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ん…――――
間に合うよ、今からだって
今、一緒にいるんだもん、私達
いつまで一緒か、わからないけど
一緒にいる間なら、間に合うと想う
[心が、気持ちいい
ああ、もう少しあの時、時間があったなら…―――
あの時? あの時ってなんだろう]
側にいたらいい
居たい間、居たいだけ
そうしたら、君の側が私の居場所になるだろう
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――広場――
[幾つかの夜が過ぎた。
月はいよいよ大きく輝きを増し、森には死者のざわめきが満ちた。
ここでは、お互いを隔てる距離は妨げにならないのかもしれない。
かすかな歌声が聞こえる。
それが幾つめの夜なのか、彼女にはわからなかった。
森から、咆哮が聞こえた。
強い言葉が、直接魂を貫くように感じられた。
はっとして、顔を上げる。]
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――…そうかな。
……うん、そうね。
[生きている間にそうなりたかった。
ピッパを死なせたくなどなかった。
こうやって触れてぬくもりを感じられるから
生きている頃を思い出し錯覚するのだけれど。
死んでしまった事実を口にせずにいるのは
この優しい夢を壊したくないから――。
間に合えば良かった、と言葉にせず思う]
一緒にいて
色んな話をして
さっきみたいに歌を教えてもらったり
……お互いが自然に居られる場所になれたら
きっと、しあわせ、ね。
[少なくとも娘にとっては幸せだと思える事。
生まれ変われる事があれば
彼女の傍でそんな関係を築けたら良いな、と思った]
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[何処かで名を呼ばれた気がした
命の失われてゆく気配を感じる。
ズキズキと胸が痛む。
この痛みは如何して。
分からないまま目を伏せれば
透明な雫がぽろりと零れ落ちた]
そうさ 間に合わない事なんか、何もない
[彼女の想いを、推し量る事など出来ないから
言葉にしない事は、きっとわからないのだろう
もし、魂の交わりが更に強くなったなら
その心の中すら、覗く事が出来るのかもとも思うが
甘い夢は、歌声と共に、まだ赤い月の下]
今からそうなったら良い
いや、違う、多分違う
私の幸福は、きっとそんな場所にある
だから、私はそんな君が、側に欲しかったんだろう
[もし、赤い月の向こうに、再生があるのなら
そんな友人が、いる世界に生きたいなとも]
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―いつか何処かで…―
…オスカー…。
[オスカーの後ろに立ち、静かに声をかける。
数日ぶり…あるいは、「10年ぶり」の片割れとの再会。
オスカーがこちらに気づいたなら、少し困ったように笑って]
…なんて言えばいいんだろうな…何から言おうか?
……。
………うん、そうだね…。
まずは……。
[静かに目をつむり、それからまっすぐな笑みを浮かべて]
…「ただいま」そして、おかえり。
それと…ありがとう…。
[にこりと笑って、オスカーを優しく抱きしめる。その時ホリーが浮かべた笑みは、確かに以前の…元来のホリーの笑みだっただろう]
オスカー…オスカーの弾丸は…ちゃんと届いたよ…。
[ホリーは優しく彼を抱きしめながら、彼の思いがミツカイサマに届いたことをつたえる]
…お疲れさま…オスカー。
もう、がんばらなくていいんだよ。
―歌声の森―
あ…い、いえ…そうじゃないんです…。
…ただ、ちょっと…びっくりして。
[触れることは二度と無いだろうと思っていた温もりに、どぎまぎしてしまう。
その感触が嬉しかった…なんて本音を言うのはちょっと恥ずかしくて、はにかんでごまかした。
紡がれるマーゴの言葉。返すピッパの声に耳を傾け、そっと彼女たちのそばに腰を下ろした。
言葉は交わさなくとも、なんだかその場は居心地がよくて…気がつけば、柔らかな笑みを浮かべていたかもしれない]
―多分、いつかの―
……あれ。
[まず思ったのは疑問だった。
ミツカイサマを殺せなくて、その後……多分、テッドに支えてもらって森を出た。
その後どうしたんだっけ?家に戻って、――戻ったよな?あれ?じゃあここは何処だ。
後ろから声が聞こえた。
それは声だった。
10年前から、ずっと探していた声だった。そして、あの時に永遠に失ってしまった、声]
おかえり……?
