194 花籠遊里
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[今夜も男は濁る煙の中に居た。 ゆうらゆうら、揺り椅子に揺られては蝶の訪れを待つ。
仲良く手を繋ぐ蝶花が来た時には 下卑た視線をべたべたと貼り付けた。
悪辣な蛾が飛んでくれば 咎めもせず口角を上げるのみ。
覇気のない蝶が弱々しく来れば 濁る煙を吹きかけてわざとらしく謝り。
今宵耳打ちした蝶がやって来ては 可笑しくも昨夜の花の行方を問うものだから。]
(182) 2014/09/19(Fri) 00時半頃
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喜んじゃあいけない? 丁助さんからの言葉なら結構嬉しいのだけれど。
[それが褒め言葉の意図を持った言葉なら誰に言われても嬉しい癖に、そんなことを口走る。
湿った感触には小さく息を吐いて。「貴方に相応しい」という言葉>>181を堪能して笑む。赤い花の静かな言葉は沁み込むようだ。]
うん、下もお願い。あんまりまじまじとは…
[それとも見られた方が愉しいだろうかと言葉尻を濁す。]
ねえ、早く。
[続く言葉をはっきりとはさせず、続きをせがむ金糸雀の啼き声。]
(183) 2014/09/19(Fri) 00時半頃
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おうや、おうや。 あの花がお気に召したのかい?
地下に向かえばわかることだけど、教えてあげるよ。
“キミ以外の誰か”が買っていったとね。
[男は金を机に積み上げたまま、にっこりと嗤っていた。]
(184) 2014/09/19(Fri) 00時半頃
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[臍を曲げてしまった面持ちと皮肉は悪くない。>>173 幼子のような素直さを、長々と鑑賞していたかったが、今宵の余興に天秤は傾いて、彼の視界を黒で塗り潰す。
閉ざすための漆黒も、彼にとっては夜の色ではなく、 五指を隠す色なのかもしれないが。
捺した鬱血の色が白皙に艶やかに映え。 戯れの口付けは一度に終わらず、二度三度。 軽やかな音を態と混ぜ込み、鋭利になった聴覚すらも刺激。
膝に抱えた腰を探る指は立て圧掛け、 彼の体温に懐きながら、脇腹に繊維の一条が刻まれていく。]
―――これは、
[そうして、喜色を孕んだ声が牢に響かせ。 悪質なる低音は、彼に屈折を科す。]
(185) 2014/09/19(Fri) 00時半頃
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彼の指先。
[武骨なばかりの指は、典雅な掌とは違う。 視界を奪っても、触覚に否定させ、意識へ雑を介入させる。 忘れえぬ、真新しい夜の記憶と言う雑を。
体温は白布の袷に進入果たし、胸の尖りを掌底で轢いた。 じとりと染みる温度にも雲泥の差。夜蛾と蝶の差。>>174
更にと、指腹を躍らせ詰る乳嘴。 暗闇の向こう側に彼が何を見るかなど知りもせず、気にもせず。 空の左手は艶声に唆される風を装い、裾内へと潜入。 丸い臀部の柔さを確かめ、尻朶を掴むと、「声を」と命じた。]
……ほら、啼けよ。 鳴いて、泣いて、声も嗄れたら―――許してやらぁ。
[傲慢な声に合わせ、揺ら、と彼の股座に通した逞しい腿が前後。 縋るしか出来ぬ憐れな花を、今宵も悪趣味が染めていく。]
(186) 2014/09/19(Fri) 00時半頃
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[花の身>>180を自分に預けてくれると思いきや、そそと真正面に座って頬へ、胸へと手が充てがわれる。人肌が滑る感触。 飛び込んで来やしないかと期待したのは本の束の間だった為に、これもまた良しと思って苦笑いをすることにする。
歪んだ口元に触れる指先を、強請りの仕草だと決め付けて。 煙草を掌の中で潰すと、代わりのように相手の指先を口に含んだ。 軽やかなリップ音が小さく響く。]
