73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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……あっ……!? ぅ……っは、ァ……
[けれど身体は思うように動かない。 ぎりりと首を締め上げられれば、 危うく火口箱を取り落としそうになった。 キツい香りも相まって、意識が朦朧とする]
……ぇして…… せんぱい、たち、かえして……
[もはやそれはただのうわ言。 敵意を孕む香りは何も煽らない]
(206) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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[先ほど、初めて名前を呼ばれた時 何故違和感を感じたかを朧げながらフィリップは理解する。]
なんで……て、 君は、捨てる 人なんでしょ?
[今は捉えてくる手が、 いつかフィリップを突き飛ばし、 たとえば鐘楼の階段を転げ落ちてしまうような。 そんなことを想像して恐れながらも 拒絶を否と言う風のカルヴィン、 その手を払いのけることもできず捕まる。]
[けれど、怖い……伸ばされた腕も誠実さも、優しさも 真っ直ぐフィリップ自身に伸ばされれば いつかそれが翻ることが脆弱な心には無性に怖く。]
[歩み寄ることも、逃げ出すこともできず硬直し立ち尽くす。 棘が刺さった手を黒が覆っていて その分は逃げ出さずにすんだ]
(207) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2011/12/28(Wed) 22時頃
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──中庭──
[咄嗟に感じたのは、オスカーへの嫉妬だった。
怒りの視線にずきりと胸は痛む。いや、忘れて欲しいのだから、むしろこの反応は喜ぶべき、なんだろう。 そして、それ以上に自分を苛むのは。息苦しささえ覚えるほどの薔薇の香り。けほ、と小さく咳をして、笑顔を作る。]
……薔薇を燃やそうとしてる子が居るって通報をうけてさ。風紀委員として放っておけないじゃないか。
[地面に置いたバケツを足で軽く小突く。ちゃぽんと水面に波紋がうまれた。]
……君は?
[オスカーの身体、叶うなら受け取ろうと。]
(208) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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返す…?僕に何をしろっていうのさ。 棘を容れたのは君の先輩達。 僕はただ、体を癒したいだけ。
僕を燃やしても何も変わらない。 …だからって、自分を燃やされそうになって、 黙って見逃すと思う?
馬鹿にしないでくれる?
[嫌悪はいよいよ顕著に]
(209) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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[オスカーは意識があろうがなかろうが、そのまま突き飛ばす。その先でセレストが彼を受け止めても特に気にもせず。
そして、セレストを見る眼はわずかにゆれて]
…君……。 あぁ、この子に、よく言い聞かせておいてくれるかな。 それと…
[彼はどの面さげて会いにきたのか。 無意識の底で、エリアスの意識が浮かびそう]
君は…まだエリアスと話す気はあるの? この子はもう諦めてしまったみたいだけど。
(210) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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――……っ! …………!!
[絞められているせいか、 きつい香りのせいか。 まともに息が出来ず少年は苦しげに喘ぐ]
……ゃ…… ……り、は、いや…… 一人は、いや……!
[だから、返して。 一人にしないで。 置いていかないで。
酷く、我侭な。 けれど少年の唯一の願い]
(211) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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[抵抗の出来ない身体は、 突き飛ばされればいともたやすく吹き飛んだ]
(212) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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捨てる、よ
[捨てられるものならば、いつだって。
きっと、捨てられる前に逃げ出すだろうフィリップと、捨てたくない、と思う前に手放そうとする少年は、似てるようでやっぱりどこか違っていて]
でもさ、離したら戻ってこないんだよね
[掴んだ手を握り締めた。離したって、いいはず。けれど離したら、痛みを感じたであろう心も知らぬまま、また透明に戻るのだろう この黒い手袋の持ち主が奏でてたろう旋律は消え、中庭の騒ぎには気づけぬまま。少しずつ緩む手の力を感じながら呟いた]
フィリップを捨てたくない、って言っても ……信じないんだろ
(213) 2011/12/28(Wed) 22時頃
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[オスカーは倒れぬように受け止めて、横たえあとは手放した。 拭い去られた記憶が、泡のように断片的に浮かぶ。そのせいか。薔薇の精がエリアスをこの子と呼んでも、取り乱しはせずに。]
……君はこの薔薇? エリアスは身体が弱いんだから、無茶をさせないでよ。 なにが欲しいの。なにをすればエリアスを解放するの。
[吸血鬼譚や妖精譚、妖しげな物語は好きだった。けれど巻き込まれてわかる──大事な人の身体を勝手に使われるなんて、冗談じゃない。]
……エリアスにつたえてよ。 俺はきっとエリーが思うよりずいぶん酷い人間だから。俺のことなんて忘れてしまって。
