25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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な――、 ん
[言葉にならぬ、とはこのことか。 りん、と鈴が小さく鳴る。]
…人狼病は…駆逐されたのでは なかったのか…?
[遠い遠い、昔の“おそろしいやまい” その程度の認識しか、なかった。 混乱の滲む空気が場に満ちる。 ――“白き鳥は、 混沌の最中贄の如く翼を捥がれて死す” 重なった、己の舞う物語のひとつ。 奇妙な予感として、裡を満たし、冷やした。]
(394) 2010/08/06(Fri) 01時頃
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…、――主を、亡くした…?
[歪む赤。 其れを見て――漸く、 目隠しの理由が分かった、気がした。 飛び散った緋色が、此れは現実だと まざまざと見せ付けてくる。
白い手、握り締めなお白く。
表情は出来うる限り押さえようとして うまくいっていたかどうかは、分からない。 何処かで、がたりと椅子が鳴る音がした。]
(411) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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[華月の呟きは、よく聞き取れなかった。 意識が、彼の声の方に向いていたせいで]
抹殺…、 …
[眩暈がするようだった。眉を寄せる。]
選択の余地などない…、 死にたくなければ探せと、謂う か。
(429) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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呉服問屋 藤之助は、“豚”の連れ去られた方を見た。睨むように。
2010/08/06(Fri) 02時頃
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[視線を戻し、イアンを見る眼は、 矢張り睨むようではある。]
――、… …謂いたいことは、分かった。 だが、納得など……
[見るのは、
個と個を求めた主と 蝶――華月。]
(441) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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――、…
[――華月は離れる。其方を一度見遣ってから 鵠は忠臣のように主の傍を離れない。]
…――、分かっている。
[イアンへ答える声は、常より少し低い。]
……分かっているとも。
[自分に言い聞かせるようだった。]
(449) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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――、た 、――…主様
[謂いかけて、謂い直す。 口慣れない言葉。]
…、……――
[ほんの僅か、憂いが見えて躊躇う。]
…――主様が 、 …仰るのであれば……
[そうして、虎鉄と、華月の方を、見て]
(459) 2010/08/06(Fri) 02時半頃
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呉服問屋 藤之助は、虎鉄が倒れるのをが視界に入り 足を其方に向け
2010/08/06(Fri) 02時半頃
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…、華月、
[まず、苔色に声をかけそれから 虎鉄の方へ。彼を助け起こそうとする 本郷の表情を見て怪訝そうに]
…本郷様、…? どうか、されましたか。
[謂って、手を貸そうとした手。 あまりに冷たくて、言葉を失う。]
(468) 2010/08/06(Fri) 02時半頃
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呉服問屋 藤之助は、懐刀 朧が本郷へ向けた言葉には、少し、眼を丸くした。
2010/08/06(Fri) 02時半頃
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[華月が虎鉄へと駆け寄る、 その手が伸びるならば、自分の手は退いてしまう。 本郷へは視線を合わせて頷いた。]
…一体、 ……どうなって…こんな。
[手に残る、冷たい冷たい感覚。 華月も気づくだろう、視線を交わす。 俯けば――りん、と鈴が鳴った。 ――高嶺の、主の方へと視線を向ける。 朧と霞、重なれば月を思わせるふたりが在る。
言葉かけるもためらわれ 虎鉄を休ませることができる場所へ運ぼうとするか。
*強く握りすぎて、白くなった手はさながら鳥の羽のようで*]
(495) 2010/08/06(Fri) 03時半頃
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―大広間→部屋へ>>516― ――――…、はい
[高嶺の言葉に、 できうる限りしっかりした声で 答えようと努めた。]
た、…… …主様が願うのでありましたら。
[華月の方を―――気遣わしげな色も含め、見る。 彼が、特に反対しなければ 高嶺の部屋へと運ぼうと謂う。
先程触れた 生者にあり得ない冷たさが―――染み入り、体を凍てつかせそうになる。 幻視する、翼もがれる贄の鳥。 首を横に振れば鈴が鳴り。
―――りん]
(525) 2010/08/06(Fri) 09時頃
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呉服問屋 藤之助は、記者 イアンの、現状の説明を反芻して唇を噛み―――
2010/08/06(Fri) 09時頃
呉服問屋 藤之助は、執事見習い ロビンと法泉の会話などはざわめきの中、聞き取れもしなかったろう。
2010/08/06(Fri) 09時頃
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―大広間→高嶺の部屋へ>>553―
……、… では、高嶺様…?