[振り返る。
会いたいと、もう会えないと思っていた姿がそこにあった]
ホリー?
……姉さん?姉さんなの、本当に、姉さんなの……
[腕に包まれた時。死ぬまで抱え込んでいた何かがついに決壊した。
むちゃくちゃに、泣いた。まず泣いて、とにかく泣いて、それから自分がどうなってしまったのか何となく悟って――そして姉の顔を見つめて**]
ごめん、……ホリー。
仇、取れなかったみたい……
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びっくり…――――?
[私達の側に座った、小さな姿と
浮かんだ笑みと、彼女の言葉が、チグハグだったから
私には、その理由も、感情も、わからない
ただ、肉体を失った体だからこそ
単純な気持ちなら、きっと伝わり安いんだと想う]
硬くなるな 一番楽な姿でいたら良い
一緒に歌うか? 森の民の、子守唄
ピッパが言うならきっとそうね。
[涙を拭う仕草をして彼女
涙に目許がはれることはないけれど
魂だけの存在となっても生前と同じ仕草をしてしまう]
友達になりたいと思っていたの。
ピッパがイヤじゃなければ……
[お願い、と小さく紡いで赤い月の下、彼女を見詰める。
幸福、そして、側に欲しかったと言われれば
少しだけ照れたようなそんな表情が浮かび
満面の笑みをピッパに向けて]
嬉しいよ、ピッパ。
幾らお礼を言っても足りないくらい。
[彼女に必要とされたようで嬉しかった。
強がるけれど素直で不器用なくらい真っ直ぐな彼女だから
偽りのない言葉だと思って素直にそれを受け止める]
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あ―――…
[彼女の仕草が、涙を拭う物だったから
手を伸ばし、彼女の目元に触ろうとするのに
そこに雫が、浮かぶ事などなく
不思議に想いながらも、なんだか…―――]
友達か 早く言ったらよかったのに、そのくらい
嫌な事なんか、ないよ
[彼女の笑みに、私も出来るだけの笑みを向けて
素直に、気持ちを表す事
今、この空間なら、出来るような気がするから]
礼なんか、いらないよ
私こそ、ありがとうだ
[そう、ずっと一人だった私に
友達にと、言った彼女だからこそ]
[久し振りに逢うホリー
あの時のように無理をしているようには見えない。
ホリーの事が心配だったからその姿に安堵する。
ピッパ
森の民の……子守唄……
[ぽつ、と繰り返すように呟く]
――…皆にしあわせな夢が訪れると良いね。
[まだ儀式と言う名の悪夢は続いているから
せめて眠る間だけでも、とそんな願いを口にして
ゆる、と目を向けるは森の奥。
これ以上誰もきて欲しくないと思いながら
何処かで逢いたいと思う気持ちもあり
ふるりと首を振って誰かを呼ぶ事はしなかった]
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そう、森の民の子守唄
[森の民を、夢に誘う者達の歌
母の歌った、我が家に伝わる唯一の情報
その真意は、最後の最後…―――
体が滅ぶ瞬間にすら、わかる事はなかったから]
幸せな夢か…――――
そういや、夢を見ないな
[赤い月、赤い月、貴方は私に夢を運ばないの?
いや、この時間こそ夢なのだろうか]
――…あの日まで、私は臆病で、
いつも話し掛けてくれる人に返すだけだった。
人形みたいだ、なんて言われていたから
詰まらない子って思われてるみたいで
自分から話し掛けるのが少し怖かったのかもしれない。
[ずっと年上の大人達が話し掛けてくるのは
長老たるナタリアの孫だから。
いい子でありたいが故に模範的であろうとする自分は
詰まらない存在なのだと諦めていた。
諦めきれなくなったのは儀式が始まり
色んな人と色んな話をしてあたたかさを知ったからか]
早く言えれば良かった。
[ピッパの言葉
彼女の優しさ、心のあたたかさが伝わってくるようだった]
臆病な心なんか、皆の心の中にいる
怖いと想う心も、恥ずかしいと想う心も
だから、マーゴは悪くない
今、ちゃんと言ったじゃないか?