[涙はもう枯れたのだろうか。声は詰まらず口にできた。表情だけは、泣き笑い。]
(214) 2011/12/28(Wed) 22時半頃
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―シャワールーム―
[水音が響いていたとしても。 一番端のシャワーを使い、体の隅々まで洗い、薔薇の匂いを消すようにミント臭のボディソープを使った。 少し伸びた髭が時間の経過を物語っているようで。 備え付けの小さな鏡を覗きこんで、剃った。
両手で頭皮を刺激しながら洗髪すれば、思考もクリアになっていくような気がして。
気持ちが良かった]
(215) 2011/12/28(Wed) 22時半頃
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[捨てる、よ。と言う言葉が、 今、捨てられたようで怖い。
握られる手、手袋越しに暖かさが伝わる。 手を振り払えば、 すぐに消えてしまいそうな強さになっていく。]
主を信じぬは見捨てられる……? けど……信じ方なんて、知らない。 わからない、怖いっ……怖い……よ
[今にも消えそうな暖かさが本当に消える予兆に感じて 下から立ち上るバラの匂いも今は怖い。 一晩、今までだけで何度も緩んだ涙腺は 締りが悪くなたのか、また緩んで]
(216) 2011/12/28(Wed) 22時半頃
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[隣のシャワーブースから、聞こえ出す水音。 そっと出て行こうとして、誰なのか気になって見てしまった背中。]
レ、レオナルドさん、…それ………。
[身体中に青い痣のようなものが見えた気がして、絶句した。]
(217) 2011/12/28(Wed) 22時半頃
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何が怖いの。捨てられるのが怖いの? 俺だって怖い。捨てるのが、怖い
[唾を飲み込んで息を吐いて、手に力を込めた。潤んだ瞳から雫がこぼれる前に止めてやりたいと思ったけれど、どうすればいいのかわからなくて。でも、きっと]
今この手を離したらそんなに痛くないと思うんだよね
[乾いた笑いを浮かべて、口を閉ざした。こんなんじゃ、きっと逃げられる。捨てられるのはフィリップではなくて――]
俺が、フィリップを捨てるんじゃなくてさ フィリップが俺を捨てたくなるまで、傍にいるってのはどう?
[そんな価値があるかはわからないけれど、怖い、という言葉を都合よく解釈するならば少しは効果があるかもしれない]
俺が逃げたらさ、捕まえればいいよ。飽きたら、捨てればいいよ
(218) 2011/12/28(Wed) 22時半頃
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エリアスは、セレストへは「…やだよ。
2011/12/28(Wed) 22時半頃
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……あれ、留守か。
[ノックをしても返事は無く。 そのままにしても申し訳ないので一度食堂に引き返す事にした。]
(219) 2011/12/28(Wed) 22時半頃
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うん。僕はこの薔薇。 エリアスの体は…そうだね。仕方ないんだ。 ただ、僕は体を癒したいだけなんだ。
…君は…彼に直接そういえばいいよ。 なんなら、今だけあの子と代わろうか? そんなこと、僕に言わせないでくれるかな。
…なきそうなくせに。
[指はセレストの頬に伸びて」
もう少し…この子の気持ちも考えてあげてくれないかな。
(220) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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…… は い ?
[名を呼ばれた。 細かな水を顔に受け。閉じていた目を開け、振り返った。 舌打ち。]
どうかしたんですか、サイラスくん。
(221) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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エリアスは、そして耳元で呟く。場所を変えよう、と。
2011/12/28(Wed) 23時頃
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…や、その……ご、ごめんなさい!
[濡れた髪のまま、勢い良く頭を下げる。]
でも、それ…大丈夫、なんですか? なんか…怪我とかでも、ないみたい、だし。
[だいぶ落ち着いては来ていたけど、目元はまだ腫れぼったかったかもしれない。 おろおろと心配そうにしながらも、歳上の男の身体から目を逸らした。]
(222) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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捨てるの…が………怖い……?
[自分の怖さが何か? 問われて思案する前に、 次いだ言葉、歪む視界のまま瞬く] [捨てられる怖さだけ思っていた。 捨てる側の怖さを考えたことは一度もなかった。 捨てるほうは、好き勝手に 捨てるだけだと思っていた。]
[そんなに痛くない。その言葉に 口を閉ざすカルヴィンから逃げたい気持ちが募る。 ただ、先ほどの疑問が頭に残って ぎゅと、鮮やかなほうを抱きしめながら耐える。]
………俺が、君を…………?
[捨てられたら、捨てればいい、とは 雪がやんだ直後ぐらいに言われていた。 ただ、捨てる前から、選択肢が自分にある、ことは考えなかった。]
(223) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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捕まえても、いいの……?逃げたい時に。 ……カルヴィンが、いやになっても……?