欲しいモンがあるなら口で言え。 お前はどうも……言葉足らずだ。 昨日も、今日も、"お前の"言葉にできないまま落ち込んでたんじゃねェのかよ。
[辛気臭ェったらねェわ。
最後に呟く。それは先程、目当ての花>>181と視線があって思わず逸らした自分に跳ね返ってきて。刹那の失笑。
再び笑みを浮かべた頃には、相手が何事か反論しようとしたとしても、その唇に強引に舌を割り込んで。煙の余韻漂う舌先で相手の舌を誘っただろう。 反論してみろ、とでも言うように、笑ながら。]
(187) 2014/09/19(Fri) 00時半頃
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喜んで頂けるのでしたら、そうして頂けるとありがたくはありますが。
[くすりと微かに声を出して笑うと、早く、と急かすその先へと。]
失礼致します。
[脱がし易くなるように、白い布地へ蝶を転がして。
露になる下肢は、少しだけ眺めようか。 けれど恥ずかしそうな様子に、直ぐに軽く握り込む。]
一度、出してしまいましょうか。
[彼を組み敷けば、花の衣は足元から乱れ始めるも、それは気にせず。
なぞるか、扱くか、先を弄るか。 反応を見ながら指先を遊ばせていくことだろう*]
(188) 2014/09/19(Fri) 00時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 00時半頃
半の目 丁助は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 00時半頃
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[苦笑いを罅割れた鏡面は映す リップ音が牢の中に響けば其の唇に尚も、指を這わして]
……欲しいモノ、ですか
[銀蝶の言葉に黒の瞳が揺れる。彼の言うとおりだった。言いたい事を全て呑み込み、結局出来るのは鏡の破片で傷つけるだけ 辛気臭いという言葉には此方も苦笑を。何だか自分達は鏡のように似ているな、なんて考えながら
欲しいモノは何かと尋ねる言葉と共に唇拓くは煙の香りと温かな舌 ならばとその熱絡めとり、歯列をなぞった後一度唇離して]
私の言葉をお聞きになりたいのですか? それは鏡の破片が擦れるくらいに醜悪なものであるかも知れませんのに。 でもそうですね、もし欲しいモノがあるとすれば――
その煙に酔わせて下さいますか?
[そう、告げて再び唇合わせようかと]
(189) 2014/09/19(Fri) 00時半頃
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[布団の上へ転がされ衣服を取り払われると、やはりどうしても恥ずかしさを覚え金の睫を伏せる。 けれども視線だけで身体の温度がじわりと上がるようなこの感覚はどこか楽しく。その微笑みは口許に残ったまま。]
んっ…。
[握り込まれる感覚に眦を眇める。]
はあ…。
[期待を吐息に滲ませて微笑の絶えない僕の表情は、幾ばくかの幼さを保ったまま艶を帯びつつあったかもしれない。
蝶を組み敷いた花を見上げ、視線で強請る。 悦びを齎してと。]
(190) 2014/09/19(Fri) 01時頃
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[目元を覆う布地の感触。眸は開いたままであるというのにいつまでも明らむことのない腕の中で、潜むように息を吐く。
首筋にあたるはちくりとした無精髭の感覚>>185 似ても似つかぬ感覚を与えつつ、黒蝶を思い出させるような触れ合いに鉄錆の唇を引き結び声を噛み砕く。]
──ど、こが。
[直に触れる指先は、昨晩身体を掠めた硬い革手袋とは異なった温かみのある掌。>>186 だというのにそれを黒蝶の翅だと喩える唇に咽を震わせた。
それがその蝶の目的であることに気付かず、まだ殆ど芯のない柔らかな胸先を弾かれれば指先を走る感覚に、息を詰まらせる。
追い打ちをかけるように指先を蠢かし、執拗に与えられる毒には熱を孕んだ息が一つ漏れて。]
──……っ!
