153 unblest blood
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―嵐の前/1Fリビング―
[サイラス>>0:94に唸られ、そして言われたことには、少しだけ視線を下げ、暫く押し黙った。]
そりゃ、屋根の下にはありつける、けど―――、
[再びの沈黙ののち、けれど、また視線を上げた。]
だな。相方に傷は付けちゃいけない。 それに、曲を気に入ってくれた――グロリアさんに対しても失礼だったな。悪い。
[サイラスの指摘に対して、あまり多く頷きを返すことはしないままだったが。 それでも、これだけは、苦笑い気味ながら認めたのだった。 だから、「楽しみにしてる」という言葉>>0:95にも、微笑んでみせた。]
(1) 2013/12/03(Tue) 00時半頃
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[結局己からは何も問わなかったことをマドカは訊ね、それを受けて女が名乗るのが聞こえた>>90。 さっき己がごちた指摘が彼女に届いているか否かは、今ここでわざわざ探ったりはしなかったが――。]
人生の旅人、ジリヤ――か。 まるで詩人か作家みたいなことを言うんだな。
ああ、俺は、サミュエル・ウィグナ…――いや、サミーでいいわ。
[独り言では無く、ジリヤに直接向ける形で呟いたのち、 思い出したように、自分からも改めて名乗りを上げた。]
(2) 2013/12/03(Tue) 01時頃
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[新たな気配が近づいてくるのを感じた時、顔を向けた。 パッチワークのワンピース姿の女>>0:88の挨拶の言葉に、まず初めに、瞬いてしまった。]
―――…えっと、クラリッサ、さん、か。 俺は……まぁ、サミーでいいか。宜しくな。
[ほんの少しだけ間が空いたのは、少年らしく聞こえる言葉遣いに違和感を覚えたからだったが。 まさか男か、などと尋ねようとは流石にせず、ただ小さく笑みの形を返した。 それからクラリッサがグロリアへと抱擁交わす様を目にして、やはり瞬けど。 こちらは直ぐに、親友の類なのだろう、という想像がついた。]
(7) 2013/12/03(Tue) 01時頃
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[続いて姿を捉えられたのは黒服の男>>0:91。 グロリアに対する物腰が丁重に見えた所為で、些か自分が場違いな気さえふっと覚えたものの、敢えて何か零すことはしなかった。 この時は未だその銀糸の男の名は聞こえず、自分からも名乗りはしなかったのだけれど]
―――――…
[そのくちびるをグロリアの手の甲に寄せる様に、暫し目が止まる。 この時抱いた感情は、別にセレブリティに対する嫉妬でも、いい男(という風に、その仕草は目に映った)に対する嫉妬でもない、と自覚していた。 ただ、未だ口には出さぬ別のことを、思い出して――。]
(8) 2013/12/03(Tue) 01時頃
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―嵐の前、つづき―
[最後に捉えられた気配の主>>3から、掛かる挨拶の言葉。 グロリアに対して個別に礼をしなかったことに、自分でも礼を弁えている自信のないこの青年の方から文句を述べることは無かった、けれど]
フィリップ、さん……ね。 俺はサミー。宜しくな。
[と、そんな風にまた、自分からは個別に名を返していた。
やがてこちらの名乗りを聞いたクラリッサ>>12に対しても、この場でそれ以上の疑問の追及はせず、その返答を聞くのみに留まった。]
(17) 2013/12/03(Tue) 02時頃
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[本職は違うらしいということをジリヤ>>4から返されるも、更に問い質すことをしなかったのは、彼女が電話を借りに出ていく様子がうかがえたから。 特に彼女を引き留めることもなく、ただその場に留まって時を過ごす。 そのうちに自分の分の紅茶もスコーンも、全て喉の奥に収めてしまっていた。]
独り身の流浪も、悪くはないさ。
[サイラス>>13の呟きに、ぽつりと、幾らか低まった声で零しながら。 とはいえ、さっきニッと笑った彼>>11をまた唸らせようなどとは思わなかったから。 それ以上はやはり、口に出すことはしなかった。]
(18) 2013/12/03(Tue) 02時頃
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…………………