[おず、とおそる、おそる口にする。 涙声でところどころ詰まりながら。 握られた手がブランケットの端をそっとつかむ]
(224) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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アイスクリームは寒かったな。 せめてセラーにワインでもあればいいのに。
[もちろん、パブリックスクールの寄宿舎にワインはない。 冷え凍えていく指を温めながら、堅いバニラアイスにスプーンを立てる作業を繰り返す。遠くからヴァイオリンの旋律が聞こえてきた。ルブランだろうか。クリスマスの晩以降、おかしなここにあってヴァイオリンの音だけが平常のようだ]
あれからどれくらい立ったんだろう
[せめて外に出ることができれば。年明けまでにまとまった額の金を保証ができるのに。オークのシェルフ。銀の食器。時計の鎖が金にしたい。絹のテーラード。制服のベストもランドリーにかけすぎているし、何より部屋の薪だ。 揃えないといけないモノが多い。金がいる]
(225) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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[眼鏡がないとはいえ、髪と眸の色で容易に相手を特定できた。 扉越し、湯で隠れて居るとはいえ、どこまで見えてしまったか。
赤いミミズ腫れは内出血し、 青紫色に変わり、 少しずつ消えていく前の、
身体を這う、縄の痕――――…]
新年を迎える頃には消えていることでしょう。大丈夫ですよ。
ああ…ジェフくんの看病、お疲れさまです。
[泣いた後のような声に。思い当たることは唯1つ。彼の兄の名前を出した]
(226) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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…え?
看病、て……
[訳が、わからなかった。 兄の身に何が起きたのかも知らなくて、動揺した表情で先輩を見返す。]
兄貴、どっか悪いんですか?
(227) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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―食堂―
……ん。誰かいるんスかね。
[モリスが食堂に戻ってみると人の気配がして。
サンドイッチを持ったまま、おや、と首を傾げる。]
(228) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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考えてるよ!!
[叫びは悲鳴に似る。]
傷つけたくないんだ、あァそうさ、でも隠してることが多すぎるんだ!!
[直接なんてきっと言えない。話せば決意は揺らいでしまう。 けれど、場所を変えようと言う薔薇から、逃げ出すほどに、クズにはなれなかった。唇を噛み締めながら頷いて。
横たえたオスカーは意識の外。 彼の持つ火口箱も、また。]
(229) 2011/12/28(Wed) 23時頃
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――うん
[なんて答えようかな、と少しだけ考えて。簡単に頷くだけにした。どうなるかもわからない、先を見て臆病になっている自分が、フィリップが、捨てたくないというのは、捨てられたくないの裏返しで]
追い出したくなったら追い出せばいいし、さ
[誰かの元から逃げ出したくなることは今までにもあった。サイラスの元からも逃げ出したい。けれど、逃げたら終わり。それで、終わり。捕まえたいと思ってくれるなら、それはきっと嬉しいから。そうなればいい、と祈り]
よし 今から俺は、あんたのものだ
[手を離す。どうする?と促すように、怯えるように顔を覗きこむ]
(230) 2011/12/28(Wed) 23時半頃
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そう。考えてるんだ?知らなかった。 君の秘密をしって嫌われるのと、 このままただ忘れてほしいのと、ドッチが無責任?
[とりあえず場所を変えよう。 いくらなんでもこんなところにいれば皆冷えてしまうだろう]
この子…オスカーも暖かいところに連れて行ってあげないとね。 君も、この子達も風邪を引かせたくないでしょう?
[オスカーに肩を貸して運ぶくらいは二人でできよう。どこの部屋でもいいから、暖かいところに、と。]
僕たちは自分らの部屋でいいんじゃないかな。 エリアス、相当意識が沈んじゃってるから。 そう長くはなせるとも思わないけど。
(231) 2011/12/28(Wed) 23時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/12/28(Wed) 23時半頃
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…自分のケツは自分でふきなよ。 僕に悪役押し付けるのはいいけど。 だからといって、君のエゴまで僕に尻拭いさせないで。
[セレストへ、少し据わった眼を向ける。 彼のその言い方が、妙に卑怯に見えたから]
(232) 2011/12/28(Wed) 23時半頃
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[物音がした。開けようとした袋菓子を置いてそっちを見ると、嫌な奴がいた]
ああ。 [こいつか。まずい飯がますます不味くなる。 顔を見るのも不愉快だ。ふん。 俺は手早く食べ物をまとめて、立ち去ろうとした]
(233) 2011/12/28(Wed) 23時半頃
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[首を僅かに傾げる]
…知らなかったんですか…?
[では何の為の?]
……医務室に居ますよ。 もしかしたら、もう目覚めているかも知れませんが。
[だから。今見た事を忘れてくれ。早く立ち去ってくれ…]
(234) 2011/12/28(Wed) 23時半頃
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[頷く姿をブランケットの端、掴みながらじっと見る。 捨てる、追い出す。渡された選択肢は 次いだ言葉に結ばれて。
それまで、掴まれていてあった、暖かさが離れた。 だから、宣言と一緒覗き込まれて。 なれない、自分で選択し、行うことを考えた。]
……………あったかい……
[ブランケットの端を掴んでいた手を おずと、カルヴィンの背に回して引き寄せる。 離れていて冷えた分、取り戻すように抱きしめ小さく呟いた。 ブランケットに包まれた肩口に、水滴を吸わせながら。]
(235) 2011/12/28(Wed) 23時半頃
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