[吐息の狭間にまろびでた声に、それが色のあるものだと自覚すれば頬に血が溜まり赤く色付いていく。]
(191) 2014/09/19(Fri) 01時頃
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ち、ッが…ぅ
[しな垂れるように身を寄せていた胸元を押し退けるように力を添える。
視界が閉ざされたことにより、鼓動鳴らすその音が香る匂いが全て昨晩の記憶を揺らしては、朧気なものへと塗り潰していく、そんな錯覚を視界に覚えれば]
ぃ、や…っ、だ…
[言葉とは裏腹に布擦れの音と共に腰に響く毒牙に打ち震える身体は弱々しく、塗り潰される視界により深く黒を刻みつけた。]
(192) 2014/09/19(Fri) 01時頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 01時頃
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[自分の笑みが跳ね返ったような苦笑を浮かべる相手。更に苦笑する他どうしろというのか。 生温い唇が離れたのなら、は、と息だけ吐き捨てる。]
擦れた鏡なら自分の姿を見ずに済んで助からァ。
[鏡に映る自身の姿以上に醜いものなどありはしないのだから。]
……………『物好きめ』
[放った言葉は相手へ、花に水を遣る振りをする自身へ。
近づく唇に軽く口付けを落とすと、藤の肩を抱き寄せて布団へと雪崩れ込む。上に跨り、有無を言わせず深い、深い、抉るように唇を交わして。
行為に溺れたいという気持ちだけの為に、性急に事を急ぐ手は白梅香る衣類の隙間に。 細く不健康に白い指で藤の肌を暴き始める。]
(193) 2014/09/19(Fri) 01時頃
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[緩やかに尖ったこころを花に肯定、包まれたのならば>>177 その尖りも少しは落ち着いただろうか。
ごろりと横に転がる花から漂うのは、微な櫻の香。 鼻をついたその香に目蓋を休め、その蝶頭に春先の桜を辿らせながら それでも夜咲く櫻には叶わないだろうと、ちいさく吐息を洩らした。
擦り寄る躯は如何にして受け容れようか。 まるで幼子だと先の自分を棚に上げ、乾いた髪を一撫で。 その髪飾りを指で摘まんだならば、世辞のひとつでも投げただろうか。]
(194) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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琴…嗚呼、ここに初めて来た時、ちいさくその音を聴いた気がする。
[――それに乗る、まるで溶けて消えそうな歌も。
軽やかな琴の音に乗った愁いを帯びた柔らかな聲。 琴の音もまた、夕闇に生えて綺麗なものであったと。
そうしてころころと隣から鳴る鈴の音に、心地良さそうに目尻を緩めては目蓋の裏にて視線を当てる。 宴の間に響く嬌声など弾いてくれそうなその鈴の音。 ころころ。ころころ。 先の悲しい話とは変わった音に、暫し安堵さえ心持に。]
(195) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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私は鏡――その鏡面に映しだすのは貴方の心も身体も 物好きな鏡に一夜の酔いを与えて下さいませぬか? 望みは、それだけ。
[鏡に向かって、自分自身を揶揄する様な口調でそう告げる銀の蝶>>193その瞳を凪いだ瞳で覗きこめばそこに居たのは何だったろうか
布団になだれ込み、抉る様に探る様に深く何度も口角変えて口付けられればくぐもった声を出す 溺れたいと願う様な性急な手に、それは自分も同じとばかりに暴く男の背に腕を回す
中を傷つけぬための香油すら要らぬとばかりに蝶の耳元で囁くは迅く、と 告げる声音は色を帯び、言葉の後にそっと耳朶を食んだ]
(196) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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おぼろサン、っていうのは分からないなァ… お茶、美味しいんだ? ならその琴の人と共にすれば、良いひと時を過ごせるんだろうね。
部屋に飾る花はキミが生けてさ。
[空気に乗せる言葉はただ夢言葉。ふよふよと甘泥な蜜に脚を付け、微温湯にこころをふやけさせる。 ――そこまで花を揃えるのは、大変そうではあるけど。 蝶方の聲を思い出すと、咽を鳴らす。
軈て続けられた唄には釣られるようにはにかみ笑い。 蝶はその翅を花頭に当てて、またもや手を滑らせた。]
チョコレート…?