[口にこそ出さなかったが、サミュエルも「ダンピールの話」は知っていた。 単なる根も葉もないうわさ程度のもの、それに――。
少しずつ強さを増す風音を耳にしながら、今、そのことをふっと思い出し。 そして奇しくもこの場で、グロリアの口からも、件の噂を聞くこととなる。**]
(19) 2013/12/03(Tue) 02時頃
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―嵐の頃/リビング―
[穏やかな筈の夜にあって、内側を掻き乱すかのような波風。 これでは船を出すこともできまいと、青年もまた察していた。 そんな中、グロリアがふいにその噂>>#3を零したことに目を丸くしつつも。 「落ち着け」だなんて声を掛ける前に、彼女自ら場を辞する旨>>#4が聞こえた。]
ああ、行ってら。
[クラリッサやマドカ、シーシャ――少し前に、漸くその名を聞けた>>28――より後に、ぼそりと声を掛け。 席を立つこともせずに、ただグロリアの背を見送った。
戻ってきたジリヤ>>10が電話のことを告げれば軽く瞬くも クラリッサから事の説明が為されれば、此方からはただ静かに頷くのみ。]
(40) 2013/12/03(Tue) 21時半頃
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[あの時受けたマドカ>>21の視線には、上辺だけの緩さとはまた違う何かがあったように思われた。 そんな彼女に対し、ほんの少し心持ちは緩んでいた。 けれどこの時彼女>>26>>27が告げた言葉、その口許に浮かんでみえた冷めた色を見て]
この中にダンピールがいたら、か。 …………
[冗談だろうとも、実際に如何するとも答えぬまま、努めて表情を無にする。 クラリッサの内心やフィリップ>>37の呟きがもし聞き拾えていたとしても、表情を歪めようとはしなかっただろう。 そんな無表情は、マドカの緩い笑顔が戻ってきてからも変わらず。 彼女がキッチンへ向かうのを、見送るともなく見送った。]
(41) 2013/12/03(Tue) 21時半頃
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[その場に残っていた面々の姿を、それぞれ一瞥しつつ――。 無表情のまま、ふっと、席を立った。]
ちと、グロリアさんの見舞い行ってくる。
………ああ、ワイン、俺の分は無くてもいいから。
[別に誰からも訊かれていないことをつい付け加えつつ。 壁に立てかけたギターケースを再び手に取り、大股で扉の方へ。]
それと、ジリヤさん。 サニーはここには居ない。俺は「サミー」だっての。
[あの時>>4指摘しそびれていた呼び名の間違い。 入り口近くに居たジリヤ>>20に向けてぽつりと零してから、廊下へと去っていく。]
(42) 2013/12/03(Tue) 21時半頃
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―→1F/グロリアの私室前―
[見舞いに行くとは行ったものの、今のグロリアに対して何を、何から話すべきか。 彼女の知己と呼べるだけの身ではない青年は、扉の前で一度立ち止まった。]
歌で気を紛らわせて……なんてのも、できないか。
[今は未だ、ノックをする気配も、ギターケースを開ける気配も、無い。**]
(43) 2013/12/03(Tue) 22時頃
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―→1F/グロリアの部屋前―
[リビングを去る時、シーシャ>>45が掛けてきた言葉には妙な間を感じたものの、それが揶揄の言葉を呑み込んだ結果だとは知る由も無く。 その後フィリップが巡らせていた思考も覚りなどできず。 故に、彼らに真っ赤な顔でギターケースを振り回す真似はせずに済んだというもの。
クラリッサ>>62から宜しくを頼まれた時には、ああ、と小さく頷きをひとつ返した。 ぴくりと示した反応まで目に留めた訳では無かったが――。 親しい者を差し置いて(それも、男が!)見舞いに行くという事実は意識していた。 だからこの頷きは、一応の信用を求める心算のものでもあった。
――こうして今、リビングの賑わいから外れ、独りでいる。]
――――…、面倒だなんて、言ってもられないさ。
[答え返すべき者が居ない場で、独り言のように零す言葉。]
(76) 2013/12/03(Tue) 23時半頃
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[あの時の、去り際のジリヤ>>71の返答に、グロリアやダンピールの件とは全く別種の懸念を感じないではなかったが――。 思い違いを現実に耳にすることもなければ、彼女の為に今ここで引き返すことも無かった。]