友達になろうって、ちゃんと言った
マーゴは人形じゃない、普通の女の子だよ
[私は、どうだろう
両親の死後、人を信じる事を拒み
なのに、人の温もりが欲しくて仕方なかった
心の奥も、体の奥も、頭の奥も
ずっと寂しさでいっぱいだった
ああ、きっと私も同じなんだろう
私も彼女のように、友人が欲しかったんだろう]
これからも、宜しくね。
[何時まで続くか分からない優しい夢。
けれど娘にとっては確かな今。
消えて欲しくはない時間。
けれどいつか旅立つ日が来るのだろうか。
その時はピッパと一緒なら良いなと思う]
夢をみないのは眠ってないからじゃないかな。
目を閉じれば、見れるかもしれないよ。
[眠りを必要とはしないのだけれど
望めば運ばれてくるような気がしてそんな言葉を口にした]
眠れないなら……少し散歩してみるのも良いかもしれない。
それでも眠れないなら……私がピッパの為に子守唄を歌うよ。
[彼女のように上手には奏でられないけれど。
彼女の為なら慣れない事も出来る気がした**]
漂白工 ピッパ
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そうか、眠ってないからか
[もう何日も、時間が経ったはずなのに
私は、睡眠を取る事をしなかった
そうか、そいつが問題だったのか]
散歩か…――――
なんだか、私はここから出たらまずい気がするんだ
だからさ、マーゴ
私が夢の世界に落ちるまで
貴女の温もりを、私に頂戴?
子守唄なんか、歌っちゃったら
私、甘えすぎちゃうからさ…――――
[そんな事を言いながらも、少し甘えたい気持ちもあり
そっと彼女に寄り添った後、瞳を閉じた]
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[ピッパの言葉
欲しかった言葉を呉れた彼女。
自分には何が彼女にあげられるのだろうと考えていれば
ピッパの求め
もっと、甘えて呉れて良いのに。
――…ピッパが眠るまで傍にいるよ。
おやすみなさい、ピッパ。
しあわせな夢があなたの瞼の裏におりますように。
[寄り添う彼女に肩を貸し彼女のしあわせを願う。
ぬくもりが少しでも伝えられるように
娘は目を閉じた彼女の手にそっと自分の手を重ね
赤い月を静かに仰ぎ見る**]
ん…――――
[死者にも、夢を見る時間があるのかな
わからない、わからないけど
今私は、生ある時には感じる事が出来なかった
暖かな感覚に、包まれながら瞳を閉じた
なんだか、気持ちいいや
ずっと、だれかに甘えたかった
ずっと、だれかに抱きしめて欲しかった
今この月の元、見る世界が夢の中なら
このまま意識の底に落ちたら、現実に戻ってしまうのかな]
― 昨日・ラトル家 / NPC:ナタリア ―
[テッドから孫娘の死を知らされた
孫娘の無事を願いながらナタリアは何処かで諦めもしていた。
孫の幼友達であるテッドに情けない姿など見せられない。
悲しみに震える手をぎゅっと握りしめた]
森に行けば、何時かは選ばれる。
あのこも其れを覚悟していただろう。
……それがあの娘の運命だったんだろうねえ
[娘夫婦も先立ちナタリアにのこされたのは孫娘だけ。
その孫娘にまでも先立たれた。
悲しくない訳ではない。
若者の憤りもナタリアには理解できる。
だがナタリアにも立場がある。
だから若者の言葉をただ静かに聞いていた]
― 昨日・ラトル家 / NPC:ナタリア ―
[生贄なんかじゃない、と言うテッド
生贄なのだと言ったところで彼は納得しないだろう。
如何して孫娘が選ばれたのか。
それはナタリア自身も知りたい事の一つだ。
お別れしたくない人が出来たと言っていた。
結局それが誰だったのか聞けず仕舞いだった]
……………。
[孫娘の為に憤る若者。
孫娘の為に心を痛める若者の存在が今は有り難い。
村で孫娘の事を悼んでいるのは自分のみでないと知れるから]
― 昨日・ラトル家 / NPC:ナタリア ―
仇なんてばかなことを言うのはおよし。
お前さんはちゃんと帰ってくるんだよ。
[またこんど、と次の約束を口にする若者>
微かに目を細めるのだけれど
そういって生贄となった黒髪の娘が思い起こされて
不安は隠しきれず心配そうな眼差しが彼に向けられる。
若者は帰り独りきりとなった大きな家。
ナタリアは俯き微かな嗚咽を漏らした**]
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ああ……ほんとうに、居てくださったんだ。
[最初に感じたのは、何よりも押し寄せる安堵だった。]
おお……神様。
私は貴方に叛きました。
それは確かに私の罪。
けれども、私たちの血脈と共におられたのならばなぜ……
私たちがただ忘れるままになさったのです?
