162 絶望と後悔と懺悔と
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―孤児院・勝手口方面―
…………
[ひゅうひゅうと鳴るのは何の音だろうか。 視界いっぱいに『紅』が拡がる。
顔面を濡らすのは雨ではない。 身を照らすのは明かりではない。
零瑠を庇う隊員にぶつかったのは、『妹』の様に懐いていた子の、お歌を頑張ると言ってくれた子の――――頭部。]
(13) 2014/02/08(Sat) 00時頃
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[咄嗟に刃で振り落とされたそれを、苦々しい表情で見た隊員は悲鳴の方へと駆け出していく。>>7]
………は
[紅に染まる五指を伸ばす。 無事であることを願ったのに。
焔の弾く音を最後に、薄く微笑み浮かべて零瑠は意識を手離した。]
(22) 2014/02/08(Sat) 00時半頃
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[孤児院に於ける最後の記憶は、何であったか。
全焼した孤児院の、零瑠が使っていた部屋では燃えずに残った鶯笛が見付かった事だろう。竹とんぼを作ろうと小刀を振るっていたキャロライナの、その指先に刃が滑り血が溢れたのを見て零瑠は顔を青ざめた。怪我の具合を尋ねようとして、結局は後ろに倒れたのだが。>>0:286
安全な小刀の使い方と称して鶯笛を作り、交換したものだ。
誕生日祝いの礼にと考えていた品物も。他の思い出の品も。ぜんぶぜんぶ、燃えてしまった。
燃えずに残ったのは記憶と想いだけ。**]
(44) 2014/02/08(Sat) 01時頃
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―7年前―
[その日は雨が降っていた。大きめの傘は子供2人を充分に守ってくれていた。年上だからと零瑠は柄を持ち、もう一方の手で明之進の手を繋ぐ。道端で踞っていたガレージを見付けたのは10分程前。温もりを分けた手はもう冷たくはない。]
明。今日はどこに行ってたの?
[一人でどこかに行ったら危ないじゃないか、とか。傘を持っていけと『お母さん』に言われなかったか、とか。 叱責の言葉を飲み込んでただ明之進の手を握る。]
(74) 2014/02/08(Sat) 01時半頃
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……あ、れ
[孤児院の建物の前、側溝へ流れ落ちる川は幾つもの細い色糸を巡らせたようで。雨雲の隙間から漏れる陽光が、建物の灯りが水に反射して生まれるその色は同系統の、紅。>>0:36
零瑠の手から傘が離れる。 ぱしゃりと跳ねた水が服を汚す。 明之進の手を握ったまま、零瑠は倒れた。**]
(75) 2014/02/08(Sat) 01時半頃
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―7年前―
『れいる』の『れい』は、0なんだ。
ゼロ。
何もないの。空っぽ。 ……面白いと思わない? 何もないのに在るんだよ。何もないですよーってことをあらわす言葉が。
[厳密には零(ぜろ)と零(れい)は異なるが、好んでこの漢字を自分の名前にと選んだ。]
それと、雨が、ふる。零れる、とか……。
『餘雨なり、雨に従ひ、令を聲とす。』――――だなんて、言うけど。
あ、ごめん。話し過ぎた。じゃあ、そろそろ書こ。墨の準備は出来た?
[名前に使われる漢字について、尋ねられれば誰にでも同じ言葉を返す。>>0:257
都に降る雨の、零の宝石――。]
(76) 2014/02/08(Sat) 01時半頃
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まどかー。書けてるー? ……そう、2画目は跳ねないと。一番始めに筆を置いたところに向かって。 漢字は『円』なのに、字体までまん丸くなくて良いだなんて面白いよね。
涼は……どれどれ。 あ、点がひとつ多い。これはさんずいで――…
[この場に居る年長は自分だからと、ある程度漢字の手習いが終わると筆を休めて見回る。]
―――あや?
[遠くで眺めているだけのあやに気付き、声をかけて手招いた。>>0:268 聞けば漢字が在るのが羨ましいと。]
(77) 2014/02/08(Sat) 01時半頃
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[すぐに思い付いたのは『絢』。 けれど一文字だけでは何か物足りないと、墨の黒に視線を落として誰かの髪色を思い出した。 細筆に墨をつけ直し、紙の上に滑らせる。
――――『絢矢』]
…どうかな?