(80) 2013/12/03(Tue) 23時半頃
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サミュエルは、マドカのスコーンの感触を思い出した。酒盛りの賑わいを未だ知らぬまま――。
2013/12/03(Tue) 23時半頃
サミュエルは、マドカに話の続きを促した。
2013/12/03(Tue) 23時半頃
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―1F/グロリアの部屋―
[暫く立ち止まっていた青年は、思い切ったように、扉をノックした。]
グロリアさん。 入っても、いいかい。
[唸りを上げる風雨が、部屋の奥からの声音を聞き取りにくくする。 彼女から是非が返ってきたか、何も返ってこなかったか――何れであっても。 扉に手を掛ければ、鍵も掛からぬそれはあっさりと開いた。 まるで祈るような姿勢で、顔に不安滲ませている彼女>>#5の姿を目の当たりにし、また掛ける言葉に悩んだのだけれど。]
………悪い、勝手して。 ただ、ちと、あんたを放っておけなかった。 何ていうべきか――その。
(87) 2013/12/04(Wed) 00時頃
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[あの日>>0:83、己の近くまで来て賞賛を伝えてきたグロリア。 それは無邪気とさえ思える程に、「同類」への親しみを感じさせる姿に見えた。 普段それ程「同類」と距離を詰めていなかったこの青年が感じたのは、嬉しさというより、かえって怖れにも近いもので――。
ふっとグロリアの片手を取り、くちびるを寄せた――触れさせた。 その後どんな騒ぎになったかならなかったかは、ここでは敢えて語らない。
その時のグロリアの出で立ちも、気品に満ちた外出着。 傍目から見ればきっと、作法に疎い小僧が無理をして、紳士の振る舞いを真似たようにも見えたかもしれないが。]
(88) 2013/12/04(Wed) 00時頃
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ダンピールなんて、ここに居るか居ないか判らないんだ。
(まだ)
だからさ、あんまり不安になり過ぎないで欲しい。
(居るか居ないか、俺がはっきり見定めてやるから)
[あの時くちびるで感じ取った、柔らかな白い手の感触。 そこから伝ってきたものは、紛れも無く――。]
……なんて言っても、そう簡単にはいかないよな。 悪い。邪魔した、よな……。
[こうして結局、サミュエルはグロリアの部屋を後にした。]
(95) 2013/12/04(Wed) 00時頃
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―グロリアの私室→―
あと……クラリッサさんが宜しくって。
あの女性(ひと)も皆も、あんたのこと、心配してると思うし。 ほら、ひとりじゃないって、シーシャさんも言ってただろ。
調子が戻ったら、何時でも顔出してくれ。
[最後にそう言い残してから、そっと部屋の扉を閉じ。 扉を背に、小さく溜息を吐いた。]
親しいからと言って――。
[ひとりきり、黒い瞳には陰が落ちるも。 ギターケースを背負い直し、廊下を歩く頃には、その顔も取り繕っていた。]
(99) 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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―→1F応接室―
[思い出すのはくちづけの味、思い出せぬはスコーンの味。 思い出せぬ以前に「味が判らない」などとは言い出せなかった。 ワインを求めなかった理由も、結局はその所為で――。]
今頃は宴会ってところだろうな。 とりあえず戻るか。マドカには何も言わずに行っちまったし――。
[足はそのままリビングに向けた心算だったが、如何せん慣れぬ場所。 夜の闇もあって薄暗さ帯びて感じられる廊下を歩くうち、 目的の場所とは違う部屋に辿り着いてしまっていた。]
…………ん、
[扉の奥からは、酒気を微かに感じた。 そっと扉を開いた先にジリヤ>>96の姿を認めるも。 先程の呼び間違いのことが、ふっと頭を過る。]
(104) 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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……こんなところに一人で、如何した?