[そうして手に入らなかったと悔やまれた庭花の事を、なにとか頭に埋まる知識で探しては見るけれど。花のことに疎い自分は到底分かるはずもなく。 「お腹が減りそうだね」――なんて。 そんな浪漫の欠片も無い事を、花へと告げ。
長閑な夜は、緩に過ぎて行く。*]
(197) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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何処が? 翅があって、花を買い、朝と共に消える。
―――…何処が違うってんだ、同じだろう。 お前の身体を過ぎていった、万人と皆同じよ。
[反芻する言葉は刃で返した。>>191 彼が苦悶に声を震わせるたび、男の笑みは深くなる。 見知らぬ男の方が体温高いという事実、肌に迫るという現実。 革越しの掌より、余程近いと言う、悲運。
彼の肌を愛でる度、心ごと抉るような言葉を吐く暴挙。 何一つ己と誰かが重ならずとも、素直な彼はきっと思い出す。 夜の向こうに揺らめく、夜蛾でない蝶の影を。
その様に、ちりりと蟀谷が焦げ付き、男は酷く興奮した。]
(198) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[熟れた身体を有するのに、彼の心は気高く真情を護ろうとする。 己の甘言から、たった一つ、庇おうとするのは、 花の勤めではなく、月の気紛れでなく、人の心なのだろう。
乾いた唇を舐めて濡らすと、ささやかな抵抗を封じるように、 手首に手を掛け、艶に誘われる侭、牀榻へと押し倒した。>>192 ギシ、と鳴る木製の悲鳴が、静かな牢に零れ落ちる。]
何が違う。お前さんは花よ、花。 好きよう買われ、夜を明かせば放られる花よ。
[笑う口元は彼から伺えまい。 彼の頭上に纏めて捕まえた両手に加圧を掛け、 拒絶を―――、耳を塞ぐ事すら許さない。]
(199) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[視界を奪い、自由を奪い、金子で購った月。 偽りの優しさと持ち前の毒で彼の心を暴いた後は、 まるで強姦染みた所作に切り替える。]
勘違いするんじゃねぇぞ、
[怯懦めいた色は、己の鼓膜を喜ばせ、また一時に慰撫を覚る。 泣きそうな声を撒き散らす彼に、熱くなる身体を自覚し、 とうとう、裾を払い、白い足を覗かせると開脚を強い。]
―――――お前さんじゃあ、花籠は壊せない。
[視界閉ざす帯ひとつ解けぬ無力を詰り、 男は密やかに咲いた淡月色を、灼けた楔で貫いた。*]
(200) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[転びて身を寄せ、髪を撫でる手に擽ったそうに笑いました>>195 摘まれる髪飾りの色は白。 何色にも染まり、しかして何色をも染めてしまう色でございます。 櫻の香は少しなりとも、彼を癒すことが出来たでしょうか。 見えた尖りも形を潜め、瞼も休まれているようです。
僕はそっと、ペティンガーの背中へと手を回しました。 細い指先は、水面揺らす金の魚と戯れる手ではございませんが
とん、とん、とん。
緩やかに、その背を撫でていたのでございます。]
(201) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[僕の唄は、愁いを帯びることもなく。 今ここにあるのは、宴に響く艶やかな音ばかりでしょうが。 それでも僕は唄いましょう。 翅を休めた蝶が、癒し、満たされ眠るまで。]
我侭な御方ですね? お茶にお琴にお花だなんて。
[いいのです、眸を背けて。 いいのです、何も聞かなくて。 撫でてくださる手に、僕は緩やかに微笑みました。]
ええ、ちょこれーと。 甘いものの中でも一番好きで。
[他愛もなく、記憶にも残らないような、そんな『夢物語』を唄いましょう。 微温湯のような、甘くて柔らかな声と温度で。 「食べちゃいけませんよ」───なんて。 話す頃には眠っていてくれたらと背を撫で続けたのでございます*]
(202) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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[見せる事の出来ない自身の背中が映っていただろう。それは、酷く、醜く。
深く接した所からくぐもった声>>196が漏れれば、もっと出せと舌を相手の舌に塗り込めて催促する。
呼応して背中に回る腕。眉を顰めて瞳に熱を灯す。 下半身へと伸びた手は、前戯も労わりも忘れてまだ慣らしてもいない小さな窄まりへと伸びる。疾くと、耳朶を刺激する感触が伝われば、その通りにズブズブと指を埋め込んだ。 中で二本指をバラバラに動かす。 血が出ても、泣いても、止まる事は無いだろう。 恐らくそれは、鏡に映った自身を見ながらの行為。]
痛かったら、泣いてもいい。
[唇から離れたくちから耳元で囁く声は、相反して優しく響いただろう。]
(203) 2014/09/19(Fri) 01時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 02時頃
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―牢を出た後―
[行為を済ませた後の倦怠感を引き摺りながら時計を見る。もうすぐ夜の盛りだ。 これを過ぎれば、後は。