[戻した、が。 そういう問題ではないのだろうか。 自分の体温を確かめるように手を握りしめた。]
――、…
[高嶺の視線に気づけば]
どう、か されましたか
[喉に声が少し引っかかって掠れた。 自分で驚いたか、喉元に手を触れて 申し訳ありません、と詫びる]
(558) 2010/08/06(Fri) 11時頃
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―→高嶺の部屋へ― [瞬いた。そうか。そう、なるのだ、と。 高嶺の見せた笑みが「面の皮が厚い」という 本郷の言葉や印象を覆すもので、 暫し主を見つめたままになった]
… 失礼を、いたしました。 …――朧、さま。
[ごく丁寧に、なぞるように名前を呼ぶ。 続く言葉には、一度唇を引き結んで]
…… ――恐れは あります
[小さな声だった。 黒檀のひとみと、それから苔色のひとみを見て 少しうつむく。]
(570) 2010/08/06(Fri) 12時頃
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―→高嶺の部屋へ―
[高嶺の部屋に辿りつけば 虎鉄は寝かしつけられるだろう。 館の空気は重い。 恐れ、にかかる語りは、もう一つ。]
白い鳥の舞に纏わる…… “生贄”の話を思い出したのもあります。
[首をまた横に振った。 小さく――鈴が鳴る。]
(575) 2010/08/06(Fri) 12時頃
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呉服問屋 藤之助は、否、ただの――ものがたりだ、とも呟いた。
2010/08/06(Fri) 12時頃
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―高嶺の部屋―
[華月はどう、していたろう。 鵠は あの告白と傷を見ても距離は変わらず、寧ろ――]
分からない、…です、か。
[高嶺を見て、ゆるやかに瞬く。 きつく眼を閉じる主へ、 気遣わしげな視線を向ける。]
感情が付いてこないことも、ある。
[それから、促されるまま、口にしたのは]
(584) 2010/08/06(Fri) 12時半頃
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…私の 舞う 白き鳥の舞 あれは生贄の舞であるとも謂われているのです。
染まらぬ白き鳥は悪意を受け止めやすい。 混沌極まれば、羽をもがれて落とされる。 渦中に己が居なくても、 物語に擬えて、奪われる。
そんな、……話が。
[――小さく息を吐いた]
伝承です、…もう、随分と古い。 どうして急に、思い出したのだか。
(585) 2010/08/06(Fri) 12時半頃
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―高嶺の部屋― [――華月は、己が話すときはいつも黙る。 そうして、笑んでいる。今は?]
…――?
[不思議そうに呟く高嶺に ほんの少し、首を傾ぐ。]
そう、ですね。悪いことでは、…ない
[幽霊の正体見たり枯れ尾花――ともいう。 尤も此度、相手は“人狼病”だから 枯れ尾花とはいかないが。 伝承を語り終え気づく。 知らず手を握り締めていたらしい。]
…、…はい、そう ですね。 申し訳ありません、…つまらない 話を。
(599) 2010/08/06(Fri) 13時頃
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―高嶺の部屋― …、――
[華月の言葉に机を見た。 自分の喉元に触れる。 少し掠れていた自分の声。
できれば欲しい、と 小さく頷いた]
(602) 2010/08/06(Fri) 13時半頃
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―高嶺の部屋―
[贄の話をしたときに、ほんの少し、華月は反応した。 何を思うてだろうか。聞こうとして、結局聞けない。]
…、―― そうならば よいのですが。
[>>607やはり少し申し訳なさそうに答え。 背に触れる華月の手には彼の方を流し見た。
ふと、高嶺から躊躇いがちに伸ばされた手を 紫苑色の双眸が追う。ひとつ、瞬いた。 拒むことはなく]
朧様… …?
[少し、眼を丸くした。 ふわりと、茶の良い香りが漂う中。]
(612) 2010/08/06(Fri) 13時半頃
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―高嶺の部屋― [華月に伸びる手も、目で追い 触れられた当たりの髪に自分で触れて 苔色と顔を見あわせたりも、したか。]
…然様、ですか。
[慣れないせいか何とはなしに気恥ずかしい。 黒檀を見つめ、紫苑色は瞬く。]
…――はい。
[命令を受け止める表情は真摯。 肯けば、鈴もまた鳴る。 ありがとう、と華月にひとこと礼を謂ってから、茶器を手にした。]
(630) 2010/08/06(Fri) 14時半頃
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―高嶺の部屋― [顔を見合わすタイミングが合って、 華月の笑う顔に紫苑色を細める。 穏やかな常の笑み。それが崩れたのを見たのは僅か。 窓際での―― ふと、指先で己の唇の端に触れた。]
…―― …え。
[高嶺の言葉に、瞬きをひとつ。]
楽しそう――ですか?