[きぃ、と。応接室の扉が開く音を立てて。 一人の時間に浸っているようにも見えるジリヤ>>101の方を向き、先ずはそう声を上げた。]
(107) 2013/12/04(Wed) 00時半頃
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―1F応接室―
[ジリヤ>>110の視線は此方には向かなかった。 何か>>108を口ずさんでいるのがきちんと聞き取れたならば、それこそ本物の詩人に出会った想いにもなっただろうが――。]
生憎、可憐なレディの作法なんて判らないし。 ――なんとなくっていうのなら、まあ、そうなんだろうけど。
[それから「皆さん」とジリヤが言うのに、忘れていたことを思い出したように瞬いた。 彼女に対して――正確には、彼女に対して「も」――為さねばと思うことはあれど、今それを無理に為そうとはしなかった。]
じゃあ、俺はリビングに戻るさ。 邪魔して悪かったな。 ――イリヤさん。
[わざと間違った名前を呼び、けれど返答を待たずに廊下へと。]
(115) 2013/12/04(Wed) 01時頃
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―応接室→リビング―
[嫌味だという言葉>>120には何も返さなかった――つまり、一切否定しなかった。 最後に呼んだ名前も、いわば他愛ない仕返しに等しいもの。
だからこの男は、言い捨てるだけ言い捨てて、後は振り返らずに去っていった。 ――最後の言葉でジリヤが漸く振り向いたことに、気付かぬまま。]
(123) 2013/12/04(Wed) 01時半頃
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[それから道を思い出し、気配の在り処を探るような形で、漸くリビングに戻ってきた。]
ただいま、っと。 随分と盛り上がってるみたいだな。
[酒気におつまみの匂いが加わった場は、ダンピールの噂もまるで無かったかと思える程の空気。 これはグロリアの様子を語るより前に、呑まされるが先やも、とぼんやり思いつつ――。 ギターケースを椅子の一つの傍に置き、その椅子に腰を下ろした。**]
(124) 2013/12/04(Wed) 01時半頃
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―リビング―
[案の定、グラスを握らされた>>129。 積極的に呑む心算が無かった所為で、サイラスの誘いには即座には頷かなかった。 それでも、口角を上げてみせた。]
ああ、頂くさ。 グロリアさんの処のなら、きっと上質な、良い味だろうな――。
っと、注いでくれるかい。
[手に持ったグラスを前に差し出した。 その歳で酒など……という咎めも国によってはあるのだろうが、人ならぬ年月を過ごす身ということもあり、そういったことは然程気にしていなかった。]
(143) 2013/12/04(Wed) 21時頃
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グロリアさん、な。 会えたは会えたんだが……思ってた以上に、キツそうなんだ。
[シーシャ>>130からの尋ねにそう答え、それから、目を伏せた。]
あのひとのあんな不安な顔見たの、初めてっつか。 なのに、何もできなかったっつか……、
[小さく唸って、表情を隠すように顔を背け―― 再び顔を上げた頃にはもうポーカーフェイスを形作っていた。]
とにかく、今は酒だ、酒。 遅ればせながら、俺も参席させて頂きますよっと。
(144) 2013/12/04(Wed) 21時頃
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[リビングの中に運ばれていたワゴンへと視線が行った時。 丁度クラリッサ>>132がおつまみに手を付けている様も目に映れば、腹の虫こそ鳴らないものの、自然と関心はそちらに向いた。]
マドカさんかな、作ってくれたの。 じゃあ、こちらも有難く頂いておくさ。
[ここで彼女の名を出したのは、キッチンに向かっていた姿を思いだしての推測から。 一度ワゴンの方まで足を伸ばし、カナッペを一つ手に取った。]
(145) 2013/12/04(Wed) 21時頃
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[フィリップ>>142が手を伸ばしていたボトルはジュースのようにも見える。 その選択が嗜好故か、体質故か、それとも別の理由か。そこまでは知れなかったが――]
…………見かけによらず、ガキなんだな。
[何処となくそうした印象を抱いてしまったことには変わりなく。 不躾な感想を零しながら、己の席に着いた。]
(146) 2013/12/04(Wed) 21時頃