[難しい漢字を使ってしまったと書いてから気付いた。恐る恐る様子を伺えば、紅葉色に染まる頬が丸く上がり、幼さの残る微笑みが返ってくる。
決して大きいとは言えぬ手を頭に乗せて撫でる。零瑠もまた、笑みを浮かべた。**]
(78) 2014/02/08(Sat) 02時頃
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―数年前―
[孤児院では月に1度お菓子を作る。そうして、帝都の彼方此方に売りに行き、生活費用の足しにしているのだ。
ある日、腰を痛めた寮母の代わりに豆屋で買い物をした帰りのことだった。ずっしりと重い袋を両手で抱え、零瑠は大通りを歩いていた。同伴を頼んだ家族達の両手も荷物で塞がっている。 口数は自然と少なくなり、視線は下がってしまう。
だから、誰かにぶつかる事を防げなかった。ハイムゼート家の長男と知ったのは随分と後になっての事。 衝撃に手を離し、羊羮用の小豆が地面に撒かれる。安吾から譲り受けた学生帽子もまた落ちて砂がついた。 彼は尻餅着いて呆然としている零瑠に微笑みを向け、拾い上げた学生帽を叩いて頭に乗せてやる。
注意を促しその場を去ったが、2倍の量の小豆が孤児院に運ばれてきたのはその日の夜の事だった。**]
(80) 2014/02/08(Sat) 02時頃
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― ゆめ ―
『――――。』
[穏やかな声で名を呼ばれ、男児は目を開けた。顔を上げて姿勢を正す。訪れを待つ間にうたた寝してしまったようで、濡れた口許を慌てて拭う。
畳上に白い布が敷かれ、次々と反物が運ばれてくる。人の出入りが多い中、男性と男児だけが並んで正座して居た。机に面した男性の手元では、硯と刷り合わされ水に溶けた墨が海に流れていく。]
『準備が出来ました。では―――どうぞ』
[女の声に促され、男児は1つの色を選ぶ。 初めは赤みの紫。]
『あゐかちたるをききやうといふ、赤みかちたるを、あやめと、となふ』
[細筆がゆっくりと半紙の上を滑り、2文字を顕す。―――『菖蒲』。]
(204) 2014/02/08(Sat) 21時半頃
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[僕の目の色に似ている。そう呟いて次に差した色は、暗い青味の緑。]
『したそめをこんにてそめて。うへにかりやすにて五六ぺん程つけ。右とくさのごとくに染申候』
[読めるかと問われても『天鵞絨』は読めずに首を傾げる。 男性の指の先に、暗い灰味の緑。 あれの方が似ていると『革色』を綴る。
『黒橡』『蜜柑色』『紺鼠』――…
色の漢字を書いた紙が部屋に散らされていく。**]
(206) 2014/02/08(Sat) 21時半頃
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―孤児院のある日―
[帝都の中央を覆う空は鈍色。何れ来るだろうと思っていた雨雲は予想よりも早い。>>151]
あぁ……しずかに、降っているなぁ。 リッキィ。洗濯物仕舞うの、手伝ってくれる?
[頭に手を置き、軽く撫でて訊ねる。 首を振るような子ではないと思っていても、頷いて欲しくて。 文字はそれから、と文鎮で紙を留めた。]
きぼう……。リッキィは、何かお願い事があるかい?
『ねがい』を二つ重ねて『希望』ができる。ただ望むだけでは足りないんだよ、きっと。
[書き順を覚えられるように、紙と筆が立てる音は雨音よりも静か。書き終わると表情を緩ませ、リカルダが覚えるまで、何度でも何度でも『希望』の文字を書き綴る。 髪に残っていた雨粒がぽたり、1枚の紙に落ちて墨を滲ませた。
『きぼう』の漢字を書いた紙が部屋に散らされていく。**]
(207) 2014/02/08(Sat) 21時半頃
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― ゆ め ―
[目を覚ましてすぐに、今日は大事な日だと思い出して跳ね起きた。 春の庭を歩く。桜の蕾はどれもまだ硬く、枝の下から見上げて目星をつけ、付き人に高く抱えられて確かめては違ったと首を振るを繰り返してばかり。]
―――あ!
[日が翳る頃に漸く、綻ぶ蕾を見付けた。 冷えて感覚の薄れた指先で枝を折る。
硬い蕾が5つと、部屋で暖めて咲くを速めようとした蕾が1つ。 恥じらいながら『お母さん』に差し出す。とても美しい人だった。桜花よりも。秋の頃の紅葉よりも。艶やかで。]
(212) 2014/02/08(Sat) 22時頃
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……?