御徴が現れない間、どんなに私たちの父母が途惑い、怖れ、忘れようと努めたのか、おわかりにはならなかったのですか?
貴方に……見捨てられたのだと、私たちは――。
[その先は言葉にならない。
溢れる涙が、次々と頬を伝う。]
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モーセは主に言った、「ごらんください。あなたは『この民を導きのぼれ』とわたしに言いながら、わたしと一緒につかわされる者を知らせてくださいません。しかも、あなたはかつて『わたしはお前を選んだ。お前はまたわたしの前に恵みを得た』と仰せになりました。
それで今、わたしがもし、あなたの前に恵みを得ますならば、どうか、あなたの道を示し、あなたをわたしに知らせ、あなたの前に恵みを得させてください。また、この国民があなたの民であることを覚えてください」。
主は言われた「わたし自身が一緒に行くであろう。そしてあなたに安息を与えるであろう」。
モーセは主に言った「もしあなた自身が一緒に行かれないならば、わたしたちをここからのぼらせないでください。
わたしとあなたの民とが、あなたの前に恵みを得ることは、何によって知られましょうか。それはあなたがわたしたちと一緒に行かれて、わたしとあなたの民とが、地の面にある諸民と異なるものになるからではありませんか」。
主はモーセに言われた、「あなたはわたしの前に恵みを得、またわたしは名をもってあなたを知るから、あなたの言ったこの事をもするであろう」。
モーセは言った、「どうぞ、あなたの栄光をわたしにお示しください」。
主は言われた、「わたしはわたしのもろもろの善をあなたの前に通らせ、主の名をあなたの前にのべるであろう。わたしは恵もうとする者を恵み、あわれもうとする者をあわれむ」。
また言われた、「しかし、あなたはわたしの顔を見ることはできない。わたしを見て、なお生きている人はないからである」。
出エジプト記33:12-20
[最初は、真っ暗だった
瞳の裏には瞼があるはずだという、魂の記憶
そいつが、私の視界を闇に落とした
暫くしたら、暗闇の中に赤が浮かんだ
瞼の向こうには、光があるのだという
私の記憶が、生前と同じ事象を起こすのか
そのまま暫く、瞼の裏から赤を凝視したら
今度は、二枚目の瞼が降りてくる
眠りと言う名の、二枚目の瞼が]
すぅ…――――
[呼吸が、深く、長く、ゆっくりになる
体が、睡眠を取ったような状態になる
こいつも、魂にある記憶の形
肉体のない私が、本当に眠るんじゃない
ただ、確かに夢は見た]
はっ…――――
はっ…――――
はっ…――――
[息が浅くなり、額に皺が寄る
もし自分の顔を見る事が出来るなら
こんな可愛くない顔、二度としないのに]
っ… はぁっ・・・
[目を覚ました時、私は夢の事を忘れるだろう
だから今見た夢が、どんな内容だろうとも
私の虚ろな魂が、どうなる事もない
私の朧な記憶が、形を成す事もない
ああ、私の見た夢は
昨日の私には日常で、今日の私には悪夢だった
なにより怖かったのは
実は――が――で、――が――なのではと…]
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