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[己の舌で味を知れないなりに、口に含んだものの感触や香りを確かめ、喉に通していく。
こうして幾らかグラスを傾けた頃に席を立ち、座っていた椅子を入口扉の方へ引き寄せた。 それからギターケースの許に戻り、持ち上げた。]
――なあ、サイラスさん。 此処でも良かったら、聴いていってくれるかい。
[指先や喉に都合の良い温かい部屋に留まったまま。 扉側に椅子を移したのは、歌曲で周囲の会話を妨げぬ為。 そして少しでも、グロリアの部屋に音が届きやすくしようとした故。 先ずは誘いの言葉だけを、時計屋の男に向けて投げかける。**]
(147) 2013/12/04(Wed) 21時頃
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[おつまみを勧めてきた時のクラリッサ>>157の笑顔は屈託なくも見えた気がした。 けれどグロリアの様子について、彼女の耳にも届いていただろうかと思えば、慰めやら何やらの言葉が頭の中を過り、けれど言葉に迷い――。 ふっと「もし」の可能性が過り、口を閉ざした。]
………………
[確かめねば。その心は全ての者に向けるべきものであれど。 この時、その思いは、グロリアと親しい男言葉の女へと少し強く向いていた。]
本当に、良い風味だな。
[先ずはそう、小さな笑みを作ってカナッペの感想を残してから。 パッチワークの頭巾を、その下の豊かな髪を。 さらにその下のしろい肌を、黒い瞳の視線だけで追った。]
(166) 2013/12/04(Wed) 23時頃
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言われなくても解ってるさ、――。
[クラリッサに視線を向けながら、冷やかすような言葉>>160にしれっと答えた。 彼女が首を振る姿もちらと捉えられたが、この時胸に留まったのは微かな違和感だけで。 特に何を問うでもないまま、今一度飲み下した酒の量を思い返した。]
それよりもさ。フィリップこそ、大丈夫か?
[ギターケースを持ったままの男は、口許に手を当てる彼>>162に、直接助けの手は差し伸べずに疑問符を向けた。 先程の悪口が彼に届いていたか否かは、とりあえず、考えずに。]
(168) 2013/12/04(Wed) 23時半頃
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サミュエルは、>>168あまりにも大丈夫そうに見え無かった所為か、つい敬称を飛ばしていた。
2013/12/04(Wed) 23時半頃
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[笑みのないシーシャ>>163からの言葉に、すぐに返す言葉は無かった。 見舞いして、という指摘にだって、素直には顔を上げられなかった。 そんなサミュエルは、シーシャの一瞬の目線の変化には気づかなかった。]
…………シーシャさん。 何というか、その。ありがとう、な。
[ぽつりと礼を零したのは大分間が空いてからのこと。 掛けた言葉が、努めて明るくした声色だったのだろうとは感じられたから。 そのことについてだけは、と思っての返答だった。]
あんな噂が無かったら。 嘘だって言い切れるなら、いいんだが――…
(179) 2013/12/04(Wed) 23時半頃
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―リビング―
[流石、とクラリッサが言うのを聞きながら>>170、 後でそのマドカに礼を述べておこうと胸の内に留める。 後で――というのは、いま、違うことに意識が寄っていた為に。]
……いや、別に。
[首を傾げて微笑んでみせたクラリッサは、何処かそれまでの彼女と違って見えた。 深い付き合いがある訳でなくとも、なんとなく、そう感じられた。 そのことが、それまでギターケースを持ったままその場から動かなかった青年の脚を、漸く動かすこととなる。]
あの、さ。
[そうして、また何時もの笑みに戻った彼女>>176へと、距離を詰め]
(183) 2013/12/05(Thu) 00時頃
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悪い。さっきの、嘘。
ちと、呑みすぎてた。
[身を屈める。黒い瞳は半ば伏せられる。 そうして、水のグラスを手にしたクラリッサへと顔を寄せ。 彼女の左目の上の肌に、くちびるを近づけた。]
(185) 2013/12/05(Thu) 00時頃
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