[『お母さん』の微笑みは受け取った桜の蕾に。次いで男児の手をそっと掴む。 指摘されて、指先が赤いことに気が付いた。枝を手折る時にでも傷付けてしまったのだろう。
ぷくり。 半ば固まって膨らみを保ったままの、小さな蕾のような赤雫。
紅引いた唇へと運ばれて―――…**]
(213) 2014/02/08(Sat) 22時頃
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―ある日―
[『柊』はどんな冬か。>>243 絵本を開き、吹雪の絵を見せた。 こんなものが来たら、鬼でなくとも逃げてしまいそうだけど。
――と、前置きした上で、棘の話をした。 雨の日に『おかあさん』の所に行こうとしていた明之進に。 きっと何処にも行けないのだと、憶測は口に出せなかった。 手にしていたものを見て、自分も懐刀を大事にしていると鞘を見せたこともあった。
別の、代わりのものを探せるようになれば良いと思って、色々と質問を投げ掛けていた成果であろう。]
人間には痛くないよ。鬼じゃないんだし。 だから、大丈夫。
[表情が崩せないかと髪をやや乱雑に撫でた後、脇腹を擽ったのは昔のこと。 何故、そんな事を気遣わしげに問うのか。当時は分からなかった。**]
(260) 2014/02/09(Sun) 01時半頃
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― ゆ め ―
[寒さで目を覚ます。まだ夜だから寝ていないといけないのに、瞼を下ろしても眠気はやってこなかった。 懐を押さえて懐剣の在るを確かめてから身を起こす。
布団から出て一歩。足の裏から伝わる畳の冷たさに身を抱いた。 吐き出す息は白く、火鉢に残る僅かな熱を蝋燭に移して明かりを作る。障子と雨戸を開けた庭もまた、一面真白く眩かった。
桜の枝は白を乗せて重みでしなり、雪の塊を落とす。夜闇の中、はらはらと降る白雪は桜花のようで美しい。心奪われ、淡い炎が消えるまで縁側に座って見ていた。
猫のような泣き声が聞こえ、男児はその方を見遣る。新しい母の腹は大きくなっていたが、産まれるには早い。だからあれは秋に使用人の一人が産んだ赤子の泣き声。]
(289) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[医者の見立てでは女の子だという。妹が出来るのだ。男児は『兄』になるのだ。
名前は『菖蒲』。男でも女でも『あやめ』。腹の上から何度も呼び掛けた。耳を押し付けて鼓動を聞き、腹越しに蹴られたこともあった。
赤みの強い紫色を思い描き、視線を庭に戻す。 春になったら―――…今度は花を植えようと思った。誕生日祝いに、名前の花を。]
(290) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[――けれど。
女童が生まれる前に、 男児の姿は屋敷から消えていた。**]
(291) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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―『希望』―
あんごおにーたん。
『れい』って、どんな漢字があるの?
[孤児院に来たばかりの男児には、問われても答える名前がなかった。言葉を失い、記憶を失い、瞳からも生気を失っていた。
自分の名前を決めようと思い立ったのは、孤児院での生活に慣れて言葉を話せるようになってから。 『いる』にしようか、それとも『れいる』にしようか。迷いあぐねている時に、安吾の姿を見かけた。
今日もまた子供たちに文字を、漢字を教えている。だから尋ねて、『零』を選んだ。]
(435) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[安吾のしてきた事をひとつ、引き継いだ。書き散らした半紙の、広告の裏の。楽しげな声。]
……リッキィのその願いは叶うよ。 絢矢は外に出るのを渋る――というか、誰かの『おかえり』を待ってるから。
うん、リッキィに叶えて欲しい。願っていて欲しい。俺も願えば足りるよ。
君は――…『希望』だから。
(436) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[君は、君達は。 自分以外の家族を差す。零瑠の願いは自己の過去に向けられたものだから。希望になり得るのは、そう、リカルダのような子。
明之進が2枚の『希望』を重ねる。]
……明の、希望は何だろうね?
[手習いの字の様に。 増えていけば良いのに。]
(437) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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[『希望』『希望』『希望』。
重ね連なる文字の中に、1枚だけ、
『冀望』が―――…。**]
(438) 2014/02/09(Sun) 22時半頃
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― 現実 ―
[世話をする者の居なくなった桜の木々は、雷で焼かれたり強い風で枝が折れたり病にかかったりと、ほとんどが枯れてしまった。
そうして、年々桜花の量が減っていく。
菖蒲の花は、背丈の長い草に日光を阻まれ、小さな花を咲かすしかない。
そうして、年々咲く花の数が減っていく。
この屋敷に住む者が『桜庭』と呼ばれていたことを、今も知る人は―――減っていく。**]
(442) 2014/02/09(Sun) 23時頃
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