考えるよりも先に向かっていたのは自力で見つけた花と蝶>>188>>190の元。
蝶であろう端麗な青年を組敷く様子はまるで]
よォ、邪魔するぜ。"蝶"。
[行為の最中であっただろうか。それとも事後のことであろうか。
どちらにせよ、返事を聞く前に蝶を組み敷く丁に歩み寄り、痛い程の力で顔だけ此方に向かせただろう。]
四日後に答えを聞くと言ったな。 –––––––やめだ。
今、嘘でもいい。 あの金で、いつか男を買うと……言え。
(204) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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[それは、花という立場で多くの男を相手にする丁への揶揄であり、同時に、これから地に落ちる己に対しての…ほんの少しの救いであり。
言葉を聞いたのなら、何とも言えない笑みを浮かべて何事も言わぬまま檻を後にするだろう。
組み敷かれた蝶には、心にも思っていない軽い謝罪と数枚の金を放り投げて。*]
(205) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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[どれ程自分を偽ろうと真似事したところで脳裏にこびり付いた月の気配は失せることはない。
虚飾は劔にて散り払われ、呆気なく地に伏していく。 思い描けと名を囀れと望む癖に暴く指は唇は声は似てもにつかない他人のもの。>>198
他人にその影を重ねる虚しさ。 名を呼び請うたところで姿を見られぬ現実。
叩きつけられた言葉はゆっくりと左胸に暗雲を移し、澱ませた。
心は氷水をかぶったように冷ややかなものだというのに。与えられる甘いまやかしに呼吸は熱を帯び始める。>>199
廊の時と同じくして、捉えられた腕と背に走る痛みに咽喉を突っ返させれば、加わる手の圧。そこに優しさなど感じず、己の身に起きるであろう遠くない未来に。]
──…た、…け
ピィン、と。 いつか聞いた雅楽の音と共に張り詰められた琴線が、ぷつりと。 途切れた音を揺すられるまま、聞いた*]
(206) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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―夜明け近く・館前―
[残り数本になった煙草に火を灯しながら、夢の終わりを告げる鐘の下を潜る。 ふぅ、と吐き出した煙の向こう側にいたのは豪奢で四角い、人を運ぶ箱。その傍らには厳つい背格好をした男がチラホラ。
此れで夢は終いらしい。 蝶は最後まで蝶らしく飛ぶ事は出来ないまま地に落ちる。]
お迎えご苦労さァん。
[あっけらかんとして述べた言葉はまぁるい煙と共に宙に消えた。
車に乗る少し前。 館を見上げる。
蝶は土に還って花になるが、花が蝶になるには如何するか。浮かんだのはそんな疑問。 しかし、彼奴は蒲公英である。綿毛を飛ばしてふわふわと、其処彼処に根差して手当たり次第に種を飛ばす。 –––––願わくば、その黄色の花が此処まで届くよう。*]
(207) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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――いいえ。泣きはしませぬよ。
[耳元で優しく響く貴方の声にこそ、泣きそうにはなるけれどと彼の囁く声にそう応える>>203 むしろ壊れる位に溺れさせてほしいと背に回した腕に力を込めた ふわりと薫る煙草の香り。それがつかの間、何もかも忘れさせて与えられる熱に揺蕩わせてくれるとばかりに
前戯など要らないと、はやくその熱さをと藤の花が花房震わせ冀う 鏡が映すは銀の蝶。その悲哀も奥に隠された優しさも何もかもと]
泣きたいのなら、貴方様こそ泣いて宜しいのですよ。シーシャ様。
[彼にそう告げれば口付け1つ やがて分け入ってきた灼熱に嬌声洩らし、煙の香りとその熱さに溺れたろう 夜は、更けてゆく――*]
(208) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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[パタン。 閉まった黒い扉からは、煙すらも燻らない。*]
(209) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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また今日も、男の狂気孕む声が落ちる。
暁訪れ夜は白み、夢の冷める時刻。
宵闇色の鬱蒼とした髪を垂らしたままに。
蝶の鱗粉ぞろりと舐めては飛び立つ背を見送るのだ。
(#1) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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どうぞ、またイラッシャイ。
(210) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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