しげに呟く。
 しかし、雀使としての力を失った自分に――
 やれる事など存在するのだろうか]


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