[楽しいことを、したろうか。 憂いを滲ませて、紙細工の蓮の花を手にした主。 華月を見る。]
(643) 2010/08/06(Fri) 15時頃
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―高嶺の部屋― ……うるさいぞ。
[漫才できぬと謂われ不機嫌そうに眉を寄せた。 楽しい、の意味合いが何か分からず鵠は首を撚りつつも]
否。…理由を伺えたのは、…良かったかと。
[窓の外を仰ぐ主に倣い見る月は丸い。 霞月夜は月満るたび、逢えるのを楽しみに している人がいたと、言っていたのをふと思い出す。]
(657) 2010/08/06(Fri) 15時半頃
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はい、
[呼ばれ、続いた言葉は、謂わばお叱りであり]
…――、…
[む、と唇を引結ぶ]
…申し訳 ございません。 以後、そのようなことがないように――
[煽るような眼に見えたから、 従う花の顔で、そう答え―― 主の去った後、悔しそうな顔をした。]
(658) 2010/08/06(Fri) 15時半頃
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呉服問屋 藤之助は、懐刀 朧の指摘を反芻して、結び方の何が悪かったかをちょっと考えているようだ。
2010/08/06(Fri) 15時半頃
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―高嶺の部屋―
…――、…不覚だ。
[悔しそうな顔で呟いた。 ふと、言葉が止まるのに鵠は華月へ顔を向ける。]
…――、…
[ぎこちなくそれる苔色。 紫苑色はそれを、見つめたまま]
……蓮茶 だと思う。 食堂で頼んでいたのはそれだった。
(671) 2010/08/06(Fri) 16時頃
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―高嶺の部屋―
…… それは、勿論。
[戻ってきた視線。 うまく言葉は探せない。]
――…どうする、か。 決めては、居ないけれど――
…添い寝、…――?
[思わず、動きを止めた。 苔色の変化に気づけたか、どうか。 紫苑色が少しだけ、見開かれる。 煽られた、思惑通り、だろうか。]
(693) 2010/08/06(Fri) 17時頃
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は、…勝手に、…すれば ――
[眼を逸らし、言いかけて、止まる。 眉を寄せ唇を噛んだ。
不意に鳴る――りん、と鈴の音 それは華月へ近づいた音]
――、…
[伸ばした手。 触れられるならそのまま、 宴の前の、あの一瞬のように 叶うなら掠めるように 唇の端に唇を 触れさせる。]
(695) 2010/08/06(Fri) 17時頃
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呉服問屋 藤之助は、ほんとうに、それは。触れるだけの、拙いもので。
2010/08/06(Fri) 17時頃
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―高嶺の部屋―
[ほんの僅か、煽られて衝動的に触れた。 それは深い口付けに変わり、 見開いた眼が閉じられる。]
――、 … は、
[至近距離、薄く開いた視界に 間近に苔色が映った。]
贄、に……、…?
[緩やかにひとつ、瞬く。 蝶は、火に飛び込まない。 蝶に、染まれば――]
(702) 2010/08/06(Fri) 18時頃
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…、――…かげつ、…
[少しだけ戸惑って差し出された手と 苔色の眸を 見]
…――、…己 、は。
[躊躇いがちに、 けれども確かに自分の意志で
華月の手を取った。]
(703) 2010/08/06(Fri) 18時半頃
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[>>705淡い、儚い微笑みに、胸の痛むような感覚を覚える。]
……――ん
[こういうとき、 うまく言葉が紡げない。 すました顔も続けられない。
華月の指先も声も唇も、 なにもかもがひどくやさしくて、何故だか涙滲む。 白い手で蝶の頭をかき抱き、 押さえた声で、甘く、啼いて。]
…――っ、 …!
[染められた白は 月に照らされて、隠されていた艶を見せようか―――]
(709) 2010/08/06(Fri) 19時頃
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[――――りん、と。
鈴が鳴る。
重なるように名前を*呼んだ*]
(710) 2010/08/06(Fri) 19時頃
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― 一室 ―
…ん――――
[乱れた黒髪が肩から落ちる。 ぼう、とまだ少し濡れた紫苑色が月の光を映した。]
…華月…
[少し掠れた声、 首元に指を添えた。
――――ふたりでできる手妻。 それはとても、]
…嗚呼、 ……佳いな……
[まどろみの中で答えた、 もう一度繰り返す。]
(806) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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[着衣を正して、 残る痕にそうっと指で触れた。 長く息を吐く。]
……―――― 行かないと
[――――りん。鈴が鳴る。]
(809) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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